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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

からくりサーカス感想 5

からくりサーカス感想 5



残存する「しろがね」の主戦力が砂漠に降臨。
復讐の完結と全人類の存亡を賭け、総力をもって真夜中のサーカスを地上から消滅させるために。
否が応でも緊張と興奮が高まります。
この時点ではミンシアは残った方がいいんじゃないかと思ってました。後にトーアへの台詞で納得しましたが。

フェイスレス総司令が登場。
コオオオオという効果音とサングラスをかけたいぶし銀の風貌、カッコいいと思った瞬間に「うちゅーぢんだよ~。ぴきゃぺきょり~ん」。
全米がしらけた。
ノリが悪いとかぼやいていますが、空気を読んでください。
「我らはしろがね-O!」から「自動人形の終わりを告げるO!」は素直に興奮しました。
真面目にしてるとカッコいいんですよ。

ジョージも戦いに参加しようとしますが、総轄リーダーのナイアから戦力外通告され、フェイスレス司令からはパウルマンごときに無様に負けたと罵られ、「使いっぱでもやってなよ」と宣告。
ジョージ……。
阿紫花も再登場し、ダール、ティンババティ、ロッケンフィールド、ドミートリィ、トーア、ファティマらが集結。
総力を結集して挑む戦いは燃える。
自動人形にゲームを持ちかけたナイアですが、テントに入って数分もしないうちに生首になって返されます。あらら……。
わざとらしく嘆くフェイスレスがもう胡散臭くて胡散臭くて。

ドットーレが登場し、「息子は元気かね?」とルシールを挑発。
目の前で惨殺しておいてよく言えるな!
ルシールは……動じない。
二人のやりとりにはゾクゾクします。
最古の四人にかしずかれ、豪奢な椅子に腰かけているフランシーヌ人形の姿も神々しい。
ドットーレの「己(オレ)」という一人称がツボ。
アルレッキーノは「僕」と言うけど普段は「私」。どっちなんだ。「君」と言ったり「おまえ」と言ったり、口調がブレる。
メリーゴーラウンド・オルセンのデザインに度肝を抜かれた。やる気のなさそうな顔も素敵。
ミンシアが鳴海を自分より弱いというのにひっかかりました。
試合ではミンシアが強いとしても、殺し合いの戦闘となれば鳴海の方が強いに決まってます。

他人の死に無関心のしろがね-Oを見て、鳴海はバケモンだと評する。
「ふざけるんじゃねえ、てめえらの戦いは死を恐れていないんじゃねえ。生きることを手放してるだけだろうが」
「気に入らねえよ……どいつもこいつも命を紙っぺらみたいに弄んでよ」
敵だけでなく味方にまで憤るのが鳴海の熱いところだなあ。そんなところに「しろがね」達も感化されるんだ。
オルセンのメリーゴーラウンドをめちゃくちゃに破壊し、
「この道は――おまえに続いている」

には痺れた。

コロンビーヌがセクシーです。人間の恋愛小説を読んで恋愛に興味津々。
「接吻ってどんなものなのかしらァ。抱き合うのって、どのぐらいの圧力をかけるのかしらねェ」
圧力という発想が出る時点でズレてる。
自動人形との接吻も試してみたのですが、唇がひび割れるだけとのこと。
こわっ。実験台になるのは遠慮したい。
鳴海モテるなあ。ファティマもポッとなってますし。

実の娘を、人形をおびき寄せるエサにしたルシール。
「私はしろがねさ……親じゃない」
「実の娘には、何もしてやれなかったものでね」
人間としての生を捨てて戦い続けてきたゆえの重みがあります。
藤田先生は簡単に復讐を否定することはせず、かといって全面的に肯定するのでもない描き方をしています。
怒りや憎しみに囚われることの虚しさも描いている。
ゾナハ病よけにルシールの血を飲まされ、「おぞましい」と叫ぶミンシアに引っかかったところ、ファティマが思ったことを代弁してくれました。

ティンババティとの腕相撲は好きなエピソードです。
自分が強いと言いながら死んでいったしろがね-Oや、自分が戦うことしか考えてない「しろがね」に納得できない。
しろがね-Oが死ぬ前に笑っていたことが許せない。
「笑顔はゾナハ病の特効薬だ! ゾナハ病だったしろがねが、その薬にツバを吐きやがったんだ!」
この作品のテーマ、「笑顔」にダイレクトに響く台詞。

「しろがね」の非人間性にげんなりしていた鳴海ですが、医者のトーアや大学教授のロッケンフィールドとのやりとりで安堵。
ロッケンフィールドには愛する妻と子供二人がいる。息子のリッチーは来週学芸会で劇をする予定で、父親としてはぜひ見たいとのこと。
不吉な予感全開です。
鳴海はしろがねが命を無駄遣いしていると怒りましたが、命を手放していない者もいる。
ロッケンフィールドを見て、しろがねをバケモンだとばかり思っていた鳴海の顔がゆるみます。
一方、ジョージと阿紫花のやりとりはちぐはぐなのか噛み合ってるのか。
珍しいことに、ジョージもほんの少しムキになっている様子。

ドットーレの「ミサイルでも撃ち込むつもりなのかなあ」の顔がナイス。
鳴海達が戦う間、テントの外で待っていた約三万人のしろがねたちは殺されていた。砂丘を赤く染め上げている光景が凄絶。
本拠地を叩く作戦は見抜かれていたが、後には引けない。

ロッケンフィールドを助けるために飛び出し、全身に巨大な棘を打ち込まれ、傷だらけになった鳴海。
子供達のためにも死ぬわけにはいかないと言っていたのに、なぜそんなことをしたのかと問われて答える。
ゾナハ病の子供もロッケンフィールドの子供も泣くのは嫌だと思った。
「人間は――イヤな時に、ワケなんて言わなくていいんだぜ」
鳴海の目が眩しくてキレイだなあ……。
他人を守るために戦う男が言うから熱く感じるのであって、もしラスボスが言ったらただの自分勝手になりますが。

フェイスレスと合流した鳴海。
サングラスを外し、銃人形に歩み寄る司令は、非常に珍しいことに……カッコいい。悔しい。
「土は土に、灰は灰に……忌まわしき人形は――歯車に」
普段飄々としてつまらないギャグを飛ばすだけに、真剣に決めると莫大なギャップが生じ、カッコよさも跳ね上がる。
フェイスレスは『しろがね』になったきっかけ――大切な女性を自動人形に奪われた過去を語ります。
……以前から思っていたことがあります。
しっかり描かれた回想が無意味で、同情を引くための作り話だったというパターンは無いのかと。

仲間を庇い、痛めつけられた鳴海は、ボロボロになりながらも立ち上がる。
「オレは、オレになりてえんだよ!」
鳴海を助けるために司令も身体を張る!
この瞬間の司令の熱さはトップクラス。
歯車に身を投じたため体がズタズタになってしまうも、自責の念に苛まれる鳴海をなだめ、微笑する。
司令を見上げるしろがね犬は何を思うのか……。

やっと鳴海達はフランシーヌ人形や最古の四人のもとにたどり着いた。
ズタズタにされた鳴海も戦おうとしますが、君のおかげで我々はほぼ無傷で戦える、君は死ぬべきではないと語るトーアをロッケンフィールドやダール、ティンババティは口々に否定。
ひどいよロッケンフィールドさん……。
と読んだ時は思いましたが、ギイの時と同じく引きずられていました。
冷静に考えれば演技だと分かるはずなのに、すっかり乗せられていました。我ながら単純すぎる。

ひどいことを言われても、指をくわえて見ているよりはとフランシーヌ人形に近づこうとする鳴海。
それを発見したコロンビーヌが襲いかかり、ロッケンフィールド達のマリオネットに阻まれる!
先ほどの暴言も鳴海が無理に戦うことを止めるためだった。
相手を気遣ってあえて冷たく突き放す展開は、相手をいたずらに傷つけてしまう可能性もありますが、今回の場合はすんなり受け入れられます。
鳴海は死にかけていますから、心を傷つけることになろうと退かせないとまずい。
優しく止めても鳴海はますます戦おうとしたでしょうから、ああしたのも仕方ない。

命をかけて戦う中で彼らの想いは一つになっていった。
サブタイトルは『共鳴』。まさに皆の心が一つになっています。
自分を護ってくれたことに驚愕した鳴海は、最古の四人の相手を頼む。
「オレはフランシーヌ人形を、倒す!」
その叫びにしろがねたちは確信する。
ナルミならやれると!
うおおおお、熱い!

敵を倒し、強さを証明することばかり考えていたはずのしろがね-Oの一人も「ひとくくりにしないでよ」と素敵な笑みを浮かべ、自分の名を改めて告げる。
アルレッキーノの足止めを図った彼女――リィナは力及ばず焼き尽くされてしまいました。
リィナ……。
アルレッキーノは大好きだが、彼女を一瞬で消し炭にしたことは忘れない。
悪役としてはこの上なく正しい。
敵だったキャラクターが主人公側につく場合、「仲間が殺されていない」「殺す場面を直接見ていない」で何となく済まされるのは都合良すぎるのでむしろあってほしい描写です。
そのまま鳴海vsアルレッキーノに。
気功は通じないはずのアルレッキーノが鳴海の拳にダメージを受ける。
「人間は色々なモンを背負いこんで、強くなるんだ!」
それはそうなんですが、鳴海は背負いすぎでしょう。
強さの源ですが、同時に苦しめるものとなる。

破壊されることを予想したアルレッキーノですが、限界に達した鳴海はあと一息というところで倒れる。
気合ではどうにもならぬほど傷つき、血を流した。とっくに肉体は限界を超えていたのを精神力で無理矢理補っていたのでしょう。生命力の強いしろがねでも「寝たら平気、ケロッとしてお目覚め」などという便利スキルはない。
ダールやトーアも傷つき、無数の下級人形たちも現れ、もはや絶体絶命。
最期を迎える覚悟を決めたロッケンフィールドですが、そこに頼もしすぎる助っ人が!

「ご主人様は……末期の懺悔を終えたかね」
「死刑執行人は、最後に入場するものなのさ」

最古のしろがね、ルシール降臨。
ドットーレがゆがんだ笑みを浮かべて挑発しますが、まったく乗らない。
邪魔が入らない状況にしてから彼女の復讐劇が幕を開ける。
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