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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

寄生獣感想 4

寄生獣感想 4



第三十二話 田村玲子

会議室で皆バラバラの方向を見ている中、広川だけは相手の方をちゃんと見ていることにようやく気づきました。
田村玲子は相変わらず刃物のような女です。
泣きわめく子を「だまれ」で黙らせ、ベビーシッターには「よく調教してあるでしょ?」と自慢。
せめて教育と言ってくれ。
「だまれ」の迫力に震えました。
彼女は人間の探偵、倉森を雇って新一を調査させる。
新一のことも自分の子もただのサンプル、実験材料としか見ていない。

第三十三話 目撃者

加奈が死んでからたいして時間も経っていないのに、クラスメートと騒ぐ新一を見て里美は距離を感じる。
切り替えが早すぎるのは胸の穴のせいだと思います。
母親が殺され、母親の姿をした者に殺されかけた一連の出来事を受け止めるには、ある程度心が麻痺しないと重すぎる。
加奈の死んだ場所に来て、悲しみを忘れずにいたいと語る新一。
しかし、ミギーと会話しているところを探偵に見られてしまった。
殺しにかかるミギーを新一が妨害している隙に探偵は逃走。
「走れ! 追うんだ! そして殺す!」
最近新一との距離が近づいていたと感じただけに、冷血さ全開の言動に痺れました。
そして、「人間」にバレた新一とミギーがどうなるかにドキドキゾクゾクしました。
下手すれば寄生生物に狙われるより厄介で怖ろしい事態が待っています。
新一に好意的な加奈ならば正体を知ってもそこまでひどい状況にはならなかったでしょうが、状況や性格を知らない一般人だとまずい。

第三十四話 鉄とガラス

倉森を追って殺そうとするミギーを必死で止める新一。
自分の手で寄生生物を殺した。人が大勢死んだ光景にも直面した。
それでも、自分が人間を殺すことはどうしてもできない。
生と死に対する割り切りがよくなっていただけに安心しました。
死んだ者に対して心を動かされにくくなったものの、生きている者やそこから命を奪うことに関してはちゃんと感じる心を持っているのか。
「仕方ないか」で探偵を見殺しにしたらどうしようかと思った。
新一と綱引き状態になって「……つかれた」と呟くミギーが可愛い。

再び倉森に見張られていることに気づき、新一は怯え悩む。
ミギーが眠っているうちに切り落そうとしますが、楽しかった思い出が蘇る。
たった一コマの絵に破壊力があります。
漫画を読んでいるミギーと明るく笑っている新一の微笑ましい光景。何だかんだで上手くやってきたのですから、そっとしといてやれよ……と思います。
ここでミギーを切り捨てなくてよかった。
安全のためだけに排除しては冷酷な寄生生物と変わらないと思ってしまう。
ミギーが漫画を読んでいるシーンは予想外でした。漫画も読むのか。それとも、新一が読んでいて一緒に見ることにしたんだろうか。
とにかく、どんな内容なのか気になります。学習ものの漫画か、それとも少年漫画なんだろうか。いっそ少女漫画か。読んでいる時の彼らのやりとりも知りたい。

今のうちに里美に会っておこうと呼び出しても、何も言えない。
話してと言われてとうとう自制の壁が崩れそうになってしまう。
「里美……! おれの体! おれの体には!」
ミギーが変形しかけている右腕を掴み、心の中で叫ぶ新一の姿が辛い。
里美が振り向いた時には腕を隠して平然とした表情に戻っているため、なおさら。
ここまで自分一人で抱え込もうという意志が強くなければ、もっと弱くて吐き出せれば楽だったかもしれない。里美を危機に晒さないためにぐっと我慢している。
話したらミギーが殺しそうだ。
刃に変形しかけている手は新一の境遇、秘密を示すためとミギーの危険さを表すための描写でしょうか。

新一の孤独さが浮き彫りになっただけに、助けに応える宇田さんが神々しく思えました。
この世に味方なんていない→宇田さんと会話 の切り替わりに笑いました。
「ぼくらは唯一同じ境遇の仲間じゃないか! お互い助け合わなきゃ!」
戦闘力だけ見れば新一がずば抜けていますが、それ以外の困った状況、精神的な支えが必要になった時に宇田さんが頼りになる。

第三十五話 名前に無頓着

宇田さんのパラサイトの名前がジョーで確定しました。
倉森の慌てぶりを見て無表情のまま笑いだす田村が怖すぎます。
転んで椅子とテーブルを倒してカップ割って「あ~」って言ってる倉森……もしやドジっ子? ドジ親父か。
彼のおかげで田村の大笑いが見られました。ありがとう。
大笑いする彼女と泣きわめく赤ん坊のギャップが深刻。
笑い続ける姿は怖ろしい。

一方倉森家では平凡な家庭らしい空気が漂ってます。
妻から夫への小物発言はひどいと思いましたが、夫の能力や性格を理解している彼女なりの気遣いだったかもしれません。一般人・庶民代表的な男ですから。
ミステリ小説を眺めて意気込む様子を見てると、名探偵に憧れて探偵になったんだろうなと思います。夢に反して地道な活動ばかりでパッとしなかったんだろうとも。ミステリ小説みたいに殺人事件や複雑怪奇な事件をホイホイ解決できないだろう。
張り切るのは良いけれど今回は相手が悪い。
新一のことはそっとしといてやれよという気持ちと、深入りすると死ぬぞという気持ちが。

宇田さんと協力して倉森に事情を説明し、納得はしてもらった。
しかし倉森は、黙っててほしい、もうつけまわさないでほしいという要求に反発する。
「もし本当に人類のためを思うならきみは名乗り出るべきなんだ。たとえ実験材料にされるとしても! たとえ自分を犠牲にしても人類全体のことを考える! それが人間じゃないか?」
立派な言葉です。
本人も大勢のために何かを犠牲にしているならばともかく、安全な立場にいながら言われても首をかしげたくなりますが。
ミギーとジョーの脅しにビビって震える姿を見るといっそう疑問に思います。「ふん、自己犠牲が聞いてあきれるぜ」というジョーのツッコミに同意。
新一の境遇についてドラマチックに語るミギーが可愛らしかった。
「こいつは大変な境遇なんだ、同情するのが人情ってもんだろ」と言いたげな語り口の裏で淡々と効果を計算していると思うと痺れる。普段は情だの何だの気にとめませんが、状況によっては利用する。自分が賛同・実感できるかはおいといて、使える物は使うスタンスですね。学習能力が高い。
宇田さんのおかげで助かりました。

第三十六話 悪魔の面影

我が子を連れた田村と新一の会話は緊迫感があります。
「これからはある意味で人間たちとの共存を考えなきゃならない」
「ふざけるな! 共存なんて……人食いの化け物どもと!」
「例えば人間と家畜は共存してると言えない?」
共存……なのか?
異種族との共存エンドが好きですが、そんな関係は遠慮したい。
共存と言っても対等じゃない。
食料として見なされながら共に生きていくのは嫌だな。家畜扱いは勘弁してほしい。
母親について語られ、激しく動揺した新一を田村は挑発する。
煽らないでください。ラスボスみたいなオーラ出すのもやめてください。
新一が殺気に満ちた目で彼女を睨む。
「殺す!」
新一がここまで激情に駆られるのは、母親のことについて触れられたからだろうな。
彼にとって母子関連の問題は胸の穴=深い心の傷になっている。
「いま戦ったら負けそうだ! この子供を盾に使うしかないな!」
ますます親子という点から刺激しています。田村は人を煽るのが相当上手い。
100%本心かはわかりませんが、彼女に「負けそうだ」と言わしめるほど新一は危険になっている。
どちらも悪役みたいな風格が漂ってます。
ブチ切れた新一が
「どけよ! 人間ども!」
と叫んだ時は驚きました。
あんたは人間じゃないのか。
もう人間じゃなくなってると感じてるのか?
新一はどこまで人間から遠ざかるのか、不安を通り越して恐怖を覚えました。

道端の占い師から胸の穴を見抜かれ、「穴をふさぐには開けた相手と会って話さねばならない」と聞いた新一の返答にも愕然としました。
「……その相手なら殺したよ」
表情はひどく荒んでいる。憎々しげな微笑に占い師も黙り込む。
どこまで行くんだ、新一。
主人公の言葉と表情とは思えない。
直接手を下したのは宇田さんですが、彼の意識の中では自身が殺したことになっているのか。

第三十七話 食堂

田村から無能無能と連呼され、妻からは分不相応だと言われ、ミギーからも下手に首を突っ込んだと言われ、意地になってる様子の倉森。
それだけならいいけど、助手の若者を巻き込むなよ。
おまけに、自分一人で確かめる勇気も持たないで新一だのみ。
ミギーも「だからその程度のヤツが首をつっこむなと言ったんだ」と辛辣な物言い。
反論できない。

第三十八話 敵対

もはや普通の寄生生物では新一とミギーのコンビには到底敵わない。
バトルにしても似たりよったりなパターンにならず違いが見られるので、飽きずに楽しめます。
「これなら馬の差で勝つな」
「誰が馬だって?」
に緊張感が削がれました。
サクッと倒して解決と思いきや、倉森は浮かない顔。
広川達、寄生生物集団と戦う覚悟を決めた新一だが、戦いを目撃した倉森は全てを忘れると言う。
「あんなの見て! あんなの見て戦おうなんて考える方がおかしいんだ!」
「きみはもう……普通の人間じゃないんだよ。さっきの戦いだって……はっきり言やモンスター二匹の殺し合いだぜ」
「かよわき人間であるおれには! 自分一人守るパワーも武器もないし、勇気もない」
倉森の言うことは嫌というほどわかる。
普通の人間は斬られたり刺されたりしたらすぐに死んでしまうし、生き返ることなんてできない。
戦いに役立つ特別な力も才能もない。
情けなく臆病で、自分と周囲に害がなければ黙っていようとする。
到底人間とは思えない生命力や才能を持つキャラに一般人代表的に人間の生き様を説かれても共感できませんが、化物に怯え無力さを痛感したり、置いてけぼりになるまいとしてきた人物の台詞だと共感、感動できる。
倉森や里美がきちんと一般人らしく描かれているから新一や寄生生物の違いが際立ち、精一杯の意地を見せた時に感動できる。
人類のためと言ったことについてきちんと謝ったのも好感が持てました。
かつての彼の言葉に従えば、人類のためを思うなら身の危険を冒してでも発表すべき。自分や家族を犠牲にしても人類全体のことを考える、それが人間のはず。
以前言った台詞が見事にブーメランとなって帰ってきた。

モーツァルトとショパンを間違える広川と、黒パン一枚でピアノを引きこなす後藤は面白いコンビです。
この二人の組み合わせは好きだ。距離感というか空気が独特。
広川はとりあえず知ってる音楽家の名前を挙げただけ、という態度で後藤はきっちり指摘。ささやかな事から各々の性格、個性の違いがにじみ出ているようで面白い。
三木にやらせてみる、何事も慣れだと言って軽く右手を振る後藤の姿が印象的。

第三十九話 刺客

刺客の三木と追いかけっこ。「おつりはいいからね」に和みました。
表情が豊かで一見寄生生物らしくないですが、不自然さが拭えません。
「ミギーって……ひょっとして右手だからミギーなの? アハハハハ安易だなァ……それじゃおれと同じじゃないか」
一つの体に三匹!?
だから「三」木なのか!
ストレートだ!
頼りないけどすごく強いのか?
と思わせておいて実はそんなにすごくない。

第四十話 司令塔

「ちょっとタンマ」つって攻撃するのはずるいと思いました。
作戦を練ったり体勢を立て直したりするのを紳士的に待ってくれる敵を少しは見習ってほしく……ないな。
相当厄介な敵のはずなのに、表情や行動、身のこなしなどを見ていると強敵とは思えません。
どうも詰めが甘いというか抜けているので脅威とは感じにくい。
ミギーの作戦が成功し、あっさり首を飛ばされますから。
「線」と「点」の動きを生かした作戦が見事でした。敵を倒すにしても新一が手を下したりミギーが攻撃を担当したり、飽きません。
やっぱりこのコンビなら隠し玉があっても余裕だろうと思っていました。

第四十一話 完全体

・サブタイトル
・「おまえはやはり右手でいるのが分相応のようだ、三木」
・全部で五体潜んでいた、三つに感じたのは統制しきれていなかったから
・「おまえとは……前に一度目が合ったな」
・完全に統制できる者の顔が後藤に
の流れにくらくらしました。
何だこのラスボスが降臨したかのような絶望感は。
ここでこうくるか!
敷かれていた伏線が一気に回収されました。
「三木」の名前の本当の意味や「後藤」の意味、広川との会話のミスリードなどが全部つながった。
ピアノの時に「三木にまかせる」「慣れだ」といいながら右手を振っていたのは、そこに三木がいたからか。
三木は三体同居と思わせて右手担当、後藤はただ五体同居するんじゃなくて五体を完全制御できるリーダー、「五頭」。
広川の口調から三木と後藤は別人だと思っていましたが、実際は同じ体を指していた。
こちらの興味を煽ってきた後藤の正体などの謎が一気に放出され、爽快感すら覚えます。
これだから『寄生獣』はやめられない。
明らかになった戦闘能力も凄まじい。
化物の中でも特に化物じみた存在に対し、「すばらしい」と素直に感嘆してみせるミギーに驚きました。「仲間」が一種の可能性を示したわけですから、興味を引かれるのはわかりますが……。
人間ならば称賛しないし、普通は「怖ろしい」がくるだろう。こういう点で同類ではないと思い知らされます。
とんでもない状況下でも「いまの乗り方ちょっと気持ちよかった」と言ってのける新一は図太い。
ピンチに耐性ついてますね。
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