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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

大神感想 第二章

大神感想 第二章

二章は両島原を訪れてからの話です。


・覚悟
この章を一言で表すならば「覚悟」だと思います。
キュウビと戦う時は負けるわけにはいかないという思いがこみあげてきます。
弔われることすらなく屍が朽ち果て白骨となった本物のツヅラオ。
キュウビの力の源を奪った代償に狂ってしまい、人々を殺め、最後に自我を取り戻し絶命したワダツミ。
夫の死を知らされても気丈に振る舞い、結界を己の身で遮り島への懸け橋となったオトヒメ。
妖魔軍の拠点、鬼が島の位置を突き止めるために身命を賭した女王ヒミコ。
彼らを思うと絶対に負けられない。

・妖魔王キュウビ
茶番だと嘲笑ったり「慌てふためくヒミコの最期を見せてやりたかった」と告げたり、徹底して憎まれ役。
大妖の風格を漂わせながらもどこか憎めないヤマタノオロチとは対照的。
ヤマタノオロチには可愛げがありますからね。
水:水遊びで浮かれる。
雷:自分の攻撃で敵を見失う。姿を見せる時も雷だけあたりを見回す。
土:自分の攻撃で目を回す。
火:スサノオにひたいを刺されて首をぶんぶん降る。
などなど。
ほんとに可愛いな。
オロチの部下の天邪鬼も能天気で、戦闘のたびにしばき倒してきたことに罪悪感が湧く。
ただのトボけた狼扱いされたり、エサをもらったり、他の奴も仮面だけで騙されたり、和んではいけないのに和みます。
逆に、キュウビの手下、疾飛丸とのやりとりは哀しい。

・疾飛丸
敵の手下なのにアマテラスを心から認め、命令に背いて消える間際に一輪の花を手向けた。
薄い紙の体には熱い魂が流れている。
疾飛丸は門番の役目を捨てたらどうなるか知っていて、あえてアマテラスとの勝負を選びました。
任務放棄の罰を受けて消えてしまおうと、彼に悔いはなかっただろう。
殺伐とした鬼が島が楽しかったのは彼のおかげです。
彼の散り様は漢でした。
だからこそ、公式サイトのレトロ大神で救われた気分になれました。
また競争しよう、疾飛丸。

・女王ヒミコ
「何でヒミコ様は何もしてくれないんだ」と不満を漏らしていた人々。
彼らは、自分達が疑っている間も民を思い続け、平和を掴むため命を捧げたヒミコの行動を知って悔い、彼女を信じられなかった自分を責めました。
彼らの気持ちはわかります。
プレイヤー視点だから彼女が動かないのも事情があると感じますが、自分が西安京の住人だったら同じように恐れや不安をヒミコに向けていたでしょうから。
というか、プレイヤー視点でも途中まで疑っていました。
本当にすみません、ヒミコ様。
彼女には民の声が届いており、動こうにも動けず苦しい思いを味わっていたのに。
ヒミコは己の命を駒と見なし、死さえも計画の一部として妖魔軍の拠点を叩こうとした。
アマテラスもその覚悟を受け入れ、彼女の計略に従った。彼女が死ぬと知っていながら。
神に相応しく、プレイヤーに見えていない先まで見通している。
そんなアマテラスでもどうしようもないことがある。
苦く、重い展開です。

・ツヅラオ
ボインにすっかり目がくらんでいました。だ、だってあのBGMが!
彼女を疑うことになったのはいつからだったか。
少しずつ積もり積もって決定的になったのは水龍の体内から脱出した後、キツネ管関連のやりとりでした。
基本的にプレイヤーの意思どおりに動くアマテラスがあの瞬間だけ手から離れ、明らかに怪しいのに進んで渡したのが印象的でした。
襲われる映像を見てから駆け付けるまでの間に数珠の色や目、白骨死体など幾つもヒントが提示され、疑惑は確信に。
化けツヅラオと戦った後、九本の尾が延びる演出が秀逸。
日没までに行かねば二度と拠点は突き止められず、一方的に攻めこまれ国が蹂躙されるという緊張感。
残り時間が表示されていないためいっそう焦りが募ります。
辿り着いた時の安堵は大きい。

・オトヒメとワダツミ
彼女も強い。鬼が島の結界を破るためには龍玉が必要だと言うので水龍の体内からとってきたところ、水龍は死んでしまった。
龍玉とは龍王の心臓。つまり彼女は龍王が死ぬと知った上でアマテラスたちに頼んだ。
狂ってしまい、多くの人を殺している彼も止められることを望んでいるのだから。
最期に自我を取り戻したワダツミの言葉がまた重い。
妖魔王と戦い敵の力を奪ったため、暴龍と化してしまった。
両島原の海と人々を愛していた彼がどうしてこんな……。
キュウビとの戦いの場には、本物のツヅラオが異変へ導き、ヒミコが拠点を暴き、オトヒメが結界を破り、疾飛丸と競い合うことでたどり着くことができた。
誰一人欠けてもキュウビの前に立つことさえできなかった。
負けられないと思いながら戦っていました。

・戦いを終えて
ほのぼのして癒されるのでゆるいゲームと思いきや、厳しい展開もあって話が締まります。
大神の世界は、優しくはあっても、けして甘くはない。
それでも戦いが終わった後、都の人々に話を聞くと前向きな気分になれます。
都に着いたばかりのころは、犬嫌いの貴族に汚い犬だの何だの冷たい言葉を投げつけられました。かなり腹が立ったのですが、物事の本質を見抜く目が必要なのだろうと考えるようになった彼女はアマ公への見方を変えようとし、最終的には気遣ってくれるように。
か……可愛いじゃないか。

他の住人も、
「ヒミコ様が守った都をこれからは我々が守り抜く!」
「後継者も大事だけど一人一人が自覚を持つことが重要」
「平和を手に入れることも難しいが、維持することも難しい。だが、一丸となってやり遂げる」
「私達が元気に生活している姿がヒミコ様の望みなのだから上を向いて生きよう」
と前向きに生きていこうとしています。
今までは強い力の持ち主に頼る面があったのですが、「自分たちの手で」という意気込みを見せるようになりました。
自分たちの態度を反省し、問題点を自覚し、改善しようという姿勢が好ましい。
犠牲は大きかったけれど変わろうとしている。
平和を願ったヒミコの魂は確かに受け継がれています。

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