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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

夢見鳥

夢見鳥

明野貴志様制作『夢見鳥』をプレイしました。

攻略対象が全員ヤンデレの狂愛BLノベルゲーム。
名作フリーゲームと聞いてプレイすることにしました。
「ヤンデレなんて絶対見たくない!」「BLはどうしても無理!」という方には薦められません。
性的な描写は控えめで読みやすいものの、無理矢理……なシーンがありますので、注意が必要です。グロ要素もあります。

いけそうな方にはお薦めしたい作品です。
文章もイラストも充実しています。
なんとフルボイス! すげえ!
相乗効果で恐怖が、嫌悪感が、おぞましさが、愛おしさがこみ上げます。

以下、ネタバレも含まれるのでたたみます。



・豊富なヤンデレ成分
今まで「ヤンデレをたっぷり盛り込んだ作品」「BLがメインの作品」のどちらにもあまり触れていませんでした。
同時に摂取することに不安もありましたが、性別以前に人としてアウトな行動の数々に心の中で悲鳴を上げながらコンプしました。
高評価の理由に頷けるところばかりです。
文章……心理描写が巧みだと思いました。
プレイする前は、ヤンデレ=とりあえず包丁で刺す、好きな人を閉じ込めるといった大雑把なイメージだったのですが、バリエーション豊かなヤンデレを見ることができました。
悪い噂を流して居場所をなくす、自分の怪我の責任を押し付けて罪悪感を抱かせる、など精神的な鎖は想定していなかった。
もちろん暴力に訴えたり監禁したりするストレートなタイプも完備。
また、ヤンデレ=髪が長くて大人しい少女や身分が高くて孤独を抱えている青年というイメージがあったので、ムードメーカーや強面の不良がヤンデレ化するのは新鮮でした。

描写が丁寧だからこそ、読んでいて恐怖が跳ね上がります。
主人公を追い詰める方法が様々ですし、方法が似ていても「相手が離れていくのが嫌だから閉じ込める」と「悪いものや汚いものから守るため閉じ込める」で、動機が違います。そう考えるにいたった背景も。
常時思考がぶっ飛んでるわけではなく、常識も見せるのが面白い。
常にぶっ飛んでいたら肝心の愛や狂気も伝わりにくくなってしまうためかもしれません。
他人を虫扱いして怪我させて平然としてる奴が、図書室は本を読むための場所であって、恋人に会うための場所ではないと考えて入るのを遠慮するところで笑いました。
その配慮を想い人や周囲の人間に向けてくれ……!
彼らの行動の過激さは真似できないし、するつもりもないし、絶対にしてはならないのですが、根底にある想い自体は共感できるところがあるのが興味深い。
「相手にとって特別な存在になりたい」「他の人と仲良くしてるのがつらい」など、心のどこかにある考えを極限まで膨らませた結果、ああなったのかもしれません。

バタフライ効果をテーマにした、ちょっとした行動の違いで結末が大幅に変わるストーリーも見所です。
一見何でもないような選択肢で全然違う結末へ向かいます。
後になって「あそこでああしておけば……」「あの時の行動がここで活かされるのか!」と伏線が回収されるような楽しさを味わえます。

・ボイス
皆イメージにピッタリで、重要なシーンで盛り上げたり凍りつかせたりしてくれます。
菊池の「まこと」や小野寺の「かわいい」連呼、清永の何でもするかの確認では背中がぞわぞわしました。
誠一の悲鳴、黒峰の怒号なども好きです。
笠原の喋り方もムードメーカーらしさが出ていますし、優一も優しく穏やかな兄だと感じられる。

・グラフィック
イラストも素晴らしい。
ヤンデレというと目を見開いて口が裂けんばかりの笑みを浮かべる姿を想像しますが、そういったおおげさな表情はあまり出てきません。
「悪人面がくるか?」と身構えても、大抵はこない。
その代わり、目からハイライトが消えただけで危険さを伝えてきます。
穏やかな笑顔が……笑顔が、こわい。

好きなスチルは、
・『しあわせなふたり』
騒がしいけど頼りになる友人はもういない。
・噛むシーン
赤髪金目鋭い歯と、バトル漫画に出てきてもおかしくないビジュアル。炎属性の技使ったり狼に変身したりしそう。
・ドアに顔つけて聞き耳を立てるシーン
恍惚としてらっしゃる……。
・写真
大・団・円! 画面内のヤンデレ比率が高すぎる!

・エンディング
それぞれのキャラにBADとGOOD→TRUEがあります。
素晴らしいのはGOOD→TRUEの空気の差ですね。
BADを迎えて打ちのめされてからGOODを見て、ハッピーエンドだと喜んだらスタッフロール後のTRUEで突き落とされました。
特に清永。
病みが簡単に消えたら苦労しませんよね……。

菊池→小野寺→清永→笠原→黒峰→隠しキャラの順でクリアしました。
己の異常さに気づかないモンスターっぷりでは黒峰・小野寺の二強ですが、私のMP(メンタルポイント)をガリガリ削っていったのは小野寺・清永です。
一番「おげえええ」となったのが小野寺、GOOD→TRUEの落差に最もダメージを受けたのが清永、笑わずにはいられないのが黒峰になりました。
各人物の心情を知った上で序盤や他キャラルートでの姿を見ると、感じ方がガラリと変わります。
「先輩露骨だなあ……」とか「好きな相手に怖がられて傷ついたんだな」とか。
私にとって周回プレイするハードルが高い順にあげると、
・かなりキツい:小野寺、清永
・何とか:笠原、菊池
・いける:黒峰、隠しキャラ
です。
一番気に入ったキャラ・ルートは黒峰になりました。
RPGではレベルを上げて物理で殴るゴリ押しが大好きなので、力で全てを解決しようとする姿勢は嫌いじゃない。
中途半端にゲスだと腹が立ちますが、あそこまで突き抜けているといっそ清々しい。
誠一以外の人間に対する罪を自覚も反省も後悔もしていないのに、危険度が高すぎるせいでその辺のモヤモヤが塗り潰される。
エンディングでは、黒峰以外だと隠しキャラのGOODがハッピーエンド感あって好きです。

続いては、キャラクターについてみていきます。

まずはサブキャラから。
市川:極端にやる気にあふれているわけでもなければ、無関心なわけでもない。何事もほどほどで安心できる。
水澤:最強疑惑のあるキャラ。過去が知りたい。開眼したら強そう。
藤村:穏やかそうな眼鏡キャラというだけの理由で疑ってごめんなさい。いい人です。
彼女と一緒に幸せになってくれ。
嫌な奴でも悪い人でもないからこそ、清永との出会いが重くなりますね。穏やかで常識的な人間が残酷なことを言えてしまう。
今は良き友人になっているし、発言した本人が一番悔いているから責めることはできない。
いい友達がいて、心から清永の幸福を願い、真剣に心配して忠告したのに、あんな行動取った清永よぉ……。
青木:面倒見がいい。黒峰ルートのお助けキャラであり、この人のせいとも言える。頼もしいんですが、いつも通じるとは限らない。
黒峰が情報を与えなかったので仕方ない部分もある。
黒峰が真剣に相談して、自身の性格や周囲からの評価を変えようと本気で決意したならば、きっと的確な助言を与えたでしょう。

では、メインキャラを語ります。

・水沢誠一
主人公。
ヤンデレに包囲されている薄幸の少年。
「ヤンデレにヤンデレをぶつければ助かるのでは?」と思ったこともあったけど誠一だと挟まれて被害を受けるな。
大半のルート後はお祓いと警察と病院に行った方がいい。
他人への関心の薄さゆえに相手を傷つけたり、自分の気持ちにも鈍かったりする。他人と積極的に関わろうとしない姿勢は兄の影響が大きいので責めるのは酷かもしれない。
だからこそ自分の気持ちと向き合って、相手に率直に伝える時はジーンとします。
暴力を嫌う彼が二回もビンタしたシーンがお気に入りです。苦痛と恐怖を味わった側ですから、「もっとやれ!」と思いました。
癖のあるキャラ達を攻略する主人公の宿命か、「あれだけ酷い目に遭わされたのによく嫌わずにいられるな……」「普通は逃げたくなるんじゃないか?」と疑問に思うことも。
そんな時に他のキャラがプレイヤーの代わりに怒ったりツッコんだりしてくれるとホッとします。
「糞餓鬼」「最低の事故物件」「ほんっと頭おかしいぜ」……どれも「その通りだよ!」と叫びたくなりました。
そんな彼らと関係を築き、今まで見せなかった一面を引き出せるのは何だかんだですごい。

一番好きな台詞はこれ。
「『好き』を免罪符にすれば、何をやってもいいわけじゃない」
その通りでございます。
攻略対象全員にぶつけてやりたくなる台詞。
彼らのぶっとんだ思考や行動に悲鳴を上げながらも好きになれたのは、肝心な部分がズレてないからですね。
仮に「愛があれば何をしても許される!」「受け入れない誠一が悪い!」という描かれ方だったら脱落したかもしれない。

・水沢優一
ブラコンお兄ちゃん。
普通の兄弟愛を安易にブラコン呼ばわりするつもりはありません。
優一の場合は明らかにブラコンです。重度の。
少年時代の誠一を見たら過保護になるのも頷ける。
清永ルートで怒りを露にした時にワクワクしました。
清永の所業に鬱憤が溜まっていたので、優一が怒ってくれて助かった。

・菊池翔太郎
王子を思わせる佇まいの教育実習生。
ルート突入後「おいおい」「うわー……」という思いが頭の中を占めました。
最初に攻略してよかった。
プレイ中はキツいと思ったけど、他のルートを見た後だとチュートリアルみたいなものかもしれない。
GOODではやらかしたことを自覚も反省もしますし、謝罪の際に真相を告白しますし。
同じことは繰り返さないでしょうから、TRUEもハッピーエンドの範疇です。
……冷静に考えると、やったことはかなり非道なんだよな。
自分が泥被ってでも誠一を守らねばならない局面で陥れますから。
想いが通じたと胸を躍らせている誠一の期待や信頼を裏切って。
そう考えるとチュートリアルじゃないな。他のキャラに負けてない。

・小野寺敏明
懐いてくる後輩枠。
私の中では言葉は通じるけど話が通じないモンスター。
ルート突入後「おげええ!」「ほげえええ!」と呻きっぱなしでした。
黒峰いわく「キレさすとヤバい奴」。合ってる。
ルート投入前から作中でキモいと言われていたキャラが全開になったら手に負えない。
ヤンデレというかストーカー。
ちょっとした会話で住所を突き止めるしメールを大量に送りつけるし電話もガンガンかけてくる。
か、勘弁してください……。

・自分のことを嫌いじゃないと言ってくれた→自分と同じように好きなんだ!
・とうとう恋人同士になれた(なってない)
・目を合わせないのは照れてるのかも(誠一は嫌々従ってるだけ、怯えてる)
・学年が違うせいで一緒にいられなくて寂しい→先輩を留年させればいいんだ!
これらの理解が追い付かない異次元断絶思考にずっと「待て! 待てよ!」と叫んでいました。『からくりサーカス』のフェイスレスか?
警察に突き出されても文句言えない行動を取りまくっておきながら心配することが「別れを切り出されるかも」。そうじゃない。

怖いのは、自分の行為でどれほど誠一が傷ついたか、何故苦しんだのか、しっかり理解していないように見えることですね。
理解したら写真を完全に削除するはずです。
あの黒峰ですら、誠一にしたこと“だけ”は自覚して反省して繰り返さないよう己に誓ったんだぞ……。
他のキャラだと誠一が自分の気持ちや相手の言葉に向き合って話し合えば何とかなりそうなんですが、小野寺はズレた解釈するからなあ。
いくら真摯な言葉を紡いでも、斜め上に曲解されるかもしれないと思うと恐ろしい。
実際、GOODで誠一にこっぴどく叱られても勘違いは継続したまま。両想いでも恋人同士でもねえよ!
あの……BADのスチルを見返して今更気づいたんですが、誠一の手首に何本も線が……。マジか……。

・清永聡
爽やかな先輩枠。
ルート突入後ひたすら「お前……!」と呻くことに。
イケメンで高身長、爽やかに見えるスポーツマン。その実態は公式でクズ認定される男。
精神的に束縛するタイプとは思わなかった。
期待されている陸上選手が自分の足や大会犠牲にしてまで繋ぎとめるなんて予想できねえよ……。
自傷だけで全てコントロールするならいっそ感心したかもしれないけど、普通に誠一をビンタするので感嘆の域まで達しませんでした。
「怪我人」「被害者」という立場に守られた状態で手を上げるのがずるい。反撃したら悪者にされるので耐えるしかない。
一番GOOD→TRUEの落差がキツい。

「お前なあ……」と思う場面が一番多いキャラかもしれない。対抗できるのは小野寺くらいです。
・足を怪我させたという誠一の罪悪感に付け込んで命令する
・でも怪我したのはわざと
・故意だったことを明かさないまま
・自分のせいで誠一が笑えなくなったのに笑顔を向けてくれないことに腹を立てる
・誠一が自殺未遂するほど追い詰める
・BADだと未遂じゃすまない
・GOODでは反省したはずなのに繰り返す気満々
まるで成長していない。
罪悪感で潰れかけた誠一を見ておきながら、よく同じことしようと思えるな。
進化はしている。
捻挫程度では生温い」ですからね。順調に悪化してる……。
壊すのは誠一が離れていこうとする時ですが、可能性が無いと思い込んで縛り付けたのが本編なので、別れたがっていると勝手に決めつけて実行しそうです。

公式でクズ認定されているものの、清永だけがクズなわけではありません。
他の連中もやることは大概酷く、みんな違ってみんなクズ。
笠原とか普段とてもいい奴なので擁護したいけど、監禁はどう考えてもアウトです。
所業を理由にクズとみなしても、彼らが嫌いかというとまた別です。
清永の「爽やかで優しい先輩」の顔も嘘ではないし、他のキャラもいいところがある。
悪役に対する評価に近いかもしれません。
やったことを擁護するわけにはいかないけど何もかもクズというわけではないし、そういうところも含めて好きというか……。
そして、好きなキャラの想いが報われて主人公と結ばれるべきかといわれると、それもまた別の話です。闇が解消される方向に向かわないと素直に応援できません。

清永に話を戻すと、彼が特にクズに見えるのは第一印象の爽やかさが大きいからでしょう。
不良がちょっといいことすると善人に見える法則の逆バージョン。
あとは、誠一からの好感度が高いのに卑劣な手を使うところか。
怖がられている黒峰、さわがしい友人として雑な対応される笠原、たまにキモいと言われたり鬱陶しがられる小野寺とは違います。
普通に交流を重ねるだけでよかったはずなのに……。
これは菊池にも言えることですね。菊池の方は想いが通じ合っている状態でありながら陥れるので性質が悪い。

再プレイして振り返ると、どんどん命令がエスカレートするのが笑……えない。「ぎえええ……!」度が小野寺に並ぶ勢いです。
よくそこまで奴隷扱いできるな。前世は王様か何かか?
優しい先輩でいたかったのは本心でしょうけど、自分が勝手に高圧的な態度取るようになったのを誠一のせいにすんな!
誠一にビンタするのを黒峰に見られなくて良かったですね。下手すりゃ病院通り越して墓地に送られる。

・笠原直樹
クラスのムードメーカーで自称・親友。
いい奴。
色々あるけどそれでもやっぱりいい奴だと思う。
黒峰が笠原を嫌っているのは、単純にうるさいからだけじゃないんだろうな。
おそらくはクラスの人気者で、皆と仲良くなれるからでしょうね。
他キャラのルートでは清涼剤。攻略対象の大半から邪魔者・ライバル扱いされているのが面白い。それだけ誠一との距離が近く見えるのでしょう。
日常パートのアホなやり取りは笑いをもたらし、シリアスなシーンでは心の支えになってくれる。
菊池ルートで誠一が教室内で孤立しても味方になってくれたり、清永ルートや隠しキャラルートで様子がおかしいのを見抜いて真剣に心配してくれたり。
ありがてえ、ありがてえ……!

そんな彼が病むと絶望感が漂う。
ルート突入後は「おぉー……」となった。
監禁中、教室で喋るのと同じ調子で語りかけてくるのが怖かった。
壊れたような笑い声が痛々しい。
陽気なキャラが病むとドキッとしますね。
何も考えず喋ってるわけじゃないとは思っていたけど、ここまで思いつめていたとは……。
精神的に追い詰められているのが伝わってきて哀れだった。
自分が何をしているのか、何をしたいのか、理解できてないんじゃないか?
闇堕ちした主人公に「いつもの〇〇に戻ってくれ!」と呼びかける仲間の気分が味わえる。
他のキャラが病むと、まず「怖い」「おぞましい」と思うのですが、笠原だと「悲しい」という気持ちが強い。

やることも動機も分かりやすい。
監禁したりするけど常識的。TRUEの落差も控えめ。
小野寺→清永の凶悪コンボが直撃した後なので軽傷で済みました。攻略順が清永と黒峰の間だったので大人しく見える。
自覚も反省も謝罪もして、繰り返さないよう気をつけているのでマシな方です。
エンディングでも恋人になっていないのは小野寺と同じですが、現状を認識したうえで「惚れさせてみせるぜ!」という姿勢なので応援できる。恋人になれば安定しそうですし。
頑張れ。

・黒峰雅貴
純情なバーサーカー。
普段は寡黙なのに感情が昂ると早口でまくし立て邪魔者に暴力を振るう、シンプル&ストレートなストロングスタイル。
不足しがちなグロ要素を手軽に補えます。
荒っぽい性格で喧嘩慣れしてるから、真っ先に予想したのは誠一を殴って従わせる展開でした。
最初の予想と違いライバルを力で排除する方向へいったものの、そちらも考えはした。
問題はその後。
BADで青木を攻撃した後の行動に衝撃を受けました。そっちにいくのは予想できなかった。 
なんでただの不良があんな病み方するの……?
 
・両親から愛されず周囲から怖がられている不良が、唯一優しくしてくれた主人公に好意を抱く
・怖いと思っていた相手の意外な一面を見て、自分でも気づかぬうちに惹かれていく主人公
など、互いに好きになる構図が王道。
一緒に登下校して、黒峰が満員電車で誠一を庇ったり不器用な優しさを見せて距離を縮めていく様も王道。
ぎこちないけど真っ当な恋愛パート……からの。
ナチュラルに誠一以外を虫けら扱いするので笑うしかない。
GOODでも反省しているのはあくまで誠一を傷つけたことだけであって、クラスメート達を怪我させたことは悪いと思っていないんですよね。
清永が故意だったことを告げないのは後ろめたさがあるからですが、黒峰が『虫退治』について言わないのはどうでもいいからでしかない。
人としてどうかと言いたくなる思考ですが、もはやそういう問題じゃないというか……。
他にもモンスターっぷりを感じる点は、BADでも幸せを感じていることですね。
隠しキャラ以外の攻略対象はエンディングによっては悲惨な目に遭うため、報いを受けると言えなくもない。釣り合うかどうかは別として。
黒峰は違います。
人形の方では穏やかに笑っていますし、クッキングにいたっては明るく前向きに人生エンジョイしています。
最も短絡的だからすぐ破滅するだろうと思ったら青春謳歌してやがる……。
誠一がいなくても脳内の誠一と会話しだすのが強い。無敵か?

最も印象に残った台詞は「お前が、俺を、好きになるはず、ない」でしょうか。泣きそうな声・表情も合わせて。
その思い込みで暴走した結果四人病院送りだよ! BADだと死人まで出てる。
笠原・小野寺・菊池が病院送りにされたので、清永もやってほしかった気持ちがちょっとだけあります。そうすれば隠しキャラ以外コンプリートだ。
周囲の人間を力で排除するのは「怖がられている自分は水沢から愛してもらえない。他の奴を潰して一番にならないといけない」という思い込みが修正されれば解消されますが、別方向に危険な闇は残っています。むしろ濃くなってる。
自身が暴力的であることは認識していて、展開によっては丸くなるのに、もっとヤバい部分は自覚も変化もないのが恐ろしい。
その衝動は一生我慢してください。頼むから。
結末の衝撃が大きくて終盤ばかり考えてしまいますが、誠一がいつから、どれくらい惹かれていたか考えるのが楽しいです。
電車で庇われた時点で何かを思いかけてるんですよね。
青木に初めて会った時、何となく嫌な印象を抱いたということは……。

隠しキャラ=水沢優一
ラスボスの風格。
ルート突入後「おわあああ」「ひいいぃぃ……!」という悲鳴が脳内に響いた。
恋愛感情ではないけれど、思いの深さは負けていない。
己の人生を誠一を守るためだけに捧げる覚悟を固めている。
監禁は被るよな……と思っていたら別の方向にエグかった。
正直、途中までは「閉じ込められるのは笠原で見たからいけるいける」と楽観視していました。
甘かった。
切れ味増してませんか?
ホラーのような演出が光る。
何でそんな怖いの……?
恍惚とした顔でドアに頬つけて聞き耳立てているスチルがトップクラスに好きかもしれない。
いい表情していらっしゃる。
BADでタイトル回収いただきました。
スチルに愕然とした。
誠一の体に傷一つついてないからこそ酷さが際立つ。首輪も鎖もないのが却って痛々しい。
相手は純然たる善意でやっているから性質が悪い。
見てください、この慈愛に満ちた優しい微笑を。
 
GOODは最高に熱い。
攻略対象達が協力してくれる。
まるで、今まで戦ってきた強敵の力を借りてラスボスに挑むかのような高揚感がある!
エンディングで清永への敵視全開の小野寺、黒峰と仲良くなる笠原など、攻略対象同士の関係も面白い。
そして、傷つくことを恐れ他人と深く関わろうとしなかった誠一が、友と過ごす時間を楽しみ、関係を築こうとする。
成長したなあ。

TRUEはある人物の闇が明かされる。
お前もだったのか……。
回りくどい方法も、直接的な行動も兼ね備えている。そして、どちらも非道。
『彼』の標的が誠一にならなくてよかった。
ラスボスを倒したら裏ボスがいたかのような感覚を味わえました。
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