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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

冠を持つ神の手

冠を持つ神の手

城の中で人間関係に翻弄される育成系ADV。
王の資格を持つことが発覚した主人公が城の中で訓練しつつ人々と交流を深めていく。

こんな方におススメ
・老若男女、様々なキャラクターと愛を育んだり友情を築いたりしたい
・綺麗な面だけでなく弱さや醜さも見せてほしい
・イベントやエンディングが多いと回収したくなる
・ほのぼのイチャイチャからヤンデレ監禁心中処刑まで楽しめる
  
※フリー版をプレイした感想です。

主人公のデフォルトの名前は『レハト』。
プレイヤーが選択した結果とはいえとんでもない行動を取ることが多々あるので、プレイヤーの分身というより一人のキャラクターに見えます。
そのため、大抵はレハトという名前のままでプレイすることが多いです。
感想を書く時も「主人公」か「レハト」と書きます。

ずっと前から気になっていたのですが、なかなか手が出せませんでした。
思考停止脳筋ゴリ押しプレイ大好きな私では、攻略見てもキャラエンドにたどり着けず投げてしまいそうでしたから。実際、昔ちょっとだけプレイして早々に諦めた記憶が。
それでも名作フリーゲームと聞いて挑戦することに。
攻略見てるのに失敗する下手っぷりに笑うしかない。
発生条件を満たしていても他のイベントが優先されてなかなか出なかったり、パラメータを上げるタイミングが悪くてせっかくのイベントで失敗したり。
ゴリ押しプレイヤーには辛いです。
育成要素やイベント発生に運が絡むんですよね。
リロードして粘るか否かで能力値の上がり方にかなり差が出ますし、雨の日限定のイベントを出すのも同様。
同じエンディングでも王になるかならないか等で細かく分岐するのですが、能力値を上げるパートは周回すると作業になってしまうので、『周回ごとにポイントが加算されて、能力値や名声に割り振ることができる』みたいな救済措置が欲しかったです。
攻略支援版だと訓練が成功しやすくなり、天候も操作できるとのこと。かなり遊びやすくなるみたいです。

・世界観
歴史や宗教等現実と違う要素は様々ですが、最も特徴的なのは種族です。
人間に近いものの、成熟するまで性別が決まっていない点が最大の違いです。
主人公はエンディングで性別を選ぶことになるため、相手が男でも女でも愛を誓ったり友情を結んだりすることに違和感が出ない設定になっています。
同性愛はタブーとされ、結婚の約束をした後に相手と同じ性別を選ぶと裏切ったという扱いになります。
このように、生活習慣や考え方などについてじっくり知りたいという方向けに、ゲーム中に事典が備わっています。

・印象度と好感度
印象度は「主人公が相手をどう思うか」、好感度は「相手が主人公をどう思うか」の数値です。
どちらにも「愛←→憎」、「友←→嫌」の軸があり、組み合わせによっては「憎しみの中の共感」や「親友以上を望み」といった複雑な関係にも変化します。
印象度の各数値は「印愛・印憎・印友・印嫌」、好感度の方は「好愛・好憎・好友・好嫌」と表記します。
印象度の方はプレイヤーが入力・操作することが出来ます。
相手を好ましく思えば愛や友を上げ、嫌いだ、憎らしいと思えば憎・嫌の数値を上げていく。
好感度は選択肢で変化するだけでなく、武勇や知力など特定のパラメータが一定の数値に達しているとボーナスで加算されることも。
印象度や好感度が一定の数値に達するとイベントが発生します。

・反転
ある程度印象度を動かした相手に対して一回のみ、印象度を反転させることができます。
憎らしいと思っていた相手の意外な一面を見て「いい奴だな!」と見直す現象に近い。
ついさっきまで憎んでいた相手を愛したり、心の友として付き合ってきた人物を殺害することも可能。
劇的なイベントの直後に行うもよし、あえてささやかなイベント後に行うもよし。
これを使わないとたどり着けないエンディングもあります。
場合によっては相手が反転することも……。

・膨大な分岐
こちらの印象度によって選択肢が増えます。
嫌いな相手は罵倒・攻撃することができますし、好ましく思う相手なら優しく、親しく接することができます。
相手の反応も同様。
同じイベントや選択肢でも、相手の好感度が高ければ反応が変わります。
例えば、落ちていた手紙を届けるイベントでは、普通は「助かりました、ありがとうございます」程度ですが、好感度が高いと主人公が書いて渡しに来たのだと期待したり。
勉強を教えるのも、序盤だと「何とかわかりました」くらいの反応ですが、好感度が高いと好きなものを書くのがいいと言われたから主人公を書いてもいいかと尋ねたり。
さらに、同じイベントでも敬語と友達口調、八つ当たり中と反省中で台詞がガラリと変わるキャラもいます。細かい。

・莫大なエンド数
攻略対象のキャラクターに愛情・憎悪・友情・裏切・殺害が用意され、その中でも王になるか否か等で分岐します。
同じエンド・バージョンでも、普通に印象度を上げていったか、反転したかで文章・展開が変わるものも。
全部見られる気がしない。嬉しい悲鳴を上げずにはいられない。

・難易度
最初の数回はキャラ無しエンドでもおかしくありません。
「とりあえず喜びそうなこと言ったり無難な答えで話を合わせれば好感度上がるだろ」と舐めた考えでいたら即「さっき言ってたことと違うよね?」とツッコまれて冷や汗かきました。
もっと印愛が上のキャラがいるのに「君が一番だよ」「貴方の愛がほしい」と言ってもばっちり見抜かれて好感度が下がります。下手すりゃ憎まれる。
「こういうキャラはこうしておけばいけるだろ」という法則を当てはめて自滅するケースも多いです。
武勇上げれば出てくるキャラは鍛えて力を見せればいいんだと思うじゃないですか……。
相手の置かれている状況や抱えている悩みに目を向けないと、エンディングにたどり着くことはできません。
最初は気の向くままにやってみて、目当てのキャラが見つかったら近づいて、傾向を掴みつつ試行錯誤した後に本格的に攻略すると燃えると思います。

・キャラクター
老若男女、広い範囲のキャラクターと関係を築けます。
難易度の話とも絡みますが、それぞれの境遇や求めているものがあり、「このキャラは〇〇」と一言で片づけることは難しい。
脳筋だと思ったら繊細だったり、おどおどしているように見えてたくましかったり。
愛情では可愛さやカッコよさを見せていたキャラが憎悪だとドロドロした内面をぶつけてたり、愛情ではちょっと待てと言いたくなるキャラが友情だと爽やかだったり。
ルートによって色んな側面を見せてくれます。
快い反応ばかりではありませんが、腹が立ったら反論したりひっぱたいたり処刑したりできるので、ある程度バランスが取れています。
相手が嫌なこと言う時は、主人公が先にプライド傷つけたり思わせぶりな態度取ったりで、言いたくなる気持ちも分かるケースが多いんですよね。
タナッセやグレオニーみたいに主人公は悪くないのに敵視してくる理不尽なパターンもありますが、そんな場合も作中で過剰に擁護されないのが好印象。
所感でも「逆恨み」「自業自得」とバッサリ切られますし、ルートによっては自分の姿勢が駄目だったと気づいて改善しようとします。
もし「可哀想なのに追い詰めるのが悪い」とか「主人公の理解や歩み寄りが足りない」とか言われたら反感を抱いたでしょうね。
嫉妬や羨望を抱くだけならまだしも、怪我させたり殺しかけたり一線を越えると、人間味があるという理由だけで全部擁護することはできませんから。

・ほどよい空白
イベントや分岐が膨大であるため、プレイヤーの数だけ主人公がいるどころか、同ルート・同エンディングでも主人公像が異なります。
同じエンディングでも、特定のキャラと交流を深めていったのか、様々な人物と関わったのか。
同じイベントでも、どんな順番でこなしたか、どの選択肢を選んだか。
これらによって思い描くストーリーが異なってくるため、プレイヤーに想像の余地があります。

以下、プレイして間もない頃の流れを軽く紹介します。

オープニングで「親切にされると嬉しいな、このメイドと爺さんはエンディングを見ていきたい」、いきなり嫌味を言ってくる相手には「根っからの悪い奴じゃないだろうけど、酷い言動が全部ツンデレだからで許されると思うなよ。後で主人公にデレようとこの怒りは忘れないからな」と思いつつ、いいところ見せられるとコロッと掌返すかもしれないと予想しました。単純な頭なので。
そんなこんなで最初に迎えたキャラエンドは……グレオニー愛情Aでした。
三人とも全く関係ない。
どんな流れでそうなったかと言うと、

サニャは普通に仲良くすればよさそうだけどローニカはどういう方向で親しくなれるか分からないし、じっくり攻略して順番にED見ていきたい
→まずは攻略しやすそうなキャラで何か一つ個別エンド見て、プレイに慣れてから他のキャラにいこう
→豪快そうに見えるグレオニーなら鍛えて強くなれば認めてくれるだろ
→失敗して何度かキャラ無しエンド
→いつの間にか憎まれていることに気づき「何で? どうして?」と混乱しつつ意地になる
→やっと個別エンドに辿り着いた……こうなったら愛情以外も見ないと!

試合に出て力を示せば好感度上がると思ってました。
攻略に頼ったとはいえ、試行錯誤して最初に個別エンドを見た相手なので感慨深い。
『最後の試合』の時はなかなか勝ち進めないグレオニーと攻略に失敗しまくる己の姿が重なって感情移入して、「今度こそ勝て! 勝ってくれ!」と願いました。
会いに行って勝ちたい理由を訊いてあの台詞がきてからの勝利で興奮は最高潮。
「今度こそ勝て! 勝つんだ!」
「もちろん会いに行くに決まってるだろ!」
「おお勝ちたいって言ってる気合十分だな! よし何で勝ちたいのか言ってみろ!」
「あ……」
「頼む、勝ってくれ……!」
「うおおおこっち見た勝った優勝だああああ!」
という感じでした。興奮しすぎ。

フリー版ですので見ていない分岐は多数ありますが、各エンディングを一通り見ました。
また、グレオニーの嫉妬イベントは全部見ました。

各エンドで特に好きなものを幾つか挙げてみます。
・愛情
散々キャラ無しエンドを迎えた果てに初めて個別エンドを見ることができたため思い入れのあるグレオニーA。
グレオニーと同じく王道、身分差を乗り越えるサニャA。
フラグ立てに失敗する中で「愛ってなんだよ!」という疑問が高まり愛を探求する姿勢がシンクロした、裏切でも友情でも燃えることを知った上でのユリリエA。
・憎悪
芯の強さが見られるサニャB。
・友情
愛情ルートとの印象の違いが大きく、トゥルーエンドだと思わせるリリアノ&モゼーラA。
二人とも楽しそうで、向かうところ敵なし感が半端ないユリリエB。
魔術師ライフが新鮮かつ未来が明るいルージョン&ティントアA。
・裏切
最初に見てシンプルに心にきたグレオニーA。
残酷な仕打ちだけど余韻が残るタナッセ。
爽快感があるユリリエA。
笑うしかないティントアC。
・殺害
難易度や抵抗感が低めで初心者にもおススメしやすいグレオニー。
暗い気分にならずに済むユリリエA。
トッズAのローニカが遅くなったパターンも好きです。

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