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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

柔道部物語 10巻

柔道部物語 10巻


・敗北
三五の敗北に、TVで観戦していた飛崎弟まで柔道をやめたくなるレベル。
樋口は両目を閉じてる。
2位でも十分すぎるほどすごいはずなのに、喜ぶムードじゃない。
インタビューに対する鈴木先生の言葉にツッコみたくなった。
「最後まで安心して見てられました」
胃にはダメージが入っただろ。
西野の方は……。
「ここまでこれたのも先生の指導のおかげです」
うわあ白々しい。
相手が去った後馬鹿笑いを披露します。
西野お前、この野郎。
西野は「このクソ野郎!」と叫びたくなる要素と「すごい……!」と尊敬したくなる要素が合わさった、実にいいラスボスですね。
後に「三五の背負いはたいしたことなかった」と語ります。

・スランプ
骨折した秋山は靭帯がきれて全治6か月。金鷲旗もインターハイも絶望的。
三五の目が死んでいる。
以前も眉毛が円形脱毛症になりましたが、今度はミステリーサークルができてる!?
笑いごとじゃないのにギャグをぶっこんでくる。
ボロボロの三五を気遣って内田が休むよう提案する。
無理に引きずり戻そうとしない優しさがありがたい。
逆に遠藤はズカズカ踏み込んでくるのでちょっと……。
スカウトしたい気持ちは分かるけど、もう少しタイミングを考えてください。

今回のスランプは長い。
話数で言えばそこまでかかっていませんが、今まで不調になってもあまり引きずらずに復活したから長く感じる。
深く打ちのめされているからこそ、西野の強大さが伝わってくる。
屋上に立って地面を見つめる三五。
紛らわしい行動はやめろ、発見した内田の顔が変形してる。

・柔道部物語
道場の近くを通りかかった三五はセッキョーの声を聞いて今までの思い出を振り返る。
練習の音じゃなくてセッキョーなのがよく考えると酷い気もしますが、出発点はそこだからな。

「俺の柔道部物語はここからはじまったんだ」

タイトル回収きました。
復活の予感。

調子が戻ってきた三五の台詞が熱い。
「俺はもう覚悟を決めた! 俺の全部を柔道にくれてやる!」
それくらいしなけりゃ西野には勝てないからな。
西野と闘うことが俺の青春だ、という台詞に、樋口も三五に似たような気持ちを抱いていたかもしれないと思った。
残ったモヤモヤを吹っ飛ばしたのはひろみからの電話でした。
あと一歩というところで最後に背を押すのはひろみの存在なんですよね。
湧き上がった煩悩ごと悩みを吹っ飛ばす感じで……こう書くと感動的じゃないな。
一年生が入部し、三五も練習を再開する。
三五十五、復活!

・特訓
道場に飛崎兄と樋口が来た!
西野ショックでやる気なくしたと聞いて活入れに来たとのことでしたが、誰から聞いたんだ。
岬商の面々が教えたのか、たまたま耳にしたのか、どうなのか。
とにかく、樋口は袖釣りを、飛崎兄は内股を教えにきた。
「覚えといて損はねえだろ」
損はねえどころじゃない。
ライバルの得意技を会得するって熱いな!
田丸が樋口の袖釣りにくいついてる。

樋口と飛崎兄が教えてくれるのはいいものの、それぞれバラバラな指示を出すから三五は混乱。
樋口は袖釣りを出すよう指示し、飛崎は内股でいくよう叫ぶ。
ほっといてくれと言いたくもなるわな。
三五に対して樋口が怒る。
「なんだとこのやろ、ひとが親切に教えてやってんのに」
結構イイ性格してんな、樋口。
もっと主張が控えめな優等生だと思っていましたが、全然そんなことなかった。
そもそもライバル校を鍛える時点で問題児です。

樋口が岬商に行くことを山崎はどう思っているんだろう。
あれほど敵対心剥き出しなんですから、岬商を強化するのはやめてほしいはず。
柔道部を引退した以上、直接指図する権限はないかもしれませんが、江南の生徒ではある。
後輩の強化を優先すべきと言うなら反論の余地はありません。
……樋口の無念や未練を思えば止められないか。
最後の試合を止めなかったように。
改めて山崎の境遇を考えると、高校一年生でインターハイ個人優勝を決めた超有望なエースが怪我で再起不能になった挙句一番負けたくない宿敵を強化するという……泣けてくる。

・変わらぬ男、名古屋
名古屋のマイペースっぷりは大したものです。
全国大会に出場する部の中で実力もやる気もない状態だと「ついていけねー……」と疎外感を抱きそうなものですが、のんびりやってます。
全員が燃えて伸びるわけではなく、適当にやる者もいれば、岡のように努力してもなかなか伸びない者もいる。
メインキャラがどんどん強くなっていく熱さとのバランスが取れているかもしれない。

・西野に勝つ方法
西野は国際試合強化選手のAランクになってました。
国際高校柔道選手権大会の決勝で、一本取って勝った。
団体戦だから無双感は薄いですが、とんでもねえな。
このままだと史上最年少世界チャンピオンになってしまう。
「西野につけいるスキなんかねえよ。あいつに勝つには、あいつより強くなるしかないんだ」
それを聞いた飛崎兄も樋口も嬉しそう。
樋口は西野に因縁あるから分かりますが、飛崎兄はよく付き合ってくれるな。
樋口に引導を渡すよう叫びましたし、西野ではなく樋口絡みで肩入れしているのかもしれない。

史村来訪。
鈴木監督は胃潰瘍で学校に来なくなった。
かつて登校拒否になった西野が教師を登校拒否に追い込むか。
ハードな練習をする三五を指して、西野がいばっていられるのも金鷲旗までだと語る五十嵐。
普通はそう思いますよね。
成長速度の異常な主人公が猛特訓して、ライバル達に鍛えられたら、ラスボスも倒せるはず。
次の史村の台詞がとても好きです。

「でもこのくらいの練習は、西野だってやってるんだよ……」

「こんなに鍛えている主人公ならラスボスを倒せる!」と希望に燃えるところでしょう、ここは。
そうさせてくれない西野の強さと絶望感が見事。
力に溺れていても鍛錬を怠る男ではない。
そんな性格ならばここまで強くはならなかった。
後輩をしごいて強くしたと言っても、自分が楽して威張ってただけじゃないと確信できる。
誰よりキツい練習をこなしているからこそ、逆らえない光景が目に浮かぶ。

・夏・県大会
三五はムキムキになっていました。
さりげなくポージングするのやめてください。
自分ですごい選手と言うなよ。実際すごい選手だけど。
三五も結構イイ性格してるな。
この主人公にしてあのライバルやラスボスがある。

江南の花形が学校をやめたと聞いて喜ぶ三五達。
聞かれてる、聞かれてる!
山崎がキレてる。
ただでさえ怒りっぽいのに刺激しないでください。
樋口で怪我で引退せず、花形が柔道を続けていたらなぁ。飛崎弟も加わると終盤でも相当手強かっただろうに。
花形はもったいないキャラです。
体重差で押しつぶす戦い方は桜木とかぶり、星とライバル関係になるかと思いきやあっさり退場しましたから。

また樋口と飛崎がセットで観戦してる。
この二人しょっちゅうつるんでるな。
こんなところでつまずく岬商でもなく、圧倒的強さで勝ち進む。
飛崎弟が兄に、来年も闘う田丸達まで強化したことに文句を言う。
恨み言ではなく闘志をぶつけてほしかった。
というか、隣の樋口には言わないのか?
袖釣りをガッツリ教えてたけど。
田丸との対戦時、冷や汗流しながら弟を励ます飛崎兄。
樋口も「しまった……」と言いたげな顔をしている。
岬商を強化したことに江南の後輩から文句言われてもおかしくない。
田丸と飛崎弟は互角。
良きライバルになりそうです。

三五は大脇を一蹴。
大脇はインフレに取り残されたキャラですね。
登場時は未熟ながらも一つの技で勝ち進む三五と似たタイプで、ライバルになるかもと思いましたが、舞台が全国に移った後だと物足りない。
ピキピキきていながらも二発投げられたことを見抜いているあたり、山崎も見る目はあるんですよね。
苛立ちを生徒にぶつけているので台無しですが……。
大脇は油断したり手を抜いたりしていないのに、拳骨くらわせることはないだろ。
そんなんだから花形に逃げられたんじゃないか?
樋口関連で上げた評価をなぎ倒す勢いです。
終いには怒りすぎて倒れる。そのまま二度と出てこない。
わりと綺麗に締めるキャラもいるのに、山崎はこんな終わり方でいいのか?
鈴木先生の評価は「西野をつけあがらせた→入院している身で叱ったり、会場まで駆けつけたり、いいところを見せた」で上昇したのに。

・掛け算
三五の上達の速度について触れられた樋口が笑顔で答える。
「きっと名前のせいだ」
「並の人間は足し算で上達していくけど、あいつの場合かけ算で上達してしまうんだ」
上手いこと言ったって思ってるだろ。
真面目で固そうな性格に見えてアレだな。
飛崎の反応は、
「すごいこじつけ」
でした。
物凄く面白がってる笑みで。
実際に掛け算並みの速度で強くなっているから微妙に否定しきれない。
ただし名前は関係ない。
相手がノリのいい飛崎でよかったな。
素で「は?」と冷たく返されたり「何言ってんだおまえ」と呆れられる可能性もあったぞ。

個人戦は省略。
省けるところはバッサリカットしていく。

・西野と鈴木
三五飛行機で福岡に向かう頃、西野は……鈴木監督のお見舞いにきていた。
院内の人々の視線を集めてる。
筋肉ムキムキ頭ツルツル目つきの悪い男が歩いて来たら怖いからな。
ここで「見舞いに来るなんて、実は優しいところもあるんだな」と思った方、ちょっと待ってください。
鈴木先生が入院したのは西野が与えたストレスによるものです。
優しさを見せるならもっと早くしとけよ! 入院した後なんて遅すぎるだろ!

「よお! 元気かい」
フレンドリーでかえって怖い。
先生の反応は「オエ~ッ」。
酷いと言えば酷いが仕方ない。
「失礼な人だな。ひとの顔みてゲロ吐くこたねえだろ」
お、珍しく常識的な台詞だ。
発言者が西野でなければ頷きたい。
元はと言えばあんたが好き勝手したからだろと言いたくなる。
スイカを持ってきた西野を見て思った。
……見舞いの品を店で選ぶ彼の姿を想像すると笑いがこみあげてくるのですが、どうしたらいいのでしょう?

西野は明日福岡へ行く。
「あんたがいっしょに来れねえのが寂しいよ」
最初この台詞を見た時の感想は「また思ってもないことを……白々しいなコイツ」でした。
読み返すと印象が変わる。
レギュラーの五人しかいなくなってしまったからいまさら寂しくもないかと付け足す。
全国優勝を決めたチームとは思えません。
傍からはどう見えるんだろう。
栄光に包まれているはずなのに、監督は入院、部員はギリギリの人数、最も強い選手は態度が最悪。
……近寄りたくないな。

やめた連中を根性なしと評する西野に鈴木が怒りを見せる。
「こ……このバカヤロウ! みんなおめえのやりたいほうだいに嫌気がさしてやめていったんだろうが!」
これで西野が怯めばいいのですが、そんなはずもなく。
やめた連中には個別にヤキ入れたと悪い笑顔で語る。
ああっ、また先生の胃にダメージが!
見舞いに来たのか追い打ちかけに来たのかどっちなんだ。
「不良がたまに優しいところを見せるといい人に見える」法則がありますが、西野の場合酷いところも同時に見せるからいい人と思わせない。
どんな目に遭わせたのか気になるけど、知っても気分悪くなるだけだろうから別にいいか。
学校は今度こそ処分しなかったのか?
それとも、被害を訴えられないよう、西野が上手く立ち回ったのか?
単純に「チクってもいいが、どうなるか分かってんだろうな?」と脅したか。

鈴木先生は西野の増長を防げなかったため、「強く」はないかもしれません。
ですが、弱くもないと思います。
弱いだけなら、対戦相手の腕を折って平然としている男にバカヤロウなんて言えない。
機嫌を損ねたら半殺しにされるかもしれないのに、弱っている状態で叱るんですから。
「こうすべきだった」という点はありますが、間違いっぱなしではない。
良くも悪くも普通です。
五十嵐ほど柔道のセンスがあるわけでもなく、山崎ほど統制を取れるわけでもなく。
五十嵐ほど適当じゃないし、山崎ほど理不尽に叱りつけることもしない。
かつて言えなかったものの、ようやく言うべきことを言った。
彼の気持ちは西野にも届いた様子。

「しかし今の俺にゲロ吐きながらもバカヤロウっていってくれるのはあんただけだな、先生」
「そして今までで一番俺を誉めてくれたのもあんただ」

以前は思いっきりバカにしていたのに、今になって認めるような台詞を……。
孤立していく中でようやくありがたさに気付いたのかもしれない。
現在の周囲の人間はすごいすごいと持ち上げちやほやするか、不満を抱きつつも力に屈服して従うかのどちらかでしょう。
その中でストレートに叱ってくれる存在は貴重なはず。
実力者に……有名になる「前」から彼の努力を認め、褒めてくれた人物についても同様だろうな。
こうなると、寂しい発言も完全な嘘や皮肉ではないかもしれない。

この場面が好きなんですよね。
「誉めてくれた」の西野の表情は、普段の憎らしい笑みとは違うものに見える。
先生の方も、嫌悪感を露にした表情が和らいでいる。
ここで西野の生徒としての顔を見たからこそ、会場に駆けつけることができたのかもしれない。
二人のキャラがグッと深まったと感じられました。

・金鷲旗開幕
週刊誌の記者が西野に自殺未遂の時のことを聞こうとする。
んなことホイホイ訊くなよ……。
西野もさすがにいつもの優等生な答えを返さなかった。
「だからそのとき死んだんだよ、俺は」
沈黙するしかない。
下手なこと言ったら絞められる。

エレベーターで三五達と邂逅し、たくましくなった体躯を見て、西野は笑みを漏らす。
「おめえもバカヤロウだな」
この台詞を、私は「俺に勝てるわけないのに無駄な努力しやがる他の連中と同じだ」だと解釈しました。
「俺と同じ柔道バカだな」という解釈もあるようです。
この時点では他の選手を認めるまではいかないと思いますが、自分と同じ説が出るのも分かる。
まだ力に溺れていますが、鈴木先生とのやり取りで情が残っていることが示された。
そして、そこで出た「バカヤロウ」という単語をわざわざ使っている。
認めていると解釈できるかもしれない。
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