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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

月夜に響くノクターンRebirth 感想

月夜に響くノクターンRebirth 感想

こんな方におススメ
・目や右腕が疼き出す
・王道の安心感を味わいたい
・魔王と呼ばれる条件を知りたい

ゲームを始めたばかりの頃、普段「何でも中二中二と呼ぶのは抵抗がある」と考えているはずなのに、思わず「中二っぽい」と呟いてしまいました。
主に主人公の服装や言動で。
そういう要素に「やめろ俺の過去を想起させるなー!」「誰か記憶消す薬開発してくれ!」と拒否反応が出る方にはおすすめできません。
逆に心をくすぐられたい方にはうってつけです。
戦闘のカッコよさは中二という言葉で片づけるのはもったいない。
ストーリーはいたってシンプル。
強大な力を持つ冷酷な主人公が明るいヒロインと出会って変わっていく話です。
こうなるだろうな、と思ったらその通りになることもしょっちゅうですが、それもいいと思えます。
王道というのは心に馴染むからこそ使われてきたのですから。

・キャラクター
・レヴィエル
ポエムの魔王様。
しょっちゅうくだらないと感じたり虚しくなっていたり、流麗な言い回しや豊富な語彙を除けば思春期真っ最中の学生みたいだと思いました。
人間では考えられない長さを生きてきたのだから無理もないかもしれませんが、やっぱりノンストップ思春期な人に見えます。
後で、退屈だと感じていたのは周りではなく自分に問題があったからだと認めたところでジーンとしました。一皮むけた感があります。

途中まで、人間に対しても悪魔に対しても上から目線が半端ない。
レヴィエルが人間を見下しまくりなのは出生に関係しているかもしれません。食欲に近い衝動を抱く対象を尊重するのは難しいでしょうから。
問題は、自分に近い力を持つ同胞に対してもそうだということだ。
抵抗感を覚える場合「さっき雑魚の魔法でやられたくせに……」と呟きながら見ると微笑ましくなります。
貴様ごときでは相手にならん、出来が違う的なセリフをよく吐きますが、丸いウサギみたいな可愛いモンスターの光魔法であっさりやられた後だと強がりにしか見えない。
力を奪われ弱っているとはいえ、態度と強さが全く釣り合っていない。
スキルが揃ってくると雑魚相手に簡単に全滅させられることも少なくなり、設定に近い強さを感じられます。
完全に成長させた状態だとラスボスにほとんど何もさせずに撃破可能ですから、これが魔王様の真の力だと納得。

「人間など虫けら同然」と思っているキャラが考えを変えていく展開が大好きなので、にやにやしながら見ていました。
段々優しい感情に目覚めた彼は村を守るように。村人が怪我しないよう身を挺して傷を負い、必死に戦う。
一週間で考え方変化しすぎです。ダイ大もびっくりの速度。
長く生きてきた中でこのような経験はなかったのでしょうか。
ヒロインのように積極的に関わってくる人間は他に……そこまで考えて気づいた。
普通なら首絞められた時点で関わるのやめるわ。
ヒロインが超ポジティブだからこそ、レヴィエルのモロDVな対応や超上から目線についていけるんです。
散々人間を殺してきたくせに、という気もしますが、本人も感じてるし他のキャラもツッコんでいるのでいいか。
村人に正体がばれてすぐに歓迎ムードにならず、EDでも賛否両論で時間がかかるという落としどころですし。
そのうち受け入れてもらえるといいな。

・ルナ
レヴィエル以上に人を選ぶキャラ。
いい人認定する基準が緩すぎじゃないかと言いたくなる場面が多い。
偽善者とか甘ちゃんとか言われるタイプですので、いい子ちゃんには虫酸が走るという方には合わない可能性が高いです。
作中でも他のキャラから綺麗事だの何だの言われた挙句首を絞められます。
しばしば意味不明なことを言うのでレヴィエルが苛立つ気持ちも少しわかります。でも首を絞めるのはやりすぎ。
つい最近身近なところで犠牲者を出した本人に向かって「優しい人」「悲しそうな目」と呼べるのはかなりぶっ飛んでいる。
恩人でしかも美形とはいえ受け入れモードになるの早っ!
最近は人間に手を出していないならまだわかりますが、村に来たのは獲物を狩るのに都合がいいからで、来た直後にサクッと殺してます。
現在進行形で糧にする気満々です。
危険極まりない人物に己を差し出せるのが凄まじい。死んだら残された家族や村人は、皆を襲ってしまう可能性が高いのでは、とツッコミどころ満載です。
しかし、詩人な魔王様についていくには理屈をすっ飛ばす精神が必要だとも思う。
彼女くらいの強引さが無いと、何千年も生きてきて考えが変わらなかった男に影響を与えるなんて難しいのでしょう。
良くも悪くもおせっかいな彼女はよく首を突っ込んできます。
寿命も身体能力も生きてきた年月も価値観も違う相手、しかも人間を糧とする存在と仲良しになんて無茶なこと考えるなぁ、そのうちレヴィエルを庇って○○になっても○○が残るのでは、などと考えていたら的中しました。
しかし、途中でワンクッションあったのでそういう結末になってほしいと願い、実現してホッとしました。リスティルがきっかけなのもよかった。
やっぱりルナはちょっとうざいところもあるけど明るい女の子でいてほしい。
・自分の身を危険に晒してでも最後まで貫いた
・身をもって違いや恐ろしさを味わったが、考えを変えずにいる
これなら偽善者とは呼びたくない。

・カオス
このゲームで一番好きなキャラ。
時々「そんな角度だと首痛くなりませんか?」と尋ねたくなった。
名前のわりにレヴィエルみたいな言動全開というわけでもなく、大人しい人だと思っていました。
ポエムのレヴィエル! 首を絞められてもポジティブルナ! 妖艶なるリスティル! ふともものイディス!
対するカオスは穏やか眼鏡。
インパクトに欠けるのではないかと冷や冷やしました。
あまり使わない錬金専門のキャラで終わったらもったいないと思っていたら、重要なポジションになってくれました。
しかし一枚絵では描かれていません。非常に残念です。

始祖三人の中で一番甘い。
人間に危害を加えず衝動を抑えてひっそりと暮らし、人間に力を貸したのに、人ではないというだけで裏切られたという、私好みの過去の持ち主。
人間を信じ、人間のために戦い、最後は人間に大切な相手を殺されたにも関わらず恨まなかった人。相手の願いだったからですが、実行するのは難しいはず。
こういう話だと関係ない人間までまとめて滅ぼしそうだと思ったので、安易に人間全体を憎み復讐に走らなかったところに好感が持てる。
カオスも若干言動が不安定になることはありますが、そこまで目立たない。
決戦前の偉そうな言動もレヴィエルで慣れてしまったから気にならない。戦う前に「正直きついですけど何とか頑張ります」なんて弱気な態度見せられても困ります。強敵は「貴方達が勝てるとでも? まとめて滅ぼして差し上げましょう」とどっしり構えてほしいです。
書いてふと思った。主人公の言動そのままですね。
レベルアップしていくRPGの主人公=初期は弱いキャラがそう言うから違和感が出るのであって、終盤で戦う敵が言う分には問題ないのか。
最終的にやろうとしたことは大がかりですが阻止されて失敗ですし、村を危機に晒したけれども犠牲は出ておらず、結果を見れば一番害が少ないのは彼ということになるかもしれない。

動機がどうにでもなれという自棄からではなく、もう一度会いに行こうと前向きなのが好ましい。
目的のためにあらゆる手段を講じる姿勢が好ましい。
友を敵に回すことも辞さない覚悟を抱いているのが好ましい。
それほどまでに決心を固めていたはずなのにどこかで止めてほしいという思いがあったのも好ましい。
恋人との再会を願う想いやどこかで止めてほしかったなど、ネウロのHALを連想します。

強くて格好いいキャラと戦うのは燃えますから、カオス戦は楽しかったです。
親友との全力決戦はいつでも盛り上がるシチュエーション。
当初、かつての自分と同じように、ただ世界をつまらないと思っているから壊そうとしているとレヴィエルは推測していましたがそういうわけじゃない。
戦闘前の口上はカオス戦が一番好きです。
主人公と一度死力を尽くして戦ってみたかったと語る。今までレヴィエルと本気で戦ったことは無かったんですね。
「力を、魔力を。この身に宿る力全てを限界まで酷使し。魂を震わせ、燃え上がるような極限の闘争を……」
意外とバトルマニアみたいな台詞を吐く。レヴィエルと同じく、戦うために生まれた存在だと感じさせます。
以下の台詞からBGMが流れ出す。入り方が上手い。
「我は、混沌の名を持つ魔導師」
「我が力、我が魔道全てを以って! この……虚ろな世界に終止符を。私の手で。……全てを、終わらせてみせるッ!」
この台詞だけで全滅しても満足した。
虚ろな世界というのはレヴィエルも散々言ってきましたが、カオスは大切な存在を喪った結果そう感じるようになってしまったので意味合いが違う。
各種魔法がカッコいい。
歯車と魔法陣の背景もカッコいい。
BGMも燃える。
ラプラスの悪魔などの反則能力にも痺れる。
彼との戦いでは味方がバタバタ倒れては復活させるの繰り返しでした。
さすが混沌の名を持つ魔導師、伊達じゃない。
様々な属性の魔法に加え即死技まで使い、物理も痛い。耐性を優先しなければならず長期戦に。
油断していたらメテオスォームで全滅しかける。
のりきってもカラミティでズタズタに。
一発くらっただけでパーティーが全滅寸前になり、焦った。
温存していた大技を次々に叩きこんで押し切りました。危なかった……。
自分と同等、あるいは上の相手二名と対等以上に渡り合えるカオスに無限の可能性を感じた。
人と関わり、たった一つの方法を求めて己より知識が劣るはずの人間の魔導書を読み、研究を続けてきた者の力をとくと味わいました。

その後が舞台の作品では生存しています。
リメイク前の話の続きなのでRebirthは設定も変わっているかもしれませんが、カオスが生きているならちょっとでも幸せになればなあ。
本人は「全ての物語がハッピーエンドになるとは限らない」と言い、おそらくこの先満たされることは無い。
主人公と対になる結末を示す役割があるのでしょうから幸せだと感じる可能性は限りなく低いですが、それではあまりにも……。
最後の笑顔が心に刺さりますから。

・リスティル
苦戦したボストップ3に入る。
レヴィエルの渇きを癒したい
→相手にされなかった
→あれこれ頑張って認められようとする
こう書くと可愛い。

・シルフィール
恐ろしい魔剣を使ってもわりと平気そうなのが気になりましたが、徐々に削られていくから一回や二回なら何とかなるか。
一回目は咳き込んでかなり消耗しているようでしたが、カオスと去った後に回復してもらったのでしょう。
二回目はカオスが主を変更したことと、きっとシルフィールにできるだけ魔力を遺していったと妄想。
魔剣を除けばツッコミどころの少ないいい人。
カオスと同じく、大切な存在のためなら誰が相手でも戦う精神の持ち主。
彼女の冷たい笑みとカオスの冷ややかな笑みは似ている。
使い魔は主人に似るものだと感じさせる。

・イディス
一生懸命なので応援したくなる。
レヴィエルと背中合わせのイラストでは太ももが気になって仕方なかった。
噛ませで終わるかと思ったこともありましたが、さりげなくおいしいところを持って行った。

・ジャクソン・ボーア様
やられるためだけに出てきた噛ませ犬。
顔グラも名前もあるのに扱いが悲惨。
こういうキャラもたまにはいいよね。

サブキャラクターではマドックさんとロッシさんが好きです。
小さな村のじいさんとおっさんが凄腕の戦士でした、というのが大好物です。
たまらん。

・グラフィック
一枚絵は美麗。
ドットは細かいところまで動くので、見ていて楽しいです。
フリーゲームとは思えない作り込みです。
カオスの屋敷での紅茶を飲む細かい動きが特に好きです。

・戦闘
華麗なグラフィック。
見栄えのいい派手なスキル。
レベルを上げてごり押しもいいけれど推奨レベル以下で倒そうとすると苦戦する難易度。
と面白くなる要素盛りだくさんです。
普段RPGは回復しながら殴りまくるごり押しでいくのですが、レベル以下で倒そうとするとアイテムや防御、陣形、装備を整えて戦闘中も変えていく勢いでやらないと厳しいです。
カオスやリスティルはぎりぎりでした。
中ボスで予想外に苦戦し、超えてしまったことも……。
マクスウェル×3とか。
あれ即死効くの!?
ボス戦で即死技は無意味という思い込みが仇となった。

キャラクターがグリグリ動き、テンポもスムーズ。雑魚戦が苦になりません。
お気に入りは闇蛍、十六夜散華、白夜流転、射手座ですね。
他の技、魔法も見ごたえがあります。
強力な技はゲージが溜まるまで時間がかかりますがその分カッコいい。
経験値を全て割り振った後にラスボスに挑んだら見事フルボッコにできました。
きっと力を失う前はこれくらい強かったんだ。
 
・その他
・隠しボスのエターナルフォースブリザードで瞬殺されました。
笑いました。
この技名といい、当てられた漢字といい、ゲーム全体に漂う雰囲気を作者さんはわかっていてやっているんだと思いました。
・戦闘から離脱するのに「こちらが逃走」するのではなく「敵が逃走する」というのが面白い。
魔王で格上という設定が活かされています。
・ゲーム中だと強さはカオス>リスティル>レヴィエルに思える。
カオスがあれほどまでに強いのは自分の領域に引きずり込んで有利な状況を作っているからというのはわかる。
それを考慮するとカオス≧リスティルくらいの印象。
カオスは各種魔法が強力で時空を操る能力を得るに至った。
リスティルはその能力にとって致命的な、無から有を生み出す力を持つ。
レヴィエルさんは?
た、単純な殴り合いなら一番強いんだよ!
力押しが効く相手、雑魚を蹴散らすのは三人の中で一番早そうです。
搦め手を使われると脆いけどな!
自分より弱い相手にしか勝てないという言葉は合っているかもしれない。
力押しで戦ってきたから弱体化すると思うように戦えないのでしょう。
カオスやリスティルは策を巡らせるタイプなので弱体化しても工夫で補いそうです。
力の大きさそのものならレヴィエル、特殊能力や扱いの上手さでは他の二人が強いイメージがあります。
・カオスのその後が気になります。
オリジナルのシルフィールの事を考えると幸せに……というのは難しいですが、少しでも満たされてほしいです。
生きがいを見つけたレヴィエル、レヴィエルとの確執ですでに発見しているとも言えるリスティルはいいとして、見つけたのに奪われたカオスは辛いだろう。
レヴィエルと同じ道を歩んでいたはずなのに、レヴィエルと違って届かなかった。
最後の笑顔が悲しすぎる。

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