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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

クロノス 次世代犯罪情報室

『クロノス 次世代犯罪情報室』

『天命探偵 真田省吾』シリーズのコミカライズです。
一話だけ試しに読んだ時、鳥居の姿が想像と違いすぎて戸惑い、しばらくは続きを読むことに躊躇していました。
それでも鳥居の描写が気になるので読むことにしました。
「一番好きなキャラが一番イメージと違うけど受け入れられるだろうか……」という不安を抱きながらも、読んでいくうちに解消されました。
バイクで突っ込むなど派手なアクションが多いので、漫画映えします。

・イメージ通りか否か
鳥居以外のキャラクターはこんな感じです。
省吾と黒野:原作の表紙で描かれた姿と大体同じなのでイメージ通り。イケメン。
志乃:イメージとはちょっと違うタイプの可愛さだった。ヒロインの貫禄。
公香:イメージに近い美人だけどよく叫ぶのでそういう印象が薄れがち。黒野からメスゴリラ呼ばわりされることに違和感ありまくりの美女。
山縣:想像していたよりかなり気だるげ。やる気なさそうに見える。
奈々:可愛い。ますます幸せになってほしいと思いました。
唐沢:渋い。大体想像通り。
塔子:物憂げ。想像していたより心労が溜まっているように見える。
柴崎:渋い。想像していたより元気そう。
河合:思っていたよりカッコよくて驚いた。
哲明:思っていたよりカッコよくて悪役・ボスキャラらしいデザインです。


それでは、一巻から見ていきます。
鳥居についての語りが多いです。


一巻

・唐沢と黒野
唐沢が渋くてカッコいい。彼も好きなキャラの一人です。
他人を駒のように扱うのは事実ですが、自分の命も同様に扱うので好感が持てる。こういうタイプは駒の中に自分自身も含められるかどうかで評価が変わる。
黒野の方はいかにも腹黒眼鏡という見た目ですね。

・鳥居と省吾
出たよ。
初めて読んだ時は、「鳥居のおっさん!」という台詞があるのに「誰これ?」と思いました。
脳が文字を認識しなかったようです。
他のキャラクターにも言えることですが、腕や足が細いですね。もう少し筋肉が欲しいかもしれない。
公香と山縣も登場しました。
山縣は予想よりくたびれたおっさんです。公香は美人だけど、大声出すからそういう印象が薄れがち。
省吾と公香のやりとりを姉弟喧嘩と評する鳥居は笑ってる。
彼の鎖骨がしっかり見えたのは嬉しい予想外。鎖骨はいくらあってもいいですからね。性別問わず。

鳥居が、自分もできれば銃を使いたくないと語るのが重い。
射撃、特に遠距離からの狙撃の技術が優れているのにそう思うのか……と言いたくなりますが、過去の事件を思えば当然です。
使わずに済むならそれに越したことはない。

・自害
「我々は死を恐れない」の女が可愛くて困惑しました。
登場してすぐ自害するキャラを可愛いと思ってしまって、どうすればいいのか分からない。

・省吾と黒野
黒野は省吾達を古いやり方しか能がないサル集団と馬鹿にする。
ツンツンしてるなあ。
口の悪さがそこまで気にならないのは、後の展開を分かっているからですね。
心を開き、チームを自分の居場所だと感じるようになるからです。この頃は尖っていたなぁ……と見守りたくなる。

・眠り続ける志乃
美しい。
母を喪って足が動かなくなり、父が殺害され、人の死を夢で予知して苦悩する過酷な境遇にも関わらず、命を救おうとする優しさを持っています。
頭を撃たれ目覚めなくなってもその心は変わらない。
過去が重いんですよね。全員そうです。

・塔子
見ていて心配になる。心労を溜め込んでそう。
実際色々背負い込んで苦しんでいますからね。
塔子は省吾のことが好きなんですが、彼の志乃への想いの深さを知っており、報われることは無いと悟っています。
悲しいけれど、多角関係でドロドロゴタゴタグダグダするのは見たくないので安心する気持ちも。

・黒野と公香
ギスギスしてるな!
正確には、黒野が失礼なことを言って公香がキレると言うべきか。
省吾も公香も反応が似ているんですよね。鳥居から姉弟と言われるだけはある。
それにしてもメスゴリラ認定はあまりにも失礼だぞ。

・おまけ
省吾と黒野の仲良し? エピソードです。
表紙裏の方で省吾が家事を担当していることが判明しました。

二巻
鳥居の出番が大幅に増えています。

・印象
柴崎登場。
おー、渋い。
山縣とのやり取りもいぶし銀。
なんかデザインが全体的に、イメージしていたよりカッコいいですね。
全然意識しなかった勝俣も強敵感出ていますし、ただのやられ役としか思ってなかった相手も姿や表情が描かれると印象に残る。撃てと言われた時の反応とか。

・ゲーム
予知夢を活用して暗殺者のターゲットを自分達に移し、返り討ちにすることができました。
しかし二人の勝手な行動に公香は激怒。
この辺りはそれぞれの言い分に一理あると感じますね。
公香が怒るのは当然だし、情報漏洩のリスクを避けたい黒野の姿勢も理解できるし、それが行きすぎないよう注意する山縣の言動も頷ける。
黒野も言い方をちょっと変えればこんなに反発されることもないんだけどなぁ……。
頭いいんだから受け入れやすい言葉選びなんて簡単なはずなんですよね。
わざと刺激しているように見えます。
予知夢が現実になることを防ぐ行動をゲームと呼ぶのもそうです。
言ったら周囲がどんな反応を示すか分かっているだろうに。

・鳥居と黒野
省吾が黒野を殴り飛ばしたところで鳥居が現れる。
黒野の初手:喧嘩を売る
警備員の仕事はよっぽど暇なんですねと煽る。
何で?
黒野の挑発は続く。
握手を求め手を差し出した鳥居にペラペラ喋った挙句「無能さん」と呼ぶ。
だから何で?

あまりにも予想外の行動に怒る通り越して驚き混乱した。
・出会ったばかり
・感情的に怒鳴る・アホなところを見せるなどの明確な追及ポイントはない
・そもそも鳥居の立場は助っ人で、呼ばれるのはある程度方針が決まった後→予知を防げなかった責任を追及するならその前の段階では?
そんな相手を侮辱する理由が謎。
言葉の内容にも「ん? んん?」となります。
「SAT時代には優秀なスナイパーとして活躍していたみたいですけど」という黒野の言葉は事実なのか嫌味なのか。
立てこもり事件の前に鳥居が駆り出されるような事態が発生したんだろうか。
「予知防止に何も貢献できていない無能さん」にはひたすら困惑します。
無能にさん付けするところがムカつき度を上げてますね。
別の話で出てきた野村の侮辱を連想します。鳥居のことを「狙撃しか能のないボンクラ」と言うんですよね。
原作に合流するなら、ここで鳥居を無能呼ばわりした黒野が後に否定する側に回るのが熱い。
話を戻すと、黒野の言ってることには賛同できない。
鳥居がいなけりゃ省吾は死んでる。
助っ人として登場した三作目や四作目で貢献してくれましたよ。次世代犯罪情報室になる前だから除外しているんでしょうか。

無礼な言い草に怒るでもなく無視するでもなく真摯に答える鳥居は大人だ。
黒野の言葉を認め、私は役立たずかもしれないと語る。
そんなこと言うなよ……。
それでも省吾達が必要としてくれるなら――
「私は彼らへの協力を惜しまないよ」
カッコいい。
黒野はせいぜい足を引っ張らないで下さいよと捨て台詞を吐いて去っていった。最初から最後まで喧嘩売りっぱなし。

・続・鳥居と黒野
鳥居は物思いに耽っている様子の黒野に話しかける。
さっきあんな失礼な態度を取られたのに腹は立たないのか?
……冷静で感情に流されないと原作で何度も書かれていましたね。
鳥居は、誰も信じられず自分の殻にこもっていた過去の自分と黒野を重ねている。
だから黒野を心配して助言するのですが、心を閉ざしている彼は拒絶する。
「僕、偽善者面した説教は大嫌いなんです」
無能の次は偽善者と来たか。
言葉がいちいちキツい。
でもいつものヘラヘラした笑顔ではなく真剣な表情なので、真面目に対応してはいるのかもしれない。
「真田なら君の空虚を埋めてやれると思うんだがな」という鳥居の呟きは大正解です。
ホントこのおっさんは鋭いな。
過去の己と黒野を重ねてそう言うってことは、彼の空虚も省吾のおかげで埋まったのか。

いやー、黒野から鳥居への台詞が強烈です。
『アレス』『アトラス』の感じ方が大幅に変わります。特に野村との会話。
「あんたは、狙撃で鳥居さんに勝てる?」とか、「彼は、トリガーが引ける男だからね」とか。
無能や偽善者と思ったままだったら出ない台詞です。

・黒野と志乃
鳥居は過去の自分と黒野を重ねましたが、黒野が自分と重ねているのは志乃です。
自分も眠り続ける彼女も時間の止まった存在として見ています。
黒野は省吾に彼女を死なせることを提案し、彼女に生きていてほしいと願うのは省吾のエゴだと指摘する。
提案は残酷ですし、「大切な相手に生きていてほしいって自然な感情をエゴと言われても……相手が苦しみ抜いて心から死を望んでいるのに無理矢理生かしてるとかならまだしも」と思いますが、黒野なりに彼女の苦しみを想っての発言ではある。
自分が苦しんでいるから彼女も終わりを求めていると考えてしまう。
黒野の言葉に省吾は衝撃を受け、自分の行動が志乃を苦しめているのではないかと苦悩する。
大丈夫だ、全然そんなことないから。
むしろ省吾の存在に救われてるから。

・親子とお出かけ
悩む省吾を鳥居が連れ出しました。話をしようと誘い、一時間後に集合。
省吾は従ったものの、理由が分からない。
「デートじゃあるまいし」
「正解」
誰とだよ。
娘の奈々も連れてきてるけど、まさか彼女と?
冗談とはいえそういうこと言うキャラだったのか。
省吾の方が「奈々ちゃんとデートだ」とかふざけて、鳥居はバカ言うなと呆れるタイプだと思ってた。鳥居が言い出すとは。

えー、気を取り直して。
奈々の姿が判明しました。
可愛い!
娘を見守る鳥居の表情も穏やかです。
こういう光景を見たかった。『スナイパーズ・アイ』で省吾達が頑張ったかいがある。
省吾の気分転換のために、鳥居は奈々を連れてきて一緒に遊ぶことにした。
うわー! 嬉しい!
「奈々と省吾が遊ぶのを見たい」「ゲーセンでガンシューティングに挑戦する鳥居を見たい」とぼんやり思っていたものの、叶うわけがないと最初から諦めていた望みが、今ここに。
甘い物を食べたりUFOキャッチャーやエアホッケーをやったり……なんか眩しい。
鳥居は保護者ポジションですが、漫画版だと省吾とそこまで年が離れていない友人に見えますね。

奈々が景品のぬいぐるみを欲しがったため、省吾がガンシューティングゲームに挑戦。
駄目でした。
射撃は苦手だもんな。
今度は鳥居がやってみます。
ゲームは初めてとのこと。
「銃を模したものなら私でもできるかと思って」って控えめな言い方ですね。
自信があるのかないのか分からない態度ですが、構える瞬間目つきが変わった。
予想外の場面でカッコよさ発揮してる。

しばらくして、フードコートでぬいぐるみに囲まれて眠る奈々の姿が!
「思っていたより簡単だったな」
えぇ……?
初プレイでランキング一位を取ったらしい。
こいつ……。
自重してください。

・迷い
ゲームという単語から、省吾は黒野の話……予知を防ぐゲームという台詞を思い出す。
組むことになった黒野は命を軽視するような発言ばかりで訳が分からない。
予知を防いでも志乃が目覚めることは無かった。
彼女に生きていてほしいと願うのは自分のエゴ。
そういったことを考えてどうすればいいか分からなくなっている省吾に、鳥居が言葉をかける。
「だからなんだ?」
厳しい言葉、険しい表情、どちらも珍しい。
「お前はたった一回駄目だっただけで諦めてしまうのか?」
そうだよ、全てを諦めていた鳥居に希望を与えたのは省吾と志乃だったじゃないか!

・私のせい
鳥居の過去『スナイパーズ・アイ』の内容が語られます。
目を見開き冷や汗を流す鳥居が……こんな表情もするのか。
奈津さんの姿も少し描かれました。抱きしめられている奈々の表情が痛々しくて見ていられない。
大人しく話を聞くべき場面ですが、鳥居の言うことにいちいち反論したくなる。
「救えたはずの人々を見殺しにしてしまった」
「私のせいでこの子はたくさん傷ついた」
そうやって何でもかんでも自分の責任にするのはやめてください。
多くの命を奪ったのは犯人ですし、奈々が深く傷ついたのも犯人の行動によるものです。
見殺しにしたと言ってしまったら、発砲許可を出さなかった人や引き金を引けなかった他の狙撃手も同じじゃないですか?

SATを辞めた理由や、娘にどう接してきたかは原作であまり語られなかった部分ですね。
辞めた理由の方は、原作ではチラッと辞めざるを得なかった的な書かれ方がされて、それ以上考えていませんでした。周囲からの圧力で片づけてました。
娘のそばにいるためと言われると納得。色々合わさっての決断だったと思っています。
そして、娘との接し方は……。
彼女から母親を奪った罪悪感で向き合えなくなった。
自分を責めすぎだ!
彼女から母親を奪ったのは犯人であって、鳥居ではないのに。
何でも自分の責任にするのは考え物ですね。背負いすぎて潰れてる。

気になったのは「差し伸べられる手を拒み」のところです。
鳥居を救おうとする人もいたのか?
詳しく聞きたい。
「流されるまま犯罪まがいのことに手を貸した」の部分も引っかかりました。
流されるなんて生易しいものじゃなかっただろ、あれは。
従わなければ即座に自分も娘も殺される、他に道がない状況だったぞ。
原作とは状況が違っているんでしょうか?
原作だと人質や爆弾、無線連絡などのせいで逆らえなかった印象を受けますが、漫画版だと罪悪感などメンタルの問題が大きかったように思える。
原作→物理的な制限について描写
漫画→精神的な制限について描写
こんな感じで、二つを合わせればちょうどいいかも。

・生きる意味
首輪+黒いロングコート+スナイパーライフル装備の鳥居を見られるとは思いませんでした。中二心をくすぐりまくり。
自分の命を捨てようとした鳥居に生きる意味を思い出させたのは志乃と省吾だった。
あれ? 省吾の台詞は確かにあったけど言うタイミングが違うし、志乃の台詞は見覚えがない……こんなこと言ったっけ?
事件の流れが原作と違うのでしょうか。
とにかく、省吾達のおかげで親子の止まった時間が動き出した。
「私の知ってる真田省吾はどんなことがあっても諦めない男だ」
すごく認めてる。

ここから鳥居が省吾の背を押す言葉をかけていく。
黒野のひねくれた言動の背景も解説してくれる。
言われてますよ、黒野さん。
黒野の過去を知ると「甘え方を知らない子供」という表現が適切で驚く。
あの無礼な発言の数々も一種の甘えだったのか? 相手を試しているというか、反応を探っている部分はあるかもしれない。
原作を読んだ時は「黒野と鳥居は省吾達と出会って救われた者同士だな」までは考えたけど、他人を信じられず心を閉ざしていたところまで同じだとは気づきませんでした。
確かに……!
心を閉ざすのは同じでも、自分を責める方向に行ったのが鳥居、笑顔の仮面を被ってひねくれたことを言うのが黒野ですね。
冷静な鳥居が熱いことを言うといっそう燃えます。
鳥居の励ましによって省吾は前を向くことができました。

・おまけ
大人げない鳥居二連発。
冷静で感情に流されない男のはずだろ、あんたは。
一つ目はいい笑顔。
奈々が将来恋人を連れてきたらどうなるんだろう。
二つ目は真顔。
省吾は何故結果の見えている勝負に挑んでしまったのか。

三巻

・潜入捜査
変装した公香が美女。
黒野が何か言うだろうなと思ったらやっぱり言った。馬子にも衣装と。だから何でいちいち喧嘩を売るんだ。
平常運転の黒野だったが、ある男を見かけた途端怯え出す。
哲明イケメンだな。
ある程度風格がほしいボスキャラポジションなので、カッコいいのは歓迎です。
様子がおかしい黒野、殺されるターゲット、撃たれる省吾と状況が一気に悪くなっていく。省吾が軽傷で済んだのが奇跡だよ。
さらに黒野は哲明に連れ去られてしまう。
両手を吊り下げられて殴られたり電撃を浴びせられたり……拷問じゃないですか。

・黒野の過去
キツい描写が多いのであまり語りたくない。
母親から全く愛されず、学校でいじめられる……のが軽いジャブ。これで?
境遇は一気に過酷になり、黒野は心身ともにひどく痛めつけられる。爪を剥がされるところで「うぎゃあ!」となった。拷問じゃないですか!
心が壊れた瞬間の笑顔がキツい……。
いつもヘラヘラ笑っているのも、笑顔の仮面で心を押し込めるためでした。
重い過去が多いメインキャラの中でも黒野は特に陰惨な印象を受けます。

・救出作戦
死を覚悟した黒野だが、山縣達が黒野を救うため動き出した。
助けに来た山縣の盾になろうとするあたり、黒野は何だかんだで善性を捨てきれてないよな。彼の過去を考えると驚異的で、称賛に値します。
真田がバイクで突っ込み、公香と鳥居は敵のスナイパーを押さえる。
……が、相手が隠し持っていた拳銃で鳥居は腹を撃たれてしまった!
この女を押さえた時に手足を撃ち抜いておくべきだったのでは。
公香対敵の女という女同士の戦いが始まる。
ヒールで足の甲を思いっきり踏んづけたり、髪留めを顔面に突き刺したり。
どっちも公香の攻撃です。二個目は特にえげつねえ。
相手が銃やナイフで襲ってくるから手加減する余裕はないんですよね。

公香のピンチを救ったのは鳥居だった。
ライフルのストックで女を殴り倒しました。
腹を撃たれてるのに無茶をする……。
苦しんでいる表情がいいですね。
好きなキャラがぶちのめされても立ち上がり戦う展開が大好きなので、もう少しじっくり見たかった。
山縣も負傷しましたが、黒野の救出に成功しました。

四巻

・病室にて
省吾に熱く語りかけられ、己の中の羨望と苛立ちに気づいた黒野に好感が上がった。
こういう、羨望を抱いてそれに向き合うキャラは味わい深いですね……。
僕にはできなかったとか逃げ込んだとか言うけど、あの境遇なら仕方ないだろと言いたくなる。
あんな拷問じみた日々を送って明るくまっすぐに生きられるわけないって。善良さを捨てずにいただけでもすごいし立派です。
黒野が笑顔の仮面ではなく自然な笑みを浮かべることができました。
腹を撃たれた鳥居の描写におっと思った。病室で公香と奈々が見守ってる。
娘が心配するだろ! 速く全快しろ!

・唐沢の真意
黒野をチームに配属した理由は、彼の望むもの……居場所を与えてやれると思ったから。
ずるいなあ。
他人だけでなく自分自身をも駒とみなせるキャラが情を見せるのはずるい。好きになってしまう。
能力だけでなく心も見ていると感じられていいなあ。

・行動開始
敵の目的が判明し、防ぐために動くことになりました。
バイクショップオーナーの河合もイケメンだ。
公香への好意が分かりやすくて微笑ましい。結ばれる可能性はありませんが。
そんな河合がせっかく用意してくれたバイクを省吾はまたぶっ壊す。
無茶しないと突破できないから仕方ないけどさあ……。

・過去の鎖
人質を救出した黒野は哲明を追う。
自分の人生を奪った男を殺し、過去の鎖を断ち切るために。
黒野が次世代犯罪情報室を……省吾達のいるところを自分の居場所だと感じてくれたのが嬉しい。
鳥居や塔子も含まれています。
塔子には厳しく接していますが。スパイみたいな立場で板挟みになっている彼女を見て同族嫌悪を感じているのかもしれない。

黒野は哲明を発見し、片手片足を撃ち抜く。容赦ないけどそれくらいしないと安心できないよね。
作中で語られる通り、黒野に心を捨てるよう『教育』を施した哲明が、感情に衝き動かされて行動しているのが皮肉です。
とどめを刺そうとした黒野を省吾が止める。
相変わらず熱血馬鹿な台詞を吐く彼に黒野は心からの笑みを浮かべる。
「本当に君は馬鹿だなぁ」
この時の笑顔が最高です。
黒野は省吾をバカバカ言うけど、そこを認めてもいますよね。
鳥居同様、省吾のバカさに救われた男です。
鳥居や黒野から省吾へのバカという言葉は誉め言葉ですよ。
哲明を倒して決着。最悪の事態を避けることができました。

・見舞い
入院している鳥居のもとに省吾と黒野がやってきました。
黒野が気まずそう。
無能だの偽善者だの罵った相手が、捕まった自分を救うために戦って、大怪我したのに責める様子は全くないんですから。
頭に手を置かれて、微笑まれて、どんな気持ちか訊きたい。
……満更でもなさそう。親からもされたことないでしょうから。
省吾と奈々にも頭を撫でられるのを見て笑った。
黒野は奈々にどんな接し方するのかな。
少女に暴言吐くほど人間性が終わってはいないので、穏便に対応すると思いたい。

・結末
最後に塔子の隠し事に触れることで、明るいだけでは終わらない読後感になっています。
志乃が目覚めない状況は変わっていない。
それでも省吾は諦めずに進んでいく。黒野と一緒に。
二人は強い絆で結ばれた相棒となりました。

・おまけ
山縣とフレンチを食べに行くからとお洒落した公香への対応が……。
鳥居:相手がいつもと違うことに気づくし、褒める。
山縣:自分はいつもと同じよれよれの格好で、相手の変化にも気付かない。
……鳥居は関係なく山縣がまずいのでは?

とても楽しめました。
他の話も漫画化してほしいと思いました。特に『スナイパーズ・アイ』や『アトラス』。
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