忍者ブログ

ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

クウガ 小説感想

クウガ 小説感想



第一章 空白

桜井と笹山の結婚式から始まり、相変わらずロールパン好きな桜井に和んだ。
ブーケトスをキャッチしてしまう一条さん。一条さんじゃなかったら空気読めと責められそうだ。本人に悪気が無いからなぁ。
恐ろしいのは、『三十代半ばを過ぎてもかわいく見えてしまう元美青年』と言われていることだ。
いきなり一条さんは一条さんだと思わせるエピソードでした。
スピーチの内容も一条さんらしい。
杉田さんは頭を剃っていた。潔いという意見に同感。
本部長の松倉も懐かしい。
披露宴には五代も招待されていましたが、現れず。

一条さんの回想で本編の流れが語られます。
「ああこうだった、こんなことがあった」と映像が脳内再生されるだけでなく、文章化されたことで正確な心情がわかります。
一条さんはイラッとしたのか。
どこまでもふざけた奴……真面目な性格、仕事中、さらに緊迫した状況下で軽い態度取られたら仕方ないか。
第一印象は最悪。そ、そこまで悪かったとは思ってなかった。
そんな相手が、最高の相棒になるんですよね。
五代の笑顔の印象も、意味も、大きく変わります。
中途半端に関わるなと叱責したのがきっかけになったのかもしれない。
そこから五代が戦う覚悟を決め、変身し、倒した流れが浮かびます。
肩に寄りかかって寝ていた場面も出てきました。
確かに、普段の一条さんなら未確認生命体はどうなったか確認したがるはず。緊張が解けていたのか。

五代の心の傷が癒えて帰ってくるまで時間がかかるだろうとは思っていましたが、居場所どころか生死も分からないまま。
せめて一条さん達には連絡してほしかったと思いますが、心配させるとわかっていてもできなかったのでしょうか……。
警察官なら最初から人間を相手にすることも承知でなったわけですから、職務のためとある程度割り切れるでしょうけど、五代はただの冒険家でしたからね。
いっそ相手が完全な獣だったなら少しは楽だったかもしれませんが、普段は人間の容貌を持ち、言語を解する相手ですから。
心が聖なる泉で完全に満たされたらアマダムは消えるかもしれない。
根拠はありませんが、五代が言うなら実際そうなりそうです。
戦士から、一人の青年に戻れる。
五代が帰らない時間が長くなるほど、一条さんも己を責めることに。
たとえ五代が否定しようと、戦いに巻き込んで心に傷を負わせたと背負い続けるんだろうな。

おやっさん、みのりが登場。
チョモランマネタが懐かしい。
奈々は名前が出ました。
そして、今回の重要キャラ、伽部凛に触れられました。
国民的人気のアイドルです。描写が細かく、某グループを連想させる要素も。クウガが最近放送されていれば、本編にこういうネタも盛り込んだかもしれないと思いました。

第二章 幻影

一条さんは昔と同じく恋人いないネタでからかわれてます。
モテるはずですが、結婚どころか付き合っている相手すらいない。
過去の事情から家庭を持とうとしないことは本編で仄めかされていましたが、ここまで明確に詳しく語られたのは初めてですね。
警察官である父親が命を落とし、残された母や自分が涙した。
一条さんが好意を抱いた場合、責任を持って後のことも考えますから、当然思い出すこととなりますね。
一条さんに、一時的な関係と割り切って楽しむ真似などできるはずがない。

ゲゲルを思わせる事件の、犯人と思われる男が殺された。
早朝から15キロのジョギング……一条さんのタフさはここからきているのか?
実加登場。
グロンギの被害者の一人です。
懐かしい面々が出てくるので、蝶野にも出てきてほしかった。
上の事件も謎のままですが、新たな事件の捜査をすることに。
バヂスやジャラジを思わせる要素が出てきたり。
実加のスマートフォンさばきに一条さんは感心。
携帯をマナーモードにするのに手間取ったらしい。
他の方の感想を見て回った時も、散々ツッコまれてましたからね。完璧超人に近いのに、どうしてマナーモードにし忘れるのかと。

一緒に飲みに行って、お互い謝って……実加がずっと気にしていたのは予想できましたが、一条さんもだった。責任感の強い彼らしいですね。
ネット上での白いクウガ……グローイングが出たという書き込みに、嬉しそうな様子を見せない。
「今のこの状況では、絶対に会いたくない」とまで言う。
グロンギがいる状況で、彼とは会いたくないでしょうね。
またクウガとして戦わねばならないから。
実加の一言に大胆だと思いましたが、一条さんはそれどころじゃない。白のクウガのことばかり考えています。真面目で責任感が強いのも考え物だ。

第三章 天飛

椿がきた!
女性関係に関しては一条さんと椿を足して二で割ればちょうどよさそう。
二人の学生時代が描かれてお得感が。
真面目な一条さんに椿がちょっかい出してからかう関係と思っていましたが、元はあまり距離が近くなかったのか。
ライバル視して突っかかる椿と、スルーする一条さん。
多分、一条さんは自然に振る舞っていたらそうなって、その態度にますます椿が対抗心を燃やしたんだろうな。
二人が仲よくなったエピソードにニヤリとした。
真面目に見える一条さんと当時はチャラかった椿、そんな二人は根っこの部分が似通っていたんですね。
椿も絵本を読んで感動したのが意外だった。

一条さんと椿の会話で、本編最終話の正確な状況がわかりました。
私の解釈とは異なっていました。
てっきり、速やかに密かに治療を受けて、ある程度傷を治してから出発したのかと思ったら、違った。
笑顔を失った己の姿を、一条さんにも見せることなく去ったんですね。
最後の穏やかな場面は夢だったのが悲しい。できれば現実に起こったことであってほしい。

桜子さんも登場。
喜んだのも束の間、不吉な言葉が。
残っているグロンギはバルバだけじゃないかと思っていましたが、他にいる可能性が示されました。
まだ戦いは終わらない。
それを示すかのようにゴウラムにも動きが。
戦いが終われば消えてしまうと思われたアマダムも、逆に自己修復しているかもしれない。死ぬまで戦うためだけの体になるって辛いなあ。
五代への伝言を頼む桜子さん、切ない。
もう窓から入ってくることはできない。
五代が早く帰ってきてくれればと思います。

操作を進める実加が半端なく優秀です。
グロンギの使う数字が9進法なのは聞いたことがありますが、ここまではっきりと関わったのは初めてかもしれない。
ゲゲルの進め方や人物像など、本編のグロンギとは受ける印象が異なります。
ホラー的な恐怖は軽減された代わりに、胸糞悪さが上がっています。
敵、獲物である人間の中で何年も暮らして、やることは盛大な狩り。そのためだけに色んな人々と触れ合うとは。
最初から人間の敵、人を狩る者として振る舞えばそういうものだと割り切れるのに、人間のような顔をするのが最悪です。
こいつに「青空」を語ってほしくないと心底思いました。
『グロンギが人間に限りなく近づいているとしたら……。』
リント=人間がグロンギに近づいている、というのは以前バルバの口から語られましたが、逆もまたしかり。
ただし、手を取り合えるとかそういう方向にではない。
より巧妙に、残酷に、殺人遊戯を進めるようになった。

たとえグロンギと思われる相手がいても、法の改正により手出しが難しくなった。
すごくありそうな展開です。
間違われて射殺された人間が出たから仕方ないかもしれませんが、それで対応しきれるか甚だ疑問です。そんな場合じゃないのにとやきもきしてしまう。
実加の怒りや焦りが高まっています。
これ以上被害を出すわけにはいかないという想いだけでなく、家族をグロンギに殺された憎悪も含まれているのでしょう。
追究が難しいところに榎田さんに救われた気分になりました。
科学面での頼もしい味方です。
冴はミリオタかつアニオタになったらしい。
そういう方向に進んだ人もいるのか。

込められた意味をばらすシーンでは、「あっ!?」となりました。
あらかじめ気づいた方はいるのでしょうか。
問い詰めるも、相手は笑うばかり。
人間でないと知りつつも、踏みとどまってくれると信じた者は殺された。
それを語る時の相手の様子がまた……最低だ。
人間と触れ合う中で温かな心が芽生える展開は、グロンギには絶対ありえないと思い知らされる。
最後に白いクウガが登場しましたが、一条さんが意識を失ってしまったので、「うわああいいところで!」と叫びたくなった。

第四章 強敵

待望の、五代との再会。
思い描いていた通りのやりとりが展開されて喜んでいたら……。
一条さんがどれだけ五代の帰りを、再会を望んでいるかわかる。
おそらく、登場人物の中で最も願っているのは彼でしょう。
五代にただいまと言われた時の返答が一条さんらしい。再び会えて嬉しいと思っているはずなのに、口から出るのは厳しい言葉。
瀕死の状態から駆け付けた時と同じです。
懐かしい台詞に何とも言えない気持ちになったら夢でした。やっぱりな。

崩れた天井の一部が頭に当たったのにすぐ復帰する一条さんは相変わらず一条さんだ。不死身っぷりは健在です。
グロンギは倒されましたが、勝利を喜べる雰囲気じゃありません。
クウガは白のままで戦った。殴っても殴っても効かず、それでも攻撃するしかなかった。
うわあぁ……。

政治家の郷原忠幸登場。
庶民派らしい。
言動が爽やかで、人気があるのも納得。
いかにも立派な人物ですが、だからこそ胡散くさい。
その後の捜査の状況を見れば、なおさらです。

バルバまで現れた。
やはり彼女は生きていた。
一条さんと再び会いまみえると予想していた方も多いのではないでしょうか。
グロンギにとって、リント=人間として葬られるのは侮辱なのか。
彼女の発言には衝撃を受けました。
「まさかダグバより強い敵が!? そんなのいるわけないだろ!」と思いながらも絶望した。
実際は、策謀に長けていますが、純粋な強さはそこまででもなかった印象。
戦闘力や恐ろしさはダグバの方が遥かに上だと感じられますので、ダグバの格は下がりません。
ゆかりの顛末は残酷だと思いました。
実加の言葉は厳しいですが、確かにと思えます。もう少し何かが違っていれば、グロンギに付け込まれずに済んだかもしれない。
ただ、小川が正体を知っても隠そうとしていたのは金のためと切り捨てましたが、それだけじゃないと思いたい。思いたいのですが、実加は甘い意見だと言う。
それも当然です。
グロンギの被害に遭った彼女には許せないでしょう。

スマートフォンを解析して最後の敵の正体に近づこうとする。
時代が変わったと感じます。当時なら携帯電話かパソコンでしょうから。
『みんなの笑顔のため』。
五代を連想させるワードを敵が使うのが嫌でたまらない。

第五章 青空

見たかったものが詰め込まれた最終章。
残りページが少なくなり、「五代は出ないのか……」と思わせてからの展開に痺れました。

唯一の写真を探して見つめる一条さんが切ない。
写真くらい他にも、と思いましたが、楽しく記念撮影などできる状況ではありませんでしたね。
真面目な顔で映る一条さんと笑顔の五代、いつも通りの組み合わせです。
二人とも楽しそうに映るような日は来なかった。
写真を見て、改めて決意し直す。もう彼が戦わなくていいようにして、安らぎを。
本当に責任感が強い御方だ。
五代一人に背負わせたと苦悩する一条さんもまた、背負っています。背負いすぎではないかと思えるほどに。
ダグバと戦った時泣いていたことまで察しているのは、さすが相棒。

何故クウガが白のままなのか、実加が一条さんに問う。
半端な気持ちでは赤になれない。
五代の決意や覚悟を知った実加が五代を「みんなの笑顔のために犠牲になれる」「正義の塊」と評した実加ですが、一条さんは否定する。
確かに、五代が正義と言うとしっくりきません。
正義とか自己犠牲とか考えずに、ただ皆の笑顔を守りたくて戦った。
絶望的な状況でも、警察の面々は最後の敵を必死に止めようとする。
新型の断裂弾を作り出してくれる榎田さん、頼りになる。あの一条さんが戸惑うってどんだけじゃじゃ馬なんだ。

状況がいっそう厳しくなる中で、実加が思いを打ち明ける。
一条さんは彼女のことを認めています。心の底から、欠かすことができない大切な存在だと思っているでしょう。
大事な仲間、有能な部下として。
残酷なまでに彼の気持ちは明確ですね。
責任感が強いからこそ、いい加減な気持ちで受け入れることはしない。
断られ、覚悟を決めてとび出していった実加と、残された一条。
知らされるプロトタイプのアークルの話。
不完全で心の闇を容易に増幅させてしまうもの。
クウガでまさかの二号ライダー。
違和感があってもぼんやりしていたのが、スッキリしました。
もしいきなり「クウガで二号ライダーが出る」と知らされたら、穏やかじゃない気分も出てきたかもしれません。
OPの歌詞のように、涙を仮面の下に隠して苦しむ、英雄という名の生贄は一人でいいんじゃないか、五代だからこそ乗り切れたんじゃないかと。
実際はどうかというと、やはり五代とは違いました。
一条さんはアークルを身につけたのが自分ならよかったと言いますが、それだと多分駄目だったんじゃないでしょうか。
後の展開でそう思いました。

最後の敵、ライオが正体を現し、短時間で千人が命を落とした。
ライオの言葉が心に刺さる。
ゲラグもライオも完全にリントを馬鹿にし、見下している。
以前のグロンギも見下していたのは同じなはずですが、より陰湿に感じる。
以下、彼の台詞の要約です。
かつてのリントはプライドを持っていたから、ただ殺すだけでも十分に楽しめた。
だが、今は違う。
手なずけて、裏切って、愚かさを思い知らせて地獄へ落とすくらいしなければ楽しめない。
十数年の時を経て外道さや陰湿さがパワーアップしてませんか?
細かい部分は直接確かめてください。書き写すのも嫌になる。
さらにこの後の発言がもう……父親をダグバに殺された実加に対して、言うことがそれか。
「今度こそ殺す……絶対に殺す!!」という絶叫が悲痛だ。憎悪に呑まれるのも当然です。

一気に状況が動いた!
援軍と共にBTCS3000、新型弾丸が到着、しかし弾は一発しかない。
一発で仕留めると言い切った一条さんがカッコいい。
完全に闇に染まったクウガの力にビビった。
東京タワーを、丸ごと変貌させる……!?
ダグバとの最終決戦で、あの殴り合いだからこそ伝わるのだとわかっていても、「超常的な力のぶつけ合いも見てみたかった」という気持ちがどこかにありましたが、訂正します。
披露したら大惨事確定です。
周囲に人間がいなくても、どこまで巻き込まれるかわからないぞ、これ……。

グロンギに対抗できるはずのクウガが暴走して、もう駄目だと思った時に現れたのは、“彼”でした。
再会を喜ぶ間もなく、赤のクウガを黒のクウガが馬乗りになって殴り続ける。
五代が怒りに衝き動かされてジャラジを殴り続けたシーンを思い出しました。
何とか止まってよかった……。
闇に染まったのは、プロトタイプアークルが不完全だったせいもありますが、元々憎悪が大きかったためでもあるのではないでしょうか。
相容れない敵でも力で相手を打ち負かすことを忌避する五代だから、暴走せずに済んだ気がします。
一条さんがアークルを身につけた場合、プロトタイプだろうと五代と同じものだろうと、割り切って躊躇いを捨てて目が黒くなりそうです。

ここから彼の番です。
続けざまのフォームチェンジが熱い!
封印エネルギーを逃がすことのできる力が厄介ですね。
怪人体ではエネルギーを放出されて、仕留めることはできない。
かといって、人間の姿の相手を殺せば、五代はいっそう苦しむことになる。
最後は……一条さんが決めた。
今度は五代に背負わせずに済んだんですね。
もう彼が戦わなくても済むと証明できたことになるか?

ラスト数ページ、特に最後のシーンに色々な物が凝縮されています。
戦いが終わり、ようやく再会した二人。
身を寄せ合う構図は二話の終わりを思い出します。
ようやくこの時が来たかという感じです。
五代は一条さんがどう反応するか、完璧に把握していますね。夢でも「遅いぞ五代!」と言ってましたし、そう言うでしょう。
結局、五代はただの冒険野郎に戻れなかった。
顔を見れば感情を抑えられなくなるから見ずにいようとする、感情を抑えようとする一条が悲しい。
五代も同じ理由で顔を見なかったんだろうな。
何行こうとしてんだよ五代!
一条さんも止めろよ!
妨げになるとか言ってないで素直になれよ!
思わずそう叫びたくなりました。

背中を向けて去ろうとした二人ですが、振り向いてしまう。
二人とも、相手がもう遠ざかっていると思ったんだろうな。そして、それが間違いだったと知った。
きっと同じことを思って、同じ行動をしたんだろうな。相手のことを考えて、感情を抑えようとするのも、できなかったのも同じです。
最後の一条さんの叫びにシンクロしました。
本来ならば、この台詞はダグバ戦後に言いたかったはず。
十数年経って、ようやく伝えることができたのではないでしょうか。

続きが出せそうな要素が幾つもありますね。
・未だ生存しているバルバ
・ようやく皆の前に姿を現した五代
・実加を始め、一条達のその後
などなど。
後味がいいとは言えない終わり方です。
しかし、五代のあの仕草と一条さんが穏やかな表情で見送ったことから、希望を抱けます。
今度は生死不明のまま彷徨うことはないと思いたい。

全体の感想をまとめると、映像や音声の脳内再生が容易です。
何より、「クウガだ」と感じられました。
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

最新記事

(05/05)
(04/28)
(04/21)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
(03/24)
(03/17)
(03/10)
(03/03)