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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

柔道部物語 2巻

柔道部物語 2巻


・地獄の合宿
岬商柔道部は強豪、下山田農業で一週間合宿することに。
五十嵐の妻が登場しました。
豪快で朗らか。
貴重な女キャラの一人です。
他に目立つ女キャラと言えば、三五の彼女の原田ひろみとファンの平家ゆりくらい。
後はマドンナ(車)くらいしか……自動車をカウントしていいのか? まあいいか。
五十嵐が結婚できたことに驚く小柴に同意してしまった。

合宿には江南も参加します。
斉藤を破った樋口に三五が注目している。この頃から関心があったものの、まだ打倒を考えてはいません。
下山田農の主力、清水の身長は195cm。
怪物と言われる通り、フランケンシュタインを連想する外見です。
でも子供から顔怖いとか言われたら傷ついて涙しそう。

いきなり腕立て伏せ100回……を3セット。
これを練習の前後に行うため、腕立て伏せだけでも一日に1800回することに……待て待て待て。
何その量!?
腕が痛くて柔道の練習どころじゃないのでは?
江南、下山田農は300回を軽々とこなしたとありますが、樋口もか。……樋口もだな。
終盤の三五や西野のムキムキ具合と比較すると筋力・体力は控えめなイメージがありますが、江南の練習をこなしてる以上非力なわけない。
腕立て300回をやり遂げられない岬商を嘲った江南の生徒は、練習中に笑ったという理由で山崎にビンタされる。
えぇ……!?
「せっかく合宿に来たのに練習の間ペチャクチャ喋っていたら意味ないだろ」と叱るだけなら納得できますが、殴るのかよ。

岬商の人々は技の練習に入る前の補強運動だけで汗をかきつくし、脱水症状に。
危ない、危ないって!
一歩間違えれば死人が出るぞ。
体力ないのにゲロ吐きながらついていく岡は本当に根性あるな。精神力は岬商の中でもかなり強い気がする。
ひとまず練習を終えて水道へ直行した岬商の面々はとんでもない光景を目撃する。
水を飲んだ江南の生徒が山崎にビンタされる。
正気か?
いまどきこんな指導したら大問題、非難轟々ですよ。
笑ったらビンタ、水飲んだらビンタのせいで、山崎に対する評価が昔読んだ時より遥かに落ちてしまった。
「おめえんとこがきびしすぎるんだよ」「練習中に笑ったくらいで殴るこたないだろ」という五十嵐の台詞に完全に同意。
五十嵐は普段ぐうたらしていていい加減な先生ですが、理不尽な厳しさをぶつけたりしないところはとても好感が持てる。
ニンジンを残したという理由でビンタした下山田農の教師の沢井も厳しいな。
こんな風に体罰じゃねーかと言いたくなる描写が出てきますが、肯定的に描かれてるわけじゃないんですよね。
最終的に岬商の方が遥かに強くなりますし、山崎は怒りすぎて倒れますから。

夕食は豪勢ですが、疲労しきった岬商の生徒達は全く食欲が湧かず、手をつけられない。
ただし名古屋は除く。
地獄の合宿でも手を抜いて、鬼のような教師二名にバレないのは地味にすごい。
その技術を別の方面で使えば……。
夕食の後夜の八時から練習し、終わってぐったりしていたら翌朝は五時から練習だと告げられる。
当然すぐに寝て備えようとしますが、疲労が深すぎて眠れない。
「死ぬかもしれんな」という平尾のモノローグがシャレにならない。

・練習試合
山崎の提案で乱取りを試合の形で行うことに。
自分達が上だと見せつけるつもりです。露骨に対抗心を発揮してきやがった。
実戦では強いと証明してみせると張り切る岬商ですが、そんなに甘くはありません。
それなりに強いはずの平尾、小柴、鷲尾が一本負け。
比べ物にならないくらい弱い一年が勝てるはずもなく惨敗。
自分達は大したことはなかったと思い知らされた二年の表情に力がない。
練習の量も質も桁が違うから当たり前です。
一日一時間半くらいのそれほどきつくない練習で、毎日朝からキツい練習をこなしている相手に勝ってしまう方が困る。

主人公の三五の相手は、樋口。
斉藤に勝った、あの樋口。
小柴達が神妙な顔で冥福を祈るレベル。
「ピストル持ったって勝てるわけねえだろ!」と言いますが、さすがに通用するんじゃないか?
いや、喧嘩慣れしていない素人が銃持ったって駄目か。
西野だと通じる気がしない。
力の差云々ではなく、心構えが違いすぎる。
相手を半殺しにするくらい平気でやる男ですから。
もたもた構える間に懐に飛び込んで躊躇なく地面に叩きつけたり腕へし折ったりしそう。

樋口について語る山崎が得意げで、読んでて若干イラッとした。
「いや~ご存知と思いますけど、うちの樋口は5歳の頃から柔道をやってましてね」
自慢の生徒なんだな。
自慢に思わない方がおかしいか。
素質に恵まれ、厳しい指導にも反発せず、過酷な練習をこなし、強敵と試合を繰り返し、実績を築き上げていく、真面目で努力家の選手。
……後の展開を考えると重い。重いよ。
勝ち目がなくても意気込む三五ですが、組んだ途端投げられ綺麗に一本負け。
そうなるわな。
樋口が大きく見える描写は笑ってしまいますが、実際に格の違う相手と組み合ったらこんな心境になるのかもしれない。
この時点では樋口は三五のことなんてすぐ忘れてしまったでしょうね。

練習にはついていけず、試合でも負け、落ち込む岬商の生徒達。
一般的な学校相手には楽勝だが、本気で鍛えている強豪には歯が立たない。
県内だと中の上くらいの位置にいるのかな。もう少し下か。
楽して勝てるほど甘くはないと語る五十嵐は、発破をかけることはしませんでした。
「あきらめて楽しくやった方がいいんじゃないか?」
緩いなー。
ここで五十嵐の言葉を受け入れていたら、全然違う運命を辿っていたはず。
樋口も、西野も。

全国出場を諦める道もありましたが、鷲尾達は選びませんでした。
斉藤達が強くてある程度いいところまで行けていたからこそ、すんなり上を目指す方向へ転換できたのかもしれない。
それほど燃えていない者もいるのがリアル。
負けず嫌いの三五は当然燃えて、打倒樋口を目標に掲げる。
いきなり高すぎる目標を設定したなあ。
自分を全く相手にしなかった存在に一方的に対抗心燃やすのか。
他に浮かばなかったんだろうか。
初めて戦ったのが別の人物だったら目標もその相手になり、あれほど速く上達できなかったかもしれない。
そうなると、合宿の試合の順番に感謝すべきですね。
ここから(当初は一方通行の)樋口とのライバル関係が始まった。

・五十嵐復活
生徒達が強くなると決意したため、今まで特に指導しなかった五十嵐も動き出す。
体力や技術も重要だが、まずは気力……心構えから。
自己暗示も有効だとは思うのですが、自分に言い聞かせる台詞がこれ。
「俺って天才だああ!」
「俺ってストロングだぜぇ~!」
「俺ってバカだあ~!」
このインパクトよ。
効果があるのかどうか怪しいですが、もっと大きな変化は五十嵐が乱取りに加わったこと。
「手かげんしませんぜ! 先生」
「誰に口きいてんだおまえ」
甘く見ている鷲尾に対し、さりげなく五十嵐の返答が怖い。
いつも緩いノリですが、たまにこういう台詞を吐くからなぁ。
腹筋もまともにできない彼が怪我するんじゃないかと心配した一同ですが、杞憂でした。
でかい鷲尾を軽くいなしてのける。
転がされまくった鷲尾が腹筋できないくらいなまってたんじゃと問いかけると、腹筋だの腕立てだのは現役の頃から得意じゃなかったと語る。
「それじゃなにが得意だったんですか」
「柔道が得意だったんだ」
……カッコいいと思ってしまった。
シンプルな答えです。

・天才型と努力型
バトル漫画やスポーツ漫画のキャラクターを語る際、天才型と努力型で分類されることがあります。
私の感覚では引っかかりを感じることもしばしば。
簡単に分けられるのか・片方だけに当てはまるのかという疑問が浮かぶんですよね。
天才型と言われるキャラクターも、何もせずに強くなった人物はほとんどいないはず。
強くなりやすい体質でも、修行したり苦悩したりして強くなったのを「天才型だから強くなったんだ」で片付けるのはあんまりだと思います。
逆に、努力型の代表であるかのように語られるキャラクターに対して「センスがないと覚えられない技を使いこなせる時点で才能に恵まれまくりなんですが」とツッコみたくなることも。
「漫画のメインキャラや見せ場がそれなりにあるキャラは、大抵才能を備えていて努力もしてるものじゃないのか?」と思ってしまう。

そんな私でも、五十嵐先生に対しては天才型だと断言できる。
引退してろくに鍛えておらず、腹筋もまともにできない状態で、でかい鷲尾をヒョイヒョイ転がしポンポン投げる。
現役時代は人の半分以下の練習で倍以上強くなったとのこと。
紛れもなく天才です。
ただ、他人を強くすることに関しては別。
五十嵐の考え方はドライというか、バッサリいきすぎな気がする。
・強くなる奴は強くなるが、だめな奴はだめ
・自分が強くなる方法しか考えたことはなく、他人がどうやったら強くなるかなど知るわけない
一人の選手ならそれでよくても、指導者としてはまずいんじゃないか?
強い選手を集めて弱い者は片っ端から切り捨てる学校ならば問題にはなりませんが、岬商はそういうところではありません。
やる気のない名古屋みたいな生徒を厳しく鍛えろだの強くしろだのとは全く思いませんが、真面目に頑張る生徒に対してはもう少し……。
生まれつきの体質やセンスの差などから、伸び方や到達する地点が全然違うのは確かです。
でも、相手の伸び具合を考えて、強くなる方法を探ってくださいよ。
この辺の割り切りが岬商内の絶大な差に表れます。
上を目指す意欲と相手から学ぶセンスを併せ持つ者は凄まじい勢いで伸びますが、弱い者は弱いまま。
選手としては超一流だが指導は下手くそという奥さんの言葉に反論できない。
三五達も五十嵐の姿勢に影響を受けて、「自分“だけ”強くなりたい」と思うように。
後輩を指導せず最低の世代を誕生させたのはまずいだろ。

・異変
夏休みが終わる頃、三五は初めて二年を投げました。
もちろん鷲尾達のような実力者ではなくそこまで強くない相手ですが、確かに成長しています。
一方樋口はインターハイの個人戦で優勝していた。
高校一年生で優勝?
ひえぇ……。

・樋口の成長速度
三五の成長速度に隠れがちですが、樋口もとんでもないんですよね。
・中学:ベスト8
・高校一年生の春~夏頃:県内の重量級ではトップクラス、インターハイ確実と言われる三年の斉藤に有効を取って勝利。
・一年のインターハイ:判定勝ちで優勝。
・秋頃:重量級でインターハイに出た清水に一本勝ち。
・高校二年の春休み:西野に勝つ。
彼もぐんぐん強くなっている。
山崎の指導も大きかったのかな。
この時期の西野の実力はどうだったんだろう。
開花寸前だったんだろうか。

・県民大会出場
公式ではなく、出てみるか程度の気楽なものですが、実力を測るいい機会です。
その中で三五は二年や経験者の内田に混じって出場することに。
レギュラーの座を奪われた青柳がショックを受けた様子でしたが、別に不穏な空気にはなりませんでした。
面白くないでしょうけど、嫉妬を拗らせて嫌がらせに走ったりはしない。
そのへんでグダグダせずに進むのでテンポがいいんですよね。
『「俺ってストロングだぜ~」は寝る前にやってはいけない』
……昔やりました。

・史村登場
史村は元世界選手権、そしてオリンピック金。かつて五十嵐と日本代表の座をかけて争った仲です。
五十嵐の教え子である三五達に注目する中、一回戦の相手は下山田農。
合宿の時は歯が立たなかった相手ですが、今回の岬商は一味違いました。
小柴、平尾、内田が一本勝ちを決める!
鷲尾は一本決められ負ける。
いよいよ三五の番です。

・デビュー戦
初の公式戦で緊張して震える三五。
相手は気が強そうですが、三五も負けてはいない。
手を三五の顔にぶつけた相手は、反省の色もなく故意じゃないと言う。
確かにわざとじゃなさそうです。
この場で殴りに行く必要性を感じませんから。
殊勝な態度を取っていれば三五も納得したでしょう。
しかし相手はふてぶてしい態度なので、三五に火が点いた。

組み合った三五は相手の頬を殴り、同じことを言ってのける!
これには史村も大笑い。
チームメイトは皆唖然。
やられたらやり返す精神が発揮されました。
試合を再開した三五は相手を投げて一本勝ち。
華々しくデビューを決めました。
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