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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

からくりサーカス感想 4

からくりサーカス感想 4



涼子と法安が登場しました。
涼子とアルレッキーノ、法安とパンタローネの会話はもっと見たかったなあ。
アニメでも登場してほしかった……!

『一瞬のからくりサーカス』では飛行機の乗客を人質に取られ、人形達の提案したゲームに乗ることに。
鳴海に攻撃が当たるたびに子供の指を折る。
そう宣言した人形たちに対し、ギイが朗らかに大笑い。
冷酷なセリフに、初めて読んだ時は「この外道が……」と思いました。
今思うと鳴海に引きずられていました。明らかに演技なのに。
ギイは代わりに自分の指を折るように提案。
少年に心配をかけまいと、傷を負いながらも笑ってみせた鳴海はギイの真意に気づく。
原作だと付き合い長い鳴海がなかなか気づかなかったのは違和感あります。

旅客機を落とそうとする敵に立ち向かうギイの笑みは不敵なもの。
美しい顔がゴリイイと切り裂かれるのがえぐい。
それでも飛行機を守りきり、爆発に巻き込まれ、行方不明に。

ルシールも負けてはいない。
恐怖の眼差しに「あまり淑女をじろじろ見るでないよ。人間達」、自動人形に「年寄りには優しくと習わなかったのかい」と言うあたり威厳がある。
余裕たっぷりの振る舞いと、戦闘機の操縦経験を生かして旅客機を飛ばすむちゃくちゃさが同居しているのが彼女の魅力。
「あなたも戻って席につきな。今から私の一番得意な飛行技術を見せるからさ」
「……は?」
「不時着さ」
ピンチの時もふてぶてしく笑い、ユーモアを欠かさぬたくましさ。カッコいい淑女だ。

不時着した場所はサーカスのテントの近くでした。
勝のいる仲町サーカスの。
えらく都合がいいですが追及するのは野暮ですね。
勝たちは事故に遭った人々を助けるためにテントから飛び出し、自動人形に血を吸われそうになっている兄妹を発見。
盾となり、血を吸われるしろがね。
必死で止めようとする勝。
助けにきたのは――鳴海!
もどかしいことにあと一歩のところで再会できませんでしたが、鳴海は“見知らぬ”二人とまた会ってみたいと感じました。

続いては中国編。
ミンシアが登場し、鳴海のせいで父が病気になったのだと叫んでいきなり襲いかかってきます。
何かなあ……。
一人前の武闘家という自負があるなら、敵意の無い相手に殴りかかる真似はやめてください。
ルシールの凄みにビビるところは可愛げがあります。ぷんすか怒るルシールも新鮮で可愛い。

梁師父は間違いなく作中最強クラスの男です。
もし彼が病におかされていなければ。
もっと若ければ。
自動人形との戦いに加わっていれば。
そう考えたくなる強さの持ち主です。
実現していれば間違いなくバランス崩壊していました。強い師匠は弟子の立場を奪いかねない危険性があります。
戦闘だけでなく精神面でも頼もしい。
常軌を逸する鳴海の境遇を聞いても穏やかに受け入れる懐の広さがあります。
鳴海の回想でたびたび登場し、人となりが描写されているため重みを感じるのかもしれません。

とうとう自動人形の造物主=白金と、その兄白銀の過去が明かされる。
フランシーヌの笑顔は眩しい。
この頃は金もさわやか好青年でした。銀は鳴海にそっくりの好漢です。
兄弟が仲良く人形芝居を行い、フランシーヌが笑っているのを見ると胸が締め付けられる。
銀のフランシーヌに対する想いが高じると、金のゆがみが表に出てくるように。
「フランシーヌは僕が最初に好きになったんじゃないか……それを横からとるなんてダメだよ……兄さん」
おい。
物のような言い方するな。
好きになった順番は関係ないだろ。
いつ好きになろうが彼女の気持ちが向いていなければ無意味です。
二人に対して同じように優しかった彼女が銀を好きになったのは、烙印を知っても変わらず接してくれた、子供達をよそにやろうとは考えず学問を捨ててまで養おうとした、などの理由があるでしょう。
金は誰かのために行動するフランシーヌを理解していなかったというか、あまり影響を受けませんでした。銀は他者を思わない学問に疑問を抱いたのに。
そこが最大の違いだと思います。
金が彼女の境遇を知る機会があり、そこで背負う覚悟を決められればチャンスはあったかもしれないが、金にはそこまでできないと思う。

「世界中から病気がなくなりますように」
と祈るフランシーヌの言葉が未来に向けられているように感じられる。
銀のプロポーズは、そんなつもりはなかったにせよ「フランシーヌに興味がない振りして弟を油断させて抜け駆けした」ように見えてしまうので、まずかったと思います。
本人は騙す気は全くなかったけど、そう捉えられてもおかしくない。
銀は一度深呼吸すべきだったと思います
自分も好きになったと告げて、彼女が決めることだと言っていれば……。
弟と一緒に打ち込んできたはずの錬金術をも捨てると断言したのはさすがにひどい。
だから金も「兄さんはひどい」から「僕は被害者なんだ」と自己正当化してしまった。
といっても金に同情するのは教会までですが。
恋人になるどころか相手に告白すらしていないのに「横から取るな」と要求するのは無茶です。

事態は急転直下、天国から地獄へ。
金がフランシーヌをさらい、逃亡。
再会した銀が見たのは壊れた弟の笑顔だった。
「あれえ、どうしたんだい? 兄さん」
「あははは! 兄さんが驚いてる」
高笑いを上げる金がいい表情しすぎ。

フランシーヌは病気になり、村人から牢に閉じ込められ、足を鎖で縛られていた。
ひどい扱いですが、病気の知識も治療の技術もない村人達にはこれが精いっぱいだったんでしょうね。自分達の生活を守りたくての行動だと思うと責められない。
病気になったから近づいてはいけないと語るフランシーヌに
「そんなこと関係あるか! 妻を抱きしめて死ぬのなら死んでやる! 来い! フランシーヌ!!」
と叫ぶ銀が男前。
彼女の病気を治し、一緒に暮らすために柔らかい石の生成を決意。
完成し、歓喜とともに走る彼が見たのは、火をかけられた小屋だった。
彼女は自分で小屋に火をつけた。
彼女の信じる神は自殺を最大の罪とする。敬虔な信徒でありながら、銀への想いを証明するために罪を犯そうとしている。
そして、この台詞がくる。
「ありがとう、出会ってくれて。ありがとう、ことばをくれて。ありがとう、たくさん笑わせてくれて」
「そして……ありがとう、愛してくれて」
「いつかまた……私と出会ってね」
炎に包まれ身体に火がついても、美しい微笑を浮かべながら語る。
一連の台詞に鳥肌が立ちました。
灼熱の炉に飛び込む直前のジエメイといい、何でこんな笑みを浮かべられるんだ。

フランシーヌが死んだあと、金は復讐を行う。
火をかけたのは彼女自身でしたが金は知りませんでした。
「おまえ達の断末魔の叫びを束ねて、フランシーヌに贈る花束にするんだよォ。オオァァハハハハ!」
悪魔め。
安易に「死んだ〇〇は復讐なんて望んでいない!」などと言う気はありませんが、今回は言わずにはいられない。彼女は本気で望んでませんから。
後にクローグ村を訪れた銀が金の行いを知った。
自動人形を壊そうとしても、彼はもう老いていて戦えない。
だからクローグ村の生き残りの復讐の念を利用する。己が生命の水に溶けることで、様々な知識と人形への憎悪を飲んだ者に吹き込む。
力とともに呪われた運命を押しつける様に『うしおととら』の獣の槍を連想します。
地獄に行くことは間違いない所業だと自覚しながら、銀は最後にフランシーヌへの愛を告げて井戸に伸びこむ。

自動人形は武器を持たぬ者の前では人間並みの速度でしか動けません。
しかし、制約が消えたら凄まじい速度でルシール達を瞬殺。
絶体絶命かと思いきや、師父が強かった。
「しゃべる木切れがボロ切れを着て何かぬかしてるな」
とパンタローネ相手に挑発し、手玉に取る。
生命の水を飲んだ人形相手にも後れをとるどころか簡単に撃破。
強い。
強すぎる!
サハラでの戦いに参加していればと妄想せずにはいられません。
生命の水を飲めばゾナハ病は治りますが、彼は拒否。
他人の意思に支配された偽りの人生を生きる気はない。
一口飲めば病の苦しみは消えるのに、最高の薬が大量に目の前にあるのに、口をつけず泉を守ってきた精神力は超人的です。
パンタローネが襲いかかってきますが、爆薬を用いて生命の水の泉ごと死ぬことを選ぶ。
「思い残すことはない。私は“本物”の人生を生きた」
最期にフランシーヌが告げた言葉は彼と同じだったのではないかと言及されています。

勝から避けられショックを受けるしろがねが面白可愛い。美人なのに表情がしっかり崩れるのが好印象。
勝がしろがねに冷たくしたのは、自分にあれこれ世話を焼いてくれるしろがねをギイにとられたから……ではなく、大好きな鳴海のことを大好きなしろがねが忘れるのが辛かったから。
「不満……? そんなのあるわけないじゃないかァ~」から「そんなにキレイでそんなにやさしいのにさァ」までの勝の表情で金を連想してしまいました。
さらに、あるるかんが握っている腕がオリンピアのものだと判明。
謎が解けたと思いきや新たな謎が出てくる。

一方、鳴海達は真夜中のサーカスのテントを発見。
血のたぎるからくり最終幕が始まります。
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