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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ダイ大感想修正版 4

ダイ大感想修正版 4



10巻

覇者の冠やニセ勇者など、一巻で登場した材料が活かされる様が素晴らしい。

・剣を求めて
初期のベンガーナ王は典型的嫌味キャラです。
初期のロン、昼間っから酒をかっくらって自堕落な生活。腐ってると自分でも言ってただけはある。
魔王軍の味方かと問われた時の反応やジャンクを気に入った理由など、バーン様のもとにいた過去を思うと頷ける。
興味をそそる話題になると一気にテンション上がる様子に親近感が湧く。
魔族の人生は密度が薄い、人間の何倍も生きられるからダラダラ生きる奴が多いとのことですが、あまり納得できません。
ダイ大に限らず、「長命の種族はダラダラ生きる奴が多い」論を見ると疑ってしまう。
他の生物の何倍生きられようと、「自分には時間がたっぷりあるからのんびり生きるわ」なんて意識になるものでしょうか。
魔族だから、人間だからという理由で、人生の密度が薄い人の割合にそんなに差が生じるかなあ。
ダイ大で人間が輝きを見せるのは、滅ぼされそうになっていて必死に抵抗しているからじゃないの?
そもそも何をもってダラダラ生きてると判断するんだ。
傍から見たらつまらない人生に見えても、本人は手ごたえ感じてるかもしれないのに。
何千年も生きてきたミストバーンは充実した人生を送っていると断言するでしょうね。

・鬼岩城
軍艦持ち上げる鬼岩城が威厳たっぷりでぜひ操縦したいです。あれが玩具って、バーン様ったらどこまでスケールでかいんですか。軍艦を片手で放り投げ、砲弾も効かず、圧倒的な火力を誇る。人間の科学力を完全に上回ってますよ?
玉座に座るミストバーンには大物の風格が漂っている。名乗りにも威厳がある。
「我は偉大なる大魔王バーンさまの配下……魔影軍団長ミストバーンである……!」
そして、最強にインパクトのある台詞が。
「……命令する。……死ね」
来た。
その言葉、待ってました。
何でこんな素敵な台詞が出てくるかな!
情けを見せたりするけど、やはり基本の冷酷さがあってこそ。
ここまできっぱり言いきってくれると爽快。
「おまえたちには一片の存在価値もない。大魔王バーン様の大望の花を汚す害虫だ」
「降服すら許さん……死ね! この国ごと地上から消えよ!」
「バーンさまのお耳に届くよう精一杯大きな最期の叫びをあげてな……!」
ゾクゾクきた。

・悪しき過去への清算
以前語ったように、闇の師弟関係にもやもやします。
ザムザ編では紋章の力を正義の力だと勝手に思い込み頼ってきたことに言及し、力についてバランスよく描かれていると思ったのですが、ヒュンケル関連だと正義の力と悪の力で片づけられてませんか。
冒険の中でダイの勇者像・正義観が相対的なものへ変化していった一方で、ヒュンケルは罪の意識の深さゆえに二元論に突っ走ったイメージがあります。
魔王軍の侵略に対し抵抗するのは当然のことで、その戦いは間違いなく正義と呼べる。大勢の人間を殺そうとする冷酷な相手を悪と見なすのも当たり前。
しかし、力なども含めた全てに対して決めつけるのは引っかかります。
魔物の中で育ち、誤解も含んでいたとはいえ正義の危うさを身をもって知っているはずなのに、考え方が偏っていないか。
一番「人間=光=正義・善、闇=悪」で思考停止してはいけない人物のはずなのに。

・玩具
「おまえは父親から玩具を作ってもらったことは無いのか? 壊れた玩具はこうなるのが運命だ」
そう言ってヒュンケルをポイ捨て。宿命の相手とは思えない扱いだ。
闘魔滅砕陣が素晴らしい。
素顔をチラ見されたミストバーンが逆上。ヒュンケルが「あの冷静沈着なミストバーンが」と言っているので笑った。「え、どこが?」と素で言ってしまった。
後半わりとキレまくってますよね、彼。
「この国の人間全員に地獄以上の苦しみを味わわせて殺すことが……バーン様へのせめてもの償いだッ!」
「泣け! わめけ! そして……バラバラになれッ!!」
恐ろしいこと言ってる。
こんな冷酷で残酷で血も涙もない男が、誰かに生き延びてほしいと願い、涙を見て心を痛めると思うとワクワクしますね!

ヒュンケルの眼球が飛び出そうになってる。
シャドーが分身ということはミストバーンの正体もすでに決まっていたのでしょう。
ダイの挑発に「こっ……小僧っ! のぼせあがりおって!」と叫ぶミストバーン。元々感情的な性格を、沈黙を命じられていたため強引に抑え込んでいただけだろうな。
嫌味に見えたベンガーナ王も、勇み足で他人を巻き込んでしまうことを悔やむので、駄目なわけではありません。

・鬼岩城真っ二つ
ミスト本体の瞳がちょっと見えた。
ベンガーナ王は目を輝かせ、ロモス王ははしゃいでる。微笑ましい。
「嘘だ……」と言いたげな様子が気の毒。ワナワナ震えてる。
「私のせいだあああっ!!」
「うおおおおおお――っ!!」
とりあえず落ち着いてください。
あの増幅反射のメカニズム、どうなってるんだろう。

真の姿を見せる時のポーズが露出狂みたいです。夜道で会ったら迷わず通報すべし。
バーン様のお許し無しに素顔を晒そうとするなんて我を失いすぎです。仕えてきた中で最大級の失態だったのだろうな。
ここでキルがミストを止めた最大の理由は、ダイ達を始末されたら困るためでしょうね。
バーンと潰し合ってほしいわけですから。

 ピロロの口調は軽いけど、よく聞くとミストの身を案じるような内容になってますね。
「いけないんだ」とか「あやまっちゃえ」とか。
やっぱりキル本体も友情感じてるでしょう。
「可愛い君がちゃんとあやまれば許してくれるさ」
バーン様にとって可愛い部下という意味で解釈してますが、キル本体もそう思ってたら微笑ましいな。
「ボクは可愛いけどミストも可愛いよね」的な。
正確には「ボクの可愛さは計算してキャラ作った結果だけど、ミストは素でやってるからすごいよね」か?
二度と失態は見せぬと誓うミストバーン、真面目。

11巻

何と言っても見所はハドラーとミストバーンの謁見前の会話ですが、そこの魅力は今まで散々語ったので手短に。

・救援
岩の上に立っているキルとミスト。わざわざ手ごろな岩を探してスタンバっていたと思うと微笑ましい。
雷と共にハドラーが降り立つ!
「今度はオレがお前を助ける!」という宣言が熱い。
この時のミストバーンの心境を知りたい。
キルバーンもいるんですが、協力してくれた相手への恩返しですから、おかしな発言ではない。
超魔生物姿がカッコいいのでずるいと思います。ずるい!

・勇気ある撤退
逃走を選んだポップとクロコダインとのやりとりが沁みる。
竜騎衆戦の、ポップが一人で逃げようとしていると信じてしまった時から変化しています。
落下したハドラーを見にいかせる、キルのさりげないフォローが光る。
この時点でミストは心配していたのか? それを見抜いたのか。
上がってきて、ミストバーンを見るハドラー。やっぱりこの二人いいな。

・命消える前に
バーン様にお目通りするためにハドラーとミストバーンが歩く。
この二人関連ではここが一番好きなシーンです。
散々語ったので短く、短く。
公約だった「勇者ダイとその仲間の抹殺」を果たしていないため、もしかするとその場で処刑されるかもしれない。だから今のうちに言っておく。

「オレは当初おまえを底の知れない奴として疎んでいたが……今では感謝している……!」
「六大団長の中でオレへの誠意を一番見せてくれたのは、あるいはおまえだったのかもしれん。おまえにはその沈黙の仮面の下に流れる熱い魂を感じずにはいられん」

 「ハ……ハドラー……」
ミストが動揺しています。
バーン様はミストの能力を必要としているものの、忠誠心は別として魂については褒めていないでしょうから、ハドラーのこの言葉は嬉しかったのではないでしょうか。
能力に関係ない、自身の内面を認めてくれたわけですから。
対等の視点で見てくれたのは、体持つ者を見上げるばかりだったミストにとって新鮮だったのではないかと思います。

ミストの正体や過去、本体の姿を思い浮かべながら読むと破壊力が危険なくらい跳ね上がる。
どす黒い思念から発生した暗黒闘気の塊ならば、ほとんど精神生命体みたいなものです。そんな生き物の精神を認めるって、丸ごと認めてるようなものじゃないですか。
バーン様と出会う前は他人を乗っ取ることしかできない性質に寄生虫と侮辱されたこともあったでしょうし、肉体を預かった後は称賛されるとしても借りている力に向けられるものが多いでしょう。
借りている器や力に関係ない誉め言葉。
それも、己の体質を嫌っている者に、「熱い魂」。
何会心の一撃くらわせてんだ。
過去も体質もコンプレックスも全然知らないはずなのに急所を抉りやがって。
ハドラー本人は「熱い魂」の一言がどれほどのダメージを叩き出したか気づいてなさそうなのがもどかしい。「おまえええ!」と叫びたくなる。
刺さってる! めっちゃ刺さってるって!

「おかげで最後に格好がついた……ありがとう!」

礼を述べるハドラーと沈黙で応えるミスト。感謝の言葉を素直に言える悪役って素敵。
悪役なのに爽やかな会話して……!
率直に感謝の言葉を述べられたミストバーンの心中はいかなるものだったのか。
キルバーンがわざわざ「心配ないって」と言葉をかけるのは、ミストバーンがハドラーの身を案じていることの証。
この三ページでミストバーンからハドラーへの感情は大幅に変化したでしょうね。
たった三ページとは思えない濃さだ。
そのままハドラーが処刑されたらミストバーンがどんな顔するか見たかったなあ。

・大魔王の素顔
自らの心を太陽に喩えるバーン様。本当に太陽に焦がれていますね。
ここで「二人」とカウントしているのは、キルの正体に何となく感づいていたのか?
「そうだ……余がバーン。大魔王バーンだ」
ハドラーの内心を見抜き、チェスの駒を手に優雅に酒を嗜む姿はもうたまらない。
バーン様は「大魔王バーン」とワンセットで自分を呼びます。
「この大魔王バーンをなめるでないわーっ!」「余は大魔王バーンなり!」など。
大魔王たるにふさわしい矜持・威厳を持つ最高のラスボスだと思います。
『なぜラスボスはさっさと勇者を殺さないのか?』という問いに『大魔王だから』ですみます。
大魔王だから精神的に余裕があり、遊び感覚。
自分やミストバーンが直々に戦ってあっという間に地上を殲滅するのはつまらない。
地上支配を目的とする軍団を作り、競わせることで後々の世まで通用する戦力を育てようとした。
強い人材が欲しいため敵をあっさり殺すのではなく力を見極めて部下にしよう。
勇者がレベルアップしても奥の手あり。
うん、説得力があります。本来ならば最大の目的である地上破壊計画は絶対に止められないはずでしたし、奇跡発動しまくってようやく阻止しましたから。

ここでハドラーは使徒達を倒すことが最後の望み、それが叶った後ならばいかなる処分もかまわないと思っていたと語るんですよね。バーン様もそれを認めるようなことを言っていた。
ミストバーンが指揮官となるなど、役職の変更にザボエラが一人焦っていますが、そんなに慌てなくてもよさそうなのに。
チェスは神々が考え出したとのことですが、詳しく知りたい。
バーン様に神や魔界の歴史について語ってほしい。
神々への憎悪で視点が偏っていることを差し引いても、ダイ大の世界を考えるうえで参考になりそう。

・救出
ザボエラに対するクロコダインの台詞、「居場所がなくなってきたのだろう」は、初めて手を組んだ時のザボエラの「魔王軍に居場所がなくなってもよいのか?」に対応しますね。
「その時こそ再び“魔王”を名乗るがいい」の親衛騎団とハドラーのシーンはかっけえなあ。
大魔王という誇りにかけて強くなったバーン様と、魔王という誇りを捨て強くなったハドラー。両者を比べてみるのもまた一興。
このコマのアルビナスが可愛い。ハドラーの方を見てる眼差しが可愛い。
アルビナスに可愛いと連呼したい。四方八方から「アルビナスちゃん可愛い!」という言葉を浴びせかけたい。

・幽閉
昔は、牢屋にぶちこまれるザボエラを見てそんなに悪いことかと疑問に思いました。
敵の戦力が整う前に速やかに攻撃するのは当然のことだと思った記憶があります。
今読むと、もう少し周囲の反応を考えようよと思います。
まず勝手に軍を動かすのは駄目と言われればその通りです。
考えるべきは、軍を動かす名目……外側の部分と、ハドラーの心情といった内面でしょうね。
ミストバーンに時間稼ぎを頼み込んだ時や謁見時の台詞から、ハドラーが使徒達との決着にどれほど執着しているか分かるはず。
ダイの始末が成功したとして、いきなり生きがいを奪われたハドラーが快く思うはずもない。
魔王軍の勝利のためならば汚れ役を引き受け処刑されようとかまわないという決意の下に行ったならば違うかもしれませんが、出世欲のためとなれば激しい怒りを買うでしょう。
トラブルを起こさないために、軍を動かす名目を用意して外側を取り繕い、ハドラーの心情を踏まえた内側への言葉も用意して、自分が動くことを告げれば違ったのでは。もちろん出世したいという本音はしっかり隠したうえで。
ハドラーは頷かないでしょうが、認めないならバーン様に話を持っていくのもありかも。ダイのことは基本的にハドラーに任せる方針ですが、ザボエラが申し出ればやってみろと言うかもしれない。
勝利を優先するならハドラーの個人的なこだわりは後回しにすべきですが、バーン様が効率を求めてはいないんですよね。
魔王軍が合理的・効率的に動いたらダイ大が終わる。

・アルビナスとの会話
ハドラーはザボエラを「強化に尽力してくれた」「そのために息子を失っている」と認識している。
あの、ザムザを喪って悲しむどころか喜んでましたけど……。
ザボエラにも尽力してくれたという認識はあるんだな。ミストバーンへの対応と違いすぎるけど。
もう少し重用してもいいんじゃないかと思いましたが、そうしたところで裏切らないかと言うと、そんなはずもなく。ハドラーが優遇しようと、出世のためならためらいなく売り渡し卑下したに違いない。
ハドラーとアルビナスのやり取りは空気が甘いようなそうでもないような。

・魔界の説明
暗黒の大地で、神が魔族のために与えたとされる。
大・迷・惑。
魔界を地上に浮上させると言ってますが、地上を消滅させた後魔界を上昇させるような仕組みがあるのか?
蓋である地上を吹っ飛ばして終わりというイメージがありました。
キルバーンの語る「バーン様の理想郷」と実際のバーン様の考えは食い違っている気がする。
本当に破壊や殺戮のみを喜びとするなら、人間だけに平穏を与えた神々を憎むこともないでしょう。むしろ名采配だと喜ぶのでは。
バランを焚きつけるためにゆがめて伝えた可能性が高い。
わざとやられて反逆させて漁夫の利狙いということで。

バランは魔界のような弱肉強食の世界を地獄と評していますが、力で力を抑えるのは神々もやってきたことなんですよね。
竜の騎士制度はその代表で、魔族と竜を魔界に住まわせたのも神々の力です。それに対抗した結果、大魔王は竜の騎士でも勝てないほどの力を得るにいたった。
三種族が一つの世界で争っていた過去、竜や魔族が魔界で暮らすようになった事情、地上と全く異なる過酷な環境等を考えると、「そんなやり方は間違っている、改めろ」で片付けるのは難しい。
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