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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

大神感想 第一章

大神感想 第一章

大神の熱いシーンの紹介と感想を述べます。
多大なるネタバレを含みます。
※一章、二章という区切りは仮のもので、明確に示されているわけではありません。

まずは一章……ヤマタノオロチ関連から。
スサノオの成長やクシナダの決意が熱い。


・英雄の血
最初スサノオは「サボってばかりですぐ困難から逃げる、情けない男」という印象でした。
ご先祖様が英雄だから態度が大きいとばかり思っていたのですが……後から思うと、自分に言い聞かせていたのかもしれません。
「イザナギの伝説だの血筋だのはもうたくさんだ!」
「いつもいつも何かと言えば、イザナギの血筋血筋……」
と、能天気に見える裏でかなり悩んでいたのだろうと思わせる台詞が出てきます。
偉大な先祖の血をひくというだけで勝手に期待されたり幻滅されたりしたんだろうな。
実際、商人は無茶ぶりしすぎです。イザナギ様の子孫なら凄い技の一つや二つ持ってるはず、どうにかしてくれるだろって……。成功しても本人の実力ではなく血筋に注目していますし。
嫌気もさすわ。

・スサノオの苦悩と告白
普段は見栄っ張りで己の腕をわきまえていないように見えますが、自分の力だけで解決したわけではないこと、何者かの介入に気づくあたり、決して鈍いわけではない。
赤カブトの時は、むしろ自分の実力を低く見ているように思えます。風を吹かせたのはアマ公ですが、斬ったのは紛れもなく彼の力なのに。
神の存在を近くに感じたからこそ、オロチを復活させてしまった責任や罪悪感がいっそう強まったのでしょう。
「神さまが……お天道さまが我をずっと見ているろら! お前を絶対許さらいって――」にはやるせない気持ちに。
アマテラスはそんなこと考えてないよ……。
力を貸してほしいと思ったにせよ、退治するまで許さないなんて思うはずがない。
自分を責める気持ちがあるからそういう風に考えてしまったんだろうな。

そんな彼に、生贄に選ばれたクシナダが言葉をかける。
「あなたはそんな弱虫じゃない」
「神さまが戦えって言うなら……それはあなたしか頼りがないからよ」
「私、信じてるから。あなたが来てくれるって信じてるからね!」
ええ子や……。
伝説の酒は自棄になったスサノオが飲み干してしまったが、彼女が丹精込めて造った酒は残っている。
オロチを酔わせる事くらいできると意気込んで走っていきます。

・忠義
満月の夜から十六夜の祠に向かうまでの話ではクシナダの言葉ももちろんいいのですが、村の少年ムシカイと飼犬ハヤブサのエピソードも好きです。
今まで元気に穴を掘ったりしていたのに、ハヤブサは突然地面に座り込んでしまった。
ムシカイはいくら命令しても同じ場所から動こうとしないハヤブサに怒り、
「あんな奴もういらねぇやい! もっと利口な犬の方がいいやい!」
と口走ります。
酷い……!
ムシカイがいない時にアマテラス達が事情を訊くと、ハヤブサの正体が明かされます。
実は八犬士の一員、忠狗がハヤブサを名乗っていた。本物のハヤブサはムシカイの父と一緒に散歩に行った帰りに妖怪に襲われた。
通りかかった忠拘は死ぬ前のハヤブサからムシカイを守るように頼まれ、ハヤブサとして生きることにした。
十五夜の満月の夜に矢が放たれ、ムシカイを殺す。その予言が成就するのを防ぐため、忠拘――ハヤブサはずっと見張っている。
ハヤブサの遺言を守り、怪物からムシカイを守り抜くために。
まさに“忠”に相応しい。

スサノオがオロチ復活の真相を告白し、それに応えるかのように骨鏃の破天矢が放たれる。
貫かれそうになったムシカイを間一髪で救ったのは、忠犬ハヤブサでした。
ずっと座っていたのは矢から自分を守るためだったと知り、冷たい態度をとっていたことを詫びるムシカイ。
ハヤブサをぎゅっと抱きしめて泣きながら謝ります。
本物のハヤブサとの約束を守ったんだな、忠拘。
オロチ戦後にムシカイと話すと、ハヤブサが入れ替わっていたことに薄々気づいていたことが明かされます。
でも、本物のハヤブサかどうかは関係ない。
自分を命を救ってくれた相手で、大切な相棒なのだから。
いい話だ。

・クシナダを乗せて
オロチの元に向かおうとするクシナダに追いつき、イッスンが無謀だと告げるも、彼女は考えを変えようとしない。
生贄が逃げれば村の人間が殺される。
だが、それが理由で行くのではない。
「皆が悲しみながら生きていく世の中はもうたくさん。私の生涯を懸けたお酒で悪い怪物をやっつけてやるんだから!」
自分でもバカだとわかっていても、止まるわけにはいかない。
彼女の決意に対しアマテラスがとった行動は、背中に乗せることでした。
ここでBGMが『クシナダを乗せて』に変わります。
チクショウ、どっちも格好良すぎる!

・決戦
いざヤマタノオロチとの戦いに臨みますが、体中に結界を張っているためアマテラスの攻撃は通じない。
クシナダが食われそうになった瞬間、勇ましい制止の声。
スサノオ登場!
彼はオロチと契りを結ぶためにやってきたと告げ、オロチは満足げに答える。
百年もの間己を封じてきたイザナギの血と盟約を交えれば凄まじい力を得られる。
血盟の言葉を叫ぶよう命じられたスサノオは抵抗せず頷き、高らかに宣言する!
「やあやあ我こそは古今無双の大剣士! イザナギが末孫スサノオなるぞ!」
今までと違う、中身の伴った言葉です。
木剣でオロチの結界を突き破り、額を刺す!
すげえ。おっさんすげえ。
冷静に考えると無茶苦茶なのにすんなり納得できるのはなぜだろう。
今までの情けない姿があるから凛々しい姿が映える。
「このスサノオ、神の力も魔の力も借りぬ。イザナギの血にかけて貴様を滅してくれるわ!」
今まで重荷だとばかり思っていた己の血を肯定し、誇りとすることができた。
偉大な英雄の陰に苦しんでいた彼が、神話や伝説に登場するような恐ろしい妖怪に立ち向かう姿がカッコいい。
オロチを倒すほどの力を持ったのは血の影響もあるかもしれませんが、本人の資質や大切な人を守ろうとする勇気が大きかったのだと思います。
強さは全て血筋のおかげと考えるのは失礼というか……。剣筋や発揮する力が同質、という意味で「イザナギの血」というならば納得できます。
再び戦闘が始まり、攻撃が通じるようになったためアマテラスも果敢に奮闘。
アマテラスが夜空に三日月を描くとスサノオの木剣に金色の光が降り注ぎ、彼は跳躍してオロチに斬りかかる。
筆しらべとともに切り裂いていきますが、最後の一撃はアマテラスの手助け無しで火の首を縦に真っ二つに。
マジで強い。

オロチを倒してもスサノオの表情は晴れない。
辛そうに語るスサノオにクシナダが答える。
「いつもみたいに笑ってよ!」
と。
一瞬沈黙したスサノオは朗らかに笑いだす。
お幸せに!

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