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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

time of a soul

time of a soul

りの様制作『time of a soul』の感想です。

山奥に一人住んでいた薬師のレナは記憶喪失の少年と出会い、リュートと名づける。
穏やかに過ごしていた二人はやがて世界の命運に関わる事件に巻き込まれることに……。
ド直球の王道RPG。

こんな方におススメ!
・明るく真っ直ぐお人好し系主人公&ヒロインによる王道RPGをガッツリ遊びたい
・仲間と連携するテクニカルなバトルを楽しみたい
・進行に必要な情報を持っていなくても町の人に話しかけたくなる

こんな方には合わない可能性があります。
・甘いこと言う主人公やヒロインは苦手
・戦闘中の行動はじっくり選びたい、ひたすら通常攻撃を連打して蹴散らしたい
・数時間でクリアできるくらいのボリュームが望ましい

特徴
・華やかでスピーディなバトル
戦闘はウェイトゲージが溜まったキャラから行動するシステム。
魔法を使用することでキャラクターに火や水といった属性がつき、それを利用すると強力な技を放つことができます。
オーバードライブゲージもあり、溜まると各キャラ専用技が使用できます。
・会話システム
ボタンを押すと仲間が話してくれます。
次の目的地ややることを説明してくれる時もあれば、今いる町やダンジョンの感想、さらに町の人に話しかけた直後は内容に反応します。
・豊富なボイス
戦闘中の掛け声だけでなく、メンバーの組み合わせによっては戦闘後の掛け合いが発生します。
ボス戦開始時はボスの方まで喋るので、ただのチンピラもインパクトがあります。
さらに一部のイベントシーンでもボイスつき。喋りを邪魔しないよう台詞を送ったため、感情移入しやすかった。

他にもキャラクターが絶好調状態になり能力が上がったり、魔導書・スキルスロットを装備して魔法やスキルを習得するシステムがあります。

一言でこのゲームを表現するなら……細かい!
とにかく細かい!
会話することで見られる仲間の反応の量が膨大。
ストーリー上の重要人物だけでなく、一般人と話した直後でも内容が変わる。
控えのメンバーと入れ替えて反応を見るのも苦になりません。
イベントでは様々な表情が用意され、感情を表現してくれます。困ったような笑顔が一番好きだ。
戦闘でも顔グラが細かく変わります。ミスした時や仲間が倒れて怒った時、さらに睡眠状態の表情まで。
掛け声も「やあっ!」とか「いっけぇぇ!」とか単純なものだけでなく、技の名前を叫んだり魔法を詠唱してくれる。
カットインとともに雄々しく叫ばれると盛り上がります。

ここがこうならなぁ……という部分もあります。
使用するスキルや対象を選ぶ時は時間が止まっていますが、行動選択時は時間が流れているので「通常攻撃しようかな……やっぱりスキル使おう」「アイテム使おうか、いや待機だ」とコマンドを変える間に敵に殴られます。
また、ウェイトの溜まり具合が分かりづらいので、オーバードライブゲージと逆の方が良かったかもしれません。

ちなみに私の場合、ボス戦では壁役兼アタッカーにリュート、回復と補助担当のレナ、ディアムが固定で、あと一人がほぼセリスでした。
回復役を減らして攻撃役を一人入れた方がよかったのでしょうけど、回復が少ないと心もとない。

ストーリーは良くも悪くも王道。ベタです。
「きっとこうなるだろうな」「コイツ実は○○だろ」と予想したら大体当たります。
プレイヤーがとっくに勘付いているのになかなか気づかないキャラクター達にもどかしくなることも。
お人好しなキャラが多いので、敵に対して容赦なくとどめを刺すような展開を求める方には合わないかもしれません。
ピュアなやりとりにいたたまれない気分になったらよくそんな恥ずかしいこと言えるな……的なツッコミがあったり、「友情! 信頼!」な空気全開になったら敵がクサすぎと言った時にはホッとした。

ここからはキャラクターについて。
ネタバレも含まれます。

リュート:王道主人公。
心配したくなるレベルで鈍感だったり世間知らずだったりしますが、記憶喪失ですのである程度は仕方ない。
幼く見えますが達観している様子もあり、精神年齢が掴めない。
敵対した相手の心情をバッサリ切り捨てない懐の深さに勇者らしいと感じた。ファルネウスをフォローした時とか。
レナ:王道ヒロイン。
見ていて心配になるお人好し。その度合いがかなりぶっ飛んでますが、作中でも「アホ」「バカみたいなお人好し」と言われ、度が過ぎていると認識されているので、あまり引っかかりませんでした。
立場を考えると危険と言えるレベルで人のいいディアムや、常識外れのメルがいるためか、気になりません。
あとは暗くて重い描写のあるゲームをプレイした反動で、キラキラしたやりとりを求めていたのかもしれない。
・リュートに好意を抱いているのに他人から指摘されると頑なに否定する
・付き合うどころか告白もしていないのに他の女の子と仲良くすると焼きもちを焼く
こういう要素が苦手な方には辛いかもしれません。
結構な頻度で発生するので「何回目だこのやりとり」とツッコみたくなった。
といっても、それなりに理由はあるんですよね。
・リュートはレナが天涯孤独になったところに現れ、家族同然に過ごしてきた相手
・リュートは記憶喪失=いつ記憶を取り戻して関係がどう変化するか分からない
これらの背景があって、好意を意識したり伝えたりが難しいのでしょう。家族愛に近いのか、友情か、恋愛感情なのか分かりづらい状況です。
それに、照れ隠しにむやみやたらと暴力を振るうなどの理不尽な域には達していません。
恋愛絡みでつつかれなければリュートを気遣います。
旅を止めた方が良いと警告されたのについて来ようとした時は「危ない目に遭ったらどうするんだ、放っておけないのは分かるけど帰った方がいいだろ」と思いましたが、リュートの心配以外にも理由があったので納得できました。

引っかかる点を挙げつつも好きなキャラです。
薬師という設定に相応しく、治療に関する手際の良さが描かれているので好印象。
守られるだけでなくたくましさもあります
リュートが危ない時に背負って走るシーンもですが、一番は毒で死にかけて意識を取り戻したら自分で自分を治療してリュートを助けるために参戦した場面ですね。
戦闘時も回復魔法ではなく薬草を使用するなど、設定が活かされています。

セリス:軽そうに見えるが常識人。
プレイヤーの心境を代弁することが多かった。
他人を振り回すタイプかと思いきや、真っ直ぐなリュート、レナに振り回される側だった。
レナが嵌められた時に怒ったり、リュートに武器を譲ってくれたり、こちら(主人公達・プレイヤー)に配慮してくれる。
いい奴。
リュートやレナが危なっかしいので、上手く立ち回って物事を進めてくれる彼の存在がありがたい。
戦闘では確実に属性付加できるのが便利。
メル:登場時の「セリスのにおい」で「犬か何かか?」となり、その後もアポなしで王子に会おうとして当然衛兵から止められて理解できない様子だったり、定期船の運航停止を告げた兵士に文句言ったり、「えぇ……」となった。
世間知らずに理由はあります。が、他の世間知らずなキャラは普通に職務こなしてるだけの相手に文句言うほどじゃないから、彼女がワガママに見えてしまう。
私の戦い方が下手なせいでボス戦ですぐやられるので出さなくなった。
その結果使い方が分からず、セリスと組んで戦うところでは何回か負けました。

ディアム:ヘタレ王子。
優しいというか超のつくお人好しなのは一個人として見れば美点ですが、王族、それも危機が迫っている状況だとまずいのでは……。
本人も人の上に立つ器じゃないと自覚しているだけマシか。
ケティルが浚われた時の姿を見て、のほほんとしてるだけのキャラじゃないことは感じてましたが、クリア後のコメントにはさすがに驚いた。
弱そうな物腰に反して強かだ。
序盤では自分を逃がそうとする部下を見捨てられなかった彼が、終盤心を鬼にして仲間を置いていくシーンは成長を感じられてよかった。
心構えが追いついていなかっただけで能力はあるので、今回の事件をきっかけに少しずつ王族として責任や重圧を背負うようになればいいなあ。
ケティル:最初口調に戸惑ったものの、外見が好みで性格もシンプルで好きです。
旅慣れていて知識や経験があるわりに解決法が脳筋気味なような……。
そちらの方が早く解決するから問題ないか。
太ももが気になる。きっと極めて魅力的なんだろうな。
ラーディ:まさかの半袖。
黒髪半袖二刀流変身と外見的な属性盛りだくさん。境遇はもっとてんこ盛り。
会話ではあまりノッてくれない。
セリスが呆れつつツッコむタイプなら、ラーディは淡々と切り捨てるタイプ。
クールに見えてそうでもない。

細かいといえば、惚れ薬を仲間に使用した時の反応について一言。
本格的なイベントが起こるわけではありませんが、こういうお遊び要素は楽しい。
レナ:普段からこんなに素直なら話が早いのに。笑顔が眩しい。
メル:微笑ましい。
セリス:すぐに変な物飲ませたと気づくあたり、悪戯を仕掛けても上手く対応してくれる安心感がある。
ディアム:ギャグ枠。自分の立場を考えてください。
ケティル:ケティルさん大胆!
ラーディ:ガチだ……。

ここからはサブキャラについて。
グレダ:改心すると予想していても刺々しい態度に腹が立ち、「改心したって許してやらないからな!」という気分に。でも心を入れ替えた姿を見ると助かって良かったと思いました。我ながら単純です。
ウィルファード:一時とはいえ加入したのは嬉しかった。
思いっきり脳筋だけどいい奴。
ヒョウガ:過去の、考えを変えていく過程を見たかった。
レシャク:頭かてえ! 人の話きかねえ!
後で軟化することは予想しつつも頑固さに辟易した。
実力者という評判に違わず強かった。キメラに追い詰められていた時はよほど消耗してたんだな。
ゴイット:神出鬼没の商人。ボス戦前の危険な場所にいるのは大人の事情だと思っていました。
リアラと○○○:色々気の毒。彼女も○○○も八つ当たりされたのに、自分達が巻き込んだと己を責めるのが見ていて痛々しい。
そこで「うるせー! 文句は冥王とジジイに言え!」と言い返せる性格なら自分を犠牲にして世界を救おうなんて思わないよな。
弱さや脆さまでも優等生的といいますか、「聖人か!」と叫びたくなるので、もう少し暗い一面を見せてくれると距離が近く感じられたかも。

ここからは敵陣営の感想です。
カルゥ&クルゥ:初めのうちは「せっかく苦労してボスを倒したのに。余計なことすんな」「毎回タイミングよすぎ、こっそり見てるのか」と怒りを燃やしましたが、だんだん慣れてきて登場すると「あ、お疲れ様でーす」と挨拶したくなった。
出待ちシスターズと勝手に認定。
退場した後に美味しいところを持っていった気がする。
グラーフ:ナイス外道クソジジイ。
最後のあがきがなければ『プレイヤーの怒りを集めた後惨めにやられる改心しない悪役』として私の中で高得点を叩き出したかもしれない。
道具と見なしていた相手に踏みにじられる構図が好きだったので、そこで退場しなかったのがちょっと残念。
ラスボスに対しての、今更主人公側につこうとするのは虫が良すぎるという指摘には尤もだと思いました。
一戦目も二戦目もとどめを刺したのはディアムのコーナーアタックでした。本の角で殴られて息絶えるがいい!
ラージェ&べリアル&ファルネウス:本格的に登場したのは終盤で「どんなキャラか分からないまま倒すことにならないか?」と思っていましたが、ファルネウスは掘り下げられました。
ラージェとべリアルはもう少し内面を詳しく知りたかった。べリアルさん無口すぎ。
三人の中でファルネウスが目立ってます。
「冷酷な敵幹部が優しさに目覚めていない状態で助けた少女から感謝される」という展開が好きなので「こいつ、おいしいシチュエーションを……!」と思いました。
詳しくは後ほど。

仮面の男:「顔を隠したキャラが主人公の前に初めて現れた時は、意味深な一言を残して去る」という思い込みがあったため、いきなり台詞の分量が多かったのは予想外。
仮面外したらイケメンが出てくる予感がプンプンした。
ラスボス:世界を滅ぼそうとする動機が飛躍していると思いました。
「悲しみを生み出す世界など滅んでしまえ」という主張は他の作品でも見ますが、思考の過程がすっ飛んでませんか。
セリスに八つ当たりと評された時、思わず頷いた。
世界の構造上似たような悲劇が散々発生してこれからも繰り返されるというなら、彼の主張に心を揺さぶられて戦いも盛り上がっただろうな。
「悲劇を経験した」→「こんな世界滅ぼしてやる!」の間にもう少し……。
幼い頃に人生狂わされグラーフの手に落ちた&中の冥王の影響の合わせ技で思考がおかしくなっているということでいいのかな。
リュート達が許し、セリスも復讐を選ばなかったものの、それで収まるのか疑問もあります。

一番好きなキャラはファルネウスですね。
彼とは楽しく戦えました。
本気で戦う前にわざわざ回復してくれる戦闘大好きキャラの鑑。
仲間達が「ここは俺達に任せて先に行け!」をやった相手であり、復活した主人公の初戦を飾った人物。まともな登場は遅くても因縁ができたので再戦に燃えた。
表示される名前が『ファルネウス』から『冥王の騎士ファルネウス』に変化したのが熱い。
「そんなもんじゃないだろ!?」と叫びながら攻撃をぶちこんでくるので「まだまだぁ!」とノリノリで殴り返せた。
クリア後のダンジョンで○○○とタッグ組んで攻撃してきた時は興奮しました。

気持ちよく戦えて退場はちょっとしんみりさせる、求めるものと心境の変化に納得できる悪役でした。
少女を餌扱いして生き延びようとした仲間を始末した理由が「騎士道精神の持ち主で~」「実は優しい心があって~」ではないことに「おっ?」と思い、注目することに。
せっかく「終わり」が来ているのに、生き延びようとしたのが許せない。
理不尽。でもそこが気に入った。
「こういう境遇です」→「だから○○に興味があり、求めています」という流れに納得。
ただ、その中で引っかかったのは、魔物を仕留めただけでなく少女をわざわざ回復したことですね。
滅びを受け入れろと言うなら、弱っている少女が何か言おうとしていても構わずとどめを刺しそうなものです。
同じ体質の仲間がやるから腹が立ったが、少女に対してはそうでもないのかな。
百歩譲ってという言い方からするに、リュート達にちょっかい出した時点でかなりイラッときたようでしたし。
イラついてる状態で「全力の戦いの果ての滅び」という最も望んでいるものを台無しにしたから始末したのか。
それから、終わりを重視するからこそ、それを迎えようとしている少女が何を言うか確認したかったのかもしれない。
確認した後リュート達が来なければどうするつもりだったんだろう。
とにかく、少女を助けられなかったら後味悪いので回復してくれてよかった。

リュート達との全力の戦いを経て、ファルネウスは望んでいた「終わり」を迎えるが……?
彼は、守護騎士でありながら守ろうとしていなかったことに気づく。
そのままならば、戦いには満足しつつも、何も守らなかった虚しさを感じながら消えていったかもしれません。
しかしそこでリュートのフォローが光る。
この作品に限らず、激闘を繰り広げた敵にも歩み寄る主人公について、甘いと言うくせに好きになることも多いんですよね。勇者だなあと感じられるので。
助けるつもりはなかったとはいえ、結果的に守ったものがある。
リュートは少女から託された宝物を渡し、感謝の言葉を伝える。
ファルネウスはやはり生への執着が理解できないと言いながらも、唯一守ったものを再び見たいと願い消滅。
死を求めていたキャラに、最後の最後で生きたいという想いややりたいことが芽生えるのはお約束。
本人の満足感と惜しむ気持ちがバランスよく感じられました。
完璧に満足して退場されると「好き放題やって……」とモヤモヤしたかもしれず、絶望しながら死なれると「気持ちよく殴り合える敵だったからスッキリ終わってほしかった」と引っかかったかもしれない。
悪役に対して「生き延びて○○してほしい」と思うことは多々あれど、実際にされるとそれはそれで引っかかるでしょう。
 距離が近づきすぎなかったからこその余韻でしょうから、あのタイミングが相応しい。
それは分かっていますが、守ることに目覚めて戦う姿を見たかった。
せっかく戦闘グラフィックでは立派な盾を構えてるんですから。

好きなBGMは○○○戦と、復活のシーンで流れる曲。
そして、一番好きなのは、冥王の騎士ファルネウス戦のものです。
タイトルを調べたところ『約束の戦い』だったので驚きました。
約束という単語は作品全体で登場し、ファルネウスの最期にも関係しています。
助けられた少女はリュートに自分の宝物を託してファルネウスに渡してほしいと頼み、リュートはその約束を守りましたから。
ファルネウス戦はBGMだけでなく戦闘グラフィックもカッコいいんですよね。
ずるいなあ。合体後のグラもカッコよかったし、サブイベントを逃したプレイヤーのために再戦できるし。
……再戦したら惚れ薬落とすのは何故なんだ。
 せっかくだから惚れ薬を敵陣営にも飲ませてみたかった。カルゥとクルゥとか冥王の騎士達とか。グラーフはろくでもないことを企みそうなので結構です。
カルゥはジークへの想いとの狭間で揺れてほしい。
クルゥはノリノリで「一緒にあそぼー! キャハハッ!」と笑いそう。
ラージェは「見ていると退屈しませんわぁ」と言ってくれると嬉しい。
べリアルは無口だからストレートに「……好きだ」か無言で終わるだろうな。
ファルネウスは読めない。決戦前だと危ない方向に行きそうですが、心境が変化した後なら前向きなことを言うかもしれません。
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