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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

寄生獣

寄生獣

人間の頭に寄生し全身を支配、そして他の人間を捕食する寄生生物、パラサイト。
主人公の新一は、脳は乗っ取られずに済んだものの右腕に寄生され、その生物――ミギーとの出会いによって様々な事件に巻き込まれることとなる。

・キャラクター
好きなキャラを三人挙げるとミギー、新一、田村玲子。
特に、不気味だと思っていたミギーが可愛らしく思えてくるのが不思議でたまらない。
他の登場人物も嫌いだったり「何だかなー」と思うキャラはほとんどいない。
後藤、広川、宇田さん、ジョー、倉森、村野、新一の父……平間や山岸もいい。
浦上の人格や所業はとても褒められたものではないですが、物語内の立ち位置がおいしい。

・魅力
敵の正体や占い師の言葉など伏線の回収される様に唸った。
冒頭の「地球上の誰かがふと思った」から「生物みんなの未来を守らねば」という言葉によって「愚かな人間どもよ」という論調の話かと思ったが、人間側、寄生生物側、両者の狭間に位置する主人公の考え方が描かれている。
「人間サマ至上主義、化物くたばれ!」でも「人間などどうしようもない存在だ、パラサイト万歳!」でもなく、バランスよくまとめあげている。
当初の予定だと「愚かな人間どもよ」という方向に行くつもりだったらしいが、連載の中で考えが変化し、さらに踏み込んだ内容になりながら見事に着地したのは素晴らしい。

主人公の新一が一般の人間から精神の在り方が離れていくことを自覚し、葛藤する姿が重い。
あることがきっかけで身体能力が大幅に向上するが、パワーアップイベントという喜ばしいものではなく苦悩することになる。
気取った言い回しや格好いい単語は使われず、自然な流れの中で吐き出され、しっかり心に残る。


印象に残った場面・台詞などを挙げていきます。

・「悪魔に一番近い生物は人間だと思うぞ」
『 からくりサーカス』の加藤鳴海を連想してしまう。
・「切り離してやるからね!」
直後目に入ったものが……。
・「ぼ……防御たのむ」
 投石した時と同じくらい熱い攻撃だと思いました。
・「だまれ」
夢に出そうなほど怖い。その直後に「よく調教してあるでしょ?」と当たり前のように言うのが……せめて教育と言いなさい。
・「走れ! 追うんだ! そして殺す!!」
だいぶなじんできたところに冷血発言。優先するものの違いを感じる。
・「里美……! おれの体! おれの体には!」
新一が強いからこそ秘密を抱え込み、苦しむことになるのだろう。もう少し弱ければ誰かに吐き出し、悩みを打ち明けて楽になれたかもしれない。
・鏡の前で高らかに笑う田村玲子
子供を育てたり、自然に笑いがこみあげたり、変化し続ける存在。
・「もし本当の人類のためを思うなら、きみは名乗り出るべきなんだ。たとえ実験材料にされるとしても!」
立派なお言葉です。高説を述べた直後の素直な反応に笑いました。
・「どけよ! 人間ども!!」
主人公の精神はどこへ行くのか不安になった。獣のように殺気全開で激怒していますし。
「その相手なら殺したよ」と顔をゆがませて笑う様が痛々しい。
・「三人いれば勝てると思ったのか?」
 ラスボスのような威厳。田村玲子、恐るべし。「冷血の戦い」というサブタイトルがまた格好いい。
・「自分がどこからきてどこへ行くのか……なあんて、人間ぽく考えたことある?」
己の在り方を考え、進む道を模索することを人間らしさと捉えているのか。
・「俺にとっては戦いこそが……!」
バトル漫画では戦いを至上とするキャラがよく登場するが、田村の問いやミギーの存在を考えると感慨深いものがある。
・「なにやってる!! このまぬけ!!」
 冷血さを見せてきたミギーが……!
・『寄生獣』の意味が明らかになった場面
タイトルがここでくるのか!と痺れた。
・ラストのミギーの言葉
腰?に手を当てたポーズのミギーが可愛い。高らかに人間賛歌を謳い上げるのではなく、さらりと言い放つのがミギーらしい。

グロそうと思って敬遠していましたが、一度読みはじめると止まらずに最後まで読んでしまいました。
何度読んでも飽きが来ないマンガです。

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