『放浪者セレナ~少女を救うため、闘技場で戦う女~』
ジャンルは育成シミュレーション。
攫われた少女を救うために放浪者・セレナが闘技場で戦う。
トレーニングと試合を繰り返して勝ち進んでいきます。
・キャラクター
一番の魅力はどこかすっとぼけたキャラクター達と、彼らの繰り広げるツッコミどころ満載の会話です。
闘技場で凶悪なモンスターと戦わされる殺伐とした世界観なのに、コミカルだからすいすい進められる。
まず、主人公に助けられる立場の兄妹はどちらもいい子です。
兄のブートは戦う力が弱くてもできることを精一杯やろうとしてくれますし、妹のリリィも気丈に振舞っています。
プレイヤーに「助けたい!」と思わせるかどうかは大事な要素です。
この二人はあまり癖が強くないから素直に助けたくなるのかもしれません。
これで兄妹がやたらと個性的で変にたくましかったら、「セレナが力を貸さなくても大丈夫じゃね? 一応助けるけど……」と思ってしまうかもしれません。
OPで絡んでくるチンピラ三人組や他の囚人などのモブにもグラフィックがあるので愛着が湧く。
囚人達も皆マイペースで、個性をじんわり出してきます。
看守に挨拶を続けると徐々にデレてくるのが楽しい。最初は話しかけるのは100年早いなんて言ってたのにいつの間にか一月に縮まってる。チョロいぜ。
ローズは「独裁者の傍にいる美女……怪しい!」と疑っていたら被害者だったので謝りたくなりました。思っていたより常識的だった。
ラスボスのランディスは欲望のままに非道な事をしているわりに憎しみはあまり湧かない。最終的に地位を失い、自分が苦しめてきた囚人と同じ立場になったからでしょうか。
飄々とした性格だから目立ちにくいけど、すぐに命を落としてもおかしくない過酷な境遇ですし。
あと会話中セレナにスルーされたり、心の中で常識的なツッコミを入れたりする。プレイヤーの思ったことを代弁してくれると憎み切れない。
一番印象に残るのが主人公のセレナです。
荒廃した世界を放浪するんだから心も体も強い人。
クールな美人と思いきや……。
会話の選択肢でセレナの性格が決定づけられ、エンディングが分岐します。
プレイヤーの選択によって、とりあえず殴る人物にも対話で解決する人間にもなるのですが、違和感なくつながっています。
基本的には真っ直ぐで、優しくて、強くて、ちょっと……いやかなりボケている人物という芯があります。
・育成
難易度がノーマルなら多少失敗したなと思ってもクリアできます。
トレーニングでステータスを伸ばしたり、試合で特定の行動を何度も選んだりすると新しい技を覚えます。
命中率の高いパンチで殴り倒すもよし、威力の高いキックで蹴り倒すもよし。
手数を増やして攻めるか、重い一撃に賭けるか。
あまりガチガチに構えず、何となくでいけます。
「こんな感じで育てるかー」→「あれ、思ってたのとちょっと違う。まずいか?」→「何とかなった」という感じで。
・システム
スキップやリトライなど遊びやすさが光っています。
サクサク進めるので、一周が短いこともあり、繰り返しプレイしたくなります。
私の一周目は主に攻撃力、ついでに攻撃回数を少し上げてパンチで殴り倒すスタイルでした。
会話でもひたすら脳筋の選択肢を選び続け、腕っぷしエンドになりました。
その次にキックを主力に命中率を鍛え、対話力エンド。
最後に攻撃回数を上げてキックを武器に独自性エンド。
全体的な流れは同じですが独自性エンドは色々と「いいのかそれで?」と思いました。
楽しく遊びやすい作品です。