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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

柔道部物語 7巻

柔道部物語 7巻


・決勝トーナメント
関根もいいキャラしてますね。
三五の彼女、ひろみに惹かれますが、恋愛関係がもつれたりしない。
自分も強くなってひろみみたいな彼女を作ると決意。さっぱりしていて前向きです。
岬商の一回戦の相手は浦安。
樋口に大怪我させた西野がいます。
また岡が情報を仕入れてる。
戦力にはならなくても彼なりにチームの力になろうとしているんだろうな。

西野の生い立ちは、
・母子家庭
・小学生の頃は病弱で気弱ないじめられっ子
・登校拒否になる
・中学一年の時に自殺未遂
・母親が立ち直らせようとして中学二年の時柔道部に入部させる
・今年千葉県大会で個人・団体優勝、会場にいた母親が涙を流して喜ぶ
主人公みたいな美談です。
観客席にいる岬商の面々も
「なんだよいい話じゃねえかよ……」
「いじめられっ子から努力して県下一強い男になるなんて……もっと憎たらしい奴かと思ってたけどなぁ」
という反応。
まあそう言いたくなりますよね。
ただし、横には再起不能にされた樋口がいます。
「そんなことはどうでもいい!」
「生い立ちなんてどうでもいいくらい……奴は強い!」
「信じたくないくらい強いんだ……」
樋口がこんな怒鳴り方するなんて珍しい。
よくそんな相手に勝てたな。

西野は次鋒、小柴と当たります。
開会式で西野を見かけた三五の感想は以下の通り。
頭はツルツルで迫力あったけど、メガネかけてて、目もちっこくて、背も低かったし、たいして強そうに見えなかった……?
乾いた笑いが出る。
先鋒が戦う中、浦安の教師――鈴木が西野に話しかける。
「おい西野……」
「はい!」
……?
……!?
この頃はまだ従順だったのか。
「春の合宿に来てた樋口を覚えてるだろ」
「樋口!」
この反応。
自分に勝った相手だから相応に意識している様子。
「あの天才樋口、練習試合でお前が初めて負けた相手だ」
樋口が天才と言われている。
三五の成長速度や西野の化物ぶりで目立ちにくいですが、やはり樋口も天才か。
どんな試合だったかはこの台詞の背景の一コマしか描かれていないんですよね。
綺麗に入った樋口の技を西野が力で強引に返そうとして、それでも樋口が投げて、莫大な負担がかかったとかでしょうか?
樋口に勝った男と聞いて、西野はどれくらい三五に注目したかな。

・西野の態度
凶悪さを見せない時期から泉谷が関わらない方がいいと忠告した背景について考えてみました。
こんな状況ではないかと妄想。
高1:熱心に練習。努力を鈴木先生が褒めまくる。
高2春:まだ実績が不足しているので大人しくしている……が、たまに内面の暴力性が覗く。相手に怪我をさせてもかまわない戦い方からきな臭さを感じる者も。
高2夏:怪物ぶりを発揮し、調子に乗り出す
事件後:処分されなかったことで完全に増長
高3:絶賛暴走中
「樋口を怪我させたのはろくでもない奴みたいだ」→「強さはとんでもないけどそこまでは……」→「最悪だなコイツ!」と、印象を変化させます。

・かつての樋口対西野
この大会で見せた西野の強さを考えると、「未熟な三五に負けた樋口が西野に勝つのは無理じゃないか?」という疑問が出るでしょう。
初めて三五に負けた時は、「高1で日本一になって気が緩んでいた+さらに相手は一年の白帯で油断=二重の慢心」があった樋口に対し、三五はどんなに可能性が低くても勝つ気でいた。
三五の背負いのキレは初期から優れてますし、思いっきり油断しているところに強力な一撃が刺さったならポイントを取れてもおかしくないと思います。
そこで樋口が冷静に対処すればあっさり逆転したでしょうけど、重量級の強敵にも取られなかった技有りを一年の白帯相手に取られたことで完全に動揺。
焦りで技のタイミングが狂う&三五が逃げに徹している&三五のしぶとさなどの要素が重なり仕留めきれなかった。
三五にまさかの敗北を喫したことで、慢心がなくなりました。
肉体や技を鍛え直すのは勿論のこと、反省点……冷静さを欠いていたことにも気づいたでしょう。
課題をそのままにしておくわけがないので、精神面の隙はある程度解消されたとみていい。
さらに、飛崎兄と三五の戦いを観て闘志に火が点いた。
当然練習も質・量が加速する。
才能ある者が大きな目標を胸に努力すれば、めきめき強くなることは主人公達が証明しています。

まとめると、精神面の課題を解消して鍛え直したら、西野に勝つことも可能だと思います。

・小柴対西野
あっという間に決着がつきました。
西野が小柴をどうやって倒したかと言うと……。
持ち上げて、放り投げる。
以上。
技ですらない。
18秒で終わった小柴は衝撃を隠せない。
相手を崩した瞬間にしか技は決まらないと思っていた。
「あんなことされたんじゃ……今まで俺たちが練習してきたのはなんなんだよ!」
柔道とは、柔道とは何だ。
西野の方は勝利を祝福するチームメイトと肘をぶつけ合っている。
まるで仲間みたいだ。
猫被ってる。

内田は敗北し、相手より強い平尾はかけ逃げをされて引き分けに。
勝つには鷲尾が一本勝ちして代表戦に持ち込まないといけない。
西野の真似して相手を持ち上げて投げようとした鷲尾は失敗。
何やってんだ。
大事な局面で無茶をする男、それが鷲尾。
しかし何だかんだで決めてくれる男でもある。
相手選手――銚子を絞め落として一本。
目を覚ました銚子をチームメイトが心配しますが、西野は描かれていません。
心配してなさそうだもんな。
勝利を祝福されたら一応応えるけど、内心他のメンバーのことはどうでもいいと思っているんじゃないか。
「おととし死んだおじいちゃんに……会ってきた……」と語る銚子に浦安メンバーが固まってる。
よく無事だったな。

・代表戦
代表戦に浦安側が選んだのは、もちろん西野。
岬商は三五ではなく鷲尾を選ぶ。
いくら怪力でも99キロの鷲尾には通用しないとの判断ですが……あの、西野に体重の差なんて飾りなんですよ。
といっても、今回で最後の鷲尾が出るのは納得。
「まかせとけえ! 西野はもといじめられっ子だったかもしれねえが、なにをかくそう俺はもといじめっ子だったんだ」
ですよねー。
ガキ大将がそのまま大きくなったようなキャラですから、意外でも何でもない。
いじめられた過去を持つ敵に「俺はもといじめっ子だったんだ(だから元いじめられっ子には負けん)」で向かっていく味方側のキャラクターは初めて見たかもしれない。

エース同士の対決。
鷲尾は186cm、99キロ。体格では遥かに上回る。
しかし待っていたのは絶望だった。
西野は大外を仕掛け、こらえたはずの鷲尾をひっくり返す。
はらばいになってる自分より大柄な相手をひっくり返す……どれくらい力が要るんだろう。
凄まじいのはパワーだけではなく、スピードもです。
肩車で技有りを取ったと思った刹那次の技で有効を取る。
一方的な展開に岬商は打ちのめされる。
鷲尾は少し減量して軽重量級に出れば、県大会くらい楽に優勝できるほどの実力者らしい。
それを子供扱いするって恐ろしいな。

すくい投げを仕掛けた西野が力を込めると、鷲尾のズボンが引き裂かれました。
柔道着のズボンは破れないよう丈夫にできているとのこと。
それを引き裂くって……。
着替える鷲尾に平尾や小柴は戦い方を変えるよう促す。
逃げ回って一本負けを避ける。その間に隙ができるかもしれない。
後の展開を踏まえると甘すぎる考えです。逃げて凌げる相手ではありませんが、この時はそうと分かるはずもないか。
鷲尾は――

「おめえら、すべて俺にまかせたっていったな」
「俺は逃げん!」

答えたのは平尾でした。
「ま、それもいいか……」
今まで鷲尾の無軌道ぶりに振り回されてきた平尾が。
突っ走る連中のブレーキ役になり、堅実な戦い方でチームに貢献してきた男が。
それもいいかと認める。
無茶な行動を注意しつつも信頼していたと分かります。
鷲尾が技を掛けるも通じず、一本を取られて敗北。
昔読んだ時は「西野強すぎ……!」でしたが、今は「西野相手にここまで粘るなんて、鷲尾はよく頑張った」としか言えない。
うつ伏せになったままの鷲尾に平尾が呼びかける。
なかなか起き上がらない鷲尾は、涙を流していた。
ガキ大将みたいな威勢のいい態度だからこそ、涙が際立つ。

この後岬商を破った浦安が優勝するわけでもないのがドライというか何というか……。
五人抜きできる形式なら違ったでしょうけど、西野しか勝てないんじゃどうしようもない。

・インターハイ個人戦
平尾の相手は優勝が確実視されている相手でした。
ひでえ。
そこで善戦するでもなく負けてしまう無情さよ。
実力が違いすぎて悔しくない、笑ってしまうレベル。
大抵は周囲の評価通り負けるからこそ、たまに覆して勝つドラマチックさが光るのですが……平尾には勝ってほしかったな。
それでも県代表になれたわけで、結果がついてきました。
派手な技や華々しい立場はなしにチームを支えてきた男が、それなりに報われたと思います。

三五は予選で、寝技で負けました。
袖釣り込みが得意と騙した相手ですが、そんな手が通じるのはごく一部だと思います。
よりによって袖釣りを挙げるのはやめてほしい、何となく。
樋口の得意技ですから。
三五も「袖釣りなら樋口でさんざんなれてるからこわくないや」と言ってるし。
寝技で一本負けした三五を見て樋口はどう思ったんだろう。
呆れるか、苦い顔か。
「去年のチャンピオン樋口のかわりにここへ来てるのに予選で消えてたまるか!」
本人がどこまで意識しているか分かりませんが、樋口の分まで戦おうとしているんだな。
他の相手に勝ったため三五はギリギリでトーナメント進出。
強くなったのに、実力があるのに、ハラハラさせてくれます。
西野に勝つためにここに来ていると田丸に語る三五。
「ここで帰ったら樋口にあわす顔がねえじゃねえか!」
樋口の存在が大きい。
試合前にひょっとこ口になってる。

・準決勝・千代崎戦
準決勝の相手は耕談館付属、千代崎。
右でも左でも内股ができるとのことですので、飛崎と対決させたい。
敗北の黒いブタについて真面目に語る長谷川に笑ってしまう。
千代崎:トンカツにして食ってやりますよ
三五:来ないよう祈る
不敵な千代崎と真に受ける三五で反応が対照的。

千代崎は樋口の強さを知っている。
「こいつが樋口でなくてラッキーだったぜ。去年樋口を見たときは、もう一生俺の出番はないかと思ったからな……」
全国大会でも上位の強さを誇る千代崎にここまで言わしめるか。
樋口の強さに対して諦めかけたのに、西野には決勝で瞬殺されても勝つ気でいたんですよね。
可能性としては、
・執念と練習量で強くなった西野に対し、樋口には柔道のセンスといった天性の部分で敵わないと感じた
・強さではなく人格から、西野を超えてみせると決意
などが考えられるでしょうか。

試合の結果は、技有りを取られた三五は相手の守りを崩せず時間切れ。
三五は優勝する気でいたものの、簡単に覆せるわけじゃない。平尾の時も思いましたが、順当に負ける試合も多いからこそ、逆転が盛り上がる。
握手を求める千代崎が爽やか。
ブタに対する返しといい、男前です。
裏で涙をにじませる三五にグッときましたが、椅子を蹴飛ばすのはやめてください。

決勝は千代崎対西野。
千代崎の内股をものともせず、持ち上げて裏投げ。
信じられないという顔の千代崎と、勝って当然と言いたげな西野。
三五の前には何枚もの分厚い壁があります。
「よお三五! 3位入賞おめでとう」
お、樋口が声をかけに来てくれた。
「す……すまん。樋口……」
樋口に勝って全国に出たからには、優勝するところを見せたかっただろうな。
「バカタレ! てめえ柔道はじめてまだ一年半ってとこだろうが!」
「日本一になろうなんてずうずうしいってんだよ」
ほんとだよ。
高1で日本一になった樋口は5歳の頃から柔道やってますからね。
高2で日本一になった西野は中2の時に始めた。
それを思えば、高校から初めて2年生で3位にいっただけでも異常なので、胸を張るべきです。

・三年の引退
岬商柔道部の新しい主将を決める投票が行われる。
三五は内田を選ぶ。理由は中学の頃も主将をやっていたから。
内田は三五。実績で判断しました。
この二人は真面目です。真っ当です。
秋山は三五じゃやりにくいから内田。
これもまあ頷ける。
村井はせっかくだから自分の名前を書く。おい。
内田に見抜かれてました。

結果は……三五が三票、内田が二票、村井と八木は自分の一票。
そして――名古屋が十票。
おい!
上級生の鷲尾、小柴、青柳、河がふざけて名古屋に入れてました。
この四票と名古屋自身の一票で5。
後は下級生五人。前日お好み焼きを奢られたから入れざるを得なかった。
選挙違反で失格、三五が主将になりました。
三五の三票は内田、平尾、岡だったみたいですね。
他の上級生が全員ふざけて投票する中、真面目に考えた平尾が常識的すぎて……。
描かれなかったところでも相当苦労してきたんだろうな。
泣けてきた。

主将も決まったところで三年が引退。
鷲尾が警官になる……?
普通の人間を泥棒と間違えて大怪我させた時から、この展開が予定されていたのでしょうか。
時々練習に来るよう頼む三五に「こんな汗くせえ道場なんか二度と来るかってもんだ」「もう一生柔道なんかやらねえよ」と突き放す態度の小柴。
道場を出た後、振り返る小柴の脳裏には柔道部の思い出が……。
涙ぐむ小柴に言葉をかける平尾。彼も気持ちはよく分かるだろう。
鷲尾達がいなくなり、新たな世代へ。
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