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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ダイ大感想修正版 7

ダイ大修正版 7



17巻

・ハドラー最後の闘い
いちいちカッコよくてコメントしづらい。
何故ミストバーンはこの戦いを見届けなかったんだマジで!
バーン様のために働いてたからだよ。
ハドラーのキックのフォームが綺麗。髪のなびき具合も。
決着をつけようとするダイの顔を見て、「今ではオレの一番好きな顔だが」と言い出す。
そうなの?
バーン様もダイのことを「余はお前のそういうところが好きだぞ」って言うし、よく強者に好きって言われるなあ、ダイ。

ストラッシュクロスをくらってもなお立ち上がる意地と底力に感嘆するしかない。
ここで六大団長が最強だったと認め、勝てなかったのは指揮官である自分の心に野望と保身しかなかったと語るのがいいんですよ。
魔王軍時代をなかったことにしていないのも、自分の問題点を認めるのも好感が持てます。周りのせいにしていたら幻滅したかもしれない。
「さぁいくぞっ! おまえたちの忠誠に……この一太刀で応える!!」
ポップの手を借りず、受けて立とうとするダイも漢だ。
「どうせこの一太刀で燃え尽きる身! ならばその数秒、己を高めるのに費やすのみだッ!」
この台詞をミストバーンに聞かせたかった。さぞかし詩的な比喩をひねり出してくれることでしょう。
「我が全身全霊ッ! 敗れたりっ!」
いいなあハドラー。充実してるのがこっちにまで伝わってくる。

握手寸前の爽やかな空気をぶち壊しにキルバーンがやってきた。
予測して対処したポップ、冴えてる。うおお、素敵ィ!
死神の外道っぷりに曇りなし。はああ、痺れる……!
どっちを応援してるんだ私は。
「奴らが絶望にもがき苦しむところを見物したいと思いましてねェ」
「面白いですよォ死に瀕した時の人間の表情は……! 寿命が短いから魔族とかよりもさらに深刻ですもんねェ」
「絶望と! 苦悩と! 悲しみに満ちた表情をっ……!」
「ねぇ~っ!? いい表情するでしょう? 人間って」
暗殺大いに結構と仰るバーン様すら残酷さだけはおまえに及ばん、魔界一と言っています。
異議なし。
しかし、やりすぎると主人公側のパッシブスキル『奇跡』『覚醒』『復活』『底力』等の発動率が上昇するので注意しましょう。
第三勢力だったハドラーが追い詰められた結果主人公側に追いやられて、それらを会得することに。
握手を終えるまで待っていれば立ち位置はそのままで、『奇跡』も発生しなかったかもしれない。

ハドラーはアバンの使徒のあるべき姿を語り、ニセ者を倒すために死んだ道化にしてくれるなと叱咤する。
このこだわりよう……ミストがハドラーにご執心なら、ハドラーは使徒達にご執心ですね。
「急げポップ! 骸が動いたのだ! もうけものと思えっ!」
ハドラーが熱すぎる。おまえたちが助かればそれでいいって……それでも元魔王か?
握手未遂からの流れ、ぜひミストに見てほしかった。そして苦しんでほしい。
バーン様のためになるから最期を邪魔したキルの行為に文句は言えない。でもハドラーの最後の願いくらいは尊重したいとも思うはず。板挟みになるところを見たかった。
全身が崩壊しながらも炎を支えるハドラー。彼を背にメドローアを放とうとするポップ。ここのメドローアが一番好きです。

ポップが取り残された時、ヒュンケルが無言で震えていることに今更気づきました。衝撃が深かったんだな……。
キルバーンがピロロと何か飲もうとしてますが、何の飲み物だろう。ワインかな。
飲食機能付きなのか、飲んだふりしてこっそり流すのか。血液の話はすでにあったので、ここまできて正体の設定が決まっていないというのは考えづらいですし。
炎の中での二人のやり取りは印象的。
人間の少年のために涙を流すハドラー。
そして、初めて捧げられる祈り。
(……神よっ!! 人間の神よっ!! 魔族のオレが……はじめて祈る……! もし、本当に……おまえに人命を司る力があるのならこいつをっ……! この素晴らしい男だけは生かしてくれっ!! オレのような悪魔のためにこいつを死なせないでくれっ!! ……神よッ!!)
ここで己を悪魔と呼ぶということは、かつての所業の残虐さにようやく気付いたのでしょうか。
それまでは一皮剥けたと言っても、認めた人間はアバンの使徒や、覚悟と実力の備わった戦士だけだったでしょう。
ようやく人間全体への慈しみに目覚めたのか。
もっと詳しく、人間への見方など心境の変化を知りたかった。

祈りに応えたかのようにアバンが登場し、彼らを救う。
あまりに見事な登場タイミング。
アバンからすれば、自分を襲ってきたから返り討ちにした弟子や情けない逃げ出し小僧だった弟子が立派な戦士になっていて、三流魔王だったハドラーが武人になってるので相当困惑する状況であるはず。
それなのに混乱を微塵も出さないとは適応力高え……。
空気を読む能力が抜群に優れているのでしょう。キルバーンと似ていますね。

ハドラーはアバンを奪ったことを悔やんでいましたが、最期の最期で悔恨から解放された。
反吐が出るとか言いながら助けるあたり素直じゃない男だ。
今読み返すと、爪に刺されて空中から現れるキルバーンの、足首のあたりの描写が好きです。掴んで引っ張りたい。どんな感じで出ているか確かめたい。
呻き声が真に迫っている。実に演技派。
ハドラーが情けは捨てろとアバンに忠告。最終話を思えば的を射ている言葉です。
ハドラーはついに黒い灰となり、風に散る。
ポップの仲間認定には疑問もありますが、アバン達にハドラーの想いが通じたのは喜ばしく、祝福したい。
ミストの心にも深く刻まれていますし、美味しいところを持っていってますね。前半の迷走と後半の覚悟で物語を引っ張ってくれたので許せる。
ミストバーンがハドラーの戦いと最期を見届けられなかったのが残念でなりません。

・アバン復活
賛否両論と思われるアバン復活。
賛成
・ハドラーの最期を飾るのに必要
・ダイの主張(=力がすべてだと言うのは間違っている)の強化
・単純な強さではない戦い方で変化がついて面白い
反対
・今までアバンのことを思ってダイ達が頑張ってきたのは?
・ハドラーやフローラの立場がない
・祖国が蹂躙されているのに修行に励んでいたのは……
・忠告もあったのにピロロを見逃してダイが失踪する原因に
友人は「アバン先生の復活だけは許せない」とえらく拒絶反応を示していました。弟子が犠牲になったのにエンディングで普通に幸せに暮らしているのはどうかと思うらしい。
私は話の展開としてやっちゃいけないだろうと思いましたが、ポップがキルバーンに勝つのは能力的にも性格的にも厳しく(勝つにはかなり強引な補正が必要でしょう)、ハドラーの最期を飾った点が大きかったのでグレーゾーンです。

18巻

・ツケ
地上で人間達と戦うミストバーンとザボエラ。
配下のモンスターが全員倒され、ザボエラはミストバーンに敵を押し付けて逃げるつもりだが、ミストバーンには通じない。
「人生のツケというやつは最も自分にとって苦しい時に必ず回ってくるものらしい」
その台詞、道具扱いした弟子にやられる自分に跳ね返ってきません?
「大魔宮に戻ってバーン様をお守りするのは、この私だ。その前におまえのために一肌脱いでやる義理もないっ!」
ザボエラ以外の人物だったら、あるいはザボエラの言動がマシだったら、一肌脱いでくれたんだろうか。
「たまには自分の手足を動かせ……!」
本体の瞳が見えてる。
この台詞だけだと、研究や開発といった分野での働きを評価しない脳筋みたいですが、ザボエラが切り札隠して敵を押し付けて逃げようとしているのを忘れてはいけません。
脅さないと出し惜しみして、手柄だけ持っていこうとしますからね。
バーン様のために全力で戦った上で助けを求めたなら違ったかもしれない。

仲間を見捨てるつもりかと問うザボエラに対し、ミストバーンはどこまでも冷たい。 “仲間”ならばミストバーンがなんと答えるか十分承知しているはず。
「だっ……“大魔王様のお言葉は”……」
「そう! “すべてに優先する”のだ……!」
多くの者を利用し、踏み台にしてきたザボエラが、初めて捨てられ踏みにじられた。
そうは言うけど、仮に離反前のハドラーから仲間と呼ばれたらミストバーンは喜んで協力しそうな気がする。
「私は強靭な肉体と精神を持った者は敵味方を問わず尊敬する。諸君らの活躍を永遠に心に留めておくことを約束しよう!」
何千年も生きてきて、まだまだバーン様のために働こうとしているミストが口にする「永遠」は重い。

昔読んだ時は「ザボエラの発想は戦争にあてはめて考えれば理にかなっている」「武人主義の犠牲者だ」と思いましたが、読み返すとそうでもないと思いました。
「自軍の被害を最小限に、敵の被害を最大限に」ならともかく、「自分以外の味方は全滅してもかまわない、むしろ死んでもらわないと困る」だと問題だらけです。
ノヴァの最低の発想だという感想も当然です。他人は改造するけど自分は嫌と言ったり、敵を「いたぶる」という言葉を使ったりしてるので。
自分の肉体はいっさい傷つかずに思い通り動かせてなおかつ一方的に敵をいたぶれる能力って、ミストとキルがすでに通った道ですよね。何百年も何千年も前に。
超魔ゾンビを見て「これでなんとか地上はおさまるかもしれんな」とつぶやくミストバーン。
扱いが酷いけど、ザボエラの使い方を熟知している。

体を張って超魔ゾンビを止めようとするクロコダインを掴み、ザボエラは高らかに笑う。
「小さい……! 非力だ!」
「きっと、以前のワシはおまえから見るとこんな風に見えたんじゃろう」
「いい気分じゃぞいっ! 巨人の気分というのはなァッ!」
これらの台詞からザボエラが非力な自分にコンプレックスを持っていた可能性が浮かび上がりますが、ダイ大の悪役は、ヒュンケルやバランは別としてポジティブなのが魅力です。
バーン様:太陽を奪われ神々を憎むが、自分が神となって世界を変えようとする。計画が阻止されても再度実行しようとする。
ミスト:己の体質を嫌っているが、忌まわしい身体のおかげで偉大な主に出会えたと断言。
フレイザード:生まれたばかりで人格に歴史がないが、それならば誰にも負けない勝利や栄光を掴めばいいと考える。
ザボエラ:非力であることにコンプレックスがあるかもしれないが、薄汚い手を使ってでも出世する気満々。
ここまで前向きだといい意味で同情する気になれない。

・新たな師弟関係
ノヴァとロンがいい味出してます。
ダイとの訓練中、力の差を噛み締めるノヴァに、そこまで低姿勢にならなくてもいいのにと思いました。
彼を力づけるダイに「勇者だ……」と感じた。ノヴァに対しても。
ノヴァは自分なりに勇者の役割を考え、命をかけて果たそうとする。ロンは他者の、それも人間のために自分が傷つく覚悟をする。
「色は違えど流れる血は同じ=人と魔の共存の可能性」「武器と人の一体になった姿=ロンの理想」「勇者の武器=勇気」「勇者とは何かという問いに対する答えの一つを提示=他者に勇気を与える者が勇者」などが示されたという見方もあるそうです。
勇者論を整理すると、
マトリフ:何でもできるが何もできない、武器は勇気
ダイ:何人いてもいい、救われる人がいるならそれが勇者
ノヴァ:他人に勇気を与える者
になります。意見がそれぞれ微妙に違っていて面白い。

・ザボエラの最期
酒瓶の栓を開けようとするノヴァとロンのやり取りが清々しい。
微笑ましい光景の裏ではクロコダインがザボエラに鉄槌を下す。
非力さゆえに策を弄するしか方法はなかったという言葉には頷ける部分もある。
そのうえで、同情を引くためだと割り切っている姿勢に好感が持てます。
ザボエラの最期は余韻があってダイ大の悪役の中でも相当好きです。
今まで歩んできた道のり、築いた関係に相応しいと感じられますから、他のキャラにも見習ってほしいと思ってしまう。
改心しない悪役を倒したんだからすっぱり切り替えて明るい空気になってもいいのに、相手への理解や同情を示す。ほどよい空気と距離感です。
バダックとクロコダインの会話にも共存の可能性を感じますが、そんなことはなかった。

・昇格ヒム
自分の獲物を渡さないという宣言はフェンブレンと似ています。
一矢報いてやらないと死んでも死にきれないという台詞は、ハドラーが超魔生物となった時と同じ。
過去のシーンとダブらせるのが上手い。気づけば二度美味しい。
「死んだと思ってたら生きてた」が多い作品ですが、ヒムの場合はそれらしいシーンがちょくちょくあったのですんなり受け入れることができました。
・チェスの駒から生み出され、駒の能力を持つことはブロックで披露済み
・ハドラーの覚悟や仲間の死に涙を流すなど人間らしい側面を持つ
・ハドラーの「お前は今のオレに一番似ている」発言
・ヒュンケルにやられた時、あまりにもあっけなさすぎ
などなど。
ハドラーを負け犬呼ばわりした雑魚どもが文字通り叩き落とされてますが、もしその場にミストバーンがいたらブチ切れたでしょうね。

白い宮庭の説明を始めるミストバーンがお茶目です。相当無理して無口設定守ろうとしてたんだな。守れてないけど。
状況的に仕方ないとはいえ、ヒュンケルが上半身裸で戦場をうろつくのはちょっと……。作中では時間があまり経っていませんが、読んでいる方は長時間裸でいるように感じられる。話の中で服を用意することはできなかったんだろうか。
マキシマムはラーハルト復活のためだけの敵になっただけとしか思えません。
逆に言えばラーハルトの活躍らしい活躍はマキシマム戦だけです。単純な強さはヒムより上のはずなのに、ミストバーンを追い詰めたのも、カラミティウォールを破ったのも、グランドクルスで脱出に貢献したのもヒム。
魔界編で活躍する予定だったので仕方ないのですが、復活の意義が薄く感じられてしまう。
中途半端に最終決戦に参加せずとも、第三勢力の影響で復活が遅れたなどの理由をつけて魔界編で復活して、そこで存分に戦えばよかったのでは。
ミストバーンを焦らそうとするマキシマムに対してヒュンケルがクズ呼ばわりしたのは、師への想いがあったと捉えるのは考えすぎか?

ヒムが犬とチンピラを足して割ったみたいな挙動してる。
ラーハルトがヒュンケルと特別な間柄みたいな顔してるのが気に入らないらしい。ヤキを入れるって……やきもち焼いてないか?
ヒュンケルが真っ白に燃え尽きますが、寝ただけ。
えぇ……?
何が何でも退場させろとは思いません。ただ、何故息絶えたような描写にしたんだと思う。
最初から普通に休んだだけなら疑問に思わなかったと思います。
ミストバーンの言葉に「自慢の一番弟子」と返したアバン、いい性格してますね。

19巻

・魔王軍の幹部
アバンのギャグに高らかに笑うミストバーンがお茶目です。
いつもは「ハッハッハッ」「フハハハハッ」と笑うのに、「ふっ……ふふふっ……! ワハハハハハハッ!!」だから笑いすぎ。
魔王ハドラーを倒した頃からアバンを知っている。強者チェックは欠かさない。
一番はバーン様のためですが、自分の趣味も入ってそう。
「このバーンパレスから邪魔者を一掃できるのは、私しかいない……このミストバーンただ一人だ!」
という台詞に誇りが感じられる。
六大団長などバーン様の心のゆとりが生んだお遊び、地上殲滅など自分一人がいればたやすいと断言するミストバーン。
軍団の構想が打ち砕かれ、残念だが仕方あるまいと呟くミストバーンの仕草が「やれやれ」と言いたげです。
クロコダインは忠誠心を見込まれて選ばれたと言ってるけど首をかしげてしまう。男気とかなら納得できたかもしれない。

地上殲滅という最大の使命にいささかの支障もない。魔王軍などしょせんはこのわずか十数年のうたかたの夢。
ミストバーンは拳を握りしめ、高らかに宣言する!
「私は……幾千年も前からもともと一人だった! 一人でバーン様を守り抜いてきたのだ!!」
幾度見ても心にガツンと響く。
他の雑魚とは格が違うことを感じさせる台詞。冷徹と思いきや熱い男だ。
キルバーンとは数百年の付き合いですが、立場も役目も全然違うから孤独は解消されないのでしょう。
バーン様かヴェルザーの命令一つで殺し合う関係ですからね。

アバンが一人でミストバーンと戦うことを申し出ますが、無理だろと思わずツッコんでしまった。
空の技を持っているため相性はよくても、ロン・ベルクと繰り広げた「チカチカ発光しつつ飛び回って壁を抉りながら斬り合う」ような戦いについていけるの?
アバンが引きずり込まれて心を痛めるダイ達を煽るミストバーン、彼もなかなかイイ性格してるな。口が達者だ。
不器用な性格だと魔界でやっていけないんだから当たり前か。
情報を握っているふりして足止めを試みますし、側近・参謀らしいところを見せてくれた……と思ったそばからレオナに魂胆を見抜かれ「ちっ!」と不機嫌そう。露骨に態度に出すあたり、やっぱり参謀に向いてないんじゃ。
「いいのか? 目先の友情ごっこにひたったばかりに大切な仲間が死んでしまっては……泣くに泣けんと思うが……! いいんだな!?」
という恫喝もドスが効いてて大好きです。
「仲間の断末魔の叫びを聞けば……先へなど進めはしない!」
自分達との違いをよくわかってらっしゃる。ハドラーの涙に動揺してたけど。

ダイたちを正義の使徒と呼んでいるのは自分たちを悪だと認識しているのか?
ミストバーンの性格なら「バーン様こそ正義」と言い出してもおかしくなさそうなのに。
それとも、力こそ全てという考えに従い、計画を達成して勝者となった暁に正義を名乗るつもりだったのか?
地上滅亡を目的とし、多くの人間の命を奪ってきたバーン様やミストバーンを、人間から見て正義と呼べないのは当然です。
しかし、人間にのみ平穏を与えた神々への憤りや沈みゆく太陽を目にしての穏やかな微笑など、彼らなりの平穏を望む気持ちがあることは覚えていてほしい。

「ウロウロ動くのも無粋であろう」
ウロウロする方が面白いのに。
ポップとマァムのコンビが足止めもできず瞬殺されるあたり、最後の幹部だけあって地力が違う。
「ぬうううううっ!」と拳を突き上げる姿は恐ろしげですが、ラーハルトに裏切ったなどとは笑止と言われ言葉に詰まる。華麗な弁舌を披露したりしなかったり忙しい。
老師たちまで真大魔王戦に参加する必要はなかった気がします。挑む人数が多すぎるし、命を落とすとは思えないので緊張感が薄くなる。
チウとヒム、ダイの救出で出会った時はヒムが上から見ていたのにすっかり立場が逆転しています。

・双竜紋覚醒
「大切な相手を守るために受け継がれた力が目覚める」と書くとかっこよさげですが、敵がぽっと出のゴロアですから微妙な心境に。鬼眼の伏線は別の機会にして、キルバーンの罠やミストバーンが相手だったらもっと熱かった。
双竜紋が目覚めたダイに無謀な攻撃を仕掛けようとするゴロアをバーンが制止する場面がとても好きです。「この役立たずがっ!」などと言って抹殺せず、「余はおまえを咎めはせん」と静かに諭すのが器の大きさを示しています。
未知の戦力に対しては余裕をひっこめて即時粉砕しようとする油断の無さも良し。
自分の力への評価が控えめなダイに「全く可愛い」と言うのがお爺ちゃんと孫っぽい。

・誘い
ダイの強さを認めた彼は部下になれと誘う。ドラクエのお約束が出ました。
「賭けてもいい、余に勝って帰ってもおまえは必ず迫害される……!」
泣いてすがるのは自分が苦しい時だけと言われると反論できない。
腹痛に襲われた時とか神に祈るけど、おさまったら忘れるし。
迫害と言っても、石を投げるような直接的なものにはならないでしょうね。力の差がありすぎるので。
その代わり、恐れて遠巻きにしたり、力を利用しようとしたりするでしょう。
レオナが否定するも、個人的好意だと切り返され反論できない。
たった一人の感情ではどうしようもないと言ったり、国を得体のしれないものと形容したり、為政者としての発言が興味深い。
バーン様とレオナの王様談義は見ていて面白い。もっと別の形で語り合ってほしかった。
今でもバランやハドラーに対する敬意は変わらんというバーン様ですが、正直疑問です。
敬意と聞いて浮かぶ一般的なものとは基準や表し方が違っている気がする。
少なくとも、ミストバーンみたいな敬意でないことは確かです。

ダイの答えは……“NO”。
人間の狭量さを知りつつも、地上が――人間が大好きだと語り、答えを告げる。
「おまえを倒して……! この地上を去る……!」
人間にとって都合のいい騎士様ですね。
戦いが終わったらいなくなるところまで含めて。
「今は受け入れられなくても変えていける!」という確信ではなく「居場所がなくなるかもしれない」という諦めがあるのがやりきれない。
この答えが、一見大団円だけれど人間の狭量さについては前進していないラストにつながる。
このシーンについて、「部下に爆弾埋め込むような奴が勧誘したって乗るわけない」と言われますが、ダイが勧誘を蹴ったのはそういう理由ではないと思います。
この場面で描きたいのは「自分を迫害するかもしれない人間を守るために、己を評価してくれる相手からの誘いを断る」という構図であるはず。
仮にバーン様がバランやハドラーを丁重に扱うホワイト&クリーンな上司でも、地上破壊や人類滅亡を目的とするなら手は取れないでしょう。

・輝くドS
アバン対キルバーンの勝負ではキルバーンの残忍さが光っています。
「その気になって修行すれば、まともな勝負でも無敵にはなれた」?
腹話術師とその人形がどこからそんな設定をひねり出したんだろう。
ピロロが頑張って人形の性格と設定を一生懸命考えたんだろうか。
「蜘蛛の巣にはまってもがく昆虫のように……罠にはまって狼狽している相手を見るのは最高さ……! 一途に努力を重ねてきた奴であればあるほど、堕ちた時の表情が楽しめる」
「そんな相手にスウッと……とどめを刺して楽にしてやる時、はじめて心の底から思えるんだよねェ……ボクは死神なんだって、ね」
見事なまでの悪役です。
勝負する前に正々堂々たる一騎打ちを申し込んでおきながら、
「ね? 最後に物を言うのはやっぱり罠だったろう? じゃあサヨナラ……!」
と臆面もなく言い放ち、それでも足首をつかんで必死に止めようとするアバンの手をしつこいと呟きながら斬り飛ばし、最後に「復讐完了」と告げる。
ここまでひどいキャラを考え出せるのはすごい。
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