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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

闇を奔る刃の煌き・流れ落ちる調べに乗せて

闇を奔る刃の煌き・流れ落ちる調べに乗せて
影法師様制作『闇を奔る刃の煌き』『流れ落ちる調べに乗せて』をプレイしました。どちらもVer2.00です。

公開順は流落→闇奔ですが、時系列は闇奔→流落です。
私がプレイした順番は闇奔→流落でした。

両方の作品のネタバレが含まれますのでご注意ください。

『闇を奔る刃の煌き』は立志伝、『流れ落ちる調べに乗せて』は伝奇・異能バトル。
主に語るのは『流れ落ちる調べに乗せて』についてですが、『闇を奔る刃の煌き』にも軽く触れます。

『闇を奔る刃の煌き』は片倉重蔵・蛍夫妻の立志伝。
勇気と知恵と腕っぷしで困難を乗り越えていく明るく爽やかな物語。
だと思っていました。
試練を解決していく一章~三章と違い、四章は重苦しい空気が漂っています。
『闇を奔る刃の煌き』だけプレイして終わるつもりなら、一つだけ現れる選択肢で「いいえ」を選んで切なさを噛みしめて終わるのもありではないかと思えてしまう。
最初からじっくり読み返して「彼」の心情を考察すべきだと思いながらも、その気力が湧かない。心が折れ気味。

闇奔の中で一番好きなキャラは中村です。
娘を道具扱いする頑固で傲慢なだけの親父と思いきや、偉そうなことを言うだけの能力や実績があり、主張にも頷ける部分が多く、相手を認めて自分の考えを改める柔軟さも備えている。
「本気で好いていたのであれば、堂々と連れてくれば良い話だ」には確かに……と思った。
残された小菊のこともご尤も。
それから、何と言っても剣術の実力者であるところに惹かれる!

ここからは『流れ落ちる調べに乗せて』について。

・作品全体
四人の主人公視点で語られます。
並行して読んでいってもいいし、一つの話を最後まで読んで次の主人公に移ってもいい。
私は第一章である皐月編→第二章である斎木編……と順番に読んでいきました。
クリアした後で序盤を振り返ると、「アイツのことか」「ここで語られていたんだ」と発見があります。

グラフィックは渋いカッコよさです。
メインキャラのカットインが迫力ある!
BGMは穏やかな日常や不穏な空気、激しい戦いなどそれぞれの雰囲気に相応しく、物語を盛り上げてくれます。
特に好きなのは『流れ落ちる調べに乗せて-主-』『流れ落ちる調べに乗せて-戦-』『流れ落ちる調べに乗せて-恨-』です。

・キャラクターについて
※本編を初見プレイ~クリア後再プレイした時点での感想です。
そのため設定資料集の内容は含まれていません。

設楽皐月:普段は年相応、等身大の女の子。
真澄への言葉に「それ言っちゃ駄目なやつ!」と絶叫したくなった。
とても苦しんでいる真澄に「いいなあ。恵まれてて」は禁句だった。
最終決戦前も戦う覚悟を決められず、嫌だと叫んで震える。
当たり前なんですよね。
戦い慣れているわけでもない少女がいきなり恐ろしい化物との戦いに巻き込まれたらそうなる。
よりによって親しい相手を亡くした直後ですから心がバッキバキだよ。
それでも最後はカッコいい姿を見せてくれました。
能力披露時、決戦前に逃げた理由も明かされてますます納得。覚悟もできてないのに重い物を背負わされたら逃げたくもなるわ。
奇跡ではなく当然の結末と言い切った姿に痺れた!

水城真澄:酷い目に遭う前に助けたかった。
終章だと出番が……。そこらの破落戸ならば膾切りにできるという剣の冴えを見たかった。
父の状態が良くなってホッとしました。

仁科正吾:良くも悪くも真っ直ぐな男。
自分の気持ちに素直になれなかったり悩みまくって自分を苦しめる方向に行ったりするキャラがいるから、彼のストレートさが爽快。
仁科歌奈:兄想いで友達想い。
正吾もですが、『からくりサーカス』を連想する境遇です。
重い物を背負っているのに明るく笑える。
ただの強がりではなく、家族や仲間、彼らとの時間を本当に大事に想っているからできるのでしょう。
とてもいい子ですが、そんな彼女にもどうしても譲れないものがあった。
正直、彼女の退場は予想していたんですよ。
不思議な存在や能力が登場する世界観とはいえ、体をなおすことはできないと繰り返し強調されてきたのにいきなり解決なんて展開にはならないだろうと覚悟していました。
それでも、「皆今までありがとう。幸せだったよ」と微笑みながら退場すると思っていた。
元気に長生きしてほしかった。

片倉聖:悪意に翻弄された少女。
彼女の暴走や迷走は多くの人々を巻き込んでしまいました。
とはいえ、孤独を味わい精神的に追い詰められている少女が悪意に満ちた囁きを吹き込まれて耐え続けるのは難しいでしょうから、責める気にはなれません。
聖と歌奈の関係性が好きです。
歌奈は聖のことが大好き。聖も歌奈のことが大好き。
聖は普段はあまり表情を変えずクールに振舞うタイプで、歌奈は表情をころころ変える。
正反対の組み合わせを見ていて心が和む、はずだった。
そりゃないよ。
聖……聖……。
悪意の塊に振り回され続けてあんまりだ。
祖父の心もズタズタだろこれ。重蔵の人生が悲惨すぎる。
彼の心にとどめを刺すどころか、もはや死体蹴り。
妻を喪い、息子を喪い、孫から最低の男と誤解され憎まれ侮蔑され、見たくない光景を目にして苦しみ、その孫も喪って。
正吾が早期に聖を説得して何とかして歌奈の体を治してハッピーエンドになってほしかった。強引なご都合主義でも。

坪井輝一郎:「講師に難癖つけたり親友にカンチョーするだけの男じゃないだろ? 絶対何かある」と疑っていました。
……何かあるのは当たっていたけど方向が違った。
エンディングで明かされた衝撃の事実に驚きました。
正吾とアホな会話を楽しんでくれ。

佐島幸:座敷童みたいな外見の女の子。
異能を持つゆえに狙われ、悲しい想いもするが、斎木達に助けられて前を向けてよかった。
片倉重蔵と少しずつ絆を築いてほしい。頑張れ座敷童!

鈴木斎木:逃避の達人。
酷い表現だと思いましたが、だからこそ凶悪な異能を扱えた。
能力の殺意の高さと本人の性格が全然かみ合わないけど、「主人公に持たせていいの?」と言いたくなるおぞましさですからちょうどいいかもしれない。
木々は枯れ、肉は腐り、武器すら崩れ、手足を喪った敵が地を這う地獄のような光景を作り出せる。
ラスボスにも普通に通用する反則的な強さです。
本当に、術者の性格と足してちょうどいい。
蘇芳は斎木に敵を全て踏みつぶしてでも進む覚悟を持たせようとしたけど、そんな人間にはなれないし、ならないのが彼の魅力だと思います。

藤村薙沙:一目見て「好きです」となった。
組織から逃げた者を淡々と狩る冷酷な魔女……ではなく寂しがり屋の優しい人。
登場時の印象と内面にかなりのギャップがある。
犬:犬。
薙沙への遠慮ない台詞に笑った。もっと薙沙とのやり取りを見たかった。

竹林:口調が好き。
一色夜行:見た目が好き。
どちらも「女を狙う高い実力を備えたクズ」。
そして、二人とも自分なりのルールがあります。竹林なら「約束は守る」とか。
被害者にとってはくそくらえと言いたくなるでしょうけど。
所業だけ見ればヒーロー側のキャラにすぐやられそうなんですが、実力と狡猾さを備えているのが厄介。

蘇芳:一番好きなキャラクター。
恩返しはすべてに優先する男。恩人のためなら自分の命も名誉も犠牲にする。
髪フェチ殺人鬼呼ばわりしてごめんなさい。
最終決戦には不参加。残念な気持ちと安堵する気持ちがありました。
もう戦う力がないのに残っていたら「せめてこの身を盾にしましょう」とか言って恩人を庇って壮絶な死に方をしそうなので。
エンディングでは登場しなかったけど傷は治ったんだろうか。
まさか傷が悪化して死――いや、寿里が普通に抱えて帰ってその後言及がなかったということは何もなかったはず。もし命を落としていたら一言くらい触れるでしょう。
ただでさえ戦えないほど消耗していたのに、無防備な体勢で攻撃を何度もくらって生きてるって、よく考えるととんでもないな。
体が頑丈なだけでどうにかなるのか疑問に思わなくもないけど蘇芳だから問題ない。

彼の立てた斎木復活計画について、「あんな過激なやり方で無理矢理進ませても闇堕ちしそう」「怖がらせた幸にしっかり謝って」など言いたいことはたくさんあるけど、一番ツッコみたいのはこれ。
精一杯生きるべきというのは貴方にも言えることでは?
副長として斎木を支え続けた彼にも感謝や敬意は向けられていたはず。
仲間の命や思いを背負っているのは蘇芳もだと思います。
だから、キャラとしてはすごく好きだけど、やり方を全て肯定できるわけではないんですよね。
恩返しに自分の命や名誉、人生を捧げる生き方はまぶしいけど、もっと自分を大事にしてほしい。
でも彼なりに自分を大事にして精一杯生きようとした結果が、恩返し優先の生き方を貫くことなんだろうな。
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