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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ダイ大感想修正版 8

ダイ大感想修正版 8



20巻

ヒム対ミストバーン、真ミストバーン戦、そして……真・大魔王バーン、降臨!
熱くて盛り上がります。

・美酒
「己の強さに酔う……! どんな美酒を飲んでも味わえない極上の気分だぞ」
追い詰められてもなお威厳を失わない。
ドルオーラを連発し、強すぎるからこそとてつもない威力の攻撃を食らうこととなったバーンに複雑な表情のダイ。
「強すぎるっていうのもさ……あんまりいい事じゃないよね」
○○強え! と盛り上がることのある私には耳に痛い言葉です。

・ヒム対ミストバーン
ミストバーンとの戦いではヒムが登場。
地面に爪を突き刺し、地中を進ませて突き出す攻撃が渋い。
普段ゴリ押し力押しの印象が強いから、こういう攻撃は記憶に残る。
ヒュンケルに「フフン!」と言うあたり、ムキになってませんか?
そう言えばミストの精神年齢は何歳くらいなんでしょうか。数千年生きてきたわりには若々しい。というより子供っぽい。
ヒムにボコられる姿が素晴らしい。生身でないのが惜しい。
ここはダイ大で好きなぶちのめされるシーンベストスリーに入る。
容赦なくぶちのめされても信念が折れないのが立派な悪役ですから、やられる時はきっちりやられてほしい。
優勢な時に格好いい悪役は大勢いる。
問題は劣勢になってからです。
追い詰められてもカッコよさがにじみ出るならば、間違いなく一流の悪役です。
徹底的に打ちのめされても、誇りと意地を炸裂させ、立ち向かってほしい。

ヒムは闘魔滅砕陣を一発踏みつけただけで吹き飛ばし、拳を打ち合わせ、不敵な笑みを浮かべる。
「男ならこっちで来いよ……! 大将!」
ミストバーンを大将呼ばわりって、ヒムの中のミスト像はどんな風になってるんだろう。
以前は突っ走る性格に実力が追い付いていない感じでしたが、昇格してからはふさわしい風格が備わっています。
滅砕陣を踏み消されてミストバーンは目がまん丸になっている。よほどショックを受けたのでしょう。可愛いな。

「ミストバーンさんよ、あんたをこうやっていたぶるのは少々気がひけるぜ。腹の立つ野郎が多い魔王軍の中にあって、あんただけはハドラー様を評価してくれているように思えたからなァ……」
普通に攻撃しているだけですから何も悪くありません。胸を張ってください。
どうやって評価しているらしいと察したんだ。
何かイベントがあったの? それとも見てりゃモロバレだったの?
ミストバーンはハドラーの面影を見出し、ヒムの闘気や生命はハドラーの遺産なのかと問う。
そう思いたいと答えるヒム、彼を肯定するチウや仲間達。
それに対し、ミストバーンが激怒する!
「笑わせるなっ!! 人形風情がハドラーの生まれ変わりのような顔をするのはっ…… 身の程を知らぬにも限度があるっ……!」
「このミストバーンの渾身の力をこめて……粉々に打ち砕いてやるぞっ!!」
ミストバーンの台詞の中でもトップクラスの熱さを持った台詞。
評価していたどころではない。
大魔王様のお言葉はすべてに優先するミストバーンにとって、魔王軍から離反し、大魔王に刃を向けたハドラーは許しがたい敵のはず。それでもハドラーに対する想いは失わない。
ミストバーンが熱いのは、誰かを想って怒るところですね。
本人がいない場所で。
命を落とした後さえも。

ハドラー関連の場面・台詞だとミストバーンはひときわ熱く見えます。
ザボエラに加えてヒムに怒ったことで、ミストバーンのハドラーに対する感情が重いものに見えるんですよね。
・ザボエラにハドラーを卑下されて怒る
・ハドラーが生命を与えたと思いたがっているヒムに怒る
前者はシンプル。敵に回ったとはいえ、尊敬する男を馬鹿にされたら腹が立つでしょう。
後者が何というか、もう、重い。
ヒムはハドラーを馬鹿にしてはいない。それどころか敬意を抱いています。だからこそ受け継いだと思いたがっている。
ともに戦った部下であり、ハドラーの理解者と言ってもいい。
ハドラーからの一番似ているというお墨付き。
そんな相手にまで怒るんですから。
こだわりが凄まじいですね……ハドラーソムリエか?

闘魔最終掌も凄まじい威力。光の闘気のこめられた最強の金属を簡単にゴリゴリ削り取る。生身の人間がくらったら肉は裂け、潰れ、骨は砕け、グロい状態になること間違いなし。相手がヒムで良かったな。
階段にへたり込む姿が妙に人間くさい。

・魔王軍最強
とどめを刺されそうになったミストバーンはピクリとも動けないはずなのに立ち上がる。まだ終わるわけにはいかない。大魔王のためなら限界を超えて立ち上がるでしょう。
主の名を呟き、許しを請いながら封印を解除。
そして、全ての力を解放!
素顔を見せたミストバーンの格好よさはトップクラスだと思います。
バーン様から罰を受けることを恐れているようですが、一体どんなことをされるのでしょうか。
すごく見たい。
バーン様は内心では全然怒っていないのに、部下の反応が面白いからわざと怒ってる振りをしそうです。

ここからはミストバーンの強さ、格好よさが加速する。
殴りかかろうとしたヒムは凄まじい殺気を感じ、思わず動きを止める。
「いいぞ、せいぜい恐怖しろ。……私も怖い!」
台詞だけ聞くとまるでギャグだ。
ヒムの拳を易々と受け止め、力任せに無造作に超金属の腕を捻じ切り砕く様は圧巻。ヒュンケルはヒムの力あってのカウンター+最大まで高めた闘気、ミストバーンは全暗黒闘気を集中させた攻撃で砕いてましたが、闘気すら無し。
「私が魔王軍最強なのだ!」
この強さ、この風格。これでこそラスボス疑惑浮上キャラ。

マァムは色黒になったのにミストバーンは色白のままなのは、秘法がかけられているか否かの違いでしょうか?
ラーハルトはメドローアを知らないはずなのにポップに視線を向ける空気の読める男だとか、ポップのマァムラブっぷりはヒムにもモロバレだとか、いろいろツッコミどころはありますがまあいいや。
本気を出した老師が一時的とはいえ圧倒するのはインフレしすぎな気がします。
それほど強いなら魔王ハドラーも何とかできたのでは?
強い師匠が前線に出てくると弟子の立場を奪ってしまいます。
フェニックスウィングでメドローアを弾く様は、炎に包まれた手がカッコいい。

ポップが消えたと思い、倒す希望を失う一行。
以前はすぐに諦めたラーハルトの忠誠心はやや薄いのかと考えました。しかし、改めて真大魔王戦突入前を読むとミストバーンより強い真大魔王と戦う気満々です。ダイのために捨て石になるとまで言っている。
ならばポップが消滅したと思ってもダイのために戦おうとするはずでは?
もちろん、秘法への対抗手段が無くなった状況と、いくら相手が強いと言っても一応攻撃が通じる状況とでは違います。
ですが、この場面だけポップの存在感の大きさを示すために性格を変えられているようで、違和感があります。ここで彼一人「オレは絶対に諦めない、ダイ様のために戦うのだ!」と言っても展開が遅くなるという事情もあったのでしょうが……。
「味方の期待を背負い敵からも評価されるすごいやつ」という表現が過剰になってませんか?
一瞬たりとも死んだと思えなかったのも大きいのかもしれません。「どうせ生きてるのに……」という考えが浮かび、温度差が生じるのでしょう。

・友情を盾に
アバンがキルバーンに化けてミストから秘密を聞き出そうとしたのはわりとひどいですね。
ザボエラが同じことをすれば絶対ボロクソに貶されるぞ、卑怯とか汚いとか。
友情利用して情報得ようとするとは、手段を選ばない人だ。
絶対に負けられない戦いですし、そもそも魔王軍側が侵略仕掛けてえげつない手もバンバン使ってます。
ただ、こういったやり方を用いるからには、清廉潔白な人格者、高潔な聖人君子という風に語られると違和感があります。
ミストバーンがキルの度胸に感心したのも間違いではないんですよね。
あの貧弱なボディで大魔王の前に現れて、敵味方問わずおちょくってきたんですから。最後は挑発しに行ってやられるけど度胸は変わらず。
呼び方で偽者だと見破ったミストバーンですが、あの話の流れだと皮肉を込めて、あえてミストバーンと呼んでもおかしくない気がする。
「キ……キルはっ……! あいつはどうしたっ!?」
友人のことで冷静さを失うミストバーンは感情豊かです。初期の沈黙が嘘のようだ。

・死の神VS奇跡
手袋を地面に叩きつけるキルが面白いというか可愛い。ビターン! って感じで。
決して自分の身は傷つけない主義……ザボエラはキルバーンを目指すべきだったんだな。
同じ外道でもフレイザードは自分の身を削りますが、ザボエラやキルバーンは傷つきたくない。個性の違いが興味深い。
「あらゆる者の生と死を統括できる死の神」という台詞に、ピロロが頑張ってキャラ付け考えたと思うとほっこり。

キルバーン戦はかなり強引な勝ち方です。
切れ者だと言われているのにハドラーの守りが無ければ何度も死んでる。
ピロロに何もせず見逃したのも油断ならない頭脳の持ち主のすることなのかと問いたい。武装解除や捕縛くらいはしておきましょうよ。
そうは言っても、灰になったハドラーがアバンと見つめあった後天に還るシーンは好きです。よかったな、想いが通じて。死んだ後もヒムに生命与えたりアバン守ったりマジで頑張ってる。
灰になっても助ける様子を見て、キン肉マンのあるキャラを連想した。

ミストバーンはハドラーがアバンを守ったことをどう思うんだろう。
強者同士の関係を素直に称えるのか、自分と同じ、神の手から外れた生命であるはずの超魔生物が『奇跡』を起こしたことに複雑な思いを抱くのか。
ハドラーが助けたのは、別にキルの行動が腹に据えかねたわけじゃないと思います。
相手が誰でもアバンを助けようとしたんじゃないか?
ただアバンを守りたいという思いで。
アバンの解釈がズレてるのは、自分に向けられた感情の重さに気づいていないためではないでしょうか。
適度に鈍さを演出することで万能感を打ち消す匠の技。
そんなところまで含めてそつなく立ち回る印象が強いからこそ、最終話で発覚するやらかしが致命的なんですよね。元から抜けてて危なっかしいキャラなら批判する気も起きなかったかもしれない。
 
ハドラーを倒した時の話をアバンから聞かされ複雑な表情のヒムがツボ。
「私はバーン様の真のお姿を覆いつくす黒い霧……! 即ちミストバーンだ!」
という言葉に誇りが感じられます。
ミストバーンの正体が明かされ、大魔王最大の謎が解け、魔力と叡智のみを残した本体に若さと力を持った全盛期の肉体が戻る。
閉ざされた眼が開かれ、鋭い双眸がダイを見据える!

真・大魔王バーン降臨!

興奮しました。
もはやこの肉体一つで全てが叶うという言葉通り、マッチョです。上腕が逞しい。
個人的にはもう少し露出控えめの方が好みです。
ミストは自分の声で喋れるなら、何故そうしなかったんでしょう。
・喋りやすいのは器の声で、普段本体で喋ると咄嗟に声を出した時に食い違う
・体質的に本体の声は特徴的で、一発でゴーストやガス生命体だと推測される
どっちだ。

・寄生
ヒムがミストを侮辱する。
「てめえの強さじゃねえくせにいばりくさりやがって!」
「一人じゃなにもできない寄生虫ヤローがよ!」
やめろォ!
その寄生虫が力を貸さなかったらハドラーは処刑されていただろうに。
当然親衛騎団も生まれません。
自分の力じゃないのにいばってると言ったって、預かっている力をたいしたことないと語るわけにもいかないでしょう。自分の物じゃないと言うと秘密がバレるかもしれません。
ミストとハドラーは認め合っている関係なので、片方を貶すともう片方の評価が下がる可能性が高いんですよ。
ミストを寄生虫呼ばわりしたら魂認めたハドラーはどうなるんだ。
ヒムも好きなだけにつらい。
好きなキャラが好きなキャラ貶して好きなキャラの評価を間接的に落としてやがる……。
ハドラーだったら侮辱しないと思いたい。

読むたびに溜息吐きたくなる場面ですが、自分はどうなのかと考えると言葉に詰まってしまう。
ダイ大読む前まで「憑依キャラ=他人の力で調子に乗る小物」という思い込みがあったんですよね。
苦悩が語られていない状態で同じような判断をしたヒムを責められるのか?
ミストを小物認定する意見に対してもそうです。
他のキャラを安易に小物呼ばわりしたりヘタレ認定したり雑な扱いしておいて、気に入ったキャラがちょっと似たようなこと言われたら怒り出すのは都合いいと言われればその通りです。ブーメラン。

大体、体質を理由にいきなり否定したのはミストバーンの方なんですよね。
言葉で殴ったら殴り返されて急所に当たったのを、一方的な被害者のように言うのは公平ではありません。
  
・空を切る拳
マァムが殴りかかるのは……。
今まで観戦していただけで、効きそうにないのに殴りかかり、操られて大活躍かと思うと引っかかります。武闘家に転職してからは闇雲に殴りかかる描写が多い気がします
仲間をやられたと憤るのは分かるのですが、「こんな幽霊みたいなやつに」がきつい。
よりによって慈愛担当にそう言わせるのか。
ミストのような冷酷な悪役がちょっと優しいところ見せただけでやたらと持ち上げ、主人公側のキャラが少しまずいこと言っただけで批判しまくるのは偏っています。
責めるのは理不尽だと自分でも思うのですが……もう少し何とかならなかったんでしょうか。
ラーハルトとかならミストを蔑んでも納得できるのですが、そのまま乗っ取られたら詰むんですよね。
全滅させない程度の脅威となるマァムが選ばれ、突っ込む役を背負わされたように見える。そう思うと損な役回りです。
終盤の彼女は恋愛方面で掘り下げられることが多かったのですが、それ以外の面で魅力を感じさせてほしかった。
ミストの方も、皆が能力を把握しておらず油断している好機にマァムに入ったのは判断ミスとしか思えないので、どちらにとっても残念な展開です。

本体に戻ってからのミストの言葉は悲しく、クロコダインとの会話が印象に残ります。
魔界で数千年にもわたって繰り広げられてきたどす黒い戦いの思念から発生したわりには様々な感情を備えていますね。もっと負の感情に凝り固まっていてもおかしくないのに。
「他人の体を奪えば簡単に強くなれる私にはできない事……自らを鍛え強くなる事……! それができる者は皆尊敬に値した! ……うらやましかった……」
このシーンを思い浮かべながら謁見前のハドラーとの会話を読むと破壊力が跳ね上がる。
熱い魂と言われのはさぞ嬉しかっただろう。

「この忌しい身体のおかげでバーン様に出会えた! バーン様は言われた! 『おまえは余に仕える天命をもって生まれてきた』と!!」
「バーン様には私の能力が! 私にはバーン様のような偉大な主が必要だったのだ! 私はまだまだバーン様のために働かねばならん……!!」
これらの台詞があるから、小物と評されることの多い本体披露後も大好きです。
ただ強いだけ、カッコいいだけでは、おそらくここまで好きになることはなかった。
脆さや弱さを見せてもなお進もう、戦おうとする姿に惹かれました。

21巻

・ミストの最期
別の記事で散々語ったので手短に。
最期に叫ぶのはバーン様の名前じゃないの?
高笑いからの即死コンボで余韻が十割持っていかれたのが痛い。
最初はじっくり描いてほしかったと思いましたが、後でページ数自体は少なくてもいいと考え直しました。
大事なのはそのキャラクターが今まで歩んできた道のりに相応しいかどうか。
たとえ尺がなくても、今までの積み重ねに合致するように描写されるならば満足できるでしょう。
傍からは惨めに見える最期でも、芯が通っていれば……やるべきことはやった上で退場するならばカッコいい。
ハドラーやバーン様は、本人が満足だったかそうでないか違いはあるものの、どちらも「生き切った」のだと実感する最期でした。ミストはそのような印象が薄いので残念です。
退場の仕方に違和感がなければ最高級の悪役だと断言できます。

・細かい疑問
そう言えば、ハドラーに道具や駒かと聞かれた時は直接返答しなかったのに、ヒュンケルには武器だ道具だと断言。この違いはどこから生じるのだろう。
・ハドラーに対して割り切れなかった
・ヒュンケルはゆがんだ方向に特別扱い
どっちもか?
ヒムに本望だろうと言われますが、さっき寄生虫呼ばわりしたばかりで訂正もしてないのに内面理解したような顔されても……。
互いに宿命を感じていたという構図に持っていこうとしているけど、寿命が短く体がもたないので初めから理想の器扱いは無理がありませんか?
因縁の対決は盛り上がるものですが、よくよく考えてみると乗り切れない。
光の師弟関係の漂わせる美しい空気についていけませんでした。
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