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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

寄生獣感想 2

寄生獣感想 2



第十話 こだわり

母や里美から変わったと言われ、田宮からも混じっていると告げられ考え込む新一。
神経だの体液だのでミギーの体とつながっているため、脳や精神構造に変化があったのかもしれない。
とんでもないことを言い放っておきながら「大した問題じゃないだろ」「眠いから寝るよ」とミギーはマイペース。新一にとっては重大な関心事なのに。
爆弾発言で驚愕した新一が普通の人間だと自分に言い聞かせる様子は必死です。
クラスメイトが不良にボコられてるところに通りかかり、勝ち目がないので一度は逃げようとするも踏みとどまる。
「人間の心で特に理解できないものは……献身というやつだな。つまり自分にとって損でも他人のために何かをする……わたしにはさっぱりわからん」
この時のミギーの台詞は後藤との戦いやラストに活きてきますね。
ミギーの台詞を思い出し、勝ち目のない喧嘩に加わる新一。
保身のために見て見ぬふりをするのもそれはそれで人間らしい気がします。

一方的に殴られる新一を見かねて不良の仲間――加奈が止める。
一喝にビビる光夫は図体に似合わない心の持ち主だと思う。
嫉妬剥きだしで新一に絡んだり、やきもちがいきすぎて加奈に余計な事を言ったり、里美を捕まえておびき寄せた挙句力の劣る新一をしつこく殴ったり蹴ったり。
女を見捨てて逃げ出す姿を加奈に見せて幻滅させようとしたのですが、やることがいちいち小さいよ。彼を見直したのは全てが終わってからだったなぁ。
ただし、やめてと叫ぶ里美が可愛かったのでそこだけは君のおかげだと評価したい。
ミギーに頼らず、ボコボコにされながらも食い下がる新一がカッコいい。光夫を止めに入った加奈もな。
仲間も加勢に来てくれた。
上条の余裕ある物腰が好きだ。他の場面でも気がきくし、フォローしてくれるし。
里美と新一に「もう帰れよ」とツッコんでくれたことに感謝したい。気持ちを代弁してくれた。

新一の家までついてきて、傷の手当てをして、普通とは全然違うカッコいいと誉めて、新一もまんざらではないようで……。
このいい雰囲気は何なんだと思ったので、
「なんなら泊まってけば?」
「ううん、帰る」
のやりとりにホッとしました。
人間の交尾を見られず残念がるミギーが可愛かったです。特にベッドに両手? を乗せているポーズが。

その頃、加奈は新一のことが気になっていました。
人間離れした空気を感じ取っていた。
もう少しで真の肉食系男子になりかけた男ですから。

第十一話 別れ

不吉なサブタイトルに加え、海を眺める新一の母の後姿が……。
やめてくれよと思いながら読み進めるので、寝ぼけている新一との電話越しの会話にほのぼのしたくてもできない。
もう高校二年生で見かけよりもしっかりしていると語る父ですが、これまでの出来事もこれからの出来事も全部、高校生が背負うには重すぎることの連続です。
海を見つめる夫妻と美しい景色、ムード満点だと思っていたら寄生生物が母の首に刃を振り下ろした。
以前出てきた頭部への移動ネタがこんな形で活かされるなんて、残酷だ。
新一も連れて来たいって言ってたのに、最期の言葉が「え?」なんてあんまりだ。
重傷を負った父が新一に連絡するも、母の安否を伝える途中で切れてしまった。
重要キャラだろうと魅力的なキャラだろうと淡々と死んでいきます。
あっさり退場しないでくれよ……。

第十二話 胸の穴

ミギーに当たり散らし、寄生生物の接近を知るや包丁を握りしめて殺す気満々の新一が痛々しくて見てられません。
「おれは今憎くて憎くてたまんねえんだよ! クソ化け物どもがなァ!」
前話や前々話との差が激しい。普段の穏やかさはどこにいったんだ。落ち着いてくれと言いたいけど落ち着けるわけないよな。
それほど憎悪に燃えていたのに、母の姿をした寄生生物を目にした途端、激情は消えてしまった。
ミギーが事実を告げても新一は聞こうとせず、混乱したまま言葉を吐き出すだけ。頭でわかっていても感情がついてこないんだろうな。
ミギーみたいに割り切れないし、素早く頭を切り替えることもできない。……この時点では。
泣きそうな顔で笑みを浮かべながら 「母さん」と会話しようとする新一の姿が悲しい。
危険さを訴えるミギーの言葉に耳を貸そうとしない。
「これ以上しゃべりやがるとこのまま切り落とすぞ!」
本当に腕を切り落としそうな勢いです。
ミギーの言葉を否定すれば元の母さんに戻ってくれると思ったのでしょうか。現実から目を背ける彼を非難する気にはなれない。
母親が寄生生物に殺されて、母の顔をした寄生生物に襲われそうになっているなんて、受け止めて対処しろと言うには酷です。

新一は涙を流しながら呼びかける。
直後、彼は心臓を貫かれ、口から血をこぼしながら崩れ落ちた。
容赦ねえ……。
サブタイトルは精神的な打撃だけでなく文字通り身体に穴が開くことを示していたのか。
主人公ですが、このまま死ぬんじゃないかと思って冷や冷やしました。
ミギーの治療によって一命をとりとめましたが、はい復活、よかったよかったという気にはなれない。
意識を取り戻して残酷な現実と向き合わねばならなくなったのですから。
「夢じゃ……なかったのか」
力なくうずくまる新一に何も考えずに休めと言いたくなる。でも父を守るために家を出ていかなきゃならないんだよな。
・母が寄生生物に殺される
・母が寄生生物に乗っ取られる
・母の顔をした寄生生物に心臓を貫かれる
・生き延びたものの、苦悩することに
・父が狙われており、彼まで殺されるかもしれない
・それを防ぐには母の顔をした相手を殺さないといけない
まだ高校生の少年が背負うには重すぎるだろ。
「ヤツを……」の表情が鬼気迫っている。

蘇生から新一の精神状態は大きく変わったのですが、最初読んだ時は「ミギーといっそう混ざったためだろう」と漠然と考えていました。「体が変わったから心も影響を受けた」程度にしか受け止めていませんでした。
改めて考えると新一の心境の変化は、身体の変質と精神的な衝撃の両方が原因であり、後者の割合が大きい気がします。
前者の体については、体調を崩している時は弱気になるように、体質が変わって気分も引きずられたということで。
一連の出来事に加え、旅の終わりも含めて考えれば、
・母の顔をした化物を自分の手で殺そうとする
・目の前でそいつが死ぬのを見る
という、心が壊れそうな出来事が一気に起こったわけですから。
涙が出なくなったのも当然です。
もし元のままだと、耐えきれなかったかもしれない。
砂糖水を運ぶミギーが可愛かったけれど、それをもってしても癒しきれない展開です。

第十三話 出ない涙

病室で父と再会するも、涙は出ない。
「こんなにつらいのに、言葉が出ないほど悲しいのに……どういうわけか、涙は少しもあふれてこなかった」
胸を押さえながら歯を食いしばる姿は見ていられない。
妻が化物に殺されたことを言えない父も痛々しい。
気持ちの整理がつかないよなぁ。
それに、息子に何と言うか、説明したとして納得してもらえるのかという問題があります。
父はミギーの存在を知らず、「バカなこと言わないでよ父さん、ちゃんと話してよ」という反応を予想するでしょうし、そんな風に言われたら改めて説明するのは難しい。事情もわかっていないのに、思い出したくない光景を詳しく話すなんてできない。

第十四話 仲間

新一の治療によって、ミギーには一日のうち四時間ほど完全に眠ってしまう弱点ができた。
「なんでそんなこと黙ってたんだよ!」と詰る台詞は後の場面と対応してきますね。
「おれはもう……ミギーのこと、敵だなんて思ってないよ。命の恩人だもんな」
「その言い方は正確じゃないな。わたしのための命でもある」
というやりとりに少しほんわかしました。
聴覚が鋭くなったり、走る速度が遥かに速くなったり、予備動作無しで三メートルの壁を跳び越したり、新一の常人離れした身体能力が披露される重要な回でした。
パワーアップしても素直に喜べない。自身の意志ではないし、これから悩むことになるので。
ミギーの細胞が混ざったことで寄生生物に近づいているのではないか、とっくに脳を侵食されて人間でなくなっているのではないか……誰も証明できませんから。
ラストに重要人物、宇田さんが登場しました。
ミギーが可愛いのはもちろんですが、宇田さんも可愛いな。顎のパラサイトも。

第十五話 消えた30%

宇田さんは顎に寄生されたものの脳は生き残っている、新一と同じ境遇の人間です。
彼は癒し系。和みオーラ漂ってます。
新一の境遇を聞いてボロボロ泣きまくり。
感情を露にするだけじゃなくて協力を申し出てくれる。
新一も同じ境遇の仲間ができて安心、よかったよかったと言いたいのですが、いきなり殺されそうになって頼りないと思いました。
新一ミギーコンビが頼もしく、新一の身体能力が向上したためより心強く思えるから落差が……。

第十六話 旅の終わり

新一は母の顔をしている化物と対峙し、剣に変化した右手を構える。
「一秒でもはやく……てめえを殺す!」
普段は品のいい言葉遣いですが、感情が昂ると荒っぽくなりますね。
Aとの戦いの時は速すぎて見えなかった触手を軽く回避し、弾き返し、圧倒する。
パワーアップなんてもんじゃない。
正真正銘の化物の口から人間じゃないと評される身体能力。怖ろしい。
「いまその化け物を切り離してやるからね!」
母は死んでいるのにそう呼びかける。まだ彼の中では母が生きているんだろうな。
刃を振りかぶった彼の目に飛び込んできたのは、頭部を庇った手の火傷跡だった。
ここで火傷跡を使うか!
あれほど殺そうとしていたのに、せっかく追いつめたのに、動きが止まってしまった。
この瞬間まで母の火傷エピソードは親子の絆を見せるため、火傷はそのシンボル・強調だと思っていました。それによって母との別れの悲劇性を出す効果があると。
新一がすんなりとどめをさすのを防ぐ鍵にもなるとは、考えもしなかった。

寄生生物は反撃し、新一を殺そうとする。
それを切り裂いたのは宇田さんの寄生生物だった。
宇田さんとジョーかっけえ!
「こいつは……もちろんきみのおかあさんなんかじゃない。でもやっぱりきみがやっちゃ……いけない気がする」
新一が殺すことになっては残酷ですから。
普段情けなくても決める時はしっかり決めてくれる。
ここぞという時は勇気を振り絞り、自らの手を汚して新一を守った。
宇田さんは精神的に弱いのではなく、優しいんだ。
新一が困った時、孤独な時、危険を冒して力になってくれた。新一一人だと切り抜けられなかったでしょうけれど、支えになりました。

戦いが終わっての父との会話も沁みる。
あんなところで眠りに落ちたのは激闘の反動でしょうか? 寝顔が安らかです。
旅の終わりに相応しい場面でした。
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