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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

クウガ感想 5

クウガ感想 5



EPISODE29 岐路

蝶野が再登場してテンションが上がりました。
基本的にクウガに守られる者達は善良ですが、彼のようなキャラがいることで違う味が出てきます。
後半は「五代なら大丈夫」とみなす空気が強くなったので、反発するキャラがもう少しいてもよかったかも……と思いつつ、そうでなくてホッとする気持ちもあります。
凶悪な敵に立ち向かうだけでも精一杯の状況に主人公側の対立や不和まで盛り込むと、精神的にかなりキツくなります。グロンギの殺害描写だけでもギスギス成分が過剰供給されてますからね。視聴者置いてけぼりになる可能性があります。
やはりこれくらいのバランスがちょうどよかったのかもしれません。

物語が進むにつれて異議を唱える人物が減り、称賛が増えたのは、むやみに主人公を持ち上げさせているわけではないと思います。
「すごいよ五代さん」で思考停止して崇めるのではなく、もちろん「おだてて戦いを任せよう」とも考えておらず、「五代なら大丈夫」と言うのは信頼していると同時にそう思いたがっているのでは。
五代=クウガは危うい所で戦いを乗り切ってきたが、敵の攻撃が激化していつ命を落とすかわからない。
終盤は厳しくなる状況の圧迫感というか、五代に背負わせるしかない現状への忍耐のような空気が漂っています。
皆を安心させるための五代の「大丈夫!」に乗っかった言葉で、何の疑問も持たずそう思っているわけではないでしょう。
味方から大絶賛、敵からも高評価というわけじゃないんですよね。一般人は英雄だと持て囃しはしないし、詰りさえする。
肯定してくれる仲間との関係も、時間・話数をかけて築かれてきたもの。それこそ最初は射殺されそうになったほどです。
力を得た代償等が幾度も登場し、辛い思いを乗り越えて頑張っていることが丁寧に描写されている。
何より、最終決戦での爽快感からは程遠い戦いぶりが大きい。暴力による解決を嫌っているのに拳でしか相手を止めることができず、自分の信念を自分の手で否定することになった。そして自分の笑顔を失って仲間の前から去ってしまう結末に……。
こういった要素が合わさって、一方的な主人公持ち上げにならないバランスになっています。

話を本筋に戻します。ナイフが映されて「ええ!?」と思ったけれど、後に鉛筆を削るために使用していたことが判明。絵を描いていました。
あの事件がきっかけで頑張ろうとしている。応援したくなります。

紫や緑、青に金の力が加わり、あとは赤だけ。警察も四号に協力する体制ができつつある。
だが、順風満帆とは言えない。金の力のせいか体の変化がいっそう進んでいる。
このままでは兵器になる。
五代の強くなりたいという意思がアマダムの特殊な力を導き、変化を引き起こしている。相互作用ということですね。
赤の時に金の力が出たら右足にも体にも大きな負担がかかる。
五代は笑顔を作りますが、一条さんも椿も苦しそうな顔をしています。二人の前から去った後、五代の表情も曇っていました。
自分の体がわけのわからないものへ変化していく。
弱音を吐いてもおかしくないのに、一条さん達を心配させないために隠している。

次の怪人は空中から鉄球を落としまくり、阿鼻叫喚の大惨事を引き起こす。
そんな中、応募するためのイラストを持ってバスに乗車中の蝶野。
未確認出現のせいで通行禁止になり、降りて移動しても封鎖されている。
せっかく前向きに歩み始めたのに暗雲が……。

EPISODE30 運命

タイタンフォームで挑むもガメゴの攻撃は重い。金の力で強化して剣を突き刺したが、倒せない。
パワーアップしても通じない絶望感が漂っています。
反撃を食らって吹き飛び、グローイングになってしまったクウガをガメゴは見逃した。
彼らがクウガにとどめを刺さないのは己のゲームを優先しているため。
クウガは「ゲームに彩りを与える存在」と見なされている。ゲームをする時に、より面白さを感じさせる障害物。そこそこ歯ごたえのある中ボスのようなものでしょう。
かけつけた一条さんが目撃したのは地に横たわる五代の姿でした。
ガメゴはついでにイラストを持って走る蝶野を気絶させて歩み去る。
ひでえ。
警戒に値しない相手なんだから見逃してもいいじゃないか。
遭遇したのは運が悪かったとしか言えませんが、生き延びたのは幸運です。幸い傷も深くなかったし。
蝶野はビランにも襲われていましたね。一般人が何度もグロンギと遭遇して生き残るのは強運ですよ。

一条さんは榎田さんに強化型の超高圧弾は使えないか問う。
弾丸だけでなく銃も特注であるためまだ時間がかかると言われても諦めない。
試作段階の弾丸だけでもないか、さらに問う。
普通のライフルでは反動が大きすぎてとても使いこなせないと言われると……。
「かまいません。少しでもあいつをフォローしたいんです」
知識が無いので間違っているかもしれませんが、銃と合ってない弾丸を使うのは本人にとってもかなり危険じゃないかと思いました。
倒れている五代の姿を見て、「リスクを負ってでも援護したい」と思ったんだと解釈しました。
榎田さんも真摯な言葉に応え、弾丸を使わせることに。

危険を冒そうとしている相手を止めず、全力でサポートする構図がクウガではよく見られます。止めても聞かないことはわかりきっており、危ないからダメだと協力を拒んでも諦めて大人しく引っ込むような性格じゃない。協力が得られなくても他人のために無理をして、ますます危険に晒されることは目に見えている。
ならば、足を引っ張らないように内心をこらえて力になる。このように考え腹をくくっている人々が多い。
よって、クウガはやせ我慢の物語だと思いました。
宣言通りこの後の一条さんの活躍はすごかった。

トランプで遊ぶグロンギ達は余裕たっぷり。おのれ。
ガメゴは人間態のイメージと怪人態のイメージが大分隔たっていますね。人間体だとスマートでキザに見える。

桜子さんは、五代の体は初めて運び込まれた時より何十倍も回復力が強くなっていると椿から知らされる。
回復が急激になるということは、それだけ体に負担をかけることになる。兵器に近づき痛みを感じなくなるどころか、不自然な回復はより激しい苦痛を味わわせている。今までも相当痛みに耐えていたはず。
知らされた桜子さんの反応が胆が据わっている。
「つまり……皆で頑張らなきゃってことですよね」
かえって椿の方が衝撃を受けている。取り乱さずに受け止める桜子さんの男気によるものでしょうか。
ヒロインというより主人公気質な気がします。一条さんとは異なるベクトルでよき相棒だ。
五代の病室まで行くと、彼はすでに起きている。
いくら回復が早いと言っても限度がある。
同室に蝶野が運び込まれ、彼の描いたイラストを見て、
「和むなあ、なんか」
と微笑む五代。
久しぶりに、本当に穏やかな笑みを浮かべています。

一条さんと合流した五代は頼みごとをする。
今度は赤のクウガで金の力を使うつもりだが、とてつもない力で周りが大変なことになるかもしれない。
一条さんは躊躇わずに引き受ける。
「後のことは俺に任せろ」
「すいません」
「気にするな。それが俺の仕事だ」
いちいち格好いい。

目を覚ました蝶野は間に合わなかったことを知って打ちひしがれる。
椿は残念だったなと慰め、具合がよくなって安心したことを伝える。
「人生捨てたもんじゃない。すぐにまた、いいことがあるさ」
椿は本気で励まそうとしているけど、軽く聞こえてしまう。
いいことがあるさと言われても、それはいつなんだと言いたくなる。
蝶野は立ち上がり、簡単に言うなと激昂する。
「俺がどれだけ頑張って、どれだけもがいて……それが、あいつ……四号のあいつがとっとと未確認をやっつけてれば今ごろ……どうせあの調子でへらへらしてやがったんだ」
五代がどれほど頑張って、どれほどもがいて戦ってきたか知らずに見当違いな非難を浴びせやがって。
とっとと倒せりゃ誰も苦労せんわ!
……と初見では腹が立ったけれど、蝶野視点だと五代の苦難は分からないんですよね。
五代の苦しみを想って憤るのも、事情を知っている作中の人物だったり視聴者視点だからできること。それを忘れてはいけません。

蝶野のあんまりな言い草に椿の表情が変わる。
「本当にそう思うか? あいつがただ……へらへらしてる奴だと思うか」
「だってそうだろ! 四号とか言われてどんどん強くなって、未確認をやっつけて……何やっても上手くいきゃ、誰だってあんなふうに明るくなれるさ!」
蝶野の気持ちはわからなくもない。
自分は失敗するのになぜあの人は上手くいってるんだと妬むことはあります。自分の目に入ってこないだけで実際は努力していたり、大変な思いをしたと考えるのを忘れて。
何やったって上手くいかない、努力したって駄目だった、あの時二十三号に殺されちまえば良かったと語る蝶野にとうとう椿が激怒する。
「いい加減にしろ! お前は何でも人のせいにして逃げてる最低の奴だ!」
甘ちゃんと言われカッとした蝶野は椿を殴りつける。
椿は殴り返さない。
「俺を殴ってどんな気がした? 嫌な感じがしただろう」
この台詞を殴られた椿が言うのがいいですね。
「殴った手が痛い=攻撃する側もつらい」理論は、使いどころを間違えると攻撃を正当化しただけになりかねないのですが、今回は違います。殴られた側が言ってるので。
「それをあいつはずっとやってるんだよ。体が自分のものじゃなくなるかもしれないっていう恐怖の中で、弱音も吐かず、皆の笑顔を守るためにな」
現実では、人を殴って嫌な感じを覚えない人もいるだろうな……と思いました。傷つけても感触が伝わってこない道具もありますし。
蝶野は人間に嫌気が差したと言っていても、殴って嫌な感じがするならば本心ではなかった気がします。
絵を見た五代が心が和むと言っていたと知り、蝶野は何を思うのか。
もし一条さんが同じ事を言われたら、やはり蝶野を殴りはしないでしょう。見当違いな非難を浴びせる相手だろうと守るべき市民だから。ただ、相棒が誤解されていることを悲しく思うでしょう。それでも多くは語らず、自分の行動で証明しようとしそうです。
五代ならば、自分が悪く言われるだけなら怒らない。もし一条さんら他の人が悪く言われたら……悲しみながらも、わかってもらおうと辛抱強く対話を試みそうです。

その頃、ガメゴと戦っているクウガは鉄球の鎖に捕らわれじりじりと引きずられる。
危ないと思われた時、鎖が千切れ鉄球は落下。手から離れた球が元の大きさに戻る。
誰の仕業かは考えるまでもない。遠距離から一条さんがライフルで射撃して破壊しました。
ペガサスフォーム並みの精度じゃないですか?
さらにガメゴが指につけている球を撃って弾き飛ばす。
ガメゴが移動するのに合わせて一条さんも場所を変える。
クウガと揉み合うガメゴを狙い、ピンポイントで指についた球体を片っ端から撃ち落としていく。
あの、普通のライフルじゃ反動が大きすぎて使いこなせないはずじゃ……。
四発続けざまに撃って全部命中させるってどんな腕前ですか。
五発目はさすがに反動がひときわ強烈だったようで体勢を崩しましたが、怖ろしいほどの射撃の腕前です。
五代と違って生身のまま戦っているのに人間離れしている。
改めて今回の一条さんの活躍をまとめると、
・遠距離から鉄球の鎖を撃って千切る
・遠距離から指についている球体を弾き飛ばす
・指についている球体を次々に撃ち落とす
・相手は動かない的ではなくクウガを振りほどこうとしている最中
・しかも反動が大きすぎて使いこなせないはずのライフルで
ここまでくると笑いが出てくる。
リント最強の戦士の称号を与えたい。
一条さんの支援もあって形勢をひっくり返したクウガはトライゴウラムで運び、金の力を加えてキックを叩きこむ。
すると、あまりのエネルギーにガメゴは大爆発を起こしてしまった。
ちょっと待て。街がヤバい。
半径三キロが爆発に巻き込まれたそうです。

EPISODE31 応戦

ポレポレで妹の作ったカレーを味見する五代。仲良し。
心温まる一時は長くは続きませんでした。
朝のニュースで怪人を倒した際の爆発について語られると、五代とみのりの表情がすっと変わる。
見出し等がいちいち現実味を帯びています
「未確認生命体の爆発で被害甚大 第四号能力強化の弊害」
「爆発激化は四号強化に連動 問われる警察の対応」
「四号特別視の代償 四号の暴走、警察語る」
怪我人が出るかもしれない危険な行為だったとはいえ、こんな風に詰られると腹が立つ。
加減しては絶対に勝てなかったし、あのままだと犠牲者の数は膨れ上がる。危険を察していたため事前に避難等を頼んでいましたし、警察が協力するのも速やかに怪人を倒し、市民の被害を抑えるため。
危険だの特別視だの言っとる場合かーっ!
英雄視して誉めたたえろとは思いませんが、結束を乱し、敵に対抗する存在の行動を制限してどうする。
ただ、そういう風に考えることができるのも、視聴者視点で、物語として見ているから。
五代達の働きを知っているから一方的な見方をされたり好き勝手に語られたりすることを苦々しく思いますが、クウガ世界の住人だったら新聞やテレビの論調に流されて非難してしまいそうです。

新聞を読む一条さんの表情も曇っています。
皆のために逃げ出しも諦めもせず全力で戦っている相棒について好き放題言われて……五代を戦いに巻き込んだと思っているだけにこたえるだろうな。
一条さんと同じテーブルに朝食を運んできた桜井はロールパンを山盛りにしています。そんなにパンが大好きなのか。いかつい顔でこわい人かと思っていたら可愛いじゃないか。
四号への態度についてプンプン怒っています。
仲間まで世論に同調しなくてよかった。共に戦ってきた人達まで掌を返したら哀れすぎる。
四号について紹介してくれと頼まれ、一条さんは返答に困ってしまう。「人間態」という言い方をされたらなおさらです。
桜井は謎に包まれた四号について興味津津な様子。
悪意は全くない質問ですが、前提が間違っている。さすがに一条さんも苦笑している。
怪人が人間の姿を持っているのか、人間が変身して戦うのか、傍から見ていると区別はつきにくいですが本人と相棒には大きな違いがあります。
この後「彼は――人間です」という台詞があったんじゃないかと思う。

一条さんが今まで限られた相手にしか知らせなかったのは、五代を守るため。もし信頼関係が十分築かれていないうちに知られてしまったら、いっそう危険視されていたと思います。
特に上層部が四号の正体が人間だと知ったら行動を厳しく制限しそうです。あくまで協力という形で、できるだけ五代の意思を尊重している現在の形と違って、家族や友人と会うことも難しくなる。
それこそ徹底的に「利用」されるのではないでしょうか。
戦いに駆り出されるだけでなく物的被害を出さずに倒せなど無茶な注文をつけられたり、体調が悪くても戦闘を強要されたり、最悪の場合貴重なサンプルとして実験台にされたりするかもしれません。
五代の性格だと「人々の安全のため」「皆の未来のため」「確実に対抗できる力をつけるため」と言われれば受け入れてしまいそうです。
一条さんは、四号に協力したり隠している事実について追及され責められても、毅然として対応したことで五代の身を守りとおした。未確認に立ち向かうだけでなく、戦闘以外でも立場や責任を背負って頑張ってきた。
友人や家族と温かい時間を過ごせるのは五代にとって大きな救いになっていると思います。
一条さんも五代の心に触れて随分表情が柔らかくなりましたし、以前より仲間と打ち解けて楽になっている部分があるのではないでしょうか。相互作用ですね。

EPISODE32 障害

バダーの出現にクウガが急行する。
高所からちょいちょいと指で誘われ跳躍したはいいが見つからない。
追いついた一条さんもクウガのもとへ向かおうとして搬入用?のエレベーターに乗り込もうとする。
猛烈にヤバい予感が。
扉が開くとバイクに乗ったバダーがいました。
咄嗟に横に跳び、かろうじて回避。
よく無事だったな……。普通なら跳ね飛ばされるぞ。
……一条さんなら轢かれても何とかなりそう。
バダーvsクウガのバイクアクションはクウガが不利。バイクから落とされたクウガを無視して去ろうとするバダーに一条さんが射撃し、バイクに命中させて怯ませる。
相変わらず信頼のおける援護射撃です。
どんどんレベルアップしてないか?
クウガが強くなるなら一条さんが強くなってもおかしくない……いやRPGでもないのに人間が簡単にレベルアップするのはおかしいだろ。武器が強化されるだけならまだしも。

トライチェイサーは金属疲労を起こしており、今のマシンではバダーに対抗することは難しい。
BTCSを使用できないか尋ねる一条さんにもたらされたのは、四号への協力を拒む通達でした。
榎田さんが持っている新聞にも「爆発激化は四号強化に連動 現場周辺の被害増大!」と書いてあります。マスコミに叩かれ配慮が必要となったらしく、引き取りに来るとのこと。
ならば他の方面で、とばかりに強化型の弾丸について尋ねるといろんなパターンを作っているとの答えが。ガス型が効くようなので頼むと新型ライフルと一緒にたくさん用意してくれるそうです。
さすが榎田さん、頼りになる。

一条さんも負けてはいない。
少しでも五代の力になるためにBTCSを渡すよう松倉本部長に掛け合う。
一歩も引かずに訴えるものの、四号とは無関係でいたい、今は時期が悪いと語る上層部の意向を覆すことはできない。
あの、組織の体面や世論を気にしてる間に犠牲者の数がどんどん増えているんですが……。
「それよりも、もっとやらなければならないことがあるんじゃないのか。君の頭の中には、もうそれがあるはずだ。早く行きたまえ」
この時の松倉本部長の台詞は、ただ突っぱねるのではなく一条さんの性格も、行動も、見透かしてのものだったと後でわかります。

上の決定に仲間達は渋い顔。
彼らの言葉を聞いた一条さんは折り入って頼みがあると告げる。
敵が爆発を起こしても被害の出ない地点まで誘導する。強敵を相手にそれを成し遂げるなど、難易度が高すぎる。
しかし、皆やろうとしている。職業意識の塊みたいな人々ばかりです。
上層部も見習ってください。

合流した杉田が五代に語りかける。
頼みがあると告げた時に五代のことを明かしたのでしょう。
「ピアノやってる葉月ちゃんのパパですよね」と言われ一瞬驚いた顔をするのがいい。
「今日は俺が一条の代わりだ」
ハードルがめちゃくちゃ高いですが、その意気やよし。
笹山も無線越しに挨拶し、五代は「よろしくお願いします!」と元気よく答える。
五代を知らない人々がわかってくれなくても、共に戦ってきた仲間との絆は切れていない。
誘導しようとした白バイ警官がはねられても諦めない。
頑張ってくれと思っていたら、榎田さんのもとに男達が訪れる。
BTCSを移送しに来たとのこと。
現在進行形で犠牲者が増え続けているのに!
榎田さんの表情も険しい。

クウガもバダーもバイクアクションが軽やかで優雅で溜息が出ます。
バイクから落ちた二人だが、バダーが一足先にトライチェイサーに乗って轢き殺そうとする。

EPISODE33 連携

自分の愛車に轢かれそうになった寸前、トライチェイサーは壊れてしまいました。
限界だったこともあるでしょうが、持ち主の五代を守るためだったとも思えてならない。
バダーは自分のバイクにまたがり、お前を殺すのは最後だと言い残して走り去る。
敵ながらカッコいいな……。
このタイミングでBTCSが使えないことを一条さんは詫びる。
一条さんのせいじゃないよ。彼が謝ることではないはずなのに。
「いやそんな、なきゃないなりに考えればいいんだし」
切り替え早ッ!
あっさり言ってくれる。

上層部に、BTCSに四号は関与させないことを報告する松倉本部長。
そりゃないぜ……と思っていたら続きがあった。
その頃榎田さんも起動キーの場所を忘れたふりしたり、渡してもそれだけでは動かせないと明かしたり、精一杯抵抗。自分の立場が危うくなるかもしれないのに食い下がる。
暗証番号――四号の誕生日を入れないと動かせないとばらし、やってきた一条さんの腕をとり、「唯一彼が知ってます、四号君の誕生日!」と告げる。
「よんごうくん」という言い方が可愛いです。榎田さん、好きだ。
事情を把握した一条さんが静かに話を切り出し、説得にかかる。

仲間の奮闘に応えるように五代も頑張って策を練るがなかなか浮かばない。
笹山は全体の状況を把握して指示を出し、桜井は狙撃班を率いてバリケードを築く。
危険を冒して被害を食い止めようとする彼らの思いが通じたのか、上層部を前にする松倉本部長から意外な言葉が。
「市民の安全を守る。そのために何が必要で、何をなすべきなのか。今それを誤れば事態が最悪の道をたどることは必至であります。我々警察官の本来の目的は何なのか、それをもう一度お考えいただければと思います」
……感動した。
最初から協力的な人物もいいのですが、立場や責任を重んじて頑なな態度をとっていた人が、ここぞというところでいぶし銀の支えを見せてくれるのも嬉しい。
一条さんみたいに守るべきもののためならどこまでも突っ走る人ばかりだと組織は成り立たないので、こういった慎重な人も必要だと思います。
一条さんは真面目で仕事第一で極めて優秀な刑事なのに規則を破りまくっているな。改めて考えると始末書等が大変なことになってそうです。

突破されても諦めずに追おうとする五代に、杉田は拳銃を渡す。
一条さんだけでなく杉田さんも……少しずつ関係が進展していくのが心地いい。
BTCSを引きとりに来た人も一条さんの言葉を聞いてこう答える。
「私も警察機構の中の一人です。だからこそ、警察にとってベストの選択をしたい。そういうことです」
「ご理解、感謝します」
相手がBTCSを抑えようとするのも、引き下がってくれるのも、納得できる動きです。
主人公達の言うことをホイホイ聞いてくれるほど都合のいい存在ではないけれど、なすべきことが一致したら協力してくれる。
嬉しそうだ、一条さん。これで五代の助けになりますから。
どのように説得したのか気になります。
きっと真っ直ぐに五代への信頼をぶつけたのでしょうう。

桜井達は再びバリケードを築き誘導を試みる。
杉田は五代に娘の言ったとおりだったと語る。
「五号からパパを守ってくれたんだから、四号は絶対にいい人だよって。……感謝してる」
言いにくい状況で素直に感謝の言葉を述べられるキャラは素敵です。
「銃を向けちまったこともあったな。すまなかった」
市民を守ろうとしての行動ですし、悲しいとは思っても怒りは覚えなかったと思います。
「何にもわかっちゃいなかった。君がどんな思いで戦っているのかも」
「思いは皆さんと同じですよ」
さらりと言った。
ここでこう言えるのが五代だよなあ……。

桜井達は誘導を成功させる。
皆が協力して立ち向かっている一体感が熱い。
車で移動する途中、突然五代は杉田に止めるように頼み、車を降りる。
現れたのは、ビートチェイサーを駆る一条さんでした。
ここで最高に燃えた。一条さんも音楽も格好いい。
二人とも、とても嬉しそうな顔をして見つめ合う。
仲良すぎだろ。
「五代。頼む」
「頑張ります」
短いやりとりで想いは十分伝わった。
一条さん達の奮闘の結晶、無駄にするわけにはいかない。
パワーアップしたバイクアクションも見ごたえあります。
回り込み、ライジングマイティキックを炸裂させる!
皆が頑張った分勝利の快感も大きい。

戦闘後、一条さんは松倉本部長のもとへ。
また通達を無視してしまったと頭を下げる彼に松倉は「何のことだ」と返す。この時の一条さんの表情が、鳩が豆鉄砲を食らったようで面白い。
またと言うことは一条さんも規則違反や通達無視を自覚していたんだな。彼の性格を知らない者が見れば、優秀なのを鼻にかけて勝手な行動をとっている、手柄のために四号の情報を独占しているなどと邪推されそうです。
そういった批判は出てこないため、彼の人となりが理解されている。
持ち出した時にはもう上層部も了解していた、だからそんな事実は存在しないと語る松倉。
「しかし、通達は撤回されていないはずです」
「時間の問題だ。もう心の中で彼らも了解しているさ」
深々と頭を下げる一条さん。
責任や生じる問題を全部自分で背負いこもうとしていただけに、五代が認められた喜びもひとしおだろうな。
前会話した時の本部長のやらねばならないこと云々の台詞は、「うだうだ言ってないで大人しくしていろ」ではなく、「自分の信じるままに行動しろ」という意味だった。
「五代雄介君か。これからも彼にできるだけ危険が降りかからないよう、尽力してくれ」
「はい」
実に後味のいい終わり方です。
だからこそ、次の話がきつい。
クウガの中でもベストスリーに入るくらい好きなエピソード、「戦慄」「愛憎」がきます。

EPISODE34 戦慄

前回と打って変わって陰鬱な雰囲気の病室から始まる。
大丈夫だと励ます家族の前で確実に死に近づき、怯え叫ぶ少年。やがて響く家族の絶叫。
「大丈夫」という言葉が通じない。
少年の名を呼ぶ声を聞いた一条さんはうつむき、憔悴しきった表情を浮かべる。鋼の精神力を誇る一条さんにこんな顔をさせるとは。
無力感を噛みしめている彼の背後に実行者が現れる。獲物と周囲が苦しむ姿を楽しみに来ました。帰れ。
彼は立派な悪役です。改心の余地も同情の必要も一片たりとも存在しないという点で。

場面が変わってホッとした……。
奈々からバイクが変わった件について尋ねられ、壊れたから代わりにくれたと答える五代の言い方が軽い。
赤の金の力が発現した記念として金箔カレーをおやっさんが作る。冒頭との落差がすごい。
杉田さんの台詞に少し気分が明るくなりました。
「四号がああいう男だったってのは……何かいまだに不思議な感じがするな」
敵と同類=同族を殺す怪人ではなく、心強い仲間=四号に変身する青年、五代雄介として見てくれている。

ジャラジの殺害方法が判明。
被害者の体の中に何らかの方法で入れられた物質が一定の潜伏期間を経ると、突然脳を傷つける形状に変化してしまう。外科的な方法で取り出すことはできない。
これまでの方法も十分エグいのに、ひときわ残酷だ。
幼い頃に見ていれば恐怖が刻みこまれただろうな。

五代は喧嘩した園児に「あやとり~スリランカの蚊~」を披露する。他の技も見たいです。
和んだ直後にジャラジの犠牲者の葬儀へと場面が変わる。爽やかになったと思ったら叩き落とす。
泣きじゃくる参列者達。苦しげな表情の桜井。見ていられないと思っていたら、突然生徒の一人が頭を抱えて絶叫。地面に転がり、「あいつがいる!」と叫ぶ。
死を悲しむ友人達や新たな獲物が恐怖する様を見物に来ました。わざわざ告別式にまでやってくるなんて悪趣味にもほどがある。

ジャラジは獲物の前の姿を現す。四日後に死ぬと宣告し、じっくり怯えさせる。
そんな中、ターゲット――緑川学園の生徒が自殺したとの知らせが。
想像もつかない死に方をする恐怖に襲われ、発作的に病院の窓から飛び降りた。
……ここまでするか。
自殺だと彼らのゲームのカウントには含まれないかもしれない。
転校してきたばかりでまだジャラジと遭っていない生徒がおり、新たな獲物としてカウントされた可能性がある。

その生徒は両親とともに別荘に逃げていました。
絶対に大丈夫だと両親が宣言した瞬間、電話が鳴り出す。
父親がとるとすでに切れている。
ホラー映画か……?
窓の外に佇む青年の姿を目撃し、銃を構えて窓に近寄ると影が視界を横切る。
忽然と姿を消しては現れ、窓から窓へ移動する。余裕たっぷりに爪を噛み、指を鳴らしながら。
獲物と家族の怯え惑う姿をじっくりじっくり眺めて楽しんでいます。
BGMが恐怖を煽る。

ジャラジはとうとうまともに姿を見せ、ゆっくりと歩み寄る。
必死で子を逃がそうとする母が問いかける。
「あなたは誰なの!? どうして、どうしてこんなことを!」
「君達が苦しむほど……楽しいから」
痺れた。
明瞭にして簡潔。
これでこそ悪役。
恐怖が限界を超えそうな親子の前で姿を変え、少年に攻撃を加えようとした瞬間――クウガがバイクの前輪で思いっきりビンタした!
数回タイヤで殴り、少年の前から離すことに成功しました。
ホッとしたけど脅威はまだ去っていない。

EPISODE35 愛憎

ジャラジとの戦闘に突入したクウガは素早い動きに翻弄される。
ここで倒しておきたい相手だが、動きを捉えきれず、全身に針を刺され倒れてしまう。
「今はゲゲルの時間だ。邪魔したら……殺すよ」
実際に大勢の人間の命を奪ってきたから説得力がある。
警察に保護される少年を見ながら五代は
「俺……次は絶対倒します」
と、覚悟をにじませる。

未確認惨殺事件が発生し、桜子さんは意外な事実を知る。
三十四体もの未確認を殺したのは第零号らしい。
もうやだこいつら。仲間意識の欠片もない。
弱い奴はいらないから整理するというだけで同族を大勢粛清しますから。

最後の獲物の少年は怯え、涙を流す。痛々しい姿に一条さんは立ちつくし、五代も黙って見つめている。
「なんで俺達殺されなきゃなんないんですか!」
悲痛な叫びに答える五代の表情は、いつもと違っていました。
「理由なんて無いよ。だから……殺させない」
少年は五代達を信じ、落ち着きを取り戻して眠りに落ちる。
この時、少年は五代についてどう思ったのでしょうか。一条さん達は格好から警察だとわかりますが、五代は一見無関係の人間に見えます。四号ということまで気づいたのでしょうか?

喧嘩した園児に言葉で意思を伝えるように諭し、みのりに対しても大丈夫と告げる五代。
「大丈夫、わかりあえるよ。だって、人間同士なんだから」
人間だからわかりあえるという言葉の裏に、グロンギとは決してわかりあえない事実が浮かび上がってきます。種族云々ではなく価値観が全然違うからと言うべきかもしれません。
ジャラジの犠牲者が九十名に達したと報道され、命を奪われた生徒達の顔と名が映し出される。映像を見つめる五代の様子がやはり今までと違う。
精神的に追いつめられているように思える。一人の状態だからそう見えるのかもしれません。

彼は一条さんとの会話でぽつりぽつりとやりきれない想いを吐露する。
「俺……悔しいです。どうして何もできなかったんだろうって」
「あまり自分を責めるな」
無力感に苛まれ、自分を責めているのは一条さんも同じだと思います。五代が「戦う力を持つクウガでありながら……」と悔しがっているならば、一条さんは「市民を守る我々が何もできず……」と悔しがるでしょう。一条さんは自分を責めていても態度には出しませんが、その分激しいと思います。
「奴らは我々と同じ姿を持ち、今では我々の言葉すら話すようになった。それなのに、奴らは我々の感情を無視して殺戮を続けている。価値観の違いは決定的だ」
知能が高く、その気になれば容易く人間と共に暮らせるでしょうが、彼らは絶対にそうしない。
合間に挟まれる園児達の仲直りの描写が輝いているだけに、対照性が際立つ。

とうとう病院にジャラジが出現し、一条さん達は必死で追いかける。この時点では「クウガにぶっとばされちまえ!」と思っていました。
これ以上犠牲者を増やすまいとする行動をジャラジは嘲笑い、混乱に乗じて病室に入り込んだ。
少年を襲おうとした時、五代が変身しながら飛び込む!
彼は勢いのままジャラジに殴りかかり、窓を突き破って敵とともに落下。

ついに怒りが頂点に達した五代は激しく攻撃する。
馬乗りになり、ひたすら顔面を殴り続ける。敵の血が地面に飛び散り、自分の顔にも返り血がつき、嫌な音が何度も響くが決して手を緩めない。
殴られているジャラジの手がクウガの腕を叩く動きが参ったと言いたげです。
獰猛な叫びを上げながら一方的に攻撃する姿は普段の彼とは全く異なっていました。警察の人々も気圧されている。
この時点で一条さんは五代の様子がおかしいことに気づいたかもしれない。
ここまで憎悪に燃えているのは、今までの戦いで溜まってきたものが一気に爆発したためかもしれません。
何とか体勢を立て直し、立ち上がった相手をまたも殴打し、殴り飛ばし、ビートゴウラムで突っ込む。
クウガの殴る手から園児のつながった手に場面が移り、仲直りの光景へと変わる演出に言葉が出なくなりました。
言葉でわかりあえると主張する五代が、殴る感触を好きになれないと語っていた彼が、感情のままに敵を痛めつけている。
人間とグロンギ、わかりあえた者達と力で排除するしかない相手との対比が効いています。

ジャラジは反撃を試みるが、タイタンフォームに変わったため効かない。儚い抵抗を見せたジャラジをぶん殴り、急停止して吹き飛ばす。
クウガはタイタンソードを手にゆっくりと歩み寄る。
針が一切通じず、怯え後ずさるジャラジの目の前でクウガはライジングタイタンフォームへ。この時のジャラジの恐怖と絶望感は一体どれほどか……。
普段滅多なことでは怒らず、温厚で、忍耐強い主人公が激怒するとこれほどにも恐い。
恐ろしいのは、心は怒り狂っているのに戦い方は的確なところだ。
タイタンの装甲を抜くことはできないと判断して、容赦なく追い詰めていく。
敵に近づく間、彼の脳裏には犠牲となった生徒たちの顔と名、悲しむ者達の姿が浮かび、怒りをかき立てる。
彼は剣で滅多切りにした挙句、叫びながら倒れた敵に剣を突き立て貫く。突き刺すだけでなく刃を下に動かしてる……。
クウガの声は憎悪に駆られるだけでなく泣いているようにも聞こえる。
多くの人間に絶大な恐怖と絶望に満ちた死を与えてきたジャラジが、同じものを与えられて退場した。
この上なく因果応報です。

炎の中で五代は黒い戦士の幻を見る。
何度か出てきた「兵器になる」という椿の台詞が現実味を帯びました。今までは緊張感を出すための台詞で、なんだかんだで無事でいられるだろうと考えていたのですが、楽観視が崩されました。
戦いが終わってもいつもの笑みはなく、サムズアップもせず、黙って立っている。
一条さんもかける言葉が無い。
今までと違って「守る」「倒す」「止める」ではなく、「殺す」「滅ぼす」という意思が伝わってきました。
「皆を守るために戦う」ことと「憎い敵を滅ぼすために力を振るう」ことの境界は曖昧で、容易く変質してしまう。

あれほど外道で残酷で冷酷なジャラジが怯えるのも無理はない行動の数々をまとめてみます。
・馬乗りになって二十発以上殴る、地面にもクウガの顔にもジャラジの血が飛ぶ
・何とか立ち上がりよろめいているところを十発以上殴りぶっ飛ばす
・ビートゴウラムで突っ込む
・反撃をタイタンフォームで弾き、手を払いのけつつ叫び声を上げてぶん殴る
・急停止で遠方に投げ出された相手に、剣を手にしてゆっくりと歩み寄る
・またしても反撃が通じず怯え後ずさるジャラジの前でライジングタイタンフォームに
・闘志を失い恐怖に苛まれている相手を何度も切り裂く
・倒れた敵の腹部に絶叫しながら剣を突き立て、下へ動かす
ここまでするか。
主人公の行動とは思えない。
しかも、一条さんや桜井、杉田らが近くにいたのにライジングマイティで攻撃しようとも考えたことが後の話で明かされます。爆発に巻き込まれ命を落とす可能性が高いのに。
前半はジャラジの恐ろしさが目立っていましたが、後半はそれ以上にクウガ=五代が怖かった。
憎しみに駆られて戦うとはどういうことか、説明や理屈抜きで納得させる力がある。

普通ヒーローの戦いでは見せないような面が描かれ、新フォーム出現の予兆に喜べない結末でした。
主人公が振るうのは正義の拳であり、疑問を持つ余地はないと考えてしまいがちですが、その前提に切り込む展開です。敵と同じになりかねない戦いぶりを見て、改めて、簡単に正義の力なんて言えないと思いました。
暴力による決着に伴う痛みは初期からずっと描かれ、最終決戦で発揮されることになります。
いつもは赤や青などの背景が表示される「続く」が今回は黒で効果音無しなのも雰囲気を作っています。
この話を境に、主人公を見ていて痛々しさを感じるようになりました。
彼の笑顔が激しく削られていくのもこの時期からではないでしょうか。初期から削られていたのがこのあたりから一気に加速すると言うべきか……。
五代の精神状態が心配になりましたが、あの後一条さんが支えになってくれたはず。きっと。
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