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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

Ib

Ib
 
kouri様制作『Ib』の感想です。
※私がプレイしたバージョンはEND数が5個のものです。

世界観にどっぷり浸ることのできるホラーアドベンチャー。
オブジェクトやギミックなど美術館という舞台設定が活かされ、一つの世界を構成しています。
・とりあえずクリアを目指そう、何か一つエンディング見て一旦やめよう
・クリアした……
・よし他のエンディング回収しよう!
と綺麗に方針を変えました。

ホラーは得意ではないのですが、キツイ描写は少ないので楽しめました。
人体が直接どうこうではなく、人形や絵の具といった方向で怖がらせてきます。
本気で驚いたのは赤い服の女がいきなり……のところです。大勢の敵に襲われるところも焦った。
操作が下手くそなのでうっかり逃げ損ねて削られたり。ごめんイヴ。
敵意をもって襲ってくる相手ばかりじゃないのが、いい意味でペースを乱して和ませてくれます。
好きなのは目を閉じてくれる板、目玉、花嫁。
特に最後は○○○を投げる演出がにくい。
音楽ではギャリーのテーマが印象に残っています。



ここからはキャラクターについて。
・イヴ
喋らない系主人公。
台詞がほとんど無いのでどんな会話をしているか想像の余地が大きい。
怖い目に遭っても弱音を吐かずに進んでいくので強く見えるが、実は涙目で震えているかもしれない。
『心壊』の記述や、ウサギと人形について考えると、気丈に見えて精神的に追い詰められていたことが窺えます。
九歳の女児ですから無理もない。
怖ければ怖いと感情を出していたギャリーの方がまだ余裕があると言えるでしょう。精神の具現化たる薔薇もギャリーの方が枚数多いですし。
窓を覗いてビンタされるシーンがシュールでお気に入りです。九歳の女児で悪気があったわけではないのですが、叩かれる。

・ギャリー
相棒。
顔を見て「カッコいい」と思う
→「男の人」と表示されていたのに女口調で戸惑う
→ツバ飛ばしに怯える姿に情けないと思う
→イヴへの気遣いを見せたあたりからカッコよく見えてくる
という過程を経た人は他にもいるはず。
イヴを思いやる紳士。
初期はツバ飛ばされただけでビビっていたのに、イヴが倒れたあたりから頼もしくなる。
本人も怖がっているのにイヴを不安にさせまいと頑張る姿に好感が持てる。
イヴの代わりにリアクションを取ってくれるので「そう思うよなー」と安心できます。

・メアリー
怖可愛い女の子。
彼女を見ていると逆転裁判のとある台詞を思い出します。「無邪気で、だからこそ残酷だ」という。
出たいと願うのは当たり前ですし、可哀想かもしれませんが、他の人間を犠牲にして笑っていたのが……。
最初から入れ替わる気満々ですし、嬉々として花占いしたのは許せん。
たいして関わりのない通行人Aがむしられたとしても嫌な気分になるのに、主人公のために体張って行動してくれた相手ならなおさら。
悪役として見た場合かなり好きです。
明るく笑いながら我が道を行き、倒される時どこかに切なさもにじませる。
悪の華としての魅力を感じます。
どうしても邪魔になるギャリーどころか、親しくしていたイヴすら状況によっては躊躇なく殺しにかかりますからね。
現実世界に行ったとしても邪魔な相手を排除しそうで怖い。
やはり絵の世界の住人ということで、相容れなさを感じます。
そんなアンバランスさに惹かれる。

・ゲルテナ
興味が湧きます。
彼の作品群が世界を作り出し、その中で住人が動く。
さらにはメアリーという自我が芽生えた存在まで誕生した。
芸術家としてある種の領域にまで達していたんだろうな。
最後にメアリーを描いた彼はどういった心境だったのか気になります。

・好きなシーン
・ギャリーが○○した後のイヴの○○○○
痛ましい姿を目にした少女が必死で正気に戻そうとした行動なのだと思うとしんみりする。
もう一発入れると熱血系に思えてくる。
・ギャリーが自分の○○を渡しイヴの○○を手渡すシーン
薔薇を持っていろと念を押していた彼が、むしられる苦痛も恐怖も知っているのに、渡した。
イヴに手渡す時にしゃがむのもいい。
後味の良さはトゥルーエンド目指す方向がいいのですが、グッとくるシーンはバッドエンドの方向に多い気がします。

・エンディング
『ひとりぼっちのイヴ』はギャリーについていくパターンならば、悲しいけれどいいかもしれない。
逆に、母親が現れた時、彼女についていこうという考えは浮かびませんでした。
『いつまでも一緒』は一瞬入れ替わりかと思って焦りました。
他人、それも善人の命を平気で奪っていなければハッピーエンドと思ったかもしれない。
悪役が野望を成就させたある種の爽快感を感じます。あくまで可能性の一つとしてならば、こういう終わり方もいいかもしれません。
『片隅の記憶』はほろ苦いですが、綺麗なエンドだと思います。
『忘れられた肖像』&『再会の約束』の二つは同じくらい好きです。
前者は真っ先に辿りついたエンド。
ギャリーもメアリーも……というやりきれなさが好きです。
後者はキャンディとマカロン食べたくなった。
お互い渡したもので思い出すのがうまい。

ホラーゲームですが、怖さも後味もほどよい感じです。
恋愛要素が無いことも楽しめる要因になったと思います。
ギャリーがオネエ口調なのは、緊迫感を和らげるためと、ロリコンと言われないようにするための配慮かもしれない。
オネエでなかったら、イヴへの優しさや思いやりをロリコン扱いする意見が出てきそうですし……。
それと、両親と離れてしまい頼る相手がギャリーだけになったから、父親と母親の要素を兼ねさせてのことかもしれません。
彼の台詞によると自然にあの口調になったらしい。どんな時でもオネエ口調なのが味になってます。

メアリーが改心して三人そろって外に出る展開が無かったから印象に残ったのかもしれません。
イヴとギャリーがマカロンを食べに行く場面など見たいと言えば見たいですが、綺麗に終わっているので十分満足です。

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