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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ジェライについて(マスターモードプレイ後)

以前もジェライについて取り上げましたが、マスターモードで新たな台詞や会話があったので、改めて語ります。
当然、ネタバレ全開です。
「俺、ハードモードクリアしたらマスターモードでジェライを仲間にするんだ……」という方は先にプレイされることをおすすめします。


条件を満たして撃破した後から。
「偉大なる帝国の幕が降りる……」
「陛下……」
ここでとどめ刺したら壮絶に後味悪いな。
「帝国は終わらないよ、殿下が継いでこれからも続いて行く」
「貴方はこの城に殉じれば満足だろうけど……殿下はこれから、もっと難しい道を進んで行く」
ハルカのこの台詞を、もっと重く受け止めてほしかった。
ロマテアがいきなり消えてなくなったわけではなく、続いていると捉えてくれれば……。
この戦いが終わったら帝国を離れると告げるハルカに、沈黙するジェライ。
「殿下の人柄に触れたなら分かるはずだ、歴史の必然を変えてしまう程の力がある事を」
「俺達の戦いなんて、川の流れに杭を打ち込むようなものだから……」

「無駄な死か……お前はそれを恐れたのだな」
ここでハルカの心情に踏み込んでくれた。
何故ハルカがデミライトの望み通り死を選ばなかったのか。
何故ここまで戦ってきたのか。
理解してくれた。
喜びかけたのも束の間、次のジェライの台詞に愕然としました。
「私は違う、無駄でもいい」
今まで私は「帝国の礎となるならば、たとえ命を落とそうと無駄にはならない」という姿勢だと思っていました。
自分の死が無駄でもいいなんて、予想より遥かに己の生死を軽視していた。
ノーマルモードの時から引っかかっていた部分が明確に現れました。
謙虚さや欲の無さはカッコいいものの、行き過ぎている。
自分の力を把握できておらず、重要さ……必要とされる人材であることを認識していない。
自身の存在を軽視しているように見えます。
欲や執着の低さは危うさを感じるレベル。「生きて○○を成し遂げる!」という力を得られないので、潔いと称賛すべきではないかもしれない。

「無駄じゃない、ここで貴方が犠牲になれば帝国の権威は保たれる」
普通なら、主人公達が「命を捨てる気か!」と非難して、相手が「○○を守れるなら無駄じゃない」と返す流れでしょう。
敵の方が無駄と言って、主人公が無駄じゃないと否定するのは予想外でした。
「だけど、簡単だと思う……それはあまりにも」
「ファテナさんを殺そうとして散ったデト・マギ達と同じ」
それはあんまりじゃないか?
城に攻め込んできた相手と戦って死ぬのと、民のために身を捧げようとしている女性を殺しに行くのは全然違うだろ。
ジェライが死ねば帝国に最後まで従ったことになりますが、デト・マギ達は暴走して返り討ちに遭ったわけで、後者は国の権威を守ることにつながりません。
それに、ジェライが抗帝軍を退ければ帝国が存続する一方、デト・マギ達がファテナを殺害しても誰も得しない。ファテナは仇じゃないから、復讐心を満たすことすらできません。

権威という言葉で括るとピンときませんが、ジェライが国や城を守りたいのは皆の故郷……拠り所の象徴だからです。
己の命を軽視する姿勢や頑なな態度を批判するなら納得できますが、城と運命をともにするのはそこまでおかしなことでしょうか?
「○○様を守るためならこの命惜しくはない!」なキャラは複数います。個人を守って死ぬのはOKで城だと駄目と決まってるわけでもないはず。
誇りや信念を感じたからこそ、ハルカもジェライを尊敬していたんじゃないのか?
大体、防衛隊長がすぐ諦めて「城と共に散るなんて無駄死にです、戦いをやめます」なんて言ったらそちらの方が大問題だ。

ただ、ジェライに対して引っかかった、もう一つの要素に触れているので納得できる部分もあります。
帝国の歴史を守るというけど、「帝国の歴史」とは何だと思わずにはいられなかったんですよね。
皆の拠り所を守りたいなら、デミライト政権に限定しなくてもいいはず。
現在ロマテアで生きる人々や、彼らの暮らしを守りたいとは思わないのか。
ここで彼が犠牲になることで守れるものなのか、他に道はないのか。
最初から可能性を探ってもいないのなら、改めて考えてほしいと思います。

「ここが貴方の死に場所なら、貴方は自分で命を絶った方がいい」
キツいこと言うなぁ。
ジェライなら自害しかねん。
クレミトの光に触れていなければ自ら命を絶ったかもしれない。
「俺はここで手を下せないよ、逃がす手伝いをするみたいだから」
ここでジェライが死ぬのを選ぶのは「逃げ」なのか?
何も考えず帝国に従うだけならそう言われても仕方ない。周囲に目を向けようとしていないように見えるのは事実。
でも、アパンの武器を使わずにいるなど、完全に思考停止しているわけではないからなぁ。
この辺のハルカの言動には首をかしげてしまう。
「ここが私の死地となるならば~」や「この城を枕に~」の台詞が好きなだけに、簡単に否定してほしくない。
「後は自由にしなよ」
再び沈黙するジェライ。

「お前が死を恐れ、逃亡した心……少しだけ分かった気がする」
ジェライが共感した!
歩み寄ってくれた。
自分の死が無駄でもいいという姿勢が、少しは変わったか。
「自分の命をどうするか、それを自分で決めろと言うのだな」
「うん」
「だが城の陥落は、この目にしたくはない……」
珍しく弱気な台詞を……。
無敗の男が敗北し、長年防衛に全てを捧げてきた城が陥落するとなれば、弱音も吐きたくなるか。
「ここで私を斬らないというのなら、私は城から出る」
動けるんですか。
どれくらいの傷なんだろう。
軽傷ではないと思いたい。
限界まで戦ってからの決断でないと、犠牲になった部下達はどうなると言いたくなる。
去る前に、まだ戦っている部下に言及してほしかった。
好きなキャラですが、だからこそ、けじめはしっかりつけてほしいと思います。
「命をどうするか、自分で考えるとしよう」
「……うん」
かつてのハルカと同じですね。
この時点では「きっと自分の命の使い方を考えて、再び守るために戦ってくれるだろう」と期待しました。期待したんだよ……!

・戦闘後
デミライトの台詞が、「ジェライが死んだか」ではなく「姿を消したか」に変わっている。
「仕方が無いな、乱戦で逃げ出す奴は他にもいる」
確かに、傍からは「命惜しさに逃げ出した」ととられても仕方ない行為です。
デミライトまで逃げ出したと解釈したのは残念ですが……。
「これまで冷遇しておいて、突然便利に使おうって方が勝手な話だ」
それは当然ですが、別に冷遇されたから去ったわけじゃない。
扱いが悪くても不満には思わないでしょう。
ジェライが姿を消したと聞けば、オブレイクはどう思うんだろう。

・加入時
ハルカから怪我の具合を問われ、
「……お前の心の傷よりは軽傷だろう」
そういう台詞を吐くのか。意外だ。
人の心の傷に気づく感性があったんだな。
やはり負傷していたんですね。
ハルカの斧やソヴォの剣、スポポンドの矢、メレオネやユラ、ファテナの魔法をくらった姿を見たかった。
後で振り返ると、ジェライの心の傷もかなり深いんですけどね。
ハルカの傷に気づいたのは、自分もそうであるためかもしれない。
「私が失った物は取り戻せるからな」
いや、傷は治っても、もっと大事な物はエピローグを見る限り取り戻せていないんですが。

帝国に身を落ち着けるつもりはないハルカに対して、
「私もこの、新しく生まれ変わる帝国に身を置くつもりは無い」
「ここはもう故郷とは違う、別の国となった」
彼にとって新しい帝国は、守るべきものではなくなったのか……。
守ろうとしてほしかった。
彼にとっての故郷や帝国とは一体どんな姿なんだ。そんなにいきなり変化するものなのか?

「二トン島に行くようだな、私も同行して構わないか」
どうぞどうぞ!
ぜひ!
「縋る物を失った抜け殻が、どのように自分を取り戻して行けばいいのか……お前から何かを感じ取りたい」
縋るって……そんな言い方しなくても。
心の支えという認識ならいいのですが、依存していたという意味なら反論したい。
帝国に縋りついていたならアパンの武器も使ったでしょう。
能力が高いだけで信念が空っぽなら、スポポンドがお前はここで死ぬような人間じゃないと叫ぶこともなかったのでは。
ジェライの頼みにハルカも了承。

『ジェライが仲間になった』

来た。
全てはこのため。
この時のために、ハードモードをクリアし、マスターモードを進めてきた。
紹介文も更新されました。
「60年ぶりに指名された帝国将軍だったが、クレミトの資質に触れた事から玉砕を思い留まり、陣営に加わる」
「武人として潔癖な所があり、ハルカやスポポンドとは認める所はあれど、微妙な関係となっている」
相変わらず潔癖と言われている。
公式サイトでも、今までの説明文でも、今回も、潔癖と記載されているんですよね。
いきなり和気藹々とはいかないか。
ところでソヴォのことは?
ハルカやスポポンドのことを認めてくれたのは嬉しいので、ソヴォとも関係を。

仲間になる理由が重くて驚きました。
できれば「クレミトのために戦うことがロマテアを守ることになる」という前向きな理由であってほしかった。
守りたいものがなくなってしまったからなのが……。
己を抜け殻と評するジェライは見たくなかった。
素直に喜びきれない。
でも、潔癖なジェライが考えや生き方を変えるのは難しい。
こういう理由でないと……ここまで心を折られないと仲間に加われないんだろうな。

・エピローグ
個別のエピローグで、ジェライに対して引っかかっていた部分を突きつけられました。
詳しく見ていきましょう。

いきなり数々の褒め言葉が並びます。
「ハルヴィン城に命を捧げた難攻不落の守護者」
「野心とは無縁」
「清廉」
同期で最も出世が遅れながらも不満を持たず、全力で任務をこなしていた様子。
その姿を見たい。
ジェライが防衛の道を歩むようになった背景が描かれました。
国境付近にある村の村長の息子で、村の警備隊と接する機会が多かったため防衛兵を目指したとのこと。
子供の頃から貫録ありそうだな。

「10代の若さでハルヴィン城に呼び寄せられる」
「国境警備や山賊討伐など危険な任務に進んで参加し、ずば抜けた能力は瞬く間に噂となって広がった」
昔から有名だったんですね。どんな風に語られたんだろう。
帝国が侵略を受けなくなったことで活躍の機会が無くなったのは喜ぶべきです。
問題は次だ。
版図拡大には懐疑的な姿勢を取っていたためにレシウルから警戒され、戦闘に加えてもらえず、無為に過ごした。
レシウル……。
出世させないだけなら本人は全く不満に思わないでしょう。
しかし、何もさせないのは……。
そんな扱いで不満を抱かなかったのか。
ノーマルやハードモードプレイ時に「帝国が間違ってると思うなら止めてくださいよ!」と思いましたが、態度で示したんですね。
何もしていないと捉えたのは間違っていました。申し訳ない。
その結果冷遇されたら、それ以上何かするのは難しいですよね。反対意見は聞いてもらえず終わるでしょう。

飼い殺しにされていることを知ったオブレイクから、ビタ家専属のハルヴィン城防衛隊にスカウトされ、百騎長になりました。
オブレイク殿下見る目あるな。
元々高い好感度が上がりました。
それにしても、将軍クラスの実力者が百騎長にもなれないところだったのか。
本人は地位を求めていないとはいえ、明らかにまずいだろ……。
実力的にも人格的にも優れている人材がまともに扱われなかったら、周囲もやる気なくしますよ。
活躍してもろくに評価してくれないところで頑張ろうなんて思えないでしょう、普通は。
……ジェライは別ですね。
ジェライにとっては酷使されるより何もせずにいる方が辛そうですが、そんな中でも訓練に励んで、いつでも役に立てるよう備えるだろうなあ。

一番の問題はここから。
ハルヴィン城の戦いで敗れ、主君デミライトを失ったことで自害を考えるが、ハルカに説得され思い留まる。
「なんとなく」ハルカに付き従い……ジェライもなんとなくで行動することがあるのか。
「クレミトの照らす光を目の当たりにし、内戦に敗れた理由には納得したものの、」
ここまではよかった。

「主君を失った心の穴が埋まることはなく、クレミトの引き留めも断って退役」
え……。

家に引き籠っても各国からスカウトされるが、参加することはなく、軍に復帰することはなかった。
えぇ……。

理想は再度戦場に立つことですが、直接戦わなくても、家に籠ってもかまわないんです。
守りたいものや、成し遂げたいことがあるならば。
それもまた彼にとっての「戦い」と言えます。
そういうわけじゃなくて、気力を失ったためなのが…!

続きに一縷の望みを抱かずにはいられない。
防衛術を後世に伝えるための執筆活動を始める。
わざわざそんなことを始めたのは、心境の変化があったからだと思いたい。
最初は気まぐれでも人から言われたからでも何でもいいので、やりがいを感じてくれれば……。

防衛兵の志願者が続出し、各国の攻撃能力下がって防衛能力が上がり、侵略が起こりづらくなる事態が発生。
そこまで影響を与えたのか。
地味な存在だった防衛兵をメジャーな存在にして、ジェライ戦術と呼ばれる防衛の方法論を世に残し、「防衛の神」と呼ばれたとのこと。
神扱いされてるー!?
嬉しいけれど喜びきれないこの気持ち。
称賛される方が良いに決まってますけど、本人が満足していなければほとんど意味ないんですよ……!
もう少し野心や欲望があれば喜べますが、 名声に興味が無いことは散々描かれてきましたから。
防衛に対する意識や防衛兵への見方が変わっていく中で、手ごたえを得られたらいいなあ。

エピローグを見た直後は「心の穴が埋まることなく退役」「家に籠って各国からのスカウトも拒否」のインパクトが絶大で打ちのめされましたが、後から現役時代との対比になっているのではないかと思うようになりました。
直接戦うことで、帝国や城といった限定されたものを守る。
防衛術を広めるという間接的な方法で、各国の人々の暮らしを守る。
こう考えると、綺麗な構図になります。
後は本人の意識だけが問題です。
ジェライが何かを守ったと思えたのなら……達成感を得られれば、私も満足できる。
倒した時の「自分の命をどう使うか」や、加入時の「抜け殻がどのように自分を取り戻していくか」という問いに、何らかの答えを見つけたことを願わずにはいられない。
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