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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

流れ落ちる調べに乗せて 一章・二章

『流れ落ちる調べに乗せて』一章・二章の感想
※ネタバレが含まれます。
また、初見~振り返りプレイ時点での感想なので、設定資料集の情報は含まれていません。


一章 役に立たない黄金球
タイトルが面白い。
反応が素直な皐月視点ですから最初に読むのに向いているかもしれません。
特殊な力はあっても、悲惨な過去や複雑骨折した心情を抱えているわけではないので読みやすい。
非常時ならともかく、普段はただの青春してる女の子という感じですね。
好きな相手の言動に一喜一憂したり、失恋の予感に落ち込むあまり無神経なことを親友に言ってしまったり。
それでも親友を助けるために強さを発揮するし、しぶとく粘る。王道主人公だ。

一幕の真澄の、皐月には平凡に生きてほしいという台詞は本心が漏れたんだろうな。
二幕冒頭で「ついこの間、片倉家に強盗が押し入った」ことが語られていますね。
この時期かー……。
さらに、恋愛的な意味で気になる人がいないか訊かれた聖が「いるといえば、いるかもしれません」と答えた相手について。
・説明できるほど詳しくない
・揺らがない
・己の目的を成し遂げる為なら、他の些末な出来事に左右されることは決してない
・容赦がないくらいに真っ直ぐな人
アイツだ。
「憧れるというだけで恋愛感情じゃない」とか「好きとは少し違う」とか言ってるけど、こんなに喋る時点で存在が大きいことは確かです。
人間不信を拗らせている聖が人柄を評価するなんてよっぽどですよ。年上の異性ともなれば警戒心が最大限に高まるはずなのに、こんなに長々と喋るなんて。

二幕では他に
・真澄の異変
・他人からの好意に鈍感な斎木
なども描かれています。

三幕で将来の夢を尋ねられた歌奈の答えが心に刺さる。
「長生きしたい」というシンプルな願いは、歌奈の体の状態を考えるとすごく重い。
破落戸から幸への「回りに不幸を振りまく疫病神」という罵倒は斎木にも刺さるな。

悔しいことに、竹林の真澄評は正確なんですよね。
真澄は自分一人が苦しむだけなら我慢するけど、皐月まで苦しむことになるなら別。
その観察力を別の方面に活かせよ。
初見だと「ひはははは」の人に「誰? 何?」となったんですが、四章を読むと分かります。『トウ』『ハガネノマジョ』も。

追っ手を退けた後、斎木の過去が語られる。
部下を殺した、裏切った、見殺しにしたと言う斎木を見てるともどかしくなる。
「何で誰かの力を借りようとしないんですか!」という皐月の台詞は蘇芳と重なります。
誰かに相談して頼っていたら、きっとうまくいっていた。
皐月の説得で斎木との距離が縮まったと思われたものの、発作が起こって斎木は距離を置くようになった。

四幕
豹変した斎木は幸のことも突き放す。
泣いている幸を見て心を痛める皐月の前に蘇芳が登場し、声をかけてくる。
あ、怪しい人だ……。
少女が長身で黒ずくめの知らない男にいきなり声かけられたら怯えると思うんですけど。不審者認定されたらどうするんだろう。
蘇芳は幸が泣いている理由を尋ねて、原因である斎木を最低呼ばわりする。
事情があるとはいえ酷いことしてるのは事実だから否定しづらい。
「守るのであれば、最後まで守り通すのが道理」
したくても不可能な状況もあるでしょうけど、斎木の場合は拾って面倒見て危険な連中から助けてと色々やって慕われているところから突き放して壁を作っている状態ですからね。言われても仕方ない。
蘇芳は皐月に「ある店」の場所を尋ねて去る。
ぼかされたけど、カツラ屋か。
良い髪を探さねばなりませんのでって言ってるし。
皐月からは「あんなぼさぼさ頭してるくせに」「真面目そうな人ほど変な趣味を持つ」と変人扱い。
ち、違います! 趣味じゃなくて理由があるんです!
過激なドッキリに使います!
もっと悪いわ。

皐月は斎木と薙沙の会話に聞き耳を立てて、いい雰囲気になっていると感じて逃げ出してしまう。
失恋を予感して落ち込んでしまうのは無理もないとはいえ、真澄に愚痴ってしまうシーンはいたたまれない。
「いいなあ。恵まれてて」
という台詞がキツい。
真澄がどんな扱いを受けてどれほど苦しんでいたか考えると、「言っちゃ駄目!」と叫びたくなる。
苦悩する姿をろくに見せないからといって、悩みがないわけじゃないんですよ……。
制止されてもしつこく真澄への羨望を口にする皐月に対し、真澄がとうとう切れた。
刀で斬りつけるのはやりすぎだけど、異能の代償だから責める気にはなれない。

皐月が本音をぶつけて仲直りするシーンは熱いですね!
喧嘩! 和解! 友情! 青春!
しかしそこでめでたしめでたしにはならない。
真澄を襲った片倉聖とのバトル!
初見では「ここで!? 何で!?」と混乱しました。
クリア後だと何が何だかわからなかった聖の台詞や行動が理解できる。
覚悟を決めた皐月の奮闘が見事。
親友を救うという気合で判断力や行動力が跳ね上がってる。
戦いを終えて、皐月と真澄がこれからも親友でいられてよかった。

二章 されどいつも貴方の傍に
蘇芳が存分に戦う章です。
四幕が特に好きで、何度も読み返しました。

一幕
回想で部下が頭を吹き飛ばされて川へ落ちていく光景だけでも残酷だけど、凄惨なのはここからです。
仲間を殺して嘲笑う連中に激怒した斎木は、敵兵の四肢を奪い、地を這うだけの体にした。
えぐい……。
家族の話を持ち出して命乞いをする敵に、斎木は殺された部下にも家族がいたことを告げ、腕を振り上げる。
今の斎木とはまるで別人のようだ。
仲間を侮辱された怒りに衝き動かされてやったわけですから、血も涙もないわけじゃない。
講義中の「こんな風に会話に嫌味を織り交ぜる奴が居た」は蘇芳のことですね。
片倉家の説明で闇奔を思い出してダメージを受けた。
重蔵……。

二幕
一章を読み終えてからだと、いきなり阿片の出所について尋ねられたのは、真澄にとって凄まじい衝撃だっただろうと想像がつきます。
真澄からの斎木評は、善人・冷めているように見えて熱血漢。合ってる。
見捨てた、助けられなかったという罪悪感を増やさないためとはいえ、子供一人のために質の悪い連中の相手をしようと言うんですから。
斎木はうっかり気配を殺すことがあるらしい。
それに気づく真澄もかなりの実力者なんだろうな。

斎木が部下を「殺し」て、国へ戻る時に薙沙と出会ったのが四年前。去ったのは三年前。
斎木は薙沙の父も親友も知っているんだな……。

聖からの斎木評は「冷めた二枚目に見えるが、少し抜けた三枚目」。
合ってます。
外見と中身のギャップという意味では薙沙と似ているかもしれません。

斎木は十年以上前に、一、二年ほどイギリスのロンドンにいたことがある。
その時の話も気になるけど、自分は疫病神という考えを強固にする出来事があっただろうから、見たら暗い気持ちになりそうです。
戦争の話の中で輝一が『英雄』を見たことが無いか尋ねる。
たとえば、黒い山犬。
本人です。
蘇芳がこの場にいたら何を思うんだろう。
新聞の一面を賑わせていたらしい。
英雄と言っても上司が手柄を掠め取って斎木達を使い捨ての道具扱いしていたんですよね。尊敬や称賛はそいつのものか、腹立たしい。
・五倍もの兵力を跳ね返して勝利したのをきっかけに武勇伝を残す
・斥候に赴いた際、小さいながらも敵の前線基地を後ろから攻撃、壊滅させる
輝一も鵜呑みにしているわけではなく、誇張や戦意高揚の可能性を踏まえつつ元になったものの存在を考えている。
マスターによると海外の人間からは悪魔の化身扱いされているらしい。
お、斎木が山犬は個人ではなく部隊の名前だと明かした。
結構踏み込んでるな。
生き残ったのは部隊を取りまとめていた少佐だけということになっている。
ぶん殴れない相手だからモヤモヤが残る。

三幕
斎木が幸に川を恐れる理由を語りますが、発作は起こりませんでした。
幸と向き合うことで自分の過去と向き合えるようになりつつあるんでしょうね。

斎木は誘拐された皐月と幸を助けに行く。
竹林はかなり強いみたいです。
異能不使用の斎木だと竹林と部下達をまとめて相手するのは厳しい。
ただし異能を使えば虐殺できる。
追い詰められているように見える斎木に向かって、竹林達は殺すと宣言してしまった。
斎木の反応は……笑い声を漏らした。
『面白い。面白いな、貴様ら。なんと楽しく――そして、愚かな会話か』
ラスボスみたいなこと考えてる!
軽々しく殺す殺すと口にする連中に、斎木はこの空間が殺し合いの場――戦場だと認識。歓迎の言葉を述べる。
「ようこそ」
別人みたいだ。

そこからはただの蹂躙でした。
斎木の操る黒い霧は全てを枯らす。
金属や岩、植物、もちろん動物にも効く。
生物にも非生物にも有効なのが強い。
もし外道が持っていたらと思うとぞっとする能力です。
死や殺人に苦しむ斎木に殺意が高すぎる力が宿ったのが皮肉だ。
剣の腕が自慢の竹林から親指四本を奪い、戦いを終える。
即死させるより残酷な仕打ちかもしれない。
ちなみに、竹林は黒いものを見ると子供のように怯えるようになったとのこと。精神も壊れた。

皐月達に向かって斎木は過去について語る。
異能を使って無数の敵を殺したのは事実ですが、部下を殺したと言うのは違うでしょう。
……裏切ったとは言えるか。
皐月から人殺しの化物と怯えられ疎まれることを予想して突き放すモードに入ってる。
ど、鈍感すぎる。
ここで皐月からの説得! 効いた!
能力や過去を知っても受け入れてくれた皐月達と距離が縮まりめでたしめでたし……にはなりませんでした。
彼らの言葉と、過去に聞いた台詞が重なる。
仲間を助けるために力を使った彼を受け入れてくれる者は過去にもいた。
『何故ですか。別に出て行くことは無いでしょう』
『大丈夫ですよ』
『今更怖気づく程まともな奴ァ居ませんよ』
『気にせず、我等と行動を共にして下さい』
『――隊長』
うわあああ……!
彼らの決断と最期を知った後だと一言一言が重いなぁ。
口先ではなく心からそう思って斎木を受け入れていたんだ。

四幕
過去の斎木と蘇芳の会話から。
斎木達の手柄をかっさらっていった少佐に腹が立つ。
散々危険な任務を押し付けて、全滅したら自分だけ奇跡の生き残りという顔をすると。
やってられるか!
黒い霧によって斎木の部下達は何度も命を救われた。
事実に対して認識が全然違うんですよね。
蘇芳達にとっては誇らしいのに、斎木にとっては死をまき散らす行為でしかない。
斎木達が命じられたのは敵の基地陥落。
蘇芳は全員の死を前提とすれば出来ないこともないと推測していたんだな。
しかしそれは斎木の力もあっての評価だったはず。
彼抜きでできたのは、想定以上の力を発揮したのかもしれない。斎木を救いたい一心で。

山犬部隊は大隊長に金で雇われたよそ者の集まり。当然扱いも悪い。
使い捨ての駒扱いされる隊員にとって、自分達を何度も救ってくれた斎木がどんな風に見えるか、斎木は全然考えていないんだろうな。
この場面で斎木は弱音を吐いていた。
しかし、彼の「疲れた」という言葉だけで「死を偽装してでも逃げたがっている」と察するのは厳しい。

部下達を見捨てた過去に囚われ、斎木は幸を遠ざける。
死に追いやった者は己を恨み、幸せになるなんて許さないと思い込んでいる。
敵はともかく、家族や部下は思ってないだろ。
斎木が一番自分を責めているから、みんな自分を責めると考えてしまうんだ。
薙沙とのやり取りで皐月への気持ちを見つめて、やっと前進したか?
しかし解決には程遠い。

出て行った皐月を追う斎木の前に蘇芳が現れた。
身分は副長。階級は軍曹。
ずっと支えてくれた相棒。
部隊での日々を見たいけど、末路を考えると落ち込むことが分かり切ってる。

蘇芳から挨拶代わりに手刀と蹴り。
さらに赤い水と髪の毛で呪いを誘発。
わざわざ良い髪用意したんですよね!
呪いを誘発した蘇芳は仕組みや正体を知っている。
斎木は、誰かを殺したり大切な者を死に追いやったりした事実に耐えきれないから、亡霊に責められる自分を描いて心を守ろうとする。
つまり、呪いの正体は罪悪感だった。
斎木の心が生み出したもので、妖怪や霊魂の仕業などではありません。
守り切れずに罪悪感が増すのが怖いから、大切な相手や幸福を遠ざける。

ここから蘇芳による怒涛の髪フェチ殺人鬼アピールタイム。
朗々と髪トークを繰り広げる蘇芳に笑ってしまう。頑張ってんな。
それらしい台詞をあらかじめ考えておいたんだろう。狂気の笑みも練習してそう。
変わってしまった相手に斎木は愕然とする。
斎木の知る蘇芳は鉄面皮で、徹底した現実主義者で、何を考えているか判らない男だったが、人の命を軽んじる奴ではなかったとのこと。
皐月が狙われていると知った斎木はかつての部下と戦う覚悟を決める。
「ようやくお目覚めですか」
この時の蘇芳の微笑は演技じゃないと思います。
「独立非正規兵第一大隊所属、第三小隊――通称『山犬』隊長、矢車雪少尉殿」
カッコいいな!
それが斎木の本名か。呼び方多いなあ。先生、斎先生、ゆき、サイ、少尉殿、隊長殿……。

蘇芳は鋼に穴を穿つのを目標にしていたらしい。
えぇ……?
この人はどこへ行こうとしてるんだ。
どうしてそこまで鍛えるの……?
肉体強化の異能持ちの薙沙とまともに殴り合えるからな。人間やめてるよ。
斎木に体術教えたのも蘇芳とのこと。
その光景を見たいなあ。

蘇芳は斎木と戦うために異能を身に着けていました。
そのためだけに異能を借りて、鍛え上げた。
用意周到すぎ。
「楽しいのですよ。貴方と戦うのが!」
これは本音だな。
自分達の命を何度も救ったすごい相手と真正面からやり合うのは燃えるだろう。

斎木を本気にさせるために蘇芳が用意したのが血まみれの幸。
激怒した斎木が最強の技を放つ。
主人公の必殺技のお披露目という熱い展開なのに画像も音楽も不穏。
しかも、蘇芳を仕留めきれなかった。
斎木が非情になり切れなかったとはいえ、こんな殺意の塊みたいな技受けて生き延びるのか。
首を掴んだ時点で蘇芳の勝ちなんだよなぁ。蘇芳にとっては嬉しくない勝利ですが。
必殺技をくらう直前、蘇芳は一瞬笑ったんですよね。蘇芳の計画を考えると、覚悟を決めた斎木に殺されるのならば本望だった。

斎木の首を掴んで持ち上げたまま蘇芳は仲間達の末路を語る。
ここからの、真実が明かされる流れがすごく好きです。
残された部下達は蘇芳以外全滅。
あっけなく死ぬ者もいれば、順番に身体を撃ち抜かれ嬲り殺される者もいた。それを救おうとした味方も殺されていく。
ひっでえ。
彼らがそんな目に遭ったのは……殿を務めていなくなった斎木が生存している可能性を諦めず、敵の只中に突入したから。
斎木の逃亡は、無茶な作戦に乗じて逃げ出す計画を練る→基地にある程度打撃を与えて撤退→斎木が殿を務めて味方を全員退却させて逃亡
という流れでした。
単身で敵陣を突破して密林に逃げ込むとかいう無茶苦茶なことをやってる。
大事なのはその後です。
部下達は一度は全員生還できた。
それなのにわざわざ死地に赴いたのは、斎木の死亡が確認されておらず、生存している可能性があるならば救出しなければならないと考えたから。
「貴方は――もう少し他人の好意に敏感になるべきです。頼ることを覚えるべきです」
後半は皐月も言ってたな。
仲間の末路を語った蘇芳が一番言いたかったのは、「貴方が見捨てたせいで苦しみながら死んでいった」ではなく、「そんな目に遭うことを覚悟してまで貴方を助けたかった」ということだったんですね。

「軍を辞めたいと一言仰って頂ければ、誰もが喜んで協力した。貴方が戦死したと見せかけるなど簡単だった」
一言言えよというのがその通り過ぎて何も言えねえ。
「死の淵を彷徨う我らを幾度も救ったのは、少尉殿、貴方だ」
斎木がいなければとっくに全滅していたから、全員の意見が救出で一致したわけです。
「少尉殿。勝手を承知で申し上げる。貴方は精一杯生きねばならない」
かっけえなあ。
全員ではない、ごく一部という前置きはあるものの、「鈴木斎木を救いたい一心で、喜んで死を受け入れた」者達がいるのに、自分の命や人生を蔑ろにしてたらそりゃ蘇芳も何やってんだと言いたくなるわ。

蘇芳は腑抜けた斎木に障害を排除する覚悟を持たせるために、殺人鬼のふりをして攻撃を仕掛けた。
かつての部下である自分を殺させて覚醒イベントを完了させようとしたわけですが、自分の命を進化アイテム扱いしないでください!
覚悟の強さは認めるけど、そんな過激なやり方したら斎木が変な方向に覚醒しそうな気がしてならない。
成功しなくてよかった。

全てを踏みにじってでも生き抜く覚悟を持たせる計画は失敗した。
「ならばせめて、その呪いを解いて差し上げよう」
覚悟が駄目でも解呪はすると。斎木のためにどこまで計画立ててんだ……。
蘇芳の呼びかけによって幸がひたすら謝罪の言葉を口にする。
自分のせいで皆が不幸になった。さっさと死ねばよかった。それらは斎木自身が抱いていた考えです。
もちろん幸の台詞を斎木は否定する。そんな言葉を吐かせるために助けたわけじゃないと。
斎木が彼女にかけた言葉は、蘇芳が斎木に言いたいことでもあった。
蘇芳の厳しい言葉が斎木に刺さる。普段淡々と喋る蘇芳が鋭い語気になってる……。それほど斎木に前を向かせたいんだな。
自分と同じ状態に陥っている幸の言葉を否定することで、斎木は己を責め続ける状態から脱することができました。

呪いを解いた後で過剰なドッキリへの文句を斎木は口にする。
ズタズタにされたように見える幸は無傷でした。赤い水をかけただけ。
幸、知らない人にほいほいついてっちゃ駄目だよ。何度も危ない連中から狙われたのに、斎木が待ってると言っただけであっさり従うって……蘇芳が悪党じゃないと感じていたんだろうか?
その後蘇芳から色々吹き込まれて、恐ろしい光景を目にして、体はともかく心は傷ついたんですけど。蘇芳は謝れ。
オチを知った後だと蘇芳の殺人鬼アピールに動揺する斎木の台詞の数々を見て笑ってしまう。
「お前は、お前はそんな奴では」
『お前は、人の命を軽んずる奴ではなかった筈』
『壊してしまったのは、俺なのか』
「貴様そこまで、そこまで堕ちたかあ……っ!」
本当に、行き過ぎたドッキリだよ。
恩人から侮蔑と憎悪を向けられて殺されるなんて、蘇芳はそれでいいの?
いいと思ったからやったんだよな……。
斎木が精一杯生きることが仲間の弔いになる→わかる
自分が殺人鬼のフリして殺されることで斎木に敵を滅ぼす覚悟を持たせよう→え?
すごく好きなキャラだけど、やり方を全て肯定することはできない。

他のやり方は無かったのかという誰もが考えるツッコミに、一番早く簡単だったからと返答。
私を殺してもらう結末が最良だったと言いやがる。勘弁してくれよ。
殺させるのはいきすぎだけど、言葉で「呪いなど存在しません」「自分の心と向き合いなさい」と告げるだけでは届かなかったのでしょうね。
全力の戦いの中で過去の罪を突きつけられて、呪いや影に追い詰められて……という流れが必要だったんだろうな、きっと。

前を向くことができた斎木は蘇芳達に礼を言う。
「有難う――感謝する」
何だろう。好きな台詞を挙げようとすると蘇芳の言葉が次々に浮かんでくるけど、一番グッと来たのはこれかもしれない。シンプルゆえに強い。
この感謝を向け合う関係、大好きです!
ついでに蘇芳が髪フェチじゃないことも語られました。
聖とのつながりも、聖が皐月を守るつもりでいたことも触れられています。

呪いなどというものはないと自覚し、自身や過去と向き合い、ようやく斎木は前へ進めるようになりました。
忌まわしい過去の象徴だった影たちが優しく感じられる。
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