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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ダイ大感想修正版 6

ダイ大感想修正版 6



14巻

何といっても見所はバーン様の名演説の炸裂する場面。
『太陽を我が手に……!』というサブタイトルが素晴らしい。

・素顔
再び封印を施されたミストバーン、素顔の方がカッコいいのにと言われる。
ミスト的には複雑かもしれない。
バーン様の顔ですから。
キルバーン本体も人形も同じ意見なので心底カッコいいと思ってるんだろうな。
大事なことなので繰り返し言いました。

・バランの最期
ダイとバランに己とバルトスを重ねるヒュンケルの姿が切ない。ポップを制する手が震えているのも細かい。
父を喪った直後に戦うことを求められるダイの宿命の重さに笑いすらこみ上げてくる。いくら覚悟も力もあるとはいえ、幼い少年が背負うのか……。
血筋に恵まれていようと、苦悩と無縁ではないんですよね。
仲間の助けもあって厳しい試練を乗り越えた彼を、この作品の主人公なのだと言いたい。

 悲しみに浸る間もなくバーン様登場。
「一同ひかえよ!!」って水戸黄門みたいだな。
「火葬より土葬の方がお好みだったかな?」の台詞にゾッとしました。
ハドラーに黒の核晶を埋め込んだのは精神的に強くなる前だったからまだわかるけれど、バランへの仕打ちは酷い。ダイを真っ先に叩くために挑発したと考えてもやっぱり酷い。
ポップのメラゾーマを圧倒し、強烈な一言。
「今のはメラゾーマではない……メラだ」
すげぇ……! 正直メラの方がカイザーフェニックスより強く見える。
いくらダイやポップが成長して強くなったとしても、火炎呪文に関してはバーン様のメラに匹敵するほどの威力を得てほしくない。
さらに、ドラクエをやったことがある人ならば笑うとともに恐ろしくなるこの台詞。
「知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない」
先程のメラ発言と合わせて絶望的な気分になれます。

マァムに生殺しみたいな真似をして面白いのか訊ねられた大魔王様の答えは……。
「面白いね」
 断言。口調が若返っていませんか。
「おまえたち人間は面白くはないのか? 鍛えあげて身につけた強大な力で弱者を思うようにあしらう時、気持ちよくはないのか? 優越感を感じないのか?」
ゲームのレベル上げの快感を上手く表しています。
問われたマァムも口ごもる。
何故慈愛担当予定キャラにこんな反応をさせたのでしょう。
他のキャラではいけないのでしょうか。
新しい呪文や特技を覚えて敵を蹴散らして得意になる気持ちは理解できそうです。

・大望
魔界を「我らが故郷」「我が魔界」と呼ぶバーン様に涙が出そうだ。
魔界ははるか地底に存在し、マグマがたぎる、みわたすかぎり不毛の大地。何より、すべての生物の源たる太陽が無い。
神々は何でこんな世界で暮らさせたんですか。
「太陽……素晴らしい力だ。いかに我が魔力が強大でも、太陽だけは作り出すことができん……」
「だが神々は人間に地上を与え、魔族と竜を魔界におしこめた! 人間が我らより脆弱であるというだけの理由でだ!」
「だから余は数千年にわたって力を蓄え、地上を跡かたもなく消し去る準備を整えてきたのだ。間もなく地上は消えて無くなる……! そして我らが魔界に太陽がふりそそぐのだ……!」
「その時余は、真に魔界の神となる。かつての神々が犯した愚行を余が償うのだッ!」
長い。大演説。
「力こそすべて」→「力で平和を踏みにじる権利は無い」→「おまえたちの平和も神々の力によって支えられている。力によって押し込められたのだから力によって世界を変える」
反論できない。
「こんなものが正義であってたまるかっ!」は、力無き者が言うのと大魔王を圧倒する力を持つ竜魔人ダイが言うのでは説得力が違いますね。
慈愛や優しさはもちろん素晴らしいもの。しかし、それらを唱えるだけで問題が解決するならば争いなんて存在しない。いくら大切さを説いたところで魔界に太陽が無いという現状は変えられない。

ダイが立ち上がり、仲間たちを勇気づける。
ブラス、アバン、バランの思いを背負って戦おうとするダイ。自分に影響を与えた相手の思いをくみ取っているのがいい。かつてバランと激しく戦いましたが、影響を受けていることに違いはありません。
ダイとバーン様は互いの言うことを否定する場面もあれば理解する一面もあり、肯定と否定の均衡がとれていて素晴らしい。引き立て役、踏み台を作らずとも信念や価値観を見事に表していて惚れ惚れします。一方を下げて一方を上げるのではなく、双方を高め合うように描かれているので引き込まれます。

「だが魂で余は殺せぬぞ……! おまえの正義を余に説きたくば、言葉でなくあくまで力で語れっ!」
バーン様の主張は一貫してぶれがない。
圧倒的優勢かと思われたがミストバーンは「お戯れはそろそろおやめになって、我々全員で攻撃をすべきです」と進言。普段はミストの方が感情を表に出すのにこの時は冷静。
言葉通り、この後ダイが突破して大魔王に一撃をくらわせます。
 
バーンは自分用の武器、光魔の杖を取り出しダイの剣と心をへし折る。今までひたむきに頑張って戦ってきましたが、それではどうにもならない絶望的な壁がある。
ダイは自分のプライドより勝利を優先するなど割り切ったところがあり、周りがよく見えているからこそ、絶対的な差を突き付けられると理解してしまうんですよね。
どうしようもないことを悟り、諦めてしまう。

・造反
戦意を喪失した彼らへ放たれるカラミティウォール。絶対絶命、全滅寸前の彼らを救ったのは……爆発に巻き込まれて死んだはずのハドラー!
こういう「死んだと思ったら生きてた」は大歓迎。
複数の理由がありますから。
元々生命力の強い魔族。
バランが爆発の威力を抑えていた。
バーンから不死身の身体を与えられており、超魔生物化して特性は失われたと思われていたが、蘇って強くなった。
ただの人間が理不尽なまでに頑丈なよりは納得しやすい。
反逆にも納得できます。あんな目に遭ったら無理もない。

処刑を言い渡されたハドラーは歯を食いしばる。体も震えている。
「加勢はならぬ。主の最期……しかと見とどけよ……!」と告げるミストバーンがやはり悲痛な表情です。台詞にも哀しさを感じる。
刃が振り下ろされる瞬間ハドラーは目を見開き、白刃取り。
「あなたに2度殺されるのはご免こうむる! どうしても私の生命奪うというなら……この場であなたを倒すのみだっ!」
殺そうとしたのはミストバーンですが、バーン様の行いだと認識している。よかったなミストバーン。
そして吐き出される反逆の言葉。
「オレをなめるなァッ!! 大魔王ォッ!!」
カッコいいとしか言えない。
一人称が「私」から「オレ」へと変化したのが精神的な殻を脱却したようで面白い。
人質取られてかまわん、好きにするがいいと返せるのは強い。
それで親衛騎団達が引くどころかノリノリなのも強い。
いいチームワークだ。
「バーン! 死ぬのはあなたのほうだ!!」
大魔王を「あなた」と呼び、丁寧な口調なのが好印象。
ひどい扱いを受けたとはいえ命を救われた恩義がありますし、長年忠誠を誓って戦ってきたのも事実ですからね。簡単になかったことにされたら、これまでの日々は何だったんだと思ってしまう。

・流星
ミストバーンの台詞がまた詩的。
「ううっ……! す、すごい! 流星がその燃え尽きる瞬間に最も明るく輝くようにっ……今死期を悟ったハドラーの力はとてつもない勢いだ!」
魔王軍最強の幹部ミストバーンにここまで言わせるとは成長したものよ。
バーン様が危ないのにポエムってる場合じゃなくない?
そんなにハドラーがすごかったのか。

隙をついて放たれたカイザーフェニックスを片手で握りつぶす構図はアバンの時と似ています。
とどめをさそうと走る彼をザボエラが捕縛。
ヒムはダニ呼ばわりして怒るのにハドラーは無言。何を思っていたんだろう。
一応協力者ですから悪く言わなくてよかった。
 
形勢は逆転し、大魔王がハドラーへ杖を投擲する。ブロックが主と入れ替わり、代わりに胸を貫かれ爆発。
ふっ飛ばされるミストバーンが何か間抜け。
「ブロォーック!」というハドラーの叫び、「やっと覚えて……はじめてしゃべった言葉が……それかよぉぉっ!」というヒムの涙、敵ながらも親衛騎団の絆は強固。
「チェックメイト後のキャスリングは反則だ!!」と怒るバーン様。
残ったブロックの顔を破壊するのはやめてください。ちょっと器が狭く感じられるので。
キャスリングと聞いて「!?」となってるミストが可愛い。
もしザボエラが助けに入るのが遅れたらどうなっていたのでしょう。
ミストバーンが素顔をさらす→攻撃を無効化し、圧倒的な力でハドラーを追い詰める→やっぱりブロックのキャスリングで逃げることになるか。
「行くぞ皆の者よ……世界に破滅をもたらすために」のコマは、背を向け歩み去る大魔王、それに従うキルバーン、間の抜けた表情のザボエラ、すぐに歩み去るのではなく立ち尽くしているミストバーンの構図が印象的。ミストバーンは離反したハドラーのことを思ってそうです。

・爆撃
すごい威力。笑い事じゃないですが、ニセ勇者一行の「本物の勇者は何やってんのよっ!?」という言葉がおかしいというかおいしいというか。
彼らがオーザムにいることが後の展開の鍵となる。
ミストバーンは魔軍司令、ザボエラは魔軍司令補佐に昇進。
しかし、ミストバーンはハドラーがいなくなっての地位など欲しくないでしょう。元々魔王軍などうたかたの夢としか思っていないですし。
ザボエラがハドラーを馬鹿呼ばわりし、体内に爆弾があるのを知っていながら放置していたことを語ると、怒りを露にする。眼光は鋭く光り、爪を突きつける。
「カスがっ! おまえごときにハドラーを卑下する資格はない……!!」
同じハドラーを殺そうとする行為でも動機と覚悟が段違いだ。
考えれば考えるほどすごい台詞です。
バーン様至上主義者のミストバーンが、バーン様の命を救った功績のあるザボエラに、バーン様に刃向かったハドラーを貶され、ブチ切れたわけですから。
目がめちゃくちゃ光るし爪が皮膚に食い込んで血を滴らせるし、ザボエラはよく漏らさなかったな。私だったら泣きながら土下座して命ごいを始める。

「バーン様を救った功績だけは認めてやるが、人から人へ自分の成り上がりだけを目当てにうろつくドブネズミなど私は絶対に信じぬ! いずれまた必ず己の欲のために主を裏切るからだ! その時は……容赦なく殺すぞ……!」
バーン様を裏切る時はミストバーンに殺される覚悟の上で行動すべきですね。
主のために何千年も仕えてきたミストバーンからすれば直接の上司のハドラーを捨て駒扱いしたザボエラの行動は唾棄すべきものなのでしょう。
ザボエラも「バーン様の行いに水を差すわけにはいかないから」と言えばよかったのに。
ただ、余計なことを言ったザボエラに問題があるのは事実ですが、ミストバーンも八つ当たりしたように見えます。
ハドラーを見捨てざるを得なかった辛さをぶつけてるのでは。
ザボエラの「強者とは戦場に最後まで残った者」という台詞には同感。

アバンが生きていたら助けに来てくれるはず、祖国を踏みにじられて黙っているような人ではないと語るフローラ。
本人に百回ほど聞かせてやりたい、その台詞。

15巻

・聖母竜
悪しき者の力がますます強大になったと語られますが、力で抑えつけるようなやり方では反発して力を高めるものだと思います。
大魔王は神をも上回る力がある、竜の騎士の力の限界、という台詞から考えるにバランではバーンは倒せない。それをダイと仲間達が乗り越える、という構図がいい。
「力ばかりが全てを司る今の世界に魂をもって悪を討つ!」という台詞は格好いい。
しかし、最終的にバーンを止めたのは……。
ベンガーナ王の「賭けに勝つコツは最後の瞬間まで勝利を疑わないこと」という台詞もいい。

・苦悩
初めてダイが逃げ出す場面はハラハラします。父が死に、大魔王に完敗し、剣も折られた。
戦うのが怖いのではなく、背負うものや期待の重み、それに応えられないことを恐れている。
葛藤や苦悩とその克服についてはよくポップが挙げられますが、ダイとて挫折を味わっています。普段弱さを見せない性格だけに、辛いんだろうな。
月夜の散歩は好きなシーン。ポップは主人公の親友、相棒の位置だからこそ輝くのだと思います。

しるしが光らないことへの苦悩には正直ついていけませんでした。
トップクラスの天才に生まれが平凡だとか自分だけ違うと嘆かれてもピンと来ない。
ただの武器屋の息子だからという悩みが語られていますが、特別な血統だったら「親は偉大なのに……」だの「王族だから自分を犠牲にして当然」だの「血筋がいいんだからあれくらいできないと」だの他人から言われたり自分で思い悩む可能性もあります。
そもそも血筋について考えるならヒュンケルも一般人でしょう。
終盤の覚醒や奇跡モードがインパクト絶大だから霞むものの、復讐のために長い年月を費やして、血のにじむような修練を経て、あれほどの強さを身につけたわけです。
血筋に恵まれている使徒達はそれを持っているゆえの重責がありますし、挫折も努力もしています。苦悩しないのではなく、表に出す機会が限られていると言った方がいいでしょう。
そういった部分をスルーして、誰よりも恵まれないところから這い上がったかのように語られると違和感があります。
あと着替えを覗くのはどうかと思う。

「太陽が、今最も高く……強く輝いている……!」
「……正午だっ!」
この主従いいなあ。バーン様は本当に太陽が好きなんだな。
ヒュンケルに対するミストバーンの台詞がいちいちドロドロしてる。肩に手を置きながら元鞘宣言とか。
ヒュンケルのパワーアップはせっかくの血のにじむような努力の印象が薄れてしまう。
素肌でビュートデストリンガー止めるな素手で鋼鉄引き裂くな元剣士で現槍使いだろ!?

16巻

・ミストバーンVSロン・ベルク
魔王軍最高幹部対魔界随一の剣士。
光を発しつつ空中で激突、岩壁にぶつかり抉りながら移動って別の漫画みたいだ。次元が違う。
デストリンガーブレードが痺れるほど格好いい。岩壁に叩きつけられながらロンの剣を受け止める体勢が最高です。
バーン様の勧誘を断ったロンに怒ってますが、主より怒りっぽい側近って問題では?

ザボエラは「ミストバーンがワシを毛嫌いしていようとバーン様に取り入るきっかけを作れる」と考えましたが、それは無い。
告白して覚醒。賢者へ転職。そんなのアリかよ。
ヒュンケルは言うまでもなくポップも大概何でもアリですね。
ザオリク級のベホマって、いざとなればほぼ何でも治してしまいそうで、緊張感なくならないか心配。

バーンパレスに突入し、進むダイ達の前に立ちふさがるは親衛騎団。
無駄な消耗を避けるためにはハドラーとの決闘などしてはならない。
しかしダイは残された命わずかなハドラーが誇りをかけて戦おうとしていることを悟り、一騎打ちに応じる。
ミナカトールも大魔王の力を抑えるまではいかないと告げるハドラーに対し、ハドラーが全力を出せなかったら悪いから安心したと告げるダイ。
敵がやれば卑怯、味方がやればOKとなることも多いのですが、味方がやる場合でもそういう風に考えられるのがダイの純真なところ。
ハドラーが「泣かせることを言うわ。ガキのくせに」と笑いながら言い、ダイも笑顔で応える。爽やか。
最初は師を殺した憎い敵のはずだった。戦う中でも敵のままだった。それがいつしか最高のライバルへと変わった。
回想シーンの顔まで男前になるのでちょっと笑える。
過去の行いまで美化されたり、肯定され持ち上げられたりしたら嫌ですが、そこまではいかないようで安心。
勇者と大魔王の鼻をあかしてやろうというヒムに、ハドラーは一番今の自分に似ていると言う。
この発言や涙があるのでヒムの復活には納得できる。

・親衛騎団戦
クールなアルビナスの熱き思いに燃える。
想いの強さでは人間には敵わないのかと語るアルビナスですが、そういうわけじゃないでしょう。
シグマvsポップはシグマがかっこいい。
「私」「君」など口調が紳士的。決して油断せずに全力を尽くす姿勢もいい。
バキボキバキバキというライトニングバスター直撃の音が生々しい。鍛えてようと普通は即死だろ、ヒュンケルでもない限り。
肉体の頑健さは戦士には及ばないはずなのにしぶとい。この不死身っぷりは真大魔王戦でも健在。
「魂には肉体以上の強さを与える力がある……私もそう信じているよ」
主から頂いた魂は己の誇りだと語るシグマ。

バーン様が真竜の闘いについて解説していますが、キルバーンは「あの、知ってるんですけど」と思ってそう。
ボリクスvsヴェルザーを見たいです。
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