忍者ブログ

ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

金色のガッシュ!! 感想

金色のガッシュ!! 感想

魔界の王を決める戦いに、魔物の子と人間が組んで挑む。
直向きな子供達や渋いおっさん、総じて眩しい登場人物が織りなす友情の物語。
熱血王道少年漫画を読みたい方に。

注目したいところ
・魔物の人間の関係
魔物の子とパートナーとなる人間、両者の関係が勝利の鍵となります。
片方が優れていてもそれだけでは勝ち抜けない。
様々な形の絆が生まれ、「魔物が絶対」でも「人間こそ最高」でもなく、バランスが取れています。
人間が魔物を導くこともあれば、魔物が人間を前に向かせることもある。
魔物の力を犯罪に利用する人間もいれば、人間を燃料としか思わず傀儡にする魔物もいる。
互いに影響を与え合う構図が心地よい。
・別れ=死ではなく、別れ=魔界への送還
魔物の子らは本を燃やされると戦いから脱落し、魔界へ強制送還されます。
死ぬわけではないので、退場を盛り上げつつ清々しい気持ちで見送ることができます。
・戦闘
技名を大声で叫ぶのは、呪文を唱える必要があるから。
戦闘の最中いきなり新技が出てきても、「魔本に現れ読めるようになる」からおかしくはない。
漫画のお約束に理由がついているので納得しやすい。
呪文も唱えたくなる響きのものばかり。力強く叫びたい。
・回想
長くできそうな話もサクッと描かれることが多いです。
もう少し見たいと思いますが、これくらいの分量がちょうどいいのかもしれない。

注意点
・ギャグの比率
緊迫した状況でもぶち込まれるのは好みが分かれるかもしれない。
ウン略は許さない。
・回復アイテムの存在
消耗→回復→消耗→回復で少しダレてしまうところも。
ほどよく回復したところでアイテムが尽きるなど、話の都合を強く感じてしまう。

一番好きなキャラは……バリーです。

ここからは幾つかの部門に分けて見ていきます。
ネタバレも含まれます。


・バトル部門
一番好きなバトルは、ブラゴ&シェリーVSゾフィス&ココ。
ブラゴとシェリーの意地と信念、絆を見せつけた一戦。
シェリーの心が折れかけた時、ぶん殴ったブラゴに「容赦ねえな」と思いました。
しかし、決着後もシェリーを苦しめようとするゾフィスに対して……。
シェリーに対して、戦闘のパートナーとして要求する基準が高いのは事実。
それでもくらいつく彼女のことを認め、尊重します。
呪文がカッコいいと思うのもブラゴです。
戦い方が好きなのはバリー。
敵の攻撃を見極め弱点をつく、隙を作ってから大技を叩きこむなど、破壊力に頼らない技巧が光る。
もっと見たいバトルなら、回想のバリーVSエルザドル。
ズタボロにされても戦う姿があるからこそ、強くなった感動が大きくなる。

・敵部門
・ゾフィス
パートナーの闇ココも好きでした。
ガッシュの女キャラで見た目が一番ストライク。
ダイ大のミストマァムしかり、明るく優しい少女が闇に染まると脚線美が輝くのは何故なんでしょう。
ゾフィスは不気味な外見凶悪な能力外道な言動退場の仕方と全てが揃っています。
ブラゴの男気を引き出しつつ、今までの所業に相応しい退場を迎えたので、憎むべき悪役として拍手を送りたい。

・ザルチム
外道寄りの敵で、自分を恐怖させた相手に暗い復讐心を燃やす残忍な性格の持ち主。
……なんですが、リオウには友情を抱いていた様子。
「友達とまでは思っていなかった」と言いつつ、リオウがいなくなって「どうでもよくなった」。
めちゃくちゃ喪失感味わってるじゃないですか……。
悪役同士の友情という私の弱点を的確についてくる。
リオウの方は友情を感じていたのだろうか。
パートナーとの関係も良さそうでしたし、貰いものの力に頼らなかったし、敵ながらなかなか天晴な奴。
倒したアリシエ&リーヤも立派に思える、いい敵役です。
魔界に帰った後はリオウと組んでデカいことをやってほしい。

・ロデュウ
主人公側のキャラを散々ゴミ呼ばわりしてくれたチンピラ。
……のくせに、最後の最後で評価を上げたずるいキャラ。
やらかした報いとして清麿に散々痛い目に遭わされたシーンは笑いましたが、「強敵がギャグキャラに……」と切なく思わなくもなかった。
まさか、たった一話で印象を大きく変えるとは……。
別に改心したわけでも、いい奴になったわけでもないんですよね。
ザルチムにも言えますが、いきなり善人化したら唐突さを感じたかもしれません。
元々ロデュウはチータと息が合っていて関係良好のコンビでしたし、ザルチムはリオウを支えるべく動いていましたから、納得できて心を揺さぶられる。
死を覚悟してゼオンに叛逆したシーンは熱い。
死ぬほどの激痛の中笑うロデュウと、涙を流すチータの対比が効いている。
避けられるはずの攻撃をあえて受けたゼオンの器の大きさも感じられ、双方の評価を上げて退場した。
見事。

ラスボスは無機質で、強大な力を除けば印象が薄いですが、魔物を滅ぼした後自害するつもりだったのは評価したい。
「○○は滅ぼす!」というキャラに「お前も○○だろ」とツッコみたくなるので。
あと、ゴームにケチと言われて反論した時は人間味を感じた。

・「あんまりだ……」と思ったキャラ部門
もう少し何とかならなかったのかと言いたくなったキャラ達。
・ウォンレイ
彼自身はカッコよく描かれています。
世界と愛する人間の命を天秤にかけて後者を取りましたが、別に責める気にはならない。敵に回る理由としては十分、程度に考えていました。
味方に戻っても、本人が誰よりも自分の行いを重く感じて償おうと奮戦するから気にならない。
最大の問題点は対戦相手です。
ギャグ要素多めで名前も酷いので、やるせない気持ちになる。
涙も引っ込む。

・リオウ
高い実力を誇る。計画を考案し実行に移す頭脳も手腕も備えている。心はどうかというと、決して脆いわけではない。リスクを織り込んで行動できる。
主人公達をギリギリまで追いつめた強敵です。
ただ……相手が悪かった。
「メラゾーマではない、メラだ」をやらかす化物に襲撃されたらどうしようもない。
主人公達を苦しめた憎い敵のはずなのに、攻撃がことごとく通じず圧倒的な力で踏みにじられる様を見て同情してしまった。
しかし、ゼオンの強大さをこれでもかと知らしめて退場したのは評価すべきです。
やられ方が中途半端だと、倒した人物の強さやカッコよさ、恐ろしさが伝わらず、微妙な空気になりますから。
魅力的な敵が引き立て役にすらなれずに退場するのは、やりきれない気持ちになります。
そうならなくてよかった。
後でガッシュ達との戦いが描かれた時ゼオンが凄まじく強かったので、「ああいう負け方をしても仕方ない」と思える。
それに、ザルチムという、退場を惜しみ涙まで流す相手がいるのは恵まれています。
「退場しました。終わり」ではなく、残された者の心に影響を与えていますから。

・好きなコンビ部門
激戦区。
たくさんいるので無理矢理絞りました。
個人的に想定外の破壊力を叩き出したのがバリーとグスタフ。
「やっぱりガッシュと清麿だろ、彼らがいなくちゃ始まらない」「ブラゴとシェリーは双方の厳しさと優しさが黄金比」「キャンチョメの著しい成長とフォルゴレの安定感も物語の面白さには欠かせない」と読み進めていたら、予想外の方向から思いっきり殴られました。

・ガッシュ&清麿
王道オブ王道。
未熟だが優しく器の大きいガッシュと、頭が切れて心も熱い清麿の組み合わせは見ていて安心できる。

・ブラゴ&シェリー
何でもツンデレツンデレと呼ぶのは抵抗が……ツンデレだー!
戦闘のパートナーとして厳しく接しつつ、優しさも見せる。
ブラゴがシェリーに対して最後にかけた言葉が……。
ブラゴの足手まといになりたくない、力になりたいと願い、必死に頑張ってきた彼女にとって、あの言葉はどんな財宝よりも価値がある。
彼女の中ではずっと「ブラゴを追いかけている」だったでしょうけど、ブラゴにとってはすでに己を支える存在になっていた。
手を握ったのは彼なりの親愛の情の、精一杯の表現だったのだろうか。

・キャンチョメ&フォルゴレ
フォルゴレは愛すべきバカと見せかけたカバのような男。
Before:「顔濃いな、何だよ『チチをもげ』って」
After:「割れてるアゴまでイケメンに見える」
ギャグ補正によるタフな肉体と、それ以上にタフな精神の持ち主。
キャンチョメは驚きの成長率。
強くなって終わりではなく、力に溺れかけて立ち直るシーンもあったのが印象深い。
終盤は、
「キャンチョメすごくパワーアップした! やったな!」→「……性能凶悪すぎない?」→「やりすぎ、やりすぎ!」→「フォルゴレ本当にカバだな……!」
と印象が二転三転。
友達を傷つけた敵をいたぶっている時のキャンチョメは怖かった。
最近まで弱虫だったからなぁ。
勇気を出して戦うようになってからも、仲間がやられて自分の弱さを痛感する日々。
無力感を味わってきたところに強大な力を手にしたら、暴走してもおかしくないですよね。
友達を助けるために使ったはずなのに、その友達から怯えられ逃げられるほど、力に酔いしれていました。
パワーアップのメリットだけでなく、負の面も描かれたことで引き込まれた。
自分が攻撃をくらってでも彼を止めてみせたフォルゴレは漢。

・ゼオン&デュフォー
ひたすら強い。
ゼオンだけ見ても「メラゾーマではない、メラだ」な術に加え、身体能力も圧倒的。
彼単体でも強いのに、パートナーのデュフォーがこれまた反則の能力持ち。
鬼に金棒どころかICBM。
しかも仲が悪いわけでもなく、しっかり関係を築いている。
……どうやって倒すんだこれ。
こんな感じで、強大な敵として立ちはだかってくれました。
ゼオンの残酷な言動に「どう倒されるかなー、楽しみだなー」と思っていたら清麿の怖い顔でビクッとなった姿で「あれ?」となった。
デュフォーも冷酷ですが、ぼんやりしているというかマイペース。壮絶な過去の持ち主のなのにどこかボケている。シェリーに淡々と頭悪いと言い放った時は笑った。
冷血な二人組だとギスギスしそうなものですが、心を開く前も仲は悪くない様子。憎しみを糧に生きてきた者同士、絆が芽生えたのかもしれない。

・バリー&グスタフ
瞬間最大破壊力の高かった組がこちら。
「再戦はいつだろう、なかなか登場しないな」程度に構えていたら、予想を上回る漢になって戻ってきた。
・己より力が劣る子供に心で圧され、精神面の課題を突きつけられる
・己の小ささを知り、敵の強さを認め、高みを目指すようになる
・罠を体で支えて主人公達を助ける
ダイ大のハドラーか。
力を振りかざすだけのチンピラ感漂う男から誇りある戦士へと成長。
こういうのに弱いんですよ……。

退場の際のグスタフの台詞が、この作品で一番強く印象に残りました。
今まであまり動揺を見せなかった男の手が震え、涙まで……!
ブラゴにも当てはまりますが、普段厳しく接するキャラが率直に称賛すると、インパクトが跳ね上がります。
バリーの方も、今まで見せなかった笑みを浮かべ、涙を……このコンビはひたすら渋い。
バリーがここまで強くなれたのはグスタフの存在も大きいですね。
エルザドルと戦うなんて無茶もいいところです、あの時期のバリーでは。
普通なら勝てそうにないから戦いを避けるか、途中で退くかすると思います。
バリーは全身に傷を負い、心が折れそうになりながらも勝利して、グスタフの見込み通り強くなったという……。
ズタボロにされ、血にまみれ、涙を流し、恐怖と絶望を味わっても戦う姿に感嘆を覚えました。
心の強さに目覚める前も芯があったんですね。弱い者いじめをして威張るだけの男なら、限界を超えて戦えなかったでしょう。
相手を務めたエルザドルも見事。己を倒した敵を称える精神にバリーも大きく影響を受けました。
パートナーのグスタフ、課題を突きつけたガッシュ、強者の矜持を見せたエルザドルのおかげと言えるか。
というか、グスタフは何者なんだ。どんな過去があるんだ……。
バリーとの出会い周辺を外伝で読みたい。

このコンビは「底」を見せないまま退場したイメージがあります。
戦いの規模がインフレしていく途中で退場したのに、強キャラ感を醸し出している。
心の強さと技を活かした戦い方によって、攻撃力が上の相手にもくらいつけそうな気がする。
もっと戦ってほしかったですが、ゼオンやラスボスにボロボロにされて「あのバリーがやられるなんて……!」な展開は見たくないんですよね。
格を保って退場する絶好のタイミングであることは間違いない。
……でもやっぱり、対ラスボスの修行で強くなったバリーも見たかった。

何だかんだでいいコンビが多いですね。
ゾフィスもココを闇に染めなければ違っていたのだろうか。
強固な絆までは築けなくても、魔界に帰ってもブラゴに怯えずに済んだのは確かだ。
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

最新記事

(04/28)
(04/21)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
(03/24)
(03/17)
(03/10)
(03/03)
(02/25)