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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

霧と太陽の王

霧と太陽の王

探索短編ADV『霧と太陽の王』をプレイしました。

モノクロで描かれる、絵本のような背景や異形達の美麗なグラフィック。
姿に相応しく、只者ではないと思わせるボイス。
ストーリーは綺麗にまとまっていて、四つのエンディングのどれも余韻があります。
おとぎ話を読んだかのような感覚を味わえます。

ここからはネタバレ有り。



好きなエンディングを順に挙げるならトゥルー>バッド>バッドバッド>ノーマルです。
ノーマルの後味が悪すぎる……!
バッドバッドよりも辛いかもしれない。
バッドバッドはひたすらルシャナが可哀想ですが、ノーマルだと虚無感に包まれるんですよね。

人間や神様に対する印象が変わっていきました。
罪もない少女を生贄に差し出す人間がクズなんじゃ……→生贄の決まりを破ったら光を奪う神の方が邪悪じゃないか?→人間に失望したと言われれば仕方ないけど「醜い争いやめろ」くらい言ってくれませんか?
プレイヤーとして接する機会が多い王様とルシャナに肩入れしたため、生贄を捧げ続ける人間も、五百年の償いを求めた神も好意的に見ることはできません。
私は人間ですから人間賛歌が炸裂すると嬉しいのですが、そういう方向ではない。人間賛歌にもっていくならそもそも生贄捧げたりしないでしょう。
優しい王様や少女に矢を射かけるイメージが強いので「これが人間の素晴らしさだ!」という気持ちは抱きづらい。
頭ではルシャナみたいに善良な人もいると分かっています。
生贄の風習に対して愚かで残酷だと感じるのも安全なプレイヤー目線だからであって、滅びかけている国の一般人なら思考停止して縋るしかないことも理解できます。
でもやっぱり引っかかる。
ゆがんだ伝承に従って生贄捧げた挙句、帰ってきた巫女を穢れ扱いして排除するからな。
100年前無事に帰されたはずの巫女も「帰還を祝福されめでたしめでたし」にはならなかった。
手放しに肯定できない様子で良かったところもあります。
バッドやバッドバッドで滅びようと、ルシャナが可哀想である点を除けばそこまで心が痛まないのは助かる。
トゥルーエンドで救われて良かったと思えたのも、王様とルシャナが幸せになったため。「王様の頑張りが報われたから」「ルシャナが安心して暮らせるようになったから」祝福したくなりました。

神様に対しても同様に引っかかる。ダイ大の神々とどちらがマシなんだろう。
人間のグダグダっぷりを見てうんざりするのはおかしくないかもしれない。
でも王様に何百年もの償いを求めるのはおかしいだろ……。
彼が犯した過ちと受ける仕打ちが全然釣り合っていない。

一つだけ確実に言えるのは、王様とルシャナがただただ気の毒ということです。人類の尻拭いをたった二人に押し付けるなよ……。

ここからは主なキャラクターについて。
王様はどの形態も好きです。
モフりたい。バッドやバッドバッドの姿はとてもカッコいい。
すっぽんぽんだけど羽毛があるから問題ないらしい。そうでしょうか?
どこか抜けているけど優しい王様には幸せになってほしい。ルシャナと一緒に。
ルシャナは癒し。
喋らない分表情や仕草で感情を伝えてくる。
こくこく頷く姿が可愛くてほのぼのする。
幸せになってください。王様と一緒に。

中盤、別方向に盛り上げてくれたのは仕立屋ですね。
途中まで宰相のことを警戒していたけど、過去を知ると仕立屋が一番……。
他の異形と違って徹頭徹尾自業自得ですからね!
「すっぽんぽん」の発音が好きです。
糸紡ぎにやったことは許さん。

一番好きなのは宰相かもしれません。
ずっとクールで最後の最後に渾身のデレを披露するおいしいキャラ。
さぞ腹黒いだろうと思っていたらそうでもなかった。
洗脳したりしつこく誘導したり、えげつない手を使って王を操るかもと疑って申し訳ない。
人間とは相容れないけれど、悪党ではありません。
「王」の誕生を心から望んでいたけれど、そうならなかったトゥルーでああ言えるのは素晴らしいと思います。
彼をはじめとする異形達がいたからこそ、王様は長い年月を耐えられたのでしょう。
おまけで一番キャラが……。
クールでシリアスな宰相はどこいったんだ。ただの過激な王様ファンじゃないか。
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