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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

キャラクターについて 4

キャラクターについて 4

今回取り上げるのはザボエラ、フレイザード、キルバーン。
昔は外道・卑怯で一括りにしていましたが、振り返ると傾向が異なりますね。
みんな違ってみんないい。
彼らの言い分に「気持ちはわかる」「一理あるかも」と思うこともしばしば。
それが行き過ぎて他の仲間や主人公側のキャラを「搦め手全否定の脳筋武人至上主義者」「綺麗事ばかりの偽善者」扱いしないよう気をつけたい。
えげつないやり方=効率的で賢いというわけでもないんですよね。やりすぎて追い詰められた敵が予想外の反撃に出たり、味方がいなくなったりしたら効率悪くなります。
「味方の被害を減らす」「反撃を受けないようにして敵を倒す」ならともかく、「自分が無事なら仲間はどれだけ犠牲にしてもいい」「敵の苦しむ姿を楽しむ」だと最低と言われても仕方ない。
結局三人とも敗北、退場することを忘れてはなりません。
主人公側に引っかかるとすれば、たまに「敵がやれば卑怯、こちらがやるのは正義」扱いしているように見えることでしょうか。
「味方まで巻き込む」「敵を無駄にいたぶる」なら非難も当然ですが、「相手の力を封じる」は別に卑怯じゃないと思います。
見せびらかさず、しれっとした顔でさらっとこなせばそのまま流されたかもしれない。
でも悪役には「どうだ、手も足も出まい!」と誇示してほしい気持ちもあります。



・ザボエラ
「強者とは強い奴のことでは無い! 戦いの場に最後まで残っていた奴のことよっ!!」
「ワシの理想! それは自分の肉体は一切傷つかずに思い通り動かせてなおかつ一方的に敵をいたぶれる……そんな能力」
「前回の課題をすべてクリアして初めて“改良”という……!」
空回りする策士キャラにありがちな、効率的にやってるつもりで反感を買って逆効果な人。
策謀家を気取るわりに周りが見えていない。
策を練るなら周囲の反応くらい考えましょうよ……。
わざと味方を減らすかのような態度を取りまくるが、計算ではなく素でやってる。
自分を慕う息子までも道具扱いしたため救いようがない。

頷ける発言も多いが、手放しに誉めるわけにはいかないキャラ。
作品に蔓延する武人主義の被害者であるかのように言われますが、確かにちょっと扱いが……という気持ちと、仕方ないという気持ちがあります。
「クズ扱いも当然」と「もう少し評価してもいいのでは」の間を行ったり来たりする。
搦め手を使うだけならあれほど貶されないはず。
嫌われるのは真っ向勝負しないからではなく、出世のために他人を踏み台にする狙いが丸見えだからでしょう。
汚いやり方の矛先が同じ陣営にまで向くなら非難されるに決まってる。
出世欲があるのはいいけどオブラートに包んでください。
同じ行動を取るにしても「大魔王様のため、魔王軍の勝利のため、汚れ役を引き受ける」と言っていれば少しは反応もマシだったでしょう。

他者に寄生する生き方はミストバーンのコンプレックスを強烈に刺激するらしく嫌われる。
尊敬するハドラーを侮辱したのは致命的。
これでもかと言わんばかりに神経を逆なでするため、本当に上司の印象よくしたいのか疑問に思うほど。
出世のための行動がことごとく裏目に出てるよ……。
空気を読めないのがザボエラ、読んだ上で壊すか否か判断するのがキルバーンという印象。
ミストのハドラーに対する感情を察するのは困難かもしれませんが、わざわざ馬鹿にしなければ済んだ話です。
この件に限らず、余計なことを言わないように心がけるだけで違うと思います。

研究者・技術者向きの老人に無茶させるなというご意見も尤もなんですが、本人が大人しくしている気がない。
手柄と出世を求めて出てきておきながら他人をあてにすれば、自分で戦えと言われても仕方ないでしょう。
ミストバーンの手足を動かせ発言も、切り札隠した状態で敵を押し付けて逃げようとした状況で出てきたわけですから。
権力に興味を持たず、「研究ができれば満足! 器材や実験の場を提供してくれるバーン様のためにも頑張るぞい!」という性格なら一目置かれたかもしれません。
認められたいにしても「成果をバンバン披露してすごいと言わせてやるんじゃあ!」と、仲間に積極的に提供していけばなあ。
超魔生物もゾンビも脅されてからやっと出すから……。
能力があってもアピールの仕方が悪いと思います。

ザボエラを非難しましたが、誰かを持ち上げるために別の人を貶すやり方について、あまり偉そうなことは言えないかもしれません。
好きなキャラクターや作品を褒めようとして、意識しないうちに変な持ち上げ方をしていることがありますから。
他を下げるような褒め方をすると、それを見た方に、称賛の対象にまで嫌悪感や苦手意識を抱かせてしまいかねない。
好きになってもらうどころか逆効果になってしまうので、気をつけたいです。

・フレイザード
「女ぁ? 笑わせるなッ! ここは戦場だ! 殺し合いをするところだぜ。男も女も関係ねェ。強い奴が生きて弱い奴は死ぬんだよ! 傷つくのが嫌なら戦場に出てくるんじゃねぇ!」
「オレは戦うのが好きなんじゃねぇんだ、勝つのが好きなんだよォォッ!」
「もう過去の栄光はいらねえ。新たな勝利をつかむためにオレは生命をかけるのだあッ!」
人格に歴史が無いため焦って手柄を求めると書くと哀しい気もするが、本人が凄くポジティブ。
容赦なく攻撃して上記の台詞を言い放つシーンは爽快。
もちろん、過剰に持ち上げるべきではありません。
戦場に出てくるなと言われても戦場にしたのはフレイザードですし、逃げ出しても攻撃するでしょう。
アポロが女の顔と言うから「戦闘員を潰そうとするのは当たり前だろ」「この状況で言うことがそれ?」と感じますが、残虐な行為を非難すること自体はおかしくない。
フレイザードの言い分が正しく感じられるのは、言ってることとやってることが矛盾していないからですね。国を滅ぼしておいて女には手を上げないと言うヒュンケルや、一国消し飛ばした過去がありながら女は殺したくないと主張するバランに今更かとツッコミたくなっただけに。

ミストバーンに踏みにじられて消滅する様は哀れみを誘う。
今読み返したら、「最強の体をもらったんだ、こんなガキにやられるはずはねえっ!」と叫ぶフレイザードに「……」と黙っているミストバーンの姿が。
深読みしたくなる。
この時点でミストのコンプレックスまで決まっていたのなら……。
偽りの生命が、もらいものの力で暴れて調子に乗って、与えた相手の寝首かく気満々って、神経逆撫でフルコースじゃないですか。
力を貸してくれたミストバーンを助けに来て、感謝を述べたハドラーとの対比が光る。
パワーアップして満足せず、高みを目指す気概も対比になるか。

・キルバーン
「ねぇ~っ!? いい表情するでしょう? 人間って」
「蜘蛛の巣にはまってもがく昆虫のように……罠にはまって狼狽している相手を見るのは最高さ……! 一途に努力を重ねてきた奴であればあるほど堕ちた時の表情が楽しめる」
色んな意味で怖いキャラ。
「仮面キャラの素顔はカッコいいもしくは可愛いもの」という幻想を木っ端みじんに打ち砕いたある意味すごい男……男?
残酷だけど立ち振る舞いがスマートでカッコいいと思っていました。あのオチを見るまでは。
魔界編で「あれは嘘でした」があったかもしれないけど、続編もそういう展開の気配もない。
正体はちょっと無理があると思わなくもないけど、今になってひっくり返すようなネタでもないと言われればそれまでです。今更感が漂うでしょうし。
顔のアレはともかく、ドラゴンキラーの腐食などから人形であることは最初から想定されていたのでしょう。
人形は人形でも『からくりサーカス』の最古の四人みたいな感じだったらすんなり受け入れられただろうな。
正体が何だろうとミストとの友情が本物ならそれでいいです。

空気を読んだ上で繰り出される罠は脅威。ダイヤ9以外の罠も見たかった。
昔はアバンに手こずる様子から物足りなさを感じましたが、最大の強みを封じられたら無理もないか。
少年漫画の制約抜きに、罠が最大限猛威を振るったらどれほどの被害をたたき出すことか。
素晴らしいのは何といっても性格。
非力さにコンプレックスを持っていたらしいザボエラ、手柄を焦るフレイザードと違い、努力する者の堕ちる表情を楽しむ。
まさに外道。

読み返して新たに考えるようになったのは、ミストをどう思っていたのかですね。
本体だけだとまともに戦えない、人形を操る者同士のシンパシーがあったのはないでしょうか。
腹話術の人形の方に話しかけてると思うとミストばかり騙されているように感じてしまいますが、正体隠してるのはお互い様ですし、バレたら致命的なのは本体が貧弱なキルの方です。
暗殺をやりやすくするだけならあれほどフォローする必要はないので、ミストのことは気に入っていたんだと思います。
本体からミストへの台詞をチェックすると、「あやまっちゃえ」やカッコいいのに発言など好意的なものがちらほら。
やはり人形越しでも友情は築かれていた……と思いたい。
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