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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

クミとクマ 感想

クミとクマ

タンクタウン様制作『クミとクマ』の感想です。

異世界に入り込んだ小学生の女の子、クミがクマのぬいぐるみのグレイ、従者となった騎士のウェハースとともに魔王を倒すため冒険する、ほのぼのRPG。

こんな方におススメ
・お菓子が好き
・町の人に話しかけたりタンスを調べるのが好き
・暗い展開や難易度高い戦闘は苦手

一枚絵の温かな雰囲気は童話を思わせます。
ほのぼのRPGというジャンル名がぴったり。
といっても、全員が善良というわけではありません。
実力で選ばれた若者に陰口を叩く騎士連中、魔王を倒した英雄の功績を奪おうとする昔の大臣なども登場します。
そもそも戦ったこともない少女に魔王退治させる時点で酷い。
クミがいい子だから前向きに魔王を倒そうとしますが、「元の世界に戻るために仕方なく……」という意識になってもおかしくない。
国王と一部の騎士は酷いものの大半の人は普通ですし、できる範囲で助けてくれるキャラや自分達で戦おうとするキャラもいるので、クミの姿勢と合わせてやる気を持てました。

童話を思わせるのはグラフィックだけではありません。
登場人物や地名がお菓子の名前から取られており、お腹が減ります。
戦闘中回復できる手段は途中まで限られており、普段の回復は移動中、お菓子を食べて行います。
ガトーショコラ食べたい。

家具にアイテムが隠されているので、探索するのが好きな方はワクワクするのではないでしょうか。
町の人々に話しかけてサブイベントをこなすのも楽しい。
サブイベントが豊富で、ヒントを見ても逃したものもありました。
寄り道がたくさんできると、世界に入り込んで冒険心が燃え上がります。

ここからはキャラクターについて。ネタバレがあります。


・クミ
「あたしたちが、この世界に来たのって、何か意味があると思うの」
「グレちゃん、あたし、やっぱり魔王やっつけに行くよ」
「いやだよ! そんなのやだ!」
いきなり異世界に入り込み、姫と間違われ、魔王退治に行かされるという過酷な境遇でも前向きな女の子。
自分が異世界に来た理由を考え、姫の身代わりになって魔王を倒そうという覚悟を決める。
この男気を、安全な場所で陰口叩くだけの騎士にも見習ってほしい。
彼女が進もうとするからプレイヤーも魔王を倒そうという気になれる。
最初は防御するしかなかったが、パチンコで小石を飛ばしたり、怪しげな薬を飲んで激しい筋肉痛に耐えて筋力アップしたり、罪の意識を感じつつ敵の死体から金目のものを剥ぎ取ったり、たくましくなりました。
ずっといい子だった彼女が最後に駄々をこねる所でグッと来た。

・グレ(グレイ)
「こんな頼りない従者ひとり連れて魔王退治て、無茶言うにも程があるで!」
「あんたらが、安全な城でぬくぬくしとる間、わしら、雪まみれになって、必死で戦っとったんやで?」
「この、むっつり騎士め!」
「って、なんでお前が、仕切ってんねん……」
最終兵器。
ツッコミ担当であり、外見に反して常識的。
関西弁を喋るクマのぬいぐるみと書くとわけが分かりませんが、言うことはいちいち尤も。
ほとんどの人が魔王退治させようとする中でクミの身を案じてくれる貴重な存在。
彼がプレイヤーの疑問をぶつけてくれるおかげでスッキリします。

・ウェハース
「姫が、魔王退治だと? 笑わせるな!(中略)どんな、めでたい頭をしてたら、そんなことが考えられるんだ?」
「なんなら、クミは、俺の妻にしてやってもいいぞ! うん? どうだ?」
「いやあ、大きくなったら、いい女になるぞ!」
「ふざけるな! クミは、俺の妻になるんだ!」
ハジけている時の台詞ばかり抜粋してすみません。
心を操っていたということに「しておく」ってことは……。
街を襲ったのは操られたせいでしょうけど、クミに好意を持っているのは本心ですよね。
小さな女の子と親しいだけでロリコン呼ばわりする気はありませんが、小学生相手にこんなこと思ってたら言われても仕方ないぞ。
アレなところを真っ先に取り上げたものの、身分や家柄を理由に侮辱されても堪える姿を見て「頑張れ……!」となりました。
クミを逃がすため必死に、バニラアイスにしがみついてでも足止めする姿は漢だった。
王に関する台詞は完全に同意。

・国王
まるでダメな王様。
「ろくな援助もせず魔王退治しろと無茶ぶりする王様」はRPGのお約束ですので、ある程度は流すべきですが……さすがに限度を超えている。
蝶よ花よと育てられたお姫様に従者一人つけただけで魔王退治させるなんて、可愛い娘に対する仕打ちか?
魔法のあるファンタジー世界ゆえに年齢や性別で無理と決めつけるのは早計ですが、本物の姫には戦う意思も力もなかった。
そんな女の子を送り出すなんて鬼畜の所業です。
いくら予言が当たると言っても、思考停止しているようにしか……。
他にできることがないか探ったり、実行しようとして挫折した形跡がまるで見えませんから。
予言の制約で直接手助けできないにしても、やれることはあるだろ。
途中、仲間を犠牲にして逃げ延びて心を痛めているクミに、代わりの従者を用意したから魔王討伐の旅を続けられるぞと言い放った時にはもう……。
とりあえず、娘が別人と入れ替わったことに全く気付かない王様で大丈夫か、この国。
・ミルフィーユ
予言を信じて疑わない父親に魔王退治させられそうになった可哀想な少女。
怖いと言うのも逃げたくなるのも当たり前です。
・??グレ??
カッコいい。
前日譚である前の魔王退治の話を見たい。

・その他
一部の騎士は安全な場所で陰口叩くだけ。
日記から色々考えているのが窺える分王よりはマシですけど、大臣にも良い感情は抱けない。
一部の兵士は主人公達の助けとなるべく体を張って戦う。
兵士長のボーロはウェハースがやられた時の反応がまともで、王を説得しようとしてくれたので好印象。感謝したい。
こんな風に、イラッとくる人間もいれば好ましい人物もいます。
ですので「人間など下等な生物」と見下されると反論したくなるけど、素晴らしいとも断言しづらい。

暴れ熊:魔王の部下によって縄張りから追い出され、討伐されたので気の毒。ガウガウ喋っていた時は何を言いたかったのだろう。
キャラメル・パウンド:一番描写が悲惨かもしれない。手下になれと言われ、拒否したら戦闘でボコボコにされ、敗れても承諾しなかったら腕を切り落とされ、渋々部下になって命令に従ったら兵士やクミ達に討たれる。
ソルベ:普通に勝てるだろうと思って装備も見直さずに戦ったら負けました。恐るべし……。
ドラゴン:装備を入手するだけなら戦う必要はありませんが、スキル習得のために犠牲になる運命にある。村の近くまでやってきた熊や通行を阻んでいたキャラメル・パウンドと違い、自分の棲家で大人しく寝ていただけなのに狩られる。……ごめん。

・ジェラート
「たかだか数十年の寿命しか持たぬ、下等生物が!」
「だから人間というのは、救いがたい生き物だと言うのだ!」
人間を見下す分かりやすい魔王。
倒されるべき悪役としてシンプルで嫌いじゃないのですが、物足りなさを感じてしまう。
人間を甘く見るのは魔王のたしなみとしても、全く情報を掴んでおらず滅ぼされてしまったからなぁ。
もう少し頑張ってください。
純粋な戦闘力はバニラアイスより上ですが、強キャラ感をバニラアイスに持っていかれたような……。
バニラアイスは登場時、多くのプレイヤーを苦戦させたであろうキャラメル・パウンドを一方的に叩きのめした。
彼との戦闘は一回目は負けバトルで、二回目も本気ではなかったので、底を見せないままでした。
ストーリーを無視して体感の強さを考えると、ソルベやバニラアイスといった他の氷系のボスと戦うのは炎属性攻撃が充実していない時期ですからね。
レベルを上げて準備万端で挑めるラスボス戦は脅威を感じづらい。
バニラアイスは様々な能力を使いますが、ジェラートもできたんだろうか。披露してほしかった。

・バニラアイス
「早く、うんと言わないと、自慢の腕が、無くなってしまいますよ」
「面白い……人間と言うのは、時として信じられない力を出すものだ……」
「人間を敵に回すのは、賢い選択ではない」
「そういう暑苦しいのは、流儀に反しますのでね……」
魔王陣営のキャラクターとの共闘には無条件で燃えますが、彼が協力してくれたのは嬉しさだけでなくも底知れなさも感じる。
詳しくは後ほど。
名前の通りクール……というよりドライな性格です。
「魔王様に全てを捧げる!」というほど忠誠心たっぷりではなく、かといって最初から寝首をかくつもりだったわけでもない。
忠実に命令をこなし人間を軽視しないよう警告するなど主のために行動しつつ、反逆し、葬る際も淡々としています。
人間への見方も似たような感じです。
興味はあるようですが、好意と呼んでいいのかどうか迷うところ。
揉め事を避ける方向に行ってくれたのはありがたい。
ちなみに、戦闘中クミに「可愛いお嬢ちゃんだ……」と言う。
怖い。

能力は多岐に渡ります。
ジェラートの能力はしもべ召喚も含めて直接戦闘メインという印象ですが、バニラアイスは幅広い。
切れた腕をくっつけたり、ウェハースの心を解き放って街を襲わせたり。
人間に魔力を与えて○○化させられる上に、場合によっては戻すことも可能。その際○○させることまでできる。
能力多彩すぎやしませんか?
恐るべきは能力の高さだけでなく、人間を甘く見ない姿勢ですね。
魔族の魂までも滅ぼす手段を得た人間を脅威とみなしましたが、情報掴んで上手く立ち回る彼も脅威です。
キャラメルパウンドの腕を一本ずつ切り落としたり、ウェハースを殺しかけたり、操って町を襲わせたり、やったことは相当えげつないのに、味方みたいなポジションに上手く収まったからなぁ。
彼は何を望んでいるのだろう。
魔族全体の未来を明るいものにしたいのか、他にやりたいことがあるのか。
「力による支配! 逆らう奴は潰す! 人間は下等生物!」で分かりやすいジェラートと違い、その辺りがハッキリしないんですよね。
ですので、彼が○○になったことに喜びだけでなく、警戒心もあります。
このまま穏やかにやっていくことを願いたい。
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