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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

2019/11/10

『キン肉マン』298話
今回色々スッキリしました。
「仲間のためにパワーアップと書くと主人公みたいだけどおかしくない?」「アタルは力を奪われて倒されるために出てきたのかよ……」「実績や実力が上の超人もいる中でブロッケンを選んだ理由を見せてくれ!」とやきもきしていたのが一気に解消された。
アリステラが「もう一人のスグル・主人公」であるかのような語られ方に違和感を覚えていたので、違いが示されて「そうだよなぁ」と思いました。
・ブロッケンJr.がアリステラに共感、この戦いに選ばれた理由を描く
・ブロッケンJr.がカットに入りつつ過度に進行を妨げない
・自分はスグルと似ていると主張するアリステラに対し、アタルが違いに触れる
・業火の! 再点火が! カッコいい!
満足。
アタルが何をしようとしているのか、ブロッケンが何故選ばれたのかが分かって熱かった。

技をくらっても立ち上がり猛攻を耐えるアタルと、余裕を失っていくアリステラ。
念願のパワーアップが叶って相手に大技を叩き込んだ直後とは思えない。
アタルが逃げ出したことを責めるのは、「自分は苦しんでいるのに!」と訴えているように見えます。
アタルに無責任だと言ったところで今更です。自覚しているから「その通りだ」で終わる。
それなのにわざわざ責任だの余裕だの言い出すのは、自分が重圧に潰されそうになっていることの裏返しじゃないですか。
使命や責任から逃げないのは立派だけどそれで侵略を正当化されても困るし、周囲を巻き込んで破滅に突き進むなら主人公やヒーローと持て囃す気にはなれない。
……あの、クソ力込みの技が直撃したのに普通に戦闘続行するアタル兄さんって一体……。

アリステラの姿を見て涙するブロッケン。
「そうだ、アリステラは……かつてのオレ自身だ!」
そうか。このためにブロッケンが選ばれたのか。
復讐に囚われていた頃も、仇と共闘して困っている人々を助けることができたので、そこはアリステラと違いますが。

ラーメンマンの「オヤジのことは忘れろ。そうすればお前は強くなる」という台詞はよく考えるとかなりきわどいな。
「過去に囚われるな、復讐なんて忘れろ」を仇本人が復讐者に言うのは、一歩間違えるとただの身勝手な台詞に聞こえてしまう。
ラーメンマンの場合は、
・ブロッケンJr.の父を惨殺したことを心から悔いている
・ブロッケンの攻撃を抵抗せずにくらってボロボロに
・あえて攻撃を受けたものの、未熟であることを知ったため返り討ちにしての発言
・その後もブロッケンを助けたり導こうとしたりする
と、ブロッケンの将来を考えての行動だから受け入れられます。

「過去に縛られているオメガ側と解放されたブロッケンJr.」で対比になるという指摘を試合前に見ました。
この要素を使うとしたらいつだろうと思っていました。
よりによって仲間への想いでパワーアップした直後に持ってくるか!
アリステラの主人公補正を引っぺがした感じだ。
「オメガ側のキン肉マン」を「迷走する哀れな青年」に修正。
同時にアタルを導く側へと持っていく。
アタルの強者ゆえのボス属性を指導者属性へと変換し、不利な流れを一話で塗り替えた。

アリステラの内面を見抜いてブロッケンを起用したアタルもすごいけど、一瞬で意図を理解するブロッケンもすごい。
アタルだけだと淡々と戦っているように見えるけど、ブロッケンを添えることであら不思議、超速でなんかいい方向に解釈して読者に分かりやすく説明してくれる!
攻撃に耐えつつチラッと視線向けただけで「そうか隊長はアリステラが過去に囚われていた頃のオレと同じだと見抜いてオレを選んだのか、隊長は道標になろうとしているからオレの役目は邪魔が入らないようにすることだ!」まで辿り着ける奴なんてブロッケンしかいない。
一番の理解者扱いされるのも納得。
アリステラの目的に反しても加勢するマリキータと、アタルのやりたいようにやらせるブロッケンで対比になっているかもしれません。

アタルが無責任と糾弾されてからアリステラはスグルとは違うと語るまでの流れが巧みという指摘を見て、なるほどと思いました。
逃げ出したのは事実であり、すでに認めている以上、否定しても評価が落ちる。
ブロッケンが反射的に「隊長は無責任じゃない!」と反論しなかったのもよし。闇雲に擁護しても逆効果です。
ブロッケンのモノローグがかなり効果的に働いている。
すぐにスグルとは違うという話題に移っては、アタルが話を逸らしているように捉えられかねない。
一度ブロッケンに視点が移ると流れが変わるし、内容もそれを後押ししている。
囚われているという負の面を取り上げることでアタルへのパスを出した。

しかしアリステラは哀しいな。
使命のために邁進していると思い込み、強大な力を得て、もはや敵はなくなったと思ったら、敵の「小僧」からも哀れみの眼で見られるんだぞ。
迷走していた頃の自分と同じという理由で。
オメガ側がブロッケンを格下の未熟者扱いすればするほど、カウンターも重くなるんですよね。
散々未熟者扱いした相手から涙流しながら「昔のオレだ……」と認定されるのはむごい。
アリステラは一度止まって頭冷やした方がいいと思う。
このまま進もうとしても方向間違ってるのでどうにもならないよ……。

アリステラを過去の己と重ねて涙を流すブロッケンを見て様々な感情がこみ上げました。
「そこで泣くの!?」という驚き、「思考や行動が予測不能で面白え!」という笑い、「相手の心境を考えるようになったのか……」という感慨、「頑張れ、キツいかもしれないけどマリキータを食い止めるんだ!」と応援する気持ち。
今までブロッケンは自分が生き延びるのに精一杯で、敵への理解や共感までは到達できていない印象があったんですよね。
そんな彼が相手を想うことができるようになったのが嬉しいです。
ドライに考えれば命がけの闘いの最中に敵の今後まで気にしてられないんですが、スグルだけでなくテリー達もやってるので、正義超人の主力として戦っていくなら必要な姿勢です。

今回の内容を踏まえて試合前を振り返ると、ラーメンマンの頷きが重くなります。
ラーメンマンが穏やかな笑みとともに頷いたことで、ブロッケンは勇気づけられたんですよね。
憎い敵だった男と師弟のような関係を築き、ブロッケンは強くなることが出来た。
ここまでの話がつながったと感じます。
 
『完璧超人始祖編』55話・56話
凄まじい握力でバッファローマンの皮膚を毟っていくグリムリパー。
ひぃ、さりげなくグロい。
彼はバッファローの力を引き出すため、怒りや恐怖を抱かせようとする。
死んだ仲間をネタにして怒りを煽るとは、ヒールのマイクパフォーマンスが上手いなあ。
うーん憎らしい。
回想でアトランティスが描かれるたびに胸がドキドキしてしまう。この気持ちは何なんだ。
命を落とした仲間を想い、バッファローが吼える!

パワーアップしたバッファローに張り手をくらい、グリムが顔をゆがめる。
うお、痛そう。
グリムのサンダーサーベルカッコいい。
マグネットパワーの時に出てきた技だっけ。
四肢を貫き磔に……好きな構図です。
力を測定・吸収しようとしたグリムだが、吸い取り切れずにアースユニットが壊れ、バッファローの反撃をくらう。
グリムが焦りを見せた。
意外と崩れるの早かったな。
「死んだ仲間を嘲り挑発→力を吸収しようとする→失敗して反撃くらう」と、お手本のようなやられ方だ。
追い詰められた時に踏みとどまるか否かで評価が分かれるので、悪役として意地を見せてほしいところです。

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