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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

流れ落ちる調べに乗せて 三章・四章

『流れ落ちる調べに乗せて』三章・四章の感想

※ネタバレが含まれます。
また、初見~振り返りプレイ時点での感想なので、設定資料集の情報は含まれていません。


三章 歯車仕立ての運命譚

歌奈の朗らかさと、彼女と親しく何かあったら心から心配する聖の関係に癒される。
秘密が明かされたところで歌奈の病が解決するわけではありませんが、それでも読後感はいいんですよね。

正吾視点だと注意する時の斎木の声はドスが効いてるらしい。
妙なすごみがあるとも言い、ただ者じゃないと見抜いてる。
歌奈は占いが好きじゃない。
彼女の内心を知ると納得しかない。
体調が悪くなった彼女は「私なんか」と口にしてしまう。
正吾はそういう言い方はやめろと言うけど、認識を変えるのは難しい。
あの、正吾が他の女子のことを喋ったりすると歌奈がムッとするんですけど。
単にブラコン気味なのか、もっと重いのか。
正吾はモテる。当たり前というか、そらそうだとしか思わない。

喫茶店から出た正吾は輝一が破落戸どもと言い争っているところに遭遇した。
正吾が加勢して暴力に訴えようとする連中と戦うが、敵の一人が刃物を持ち出し輝一を刺そうとする。
正吾は間に合わない。
男の手首に手刀をくらわせ窮地を救ったのは、蘇芳!
おぉ……まともでカッコいい登場の仕方だ。皐月の時とは全然違う。
蘇芳は男に街中で刃物を使ったことを咎める。
「ここが戦場というのであれば、話は別ですが」
斎木を連想した。
戦場・殺し合いの場とそうでない場をきっちり分けているというか。
正吾と輝一は蘇芳に礼を言う。輝一が素直。珍しい。
正吾による蘇芳の評価は、
「随分と雰囲気のある人」
「一目で武術の達人って判る」
「この人と喧嘩しても、多分、勝てねえ」
よく見抜けるなー。
蘇芳いわく、この町には認識の甘い若者が多い。
正吾は自分の油断を反省するけど、蘇芳が指したのは敵の方。
斎木も同じことを言いそうです。
武器を使うこと。「殺す」と宣言すること。殺し合いの場にすること。それらの怖さや重みを知っている。
蘇芳が正吾達に「君達」って言ってる! 「貴方達」と呼ぶイメージでしたが、違うんですね。
彼は颯爽と立ち去った。
皐月編と全然印象違うな。「髪ぼさぼさなのに髪を求める変な人」と「刃物を持った破落戸を手刀一発で止めた武術の達人」。違いすぎ。

倒れた歌奈に優しく接してくれるマスターがありがたい。
マスターに迷惑をかけたと落ち込む歌奈は後ろ向きな台詞ばかり口にする。
「私のせいで」「私なんかのために」と自分を軽く扱う台詞に正吾が怒った。
彼の言い方は乱暴ですが、熱さや優しさがたっぷり含まれてるので嫌な気持ちになりません。
歌奈が元気を取り戻してくれてよかった。
歌奈の病気を治すため、正吾は医者ではなく不可思議な世界の住人に解決策を求めることにした。

二幕
自分の正体に関する正吾の推測は間違っているものの、そう考えるのも無理はない。
真澄と正吾の組み合わせは新鮮に感じられる。
普段真澄は皐月と、正吾は歌奈や輝一と絡むことが多いためか?
歌奈が誰かと付き合うかもしれない可能性に正吾は悶々とする。
過保護じゃないか、自分だけが理解者だと思いたいんじゃないか……そういう風に己を顧みることができている間は大丈夫じゃないかな。
あ、歌奈に告白してフラれた男が歌奈を貶め出した。ちっぽけなプライドを守るためにくだらないことすんなぁ。
正吾が殴りに行こうとした時、聖参上。
歌奈が病を抱えていることを理由に貶す男を言葉でボッコボコにする。もっとやれ。
聖が歌奈を大切に想っているのは揺るがぬ事実。友情は本物だ。

正吾が町を歩いていると蘇芳とぶつかってしまった。
体格がよくて力もある正吾がよろめくって……。
蘇芳は怒るどころか謝って頭を下げる紳士的な対応。やっぱり皐月編と全然違う。
正吾は喧嘩の時の恩返しに団子をおごることにした。いいな、こういうイベント。
正吾は蘇芳を「兄さん」呼び。幸はおじさん呼びだったんですよね。何歳なんだろう。
蘇芳の「今彼がこちらに出向いてくる可能性は低い」という台詞に笑いました。斎木の行動パターンを把握してる……。
解呪前の斎木が正吾と一緒に団子食べてる蘇芳を目撃したら、どんな顔するんだろう。
正吾は蘇芳に事情を説明して情報を求める。
蘇芳は「思い込みならばともかく、実際に呪われているモノを祓うことはできない」……前半部分、斎木のことだな。
蘇芳は自分の用事が終わった後ならば相談や情報提供に協力してくれる様子。
斎木編と違って友好的だし協力的。恩返しが絡まなければ常識的で親切です。

呪いや憑き物について尋ねられた斎木の反応に「やっぱり……」と言いたくなる。
初見だと輝一の反応が意外でした。正吾と同じく、饒舌に否定しそうだと思っていた。
「ここでこんな反応するってことは何か秘密があるだろ! 親友にカンチョーするだけの男じゃないはずだ!」と予想しました。
その通りでした。

最後に歌奈の正体が判明する。
正吾の異能がミスリードになっていました。

三幕
歌奈が人形だと分かったため、正吾は「治す」ことではなく「直す」ことを考える。
連城の力も借ります。
歌奈が質の悪い連中に連れていかれため、聖が助けを求める。
金切り声出すなんて、本当に大事なんだな。
相手をぶちのめす正吾は箍が外れたようでかなり怖い。後のことを全部ぶん投げてるから真澄が止めてくれなかったらどうなっていたことか。
途中で現れた竹林が怖ぇ……。
荒くれ者を率いるだけの格はあります。
敵に回したのが斎木じゃなければ威厳を保ったままでいられたかもしれない。

歌奈は自分の正体を最初から知っていた。
「私なんか」という態度もそこから生まれたわけだ。
正吾は飛び出した歌奈を追う。
聖が本気で心配してる。
彼女の助言で歌奈の居場所を突き止めることができました。
本音をぶつけあう……前に歌奈がいきなり小難しいことを言う。
初見で「ん?」と思ったシーンです。あれの力だったのか。
人形の自分では正吾と一緒にいられないと言う歌奈に正吾はまっすぐぶつかる。
ストレートに言葉を叩きつけるのが爽快です。

四幕
連城がもたらした答えは残酷で、歌奈を直す手段はない。
連城に八つ当たりするのはよくないけど責められない。
大切な相手が死んでしまいそうな時にまで冷静な振る舞いを求めるのは酷だ。
それに、頭を冷やして相手の協力と自分の行動を見つめ直したので、ちゃんとしてます。

聖の能力、魂を見る力について語られる。
人の本性が見えるって言うけど、本人の思い込みで見えないこともあるというか……。
とにかく、彼女には歌奈の魂は見えない。
本性が分からない相手と付き合うことに不安はないか尋ねた正吾に
「判らないからこそ――私は歌奈の事を、沢山知りたいと思うのです」
いい答えだ。
そして魂が見えなくても歌奈がいい子だと確信している。
二人が語り合う日々がいつまでも続けばいいのに。

清吾や寿里、正吾達の関係性に『からくりサーカス』を連想しました。
戦闘後の正吾の返答にスカッとした。
歌奈の体がよくなったわけではないのですが、前向きな気持ちになりました。

四章 天を仰げば、すぐそこに
異能を管理し化物と戦う組織である『十統』について詳しく描かれます。

一幕
薙沙は破落戸どもに狙われる少女、幸を助ける。
子供に優しいんですよね。本人はそんなことないと否定するだろうけど。
無計画に果物を買ったのは予想外でした。
他の章だとクールで美人な実力者のイメージが強かったのですが、わりと勢い任せな部分もある?
主人公達の中で、内面が分かると「こんなキャラだったのか!」となる度合いが一番高い気がする。意外なところで焦ったり慌てたりします。

生活費の工面と情報収集を兼ねて喫茶店で働くことにした薙沙は餌を求める犬と出会う。
なんとその犬は、孤独な薙沙の話し相手になってくれる犬だった!
不可思議な現象があるからそこまで驚かなかったものの、やっぱりインパクトはでかい。
犬に真面目に話しかける薙沙も面白いし、ポンポン言葉をぶつけてくる犬も面白い。
ペラペラ喋るタイプではない薙沙とお喋りな犬でバランスがいい。

薙沙がこの町に来たのは、掟を破り組織から逃げた男を追ってきたため。
抜け忍を狩るようなものです。
裏切り者、一色夜行とバトル!
一章でも出てきた「ひはははは」の人はコイツです。
男は殺し女を嬲るストレートな悪党ですが、立ち回りはクレバー。
普通ならすぐやられるようなキャラですが、そうはいかない力と頭があるのは竹林と似ているかも。
薙沙の二つ名『刃金の魔女』がカッコいい。

二幕
夜行の詠唱が渋い。
質より量の式神をぶつけてくるだけかと思いきや、様々な手を隠し持つ。
それを正面から叩き潰すのが薙沙です。
肉体を強化して物理で殴るストロングスタイル。
『英傑の条件』という能力名もカッコいい。

夜行を取り逃して荒れる薙沙をフォローする犬、いい奴。
薙沙には組織から逃げた親友を「狩った」過去がありました。
親友が恨みたくなるのは無理もないけど、薙沙の苦悩が見える側だから庇いたくなる。

薙沙と斎木が再会。
斎木はかつて薙沙の前から逃げ出したんですよね。
部下達を置いて逃げ、薙沙を置いて逃げ……逃避の達人だな。
部下を「殺した」直後の斎木は荒み切っていたみたいですが、その頃のエピソードを見てみたいような、見たくないような。

夜行からの陰湿な嫌がらせ。
薙沙が狩った相手は様々ですが、彼女の中で最も深い傷となっているのが『親殺し』。
三幕は親殺しの回想から。
苦悩や葛藤が重かった。
初見の一章だと薙沙はクールに獲物を追う狩人という印象でしたが、全然違いますね。

斎木は薙沙と一回だけ本気で手合わせしたことがある。
斎木が勝ったのか。
自分の負担や相手の命を顧みなければ最強だからなぁ。

薙沙と幸が再会。
少女から恐怖され、拒絶されることを予想して陰鬱な気持ちになっていた薙沙に、幸は礼を言った。
えらい!
「助けてくれて、ありがとう」
その言葉で薙沙の方も助けられたと思うよ。
喜びのあまり途切れ途切れに答える薙沙が可愛い。
これはもう完全に、幸に心を持っていかれましたね。
不器用な歩み寄りの姿勢が微笑ましい。

あの、露店の老人って『彼』ですよね? 心壊れてない?
ドレスを着せられて恥ずかしがる薙沙が可愛いけど、斎木から褒められて喜べなかった理由に悲しくなりました。
ひねくれ者の斎木は、相手を好いていればいるほど、素直に褒めるようなことはしない。
なるほど。
二章で薙沙が何故あんな反応だったか分かった。
普段斎木が皐月を小娘呼ばわりしているのも好意の裏返しか。
帰り道、斎木からの質問が残酷でした。
「厄介な力を持って生まれてしまった娘が幸せになろうとするなら、どんな道を選ぶべきなのか」
久々の「それ言っちゃ駄目!」と叫びたくなったやつ。
逃げた仲間を追いかけて、呪詛や絶望を浴びながら狩る日々に苦しむ薙沙には、あまりに惨い質問だ。

幸と皐月が誘拐され、薙沙は当然奪還に動く。
ここで蘇芳とバトルか!
服の上からでも彼の鍛え具合が分かる。格闘家として理想的らしい。
蘇芳が戦いを仕掛けてきた理由は、薙沙を足止めして斎木を追い詰めるため。力を使わせ、覚悟を決めさせるため。
普通なら異能で肉体強化した薙沙と素手で戦うなんて無謀なんですが、蘇芳は普通じゃないので問題ない。
うわ、指を木に突き立てて平然としてる……。
手、特に指の鍛え方が尋常じゃないってケンガンアシュラの黒木みたいだな。
もはや指突ではなく『指弾』。硬さだけならばすでに鉛弾の域に達しているらしい。
蘇芳は軽くはない攻撃を何発も食らい、力や速さ、反応で劣りながらも倒れない。
技術は互角、身体能力が上の薙沙が負けているのは経験。
私も彼女と同じく、「殺した数」を持ち出すのだと思いました。
彼の答えは違った。
「殺されかけた数」が違う。
はー……なるほど。
さすが、絶望的な状況で戦い続けて生き残ってきた男だ。

互いに切り札を披露した後、蘇芳は己の目的を語る。
薙沙の足止めと、質問に答えてもらえるよう自分を認めさせるため。
戦いを通じてある程度相手のことが分かるってことか?
彼が知りたいのは呪いの発端。
普通ならいきなり襲い掛かってきた男に大事な相手の情報を与えるなどありえないけど、普通じゃないからなぁ。
薙沙は彼に妙な誠実さを感じて教えた。蘇芳も斎木との関係を答えた。
二章以外の章、特に四章だと蘇芳が斎木の呪いを解くために動いているのがよく分かりますね。
蝦蟇は蘇芳の目論見通り、斎木が力を行使して壊滅しました。

四幕
薙沙と斎木は手を汚したことに苦しみ、前へ進むことができずにいる点が似ている。
マスターが意味深な話を……。
彼女の過去なのか?
だとしたら壮絶だ。

互いになかなか踏み出せない斎木と皐月をもどかしく思った薙沙が動く。
皐月が盗み聞きしていると知ったうえで斎木に好意を伝えて揺さぶりをかけた!
一歩間違えれば大惨事になるところでした。
皐月が真澄に愚痴ってキレさせて感情の暴走を招いたので。

夜行の意地の悪い仕込みでトラウマを刺激された薙沙が荒れる。
クールなように見えるけど、傷を抱えていっぱいいっぱいだったんだな。
動揺する理由を誤魔化そうとする彼女に犬が鋭い言葉を投げつけた。
仲間殺しなんざ止めちまえ。
彼女が考えるわけにはいかない言葉を……!
殺すのが辛いのに殺し続けてきた。
父や親友を役目に従って狩った以上、今さら降りることはできないと思ってやってきた。
斎木もですが、殺しを楽しめない者が強力な異能を持っているのが皮肉ですね。
犬は彼女の抑え込んでいた本音を引きずり出した。
犬を突き放した薙沙の前に夜行達が現れ、首輪をつきつける。犬は夜行に囚われてしまった。
犬一匹のために薙沙が役目を放棄するなどありえない……わけじゃない。
薙沙は自分のゴタゴタに巻き込まれただけの犬を見殺しにすることはできなかった。
心が折れた薙沙を見て夜行は大はしゃぎ。
整った顔が絶望に歪むところを見たかったらしい。
打ちひしがれる薙沙の心に犬の声が届く。
犬は「喋っていた」のではなく「意思を届けていた」。声じゃなくて念話だった。
傍から見れば犬に話しかけているお姉さんです。
徹底的に心の弱さを暴かれ、ボロボロになっている彼女を犬が諭した。
大人だ。
薙沙は優しくて強いただの女。
化物なんかじゃないってことですね!
犬は自分が人質……犬質になっているのをよしとせず、夜行に攻撃して殺された。
自由になった薙沙は夜行達を撃退し、夜行本体を追う。

夜行は薙沙に惚れていたとぬかす。
自分と似たような孤独を味わいながら揺るがぬ高潔な女に。
だから顔を歪ませたくなった。
しかし犬に話しかける姿を見て、孤独に苛まれるただの女だと知った。
それでますます壊したくなった?
「完璧・高潔→壊したい!」なら分かるけど、「完璧じゃなかった→もっと壊したい!」になるの? 難しい……。

互いの奥の手を使いながらの戦闘は、薙沙の勝利に終わった。
敗因分析する夜行の洞察力の高さが光る。竹林もだけど、その力を穏当な方向に使っていれば。
優れた存在ゆえに疎まれていたというのは夜行にも薙沙にも当てはまる。
でも薙沙は歩み寄ってきた相手を斬り殺したりしないので、夜行みたいにずっと孤独というわけじゃありません。
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