忍者ブログ

ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

キャラクターについて 1

キャラクターについて 1

ダイ大の好きなキャラベストスリーは、バーン様とミストバーン、ハドラーの三者の中で順位が入れ替わってきました。
初期はハドラー、バーン様、ミストバーンの順で、次にバーン様、ミストバーン、ハドラーになり、現在はミストバーン、ハドラー、バーン様。
四位以下はザボエラ、フレイザード、キルバーンと続きます。ザボエラからキルバーンまでは僅差。
ダイは別枠。
好きの方向性が違いすぎて順位に入れられない。

まずは作品を語るうえで欠かせない、主人公とラスボスであるダイとバーン様から。
二人が土台を築いたからこそ、ポップやハドラーといった語られることの多いキャラクターが思う存分跳ね回れたと思っています。

※サイトに掲載していた文章を修正したものです。



・ダイ
「おまえを倒して……! この地上を去る……!!」
「さよなら……! 大魔王バーン!!」
『ダイの大冒険』の主人公。
ダイが主人公として物語をきっちり締めるからこそ、他のキャラが輝けるのだと思います。

初期は少年漫画の主人公として典型的な、単純で優しい少年だったのが、物語が進むにつれて大人びた態度になり、語る内容にも悲痛な色が出てくるように。
数か月前まで無邪気に遊んでいた子供が達観した表情や考えを見せるようになったのは、精神面での成長と言えるが残酷でもある。
守った人間から疎まれ、出生の秘密を知り、苦悩し、それでも戦う姿は悲しい。全てを捨ててでも地上の平和を守る決意が重い。

冒険の中で彼の勇者像や正義についての考えは変化していきました。
相手にも戦う理由があると知りながらも、地上の平和を守るという目的とは相容れないため戦うしかない。
力こそ全てと主張する大魔王を心や絆では止めきれず、彼より強大な力をもって阻むしかなかった。ダイの涙はその悲しみの表れだと思います。

「ミナデインで決着」「最後はタイマンではなくパーティーで」という意見もありますが、一対一の戦いの中であの涙があったからこそ深く心を打ち、印象に残るのだと思います。大魔王の最期も余韻があったので、やはり原作の流れが好きです。
「皆の力を合わせて攻撃」の燃え具合は敵のタイプにもよると思います。
絶対的な破壊神、救いようのない外道なだけの相手だったらただぶっ飛ばしたくなりますが、大魔王みたいな敵は「これが絆の力だ!」「やったー悪者をやっつけたぞ!」で終わらせるにはもったいない。

彼の魂の力は純真と言うことですが、とても納得がいきます。
ハドラーの一騎打ちに応じる決断、全ての人々が望むならば地上を去るという答えにそれを感じますが、一番は何といっても「さよなら……! 大魔王バーン!!」です。
最大の敵である大魔王に別れの言葉を送ったことにこそ、彼の純真さが表れているように思えてならない。
また、勝ったんだなと訊かれ「大魔王は……倒れた」と答えるダイ。
 「バーン“を”“倒した”」ではなく「バーン“は”“倒れた”」。
自分と同じように全てを捨て、死闘を繰り広げた相手に対して思うところがあったのでしょう。敬意がこもっていると感じます。
彼らは大魔王と勇者という正反対の立場でありながら、心は最も近かったと言えるかもしれません。
彼が戻ってくるのは、人間の多くが異質な存在を受け入れようとする時でしょうね。

・大魔王バーン
最初に言っておきますと、老人姿の時も真大魔王も鬼眼王も「バーン様」として好きです。
バーン様はバーン様です。
ですので、「老バーンに比べると真バーンは」みたいな言われ方されると辛い。

大魔王だけあって「他人のため」というほど思いやり精神にあふれていはいないが、自分を囮にする程度のことはやってのける。
地上を破壊し魔界に太陽をもたらすことは、彼自身のためであり、不毛の魔界のためになり、冷遇した神々の鼻を明かし天界に攻め込む機会を得ることになり、自分の望むあり方=力こそ全てと言う信念に基づく世界へと変えることになる。
上記のことは深読みしすぎな気もするので単純に考えると、「闇の存在のはずの大魔王が、光の象徴たる太陽を求める」ギャップに惹かれました。
 『太陽を我が手に』のバーン様は、魔界の神と名乗るに相応しい威厳がありました。特に太陽を掴み取る仕草が印象的です。
魅力ある悪役の多いダイの大冒険の中でも、様づけで呼びたくなるのはバーン様だけです。

真大魔王になってから小物になっただのチンピラになっただの散々な言われようです、
「老に比べて真は」と言われる理由は「うざったい!」と若者言葉を使ったからでしょうか? それともレオナへの言葉が原因か。
他にも「爆発はどうしたああぁぁ!!」と叫んだり、「カーハッハッハ!」だの「ファーッハッハ!」だの馬鹿笑いしたり、「子供の絵空事か」「怒れ怒れっ!」と挑発した直後に主人公の予想以上の力に驚いたり。
こう書くと確かに威厳が低下したように見えます。
しかし、それも仕方ない部分があります。
若返った肉体に引きずられて精神が高揚したのもあるでしょうが、一番は状況の変化が原因だと思います。
初めて戦った時は「大魔王の圧倒的な力に打ちのめされ、絶望し、全滅寸前に追い込まれるパーティー」が描かれる=敗北前提のイベント戦だったので、何とかして打ち破らなくてはならない最終決戦とは違います。
絶対に負けるわけにはいかない最終決戦で、ラスボス最大の謎が解け、向こうも奥の手を使い、それでもなお余裕綽綽で威厳に満ち溢れていて追い詰められてもまったく平気だったらどうすりゃ勝てるんだって話になります。
それに、老人姿の時も相手の実力を見誤ったり、遊びすぎて足元をすくわれたり、相手の強さに驚愕したり焦ったりしています。

真大魔王のリアクションが豊かでも、天地魔闘の構えで三人まとめてぶっ飛ばした所は最高に熱いです。
名台詞が多すぎるので書ききれませんが、「余も……捨てねばならぬか……!」という台詞が特に好きです。
自分と相手の力量の差を冷静に悟り、それでも勝利のために全てを捨てる覚悟。自分が敗れそうになっても力こそ全てという信念に揺るぎなし。
こういうタイプの敵は一度崩れるとどんどん堕ちていくものだとばかり思ってましたが、踏み止まる精神的強靭さはラスボスの鑑。
鬼眼王の姿がダサいと言われますが、主人公ではありませんし、全てを捨てるという決意がより悲壮になるので、あれでいいと思います。
 
この作品のテーマの一つに「太陽」があると思います。
バランはソアラに太陽を感じ、ダイは皆を照らす存在になる事を決意し、バーン様は太陽を求める。
「メラゾーマではない、メラだ」や「大魔王からは逃げられない」ももちろん印象的ですが、「明日の……あの太陽は魔界を照らすために昇る」という台詞が一番好きになったかも知れません。
ソアラやダイだけでなく、バーン様も太陽と言える気がします。
全てを照らす温かい光ではなく弱者を容赦なく焼き尽くす鮮烈な輝き。燃え盛る炎と凄まじい熱。
少なくともミストにとっては太陽だっただろう。
フェニックスウィングの解説によると、超高速の掌撃というだけではなく「空気との摩擦で掌が炎に包まれまるで不死鳥の羽ばたきのように見える、大魔王の強靭な肉体のみに可能な技」だそうです。
メラゾーマが火の鳥の形になったり、掌撃にフェニックスウィングと名付けたり、彼は不死鳥のような永遠の存在に近づこうとしていたのかもしれません。
天空に輝く太陽のように。

最終決戦時に彼が最後に喋った言葉は「た……太陽っ……?」でした。あとはダイを殺そうと殺気を剥き出しにして襲いかかってくることと、宇宙空間で無音になることから台詞はありません。
光を放ち太陽と重なったダイの姿に一瞬動きを止めていましたが、太陽への想いゆえに隙が生じ敗北したのでしょうか。
それならば、ポップの閃光発言に勇気づけられ勝利したダイと「「勝利のために全てを捨てたはずだが心が残っていた」点が同じだったのかもしれません。
「さよなら……! みんな……!」から「閃光のように!」、そして「さよなら……! 大魔王バーン!!」までの流れが秀逸。
光に目を奪われた表情、石と化し太陽へと向かう表情、そしてダイの別れの言葉と表情に心を打たれます。
ダイはバーンの信念に賛同はできずとも、理解し、敬意を抱いていたのでしょう。「そんな強さのままこの世にいたって空しいだけ」「強すぎるゆえに退屈」というバーンの心を正確に把握していました。
大魔王の心を最も理解したのが勇者になるとは……。
正確には、別次元と言えるほどの領域に達したのがこの二人だけ=必然的に距離が近くなった印象です。
道が交わることはなく、譲れぬものゆえ最後まで戦い抜いたけれど、相手への敬意があった。
「おれと同じことを……!」という台詞に込められた思いは「さよなら……! 大魔王バーン!!」で決定的になったのだと思います。相手に自分と同じものを見たのではないでしょうか。
敵であってこそ最高に輝く御方ですが、共闘する展開を見てみたいです。

大魔王の果たせぬ願望を具現化した巨大なる玩具の鬼岩城はダイの剣で真っ二つにされ、鬼眼王となった彼自身もダイの剣で切り裂かれる。
最も忠実な部下だったミストは理想の器の中で光に飲み込まれて消滅し、石と化した大魔王の亡骸は長年求め続けた太陽に消ゆ。
こう書くと運命的です。
物語に深みを出すために敵側にも説得力を持たせた、ということがどこかで語られていましたが、あそこまで威厳溢れる、信念を貫き通した敵を考えられるのは凄いとしか言いようがありません。
欠点があっても、それを補って余りある魅力溢れる大魔王。それがバーン様だと思います。
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

最新記事

(05/05)
(04/28)
(04/21)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
(03/24)
(03/17)
(03/10)
(03/03)