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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

流れ落ちる調べに乗せて 影法師のよろず箱

『流れ落ちる調べに乗せて』 影法師のよろず箱

影法師のよろず箱は設定資料集やサウンドトラックなどをまとめた副読本です。
その中の設定資料集について語ります。

設定資料集は
・流落と闇奔が好きな方
・重蔵に救いがあってほしいと願う方
に特におすすめです。
読んで何回も「良かった……」と呟きました。
救いが……救いがあった。
実際に読んでいただきたいのであちこち伏せますが、「こうであってくれ~!」と願っていた要素が幾つもありました。

※ネタバレが含まれます。


まず蘇芳が生存確定。エンディングで出てこないから死んでいたらどうしようと思った。
しかも〇〇に〇〇予定だなんて。見たい!
聖は蘇芳に〇〇〇〇していた。マジかよ。
また、彼女の肉体強化の代償も蘇芳が払っていた。うわあ……蘇芳は体張りすぎ。
重蔵が生きる希望を見出したのが嬉しかったです。
事情を知らされてホッとしました。蘇芳への評価も「孫娘に酷いことをした最低のクズ」よりは上がったでしょう。
重蔵VS蘇芳には心を揺さぶられました。
本編で語られているので勝敗は読む前から分かっているのですが、敗因に「ああ……」と納得せざるをえなかった。
重蔵と蘇芳が別の形で出会っていれば。

設定資料集で色々明らかになったことにより、見てみたい話も増えました。
・山犬部隊
最初は自棄になっていた斎木が隊員との交流で絆を深めていくのを見たい。
・聖と蘇芳の出会い
人間不信を拗らせていた聖が蘇芳を見てどんな反応をしたか知りたい。
その中で夜行VS蘇芳もあったなんて見たくてたまりません。

ここからは特に好きな、何度も読み返した『縮地 対 指弾』の感想です。
蘇芳が強盗役を引き受けたことについて「いくら恩人の頼みとはいえ断れよ!」と思っていたんですが、斎木復活計画に必要なアレを手に入れるためだったんですね。
プレイした時は「アレを入手→恩を感じて引き受ける」という順番だと思ったんですが、実際は逆でした。要求を呑まないとアレを手に入れることはできなかった。
蘇芳にとっては仲間の弔い=斎木の復活はどうしても譲れないことで、そのためにこんなこともやった。
「説得は?」とも思ったんですが、数日かけて説得してそれでも駄目だったならどうしようもないよな……。

賊相手に低姿勢の重蔵に時の流れを感じてしんみりしました。闇奔の勇ましいイメージが強いので。
蘇芳の演技が強烈でしんみりした気持ちも吹っ飛びましたが。
蘇芳が強盗するなら「金! 女!」というキャラを作ってやるだろうと思っていたら的中したので乾いた笑いが出た。
一人称は私なのに「俺」にして、片言で喋る。
斎木に対する髪フェチ殺人鬼アピールは「気合入ってるなあ」と温かく見守れるのに、重蔵への強盗ムーブは「もういい、やめるんだ!」といたたまれない気持ちになってしまうのは何故だろう。
生々しさが違うためかもしれない。
「女性の美しい髪を手に入れるために三千人殺しました」だとぶっ飛んでて現実味が薄いし、「数字盛りすぎてない?」とか「バレるだろ普通」とかツッコミが浮かぶけど、「金と女目当てに強盗する」だと現実的というか……。

孫には手を出さないでくれという重蔵の頼みを蘇芳は拒否。
それまで下手に出ていた重蔵が気弱な老人の仮面を脱ぎ捨てる!
ここで死ねよ
ゾクゾクした。
斬撃を繰り出す重蔵も、凌ぐ蘇芳も、すごくカッコいい!
重蔵の強さを目の当たりにした蘇芳が薄く笑ったことに「おっ?」と思いました。
斎木との戦いも楽しんでいたし、強者との戦闘を喜ぶタイプか。
血を滾らせる彼を『縮地』が襲う。
これが見たかったんですよ。重蔵の縮地!
躱したのは蘇芳が初めて。どちらの格も感じられる。

蘇芳が演技をやめた。よかった。あのままだと話に集中できなかったかもしれない。
重蔵は家族にすら剣の腕前を隠している。
彼は誰も信じていない。
闇奔を見ていると無理もないと思う。
本編でも、誰かを信じて己の弱さを見せたり力を借りたりすることの難しさと大切さが描かれます。
特に斎木は他人を頼れと何度も言われた。

狙いを尋ねられて金と女を挙げる蘇芳に何とも言えない気分になったけど、重蔵は嘘だと断言した。
見抜いたのか。
少し救われた気がする。
といっても、「金と女目当ての強盗」から「事情があるらしいが、家族を傷つけようとする生かしてはおけない存在」に変わっただけですが。

重蔵の攻撃を蘇芳は躱し続け、技を称賛する。
普段は淡々と喋る蘇芳が感嘆符使ってる。
彼がここまで興奮しながら褒めたたえるなんて滅多にないのでは?
こんな状況でなければ闘志を燃やす様を応援・祝福できたのに。
重蔵は蘇芳の背景がひどく気にかかる。
そりゃなあ……。実力も退かない理由も謎だらけですよ。
一方的に攻撃されていた蘇芳が反撃に移るとあっという間に逆転してしまった。
重蔵の敗因に納得せざるをえない。
重蔵の足を折る直前の蘇芳の台詞にダメージを受けました。
本当に、違う形で出会ってほしかったよ……。
重蔵からすれば何言ってんだとしか思えないだろうけど、蘇芳にとっては本心なんだよな。

蘇芳はへたりこんで震えている聖に近づいていく。
何でもするからその娘には手を出さないでくれと懇願する重蔵の姿に胸が痛む。
主人公側のキャラが、卑劣な悪党に大切な相手を人質に取られるなどして追い詰められて、「頼むから○○を傷つけないでくれ!」と叫ぶ構図には興奮することが多いのですが、これは……。
別のキャラが助けたりして解決するから楽しめるのであって、傷つけられて終わりなのは見たくないんですよ!
血を吐くような叫びを無視する蘇芳の方もキツイだろうな。
自分の所業が下劣であることも、聖の身を案じる重蔵の気持ちが本物であることも理解していながら、踏みにじるわけで。
重蔵の見ている前で、蘇芳は聖の服を引き裂き……聖本人の依頼とはいえやめてくれよ。

「え?」と思ったのはここからでした。
本編をプレイした時、聖が仕組んだとはいえ、重蔵の心を壊したのは蘇芳だと思っていました。
とどめを刺したの聖かよ。聖の目と言うべきか。
重蔵は彼女の眼差しと、それが意味するものに気づいてしまった。そら心も壊れるわ!
前半の熱い戦いと後半の絶望で心がシェイクされました。振動で脳がガタガタになりそう。

落ち込む結末でしたが、別の話で後日談が描かれており、重蔵は聖の身に起こったことや、彼女が何を考えていたかを知りました。
蘇芳が無茶な要求に従った理由も。
よかった……本当に。
だからといって蘇芳が酷いことをした事実に変わりはなく、許せ、受け入れろと要求することはできません。
ただ、知ってくれただけでもものすごくありがたい。
重蔵から蘇芳への感情は複雑だろうな。
自分の心も体も深く傷つけた相手だけど、孫の聖は彼を信頼していて、彼も最後まで聖の味方だった。

さらに、聖から蘇芳への感情を知ると、強盗を頼んだことへの印象がかなり変わってきます。
実力だけでなく人格面での評価も高かったから頼んだんだろうな。もし強いだけの悪党に依頼したら重蔵や自分が命を落とす可能性もあったので。
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