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寄生獣感想 6
寄生獣感想 5
寄生獣感想 4
寄生獣感想 3
寄生獣感想 2
寄生獣感想 1
最初はグロそうな漫画と思っていたのですが、試しに読んでみたところどっぷりハマりました。
丁寧に敷かれた伏線を回収する作品です。
過酷な目に遭い苦悩しながらも適度な前向きさや緩さを失わない主人公の新一も、初期と終盤で印象が大きく変わるミギーもいいキャラです。
特にミギーは、最初「不気味。血も涙もない性格だし、親しみは湧かないだろうな」と思っていたのが「可愛い」、そして「格好いい!」に変化しました。
寄生獣
人間の頭に寄生し全身を支配、そして他の人間を捕食する寄生生物、パラサイト。
主人公の新一は、脳は乗っ取られずに済んだものの右腕に寄生され、その生物――ミギーとの出会いによって様々な事件に巻き込まれることとなる。
・キャラクター
好きなキャラを三人挙げるとミギー、新一、田村玲子。
特に、不気味だと思っていたミギーが可愛らしく思えてくるのが不思議でたまらない。
他の登場人物も嫌いだったり「何だかなー」と思うキャラはほとんどいない。
後藤、広川、宇田さん、ジョー、倉森、村野、新一の父……平間や山岸もいい。
浦上の人格や所業はとても褒められたものではないですが、物語内の立ち位置がおいしい。
・魅力
敵の正体や占い師の言葉など伏線の回収される様に唸った。
冒頭の「地球上の誰かがふと思った」から「生物みんなの未来を守らねば」という言葉によって「愚かな人間どもよ」という論調の話かと思ったが、人間側、寄生生物側、両者の狭間に位置する主人公の考え方が描かれている。
「人間サマ至上主義、化物くたばれ!」でも「人間などどうしようもない存在だ、パラサイト万歳!」でもなく、バランスよくまとめあげている。
当初の予定だと「愚かな人間どもよ」という方向に行くつもりだったらしいが、連載の中で考えが変化し、さらに踏み込んだ内容になりながら見事に着地したのは素晴らしい。
主人公の新一が一般の人間から精神の在り方が離れていくことを自覚し、葛藤する姿が重い。
あることがきっかけで身体能力が大幅に向上するが、パワーアップイベントという喜ばしいものではなく苦悩することになる。
気取った言い回しや格好いい単語は使われず、自然な流れの中で吐き出され、しっかり心に残る。