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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

参謀要素と小物化

魔影参謀の肩書を持つミストバーン。
実際の役割を示しているわけではないとわかっていても、つい考えてしまうことが。
参謀要素をどこらへんに見出した?
ザボエラの妖魔「司教」も謎ですが、部下に神官っぽいモンスターがいたか。

参謀と言えば基本的に冷静で、ある程度客観的に物事を見ることができて、策を練って進言したり指示するのが得意というイメージが湧きますが、ミストバーンを見ると……。
・頭に血が上りやすい
いきなり致命的。
血も涙もないのに血が上るとはこれいかに。
すぐムキになりますし、数千年生きてるとは思えない。
・嫌いな相手には露骨に厳しい
ザボエラに対して辛辣。
・参謀なのに喋らない
どうやって指示するの?
・……と思いきやペラペラ喋り出す
おい。
・戦い方がゴリ押し
とどめがこれ。

外見や使う技の性質から、トリッキーでテクニカルな戦い方をするかと思っていました。
実際は殴りかかり斬りかかりねじっては粉々に砕く。
ダメージ受けにくい体質で攻撃力も十分なら、大抵の敵は工夫する必要もなく倒せますよね。
ゴリ押し大好きなのは様々な場面で窺えます。
相性が致命的に悪いヒムに対して、気合と根性発揮して最終掌で砕こうとする。
真の姿を晒してからも、乗っ取りを実践する前で警戒心が低い好機に飛び込んできたマァム相手に披露したり、すぐヒュンケルを乗っ取って正面から叩き潰そうとしたり。
光に導いた相手を利用すればヒュンケルを闇に染められたかもしれないのに、回りくどくえげつない使い方はしませんでした。
あれ以上粘られても困るという尺の都合だけでなく、性格が表れてると思います。
個人の戦闘に限らず、軍の動かし方も似たような印象です。
不死身体質にまかせて延々攻めて、巧みな戦術や細かな用兵はしそうにない。
普通ならそれで十分でしょうから。

考えれば考えるほど、よりによって参謀という言葉を使ったのが不思議に思える。
色々挙げると貶してるみたいですが、こういうところもまとめて好きです。

続いて小物化について。
まず小物化とは、どんな時に使うべき言葉なんでしょう。
悪役は基本的に主人公達に追い詰められ、計画を阻まれるものです。命を落とすことも多い。
思い通りにいかない状況で、常に動揺せず威厳を保ち相手を讃えないと小物と呼ばれるならば、あまりにも厳しい。
カッコ悪い姿を見せても、意地を見せて挽回するならば、小物とは言えない気がします。
安易に小物と呼ぶのは気が引ける……とまとめたところで話を戻すと、ミスト本体になってから小物化してガッカリというご意見を目にします。
そう言われるのは納得できるところもあり、疑問を抱くところもあり。
外見で言われるのはわかる。
闇の衣をまとった謎めいた姿や神秘的な雰囲気の青年が強そうでカッコいいだけに、落差を感じる方は多いでしょう。
直前までの封印解除した姿が威厳たっぷりだったからなぁ。
本人も忌まわしい体と言うくらいですし、堂々たる姿だったらそぐわない。

言動は……どうでしょう。
最大の秘密が明かされ、最強の切り札を失い、追いつめられている状態で今まで通りの威厳や恐ろしさを感じさせるのは難しい。
今まで他人の力で威張ってきたのかといっても、下手に謙遜すると信頼して最強の体を預けているバーン様に失礼になりかねない。秘密に気づかれたらまずいですし。
他に手段があるのにいい気になってたならずるいと言いたくなりますが、乗っ取って戦うしか道はないんですよね。
誇れるやり方ではないとわかってるゆえのコンプレックスでしょうし、その自覚こそがただの小物ではないと証明している気がする。
本当に小物なら「苦労せず強くなれる身体は素晴らしい……最強の力も私の物……!」とほくそ笑むと思います。
そもそもそんな性根の持ち主なら、己の体を忌避せず、能力を必要とされて忠誠を誓うこともせず、バーン様が信頼して体を預けることもないでしょう。
あのような境遇ならばもっと傲慢になるか、逆に卑屈になっても不思議ではありませんが、熱い性格を維持している。それは精神が強くなければできないことだと思います。
羨望を敬意や忠誠心に変える姿を尊敬したくなります。
バーン様への忠誠心やハドラーへの敬意が綺麗に説明できるので、本体になってからも変わらずに……いえ、いっそう好きになりました。

ただ、最期はその辺の自覚が吹き飛んでるように見えるんですよね。
状況によって異なる側面を覗かせるのは当たり前なんですが、流れが……。
闇の衣状態で激情を迸らせ、封印解除して底知れなさを見せつけ、本体になって羨望をにじませつつ底に熱さを感じさせてからの、高笑いして狼狽して叫びながら退場ですから「最後に見せた顔がそれかよ……」と言いたくなる。
羨望や天命について語るところまでは今まで歩んできた道に沿っていたのに、いきなり斜めにすっ飛んだように見えます。
戸惑いながら追おうとしたらすぐさま消滅し、「こういう解釈もできるのでは?」「言葉の裏にはこんな意味があったのかもしれない」と考える空気じゃない。

最後まで敵なので「涙を誘うような美しい最期を」とは思いません。
ただ、「不屈の精神を持つ使徒、それも何度も痛い目に遭わされたヒュンケルが相手だというのに高笑い。反撃に遭ったら抵抗らしい抵抗もせずあっさり消滅」なのでリアクションに困る。
「コントかと思った」という友人の感想を思い出す。「ギャグとしては面白い」そうです。
……全く反論できない。
一連の流れは、本当に「強靭な肉体と精神を持つ相手は敵味方を問わず認めてきた」者の言動なのかと疑いたくなる。
改造中のハドラーに指摘したように、精神面の重要性はよく知っているはずなのに。
敬意を見せないのは自分が鍛えた相手かつバーン様のための行動時ということで納得できますが、使徒達と戦って心身両方の強さを知ったなら、取るべき態度はもっと他にあるだろ……。
特にヒュンケルの、窮地に陥ってからの逆転劇を目撃したのは誰だとツッコみたい。何度も痛い目に遭わされたのを忘れたのか?
侮れない相手ということで慢心の欠片もない姿勢で倒そうとしたら、道具以外の方向性でも評価していると感じられたかもしれないのに。
しかも反撃されてそのまま消滅って……。
相手が備えていた、光の闘気が弱点といった要素があっても、意地を見せてから退場するくらいの気概はあると思っていた。
執念を見せて追い詰めたら、威厳が失われようと格好よく感じられたと思います。
あっけなさすぎて引き立て役にすらなっていないように見える。

私が引っかかる点をまとめると二つですね。
「いきなり調子に乗ったように見える、高笑いなど態度の急変」が強烈で、「消滅までのあっけなさ」で破壊力倍増。
忠誠心ゆえにハイになったのだとしても、最後に叫ぶ名前が主じゃないのでそう解釈していいのか迷う。「バーン様のため」という前提があってヒュンケルの体を手に入れようとしたはずですが、執着が前面に出て前提を感じにくくなってる。
それほど特別な存在なのかもしれませんが、表し方が……執着する理由を理解しきれない。
秘術等で寿命を延ばしても再びバーン様の体を預かるまでは到底もたない、一時的な器ですよね。
長年かけて鍛えたと言っても、ミストにとってはあっという間の話です。
ハドラーへの敬意のように想いの深さと年月の長短は無関係だとしても、最初から決めていて執着があるにしては、相手に対する扱いが中途半端な気がします。
正体を明かす前に執着の背景等に触れるわけにもいかず、明かした後はじっくり説明できる状況ではないとわかってはいますが……。
唐突なテンションの高さや昔から定められた運命的な言い方に理解が追いつかない。
執着や豹変の理由を私が読み取れないせいで、単に調子に乗ってるように見えてしまう。
さらに、ノリノリな態度の裏に複雑な感情があると仮定しても、引っかかる点二つ目のやられ方については解釈の余地が……。

まとめると、私の中では「本体=小物とは思わないが、最期はガッカリと言われれば同感」です。
最期の印象が強烈で、正体を晒して間もなく退場したから、セットで「本体になってから小物」と言われるのではないかとも思います。
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