忍者ブログ

ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

金色のガッシュ!! 感想 7

金色のガッシュ!! 感想 7


今回に限らず、感想の中で取り上げた台詞は「!」など記号の数が違います。
正確なニュアンスを知りたい方は、ぜひ、ご自分の目で直接確かめてください。




12巻 Level.221~Level.241

表紙がバリーです。
他のキャラは笑っているのにバリーとブラゴは怖い顔。
皆に合わせてにっこり笑って……やっぱいいです、そのままでいてください。

・守る王
ウォンレイとリィエンの絆を感じ、ウォンレイを男だと認めるウン略。
こういう光る部分もあるのなら前面に押し出してください。恵へのセクハラに懸ける情熱を、シリアス方向に費やしてほしかった。
敗れて自爆を選ぶのはいいのですが、わざわざ相手をバカにするのがもったいない。
「見事なり……! だが我も使命を果たすため、ただ消えるわけにはいかん!」とか、「貴様らは強い。だからこそ、この命に代えても進ませるわけにはいかぬ!」的な台詞とともに自爆するのなら、いざという時はカッコいい敵として記憶に残った可能性が……うーん……あるかもしれない。少しは。
相手を認める男気を見せる→ただのクズでした、なので上げて落としてる。
せめて逆なら。
最初は見下す→ウォンレイの覚悟を認めるなら「ギャグ要素多かったけど芯は熱い敵だ、そんな強敵から仲間を守ったウォンレイはさすが」となるのに。
本が燃えて消えゆく中でも、リィエン達を守ろうとするウォンレイ。
その姿は「守る王」を目指した男に相応しい。
綺麗な退場ですが、一つだけ言いたい。
何故メッセージが日本語?
そこは魔物の言葉か中国語で、訳をつければよかったでしょう。

・VSザルチム&ラウシン、VSファンゴ&アドラー
ファウードの移動にワクワクしているデュフォーが子供みたいだ。
玩具で遊ぶことなどできない少年時代を送ってきましたからね。
ザルチムはファウードの力を得ておらず、ファウードの力に呑まれたファンゴに馬鹿にされる。
コミックの方だとおまけページで、自分に攻撃を当てたファンゴに盛大にブチ切れてました。
かつて自分を恐怖させたアリシエへの復讐心に燃えるザルチム。
敵の目に圧されて動けなくなるのはバリーも同じですね。
エルザドルに出会っていなければ、バリーもザルチムと同じ道を歩んだのだろうか。
ザルチムが復讐にこだわったのは、リオウがいなくなったのが大きいか。、
半ば自棄になった復讐でも、ファウードの力に頼らなかったのは評価したい。
力に酔いしれるファンゴは人格が変わり、立場上仲間のはずのザルチムの足を引っ張る始末。
玄宗に負けないくらいアリシエも人間やめてるな……。
リーヤの本が燃え、あと少しでアリシエを殺すところまで追いつめたザルチムも消えてゆく。
アリシエがザルチムを哀れんだのが予想外でした。
おそらく、そちらの方がザルチムには痛手になるでしょうね。
絶望する姿を一番望んでいたでしょうけど、憎悪や罵倒でも、哀れまれるよりはマシだろうな。

・どうでもよくなった理由
消えながらラウシンへと歩み寄るザルチムの脳裏には、リオウの姿が。
「リオウよ……お前と一緒に戦ってたら、こんなことにはならなかったのかね?」
ファウードの復活に協力したのも、その力が目当てではなかった。リオウに手を貸してデカいことをやり遂げたかったから。
秘密基地を作る子供を連想した。
リオウがいなくなった途端、ファウードはどうでもよくなった。
「オレは、リオウとは友達までじゃなかったと思ってたのによ」
過去形か。
今は友達だと認めてるんですね。
辛そうに表情をゆがめ、涙を流す姿を見れば、残忍な性格でも友情は本物だったとわかる。
アリシエに対する復讐心をくだらねえと形容するのもいいな。
分かっていても、リオウがいなくなってそれくらいしか残ってなかったんだと思うと哀愁が。
ザルチムの送還にラウシンも涙を流す。
このペアも、悪役同士とはいえしっかり関係を築いています。
ラウシンは人質を取ったりしましたが、調子に乗ってアリシエをいたぶるわけでもなく必要な手だから実行しただけに見えるので、クズな印象は受けにくい。
ただ、ファンゴの扱いが……。
ジェットみたいに、アドラーが異変に言及していれば。
「悪党のままだけど魅力的な一面も見せる退場」と「やられました、の一言で片づく余韻のない退場」の差が激しい。

・チェリッシュ&ニコル、ギャロン&ジェット
バルギルドは拷問に最適の呪文ですね。
激痛を与え続け、痛みで気絶することもできず、体より先に心が壊れる。
明らかに、必要以上に痛めつけてます。
戦闘の中で苛烈な攻撃をくらわせるのは、やり過ぎなければ気にならない。
相手の方も、痛い目に遭うのが嫌なら、本を差し出して戦いから降りればいいわけですから。
戦闘外で痛めつけたり、関係ない相手や戦う意志の無い者を攻撃すると引っかかる。
その点は、一番好きなバリー&グスタフペアにも「ちょっと待てよ」と言いたくなります。
ゼオンは魔界でチェリッシュに謝るべきだと思う。
ロップスにも。
後者については、デュフォーもアポロに言うべきことがあるだろうと思います。
アポロは恨みをぶつけないでしょうけど、だからといって何もしないのも……。
別れの挨拶交わしてる最中に追い打ちかけられて即帰されたら許せないでしょう、ゼオンもデュフォーも。
守るべき者のために激痛をこらえ、不敵に笑うチェリッシュが凛々しい。

・キースの再登場、そして……!
「バリーという強い魔物のライバル」
ライバル認定しているのはキース側だけな気がします。
キースの身長が高くなったのはバリーとの戦いが映えるようにでしょうね。
主人公側のキャラがでかい敵に攻撃されるのはよくても、逆だと盛り上がりづらい。
緊迫しているのかしてないのかよくわからない状況で、助っ人が来てくれました。
ブラゴとシェリーはファウードを転倒させ、突入したのは――バリーとグスタフ!

回転しつつ高速飛行するバリーに密着して突っ込んできたのに平気なグスタフにツッコんだら負けか。
ベルトで自分の体をバリーに括りつけて高速飛行&突撃って、男気溢れすぎな侵入方法でしょう。
敵の方を見つつベルトを外す姿はカッコいいのですが、「何でそんな平然としてるの!?」と叫びたくなる。
ベルトを使った理由は、
1:さすがに素手では振り落とされる
2:できなくはないが、力を込めてしがみつかねばならず、体力の消耗を避けたい
3:やるつもりだったのを他のキャラが止めた
のどれだったんでしょう。
常識的に考えれば1ですが、グスタフだからなあ。
ベルト使用といっても、回転しながら突っ込んで平然としている時点で十分おかしい。

燃える展開ですが、一つ疑問が。
「仲間がいる!」と言いますが、石版の魔物編で共闘したブラゴはともかく、バリーはまだ仲間とは言えないでしょう。
敵対して戦ってそのままですから、せいぜい競い合う好敵手です。
この時点では友達ではない彼があの行動を取るからこそ、衝撃も大きくなるのだと思います。

・再会
バリーはガッシュだけでなく、眠っている清麿にも目を向ける。彼にも気圧されましたからね。
言葉を交わしてほしかったなあ。
バリーの再登場について、私は以下のような展開を予想していました。
「ガッシュ達を倒すのはオレだ!」と再戦にこだわる
→それなりの強さを披露
→ガッシュ達の成長、もしくは敵の強さを見せる役割を果たして送還
と思っていました。
途中までは「ガッシュを倒す!」というノリだったんですよね。
石版の魔物編で、ガッシュと次に会う時は決着をつける時だと勧誘を断っていました。
今は違う。
ナゾナゾ博士曰く、「前に会った時よりも強く、恐ろしく、威圧的」。
しかし、「大人の静けさも感じた」。
信頼できる相手になったんだなあ、バリー。

・こだわり
バリーは、自分を怯ませたガッシュを倒したかった。
そのために強くなろうとして戦いを繰り返した。
「そうやって強くなればなるほど、お前にこだわっていた自分が小せえことに気づいたのよ……」
ここのバリーの姿が震えるほどカッコいい。
服が破れたり傷跡があったり荒々しい姿なのに、指をピンと揃え姿勢・ポーズをきっちり決める、ギャップのある佇まいが原因か?
この時グスタフはいつも通りの険しい表情ですが、何を思ったのか。
バリーの成長を噛みしめていたのでしょうか?
「今、オレがやるべきことはガッシュを倒すことじゃねえ。このファウードを止めることだ」
大人になってる……!
小さな女の子にバカと言われて腹を立てて蹴りを入れて泣かせた男と同一人物なのか!?
いきなり仲良くはしないが、意地を張って遠ざけるわけでもない。適度な距離感があります。
背中が大きく、頼もしく見える。

・戦闘開始
体内魔物のデゴスミアは、強化されたキースのギガノ・ギニスをくらっても平気なほど頑丈。
そんな魔物を素手の一撃で悶絶させたバリー。
えぇー!?
そのまま術一発で撃破。
つ、強すぎるだろ……。
前にガッシュと戦った時より段違いに強くなってる。
貫手からのアラドム・ゴウゾニスがカッコよすぎる。
「久し振りに会ってなんだが……貴様の姿、昔のオレを見ているみたいで、イライラするぜ」
キースのライバル発言を聞いた時、「……誰だったっけ?」となる展開を予想した方もいるはず。
よかったなキース、忘れられてなかったぞ。
久々にイライラ発言を聞いた。
でも、以前とは違う。
以前は理由が分からず、今回は明確です。

・キースの回想
バリーのフルネームがヴィンセント・バリーと判明。
転校生だったことに衝撃を隠せない。
鞄を持ってる、だと……!?
バリーが勉強するのか!?
普通に学校生活を送るバリーを見てみたい。
「生意気な面だ」と言われただけで「んんだと!? コラ」とキレるバリー。顔怖ぇ。
王を決める戦いの中でイライラを募らせていったかと思いきや、昔から沸点低かった。
喧嘩は一方的だったみたいですね。
バリーに怪我らしい怪我はなく、キースはこぶだらけ。
ゼオンとブラゴ、アシュロン、エルザドルは大人でも手に負えない。
彼ら以外には負けないとキースは思っていたが、その自信をバリーが一瞬で砕いた。
キースの自信は強い相手と遭遇しなかったから、あるいは大人でも手に負えない『特別枠』に入れたから、築けたんだと思う。バリーと出会わなくても全然無敵じゃない。

・過去との対峙
バリーを倒し決着をつけようとするキースの叫びに、バリーは過去の己を重ねて、くだらねえと切り捨てる。
「オレを倒さねえと、前に進めねえってのは……キース、お前がまだ弱いからだ」
キースを地面に倒し頭のすぐ横に穴を開けつつ迫力ある笑みを浮かべてこの台詞。
カッコいいけど怖い。
床ドンならぬ床ドリルで頭の横に穴開けられて凄絶な笑みとともにそんな台詞吐かれたら、心がバッキバキに折れそうです。
キースの方が少し前に言った、「それはお前が弱いからだよ」という台詞と対応しているのでしょうか。

こだわりに関するバリーの考えは、「なるほどなー」と感じる部分と「それは違うのでは?」と思う部分の両方があります。
ここでは前者です。
ガッシュと決着をつけていないバリーが前に進んでいますからね。大幅に。
キースにも学ぶべき相手は大勢いたはずです。
ファウード復活のために様々な強者が集っていたわけで、恵まれた環境にいたと言えるかもしれない。
何やってたんだろうな。いも天食ってたのか。
昔のオレと戦っても何も手に入らないと告げるバリー。
「あの時のオレは、ただのチンピラだったからな」
自分で言っちゃったよ。自覚しているんだな……。
「『何か』が手に入る、『何か』が変わるきっかけをくれるのは、ここ(腕)に力がある奴じゃねえ……。ここ(心)に力がある奴だ」
戦う力が劣っていても心の強さは上を行ったガッシュ。戦闘力も器の大きさも己を遥かに上回るエルザドル。
彼らとの出会いで変わったからこそ、説得力がある。

ゾニスと体術を組み合わせて的確に追い詰めていくバリー。
グスタフが目を光らせてポーズを決めてる。
ほんと謎だなこの人。
マイペースな彼だからチンピラの頃のバリーに付き合えたのかもしれない。
ゾニスのような初歩中の初歩の術も活かす戦い方が好きだ。
威力の低い術も、
・弱所に叩きこむことで威力増大
・隙を作るなど、大技の布石に
・移動に使用
と、有効活用しています。
元々高い力を技術力や応用力によって跳ね上げる様が熱い。
というか、回転する相手の足首を片手で掴むって、グスタフがやってたことじゃないですか。
グスタフはグスタフでバリーの真似みたいなポーズ決めるし、仲良いな。
無数の光弾が四方八方から襲っても、バリーは全て受け止め、跳ね返す。
破れかぶれになったキースが最大術を放とうとしても冷静に対処。
頭に血が上っているキースと正反対です。
ベルンもベルンで、グスタフと真逆です。
キースから乞われる都度呪文を唱えますが、グスタフはバリーの指示なく動く。言葉で伝えるまでもなく、息が合っています。
「大きなスキも作ってないのに最大術か?」
ガッシュと清麿にも指摘したことがありますね。
小技連発からの大技といい、無数の光弾を受け止める手際といい、技巧に磨きがかかっている。

背中から貫手をくらわせる
→「言ったろ? お前が弱いだけだと」
→アラドム・ゴウゾニス!!
この流れだけで一番好きな呪文になりそう。
貫手→アラドム・ゴウゾニスのコンボがとにかく好きです。

バリーが竜族の神童エルザドルを倒したことに、私でも手が出せなかった奴を……と驚愕するキース。
その言葉に対するバリーの指摘がいちいち辛辣。でもその通り。
負けると分かっていたから手が出せなかっただけ。強くなる意志が弱く、覚悟もできていなかったから。
厳しい。
でも自分より強い相手と戦ったバリーに言われると反論できない。
自分より一回りも二回りも強い相手の力や心、戦い方を知り、吸収することで高みが見える。
「オレはもっと高いところへいく。ガッシュとの出会いをきっかけに、どんどん自分を高めていく。ただそれだけだ……」
ダイ大のハドラーか。
文句なしにカッコいいんですが、「昔敗れた一人にこだわるなど小さなことだ」という台詞にはやや疑問も。
ダイとの決着にこだわりながらも大きくなったハドラーを見るとそう思う。
バリー自身、ガッシュへのこだわりがなければエルザドルに勝てなかったでしょう。
今回の場合、キースが決着にこだわるあまり前に進もうとしないからそう言ったのでしょうね。
他の相手からも学びつつ大きな目標にするなら、小さいとは言えないはず。

そういえば、「敗れた一人に~」の台詞でガッシュの姿が映っているということは、バリーの中ではガッシュに敗れたことになっているのか。
心の強さや気迫は負けましたが、戦闘では勝っていたわけで……己の敗北を認められる度量を備えたということか。

・捧げる
バリーの言葉もキースには届かない。
憎いバリーを倒したいと言いますが、憎む気持ちはどれほどなのか。
「『参りました』と言わせたい」程度なのか、「残った角をへし折りたい」レベルまでいってるのか。
送還された時の台詞を考えると、後者ほど深刻なものではないか。
ファウードにさらなる力を求めるキース。
いも天を捧げられたらファウードも困惑すると思う。
自分の体を捧げようとするのはともかく、パートナーまで捧げようとするな。それなりにいい関係だったでしょう。
他の人間はついていけませんよ、普通。
「いいじゃないか! ちょっとくらいいけにえになっても!」
よくねえ。
ベルンもベルンだ、鼻毛を捧げるな。
いけにえにされそうになって即座に鼻毛を犠牲にするセンス、真似できない。キースのノリに付き合えるだけはある。
結局彼の鼻毛は捧げものにカウントされたのだろうか。
ファウードが普通に喋るなら「よかろう……力を授けよう!」ではなく「めんどくさいから力をあげるわ、もう」と言い出しかねない。
さらなる力を得たキースにも、彼の猛攻にも、バリーは動じない。
グスタフも冷静で、バリーを心配する一行に「騒ぐな」と言ってのける。
「力を得るだけなら、クソガキでもできる。ナイフでも、銃でも、ミサイルでも……得るだけならな」
ミサイルは簡単に手に入らないと言いたいですが、台詞の真意はそこじゃないな。
要は、自分のものにできるか、使いこなせるかは別問題ということでしょう。
喩えに銃やナイフだけでなくミサイルまで持ち出すということは……『そういう』世界にいたんだろうか。

・ライオンの目
回想でバリーとエルザドルの戦いが描かれる。
……もっとじっくり見たかった!
外伝か何かで超読みたい。
相手の攻撃が見えず、避けられず、巨大な爪で胴を裂かれ、顔中に傷を刻まれ……。
両目を切り裂くように傷跡が残っていますから、あと少し深かったら視力を失っていたかもしれない。
角が折れ、盛大に血が噴き出し、絶叫するバリー。
戦いや怪我に慣れている男が涙ぐむほどですから、よほど痛いのでしょう。
人間に例えるならどれくらいのダメージなんでしょうか。
それにしても、角をへし折った時のエルザドルの噛みつき、やけに殺意がみなぎってませんか?
間一髪躱して角一本で済みましたが、まともにくらっていたら……。
普通の魔物の攻撃が「敵を倒す」「やっつける」なら、「殺す」「滅ぼす」までいってる。
爪で裂かれた傷や角が折られた個所から血が噴き出し、傷口を手で押さえるバリーの体は震えている。
うわあぁ……心が折れかけている。
「オレは強ぇんだ」と顔に書いてるようなキャラがプライドをズタズタにされる姿を見ると、何とも言えない気分に。

バリーの無残な姿を見ても、グスタフは諦めない。
よく続けようと思えるな……。
バリーごと自分もやられて大怪我するかもしれないのに。
身も心もズタズタになって折れかけている状況で続けるのは、スパルタの域を超えてませんか?
期待の証かもしれませんが、厳しい。
バリーでなければ潰れたんじゃ……。
それでもグスタフの見込み通り、バリーは勝ったんですよね。そして、強者の目を得ることができました。
どこまで見えていたんだ、グスタフ。
バリーが攻撃を避けられないのは、能力の差だけではなく、のまれているから。
「奴の目を見ろ! そしてそれを乗り越えろ!」
「そこにお前の探してるものはある!!」
この指示の的確さよ……。
バリーのパートナーがグスタフでよかった。
涙を流してガタガタ震えていたバリーはやがて気づく。
エルザドルの目の中にある気高さに。
ガッシュの目……志ある光を思い出し、折れかけていたバリーが立ち上がる!
「オレはガッシュを、あいつの目を超えるんだ!」
ここで前進できたということは、目覚める前でも心に強さが秘められていたんだと感じる。
強者と戦いたい、強くなりたいという思いは本物だったんだな。
でなければ、限界を超えて、半分意識がない状態で戦い続けるなんてできない。
そもそも、現状で満足できなかったからこそ苛立っていたと言えます。高みを目指す意志が無ければ、弱い相手を倒し続けても何の疑問も抱かなかったでしょう。

「そうだ、バリーよ。逃げずに前へと進め!!」って、厳しいな。
半ば意識がないバリーを見て下の台詞が出ますからね。
「この戦いを乗り越え、再び意識が戻った時、お前は……」
途中でやられるかもしれないのに、グスタフはバリーが限界を超えて戦い、勝利すると信じている。
期待と信頼が重く、熱い。
彼が目を背けず、バリーとエルザドルをよく「見た」からこそ、勝つことができたんだな。
この時バリーが宙を舞っていますが、どんな状況なんだ。
エルザドルのアッパーくらってぶっ飛ばされたのか、ギリギリで躱したのか。
血飛沫が描かれているので前者か?
グスタフはエルザドル戦以外でもバリーに対する期待や信頼を見せます。
「あんな、でかいだけでスキだらけの力などに負けはせん。 ~中略~ 今のバリーならな!」
「おまえのようにくもりきった目で、バリーの目を砕くことはできん!」
などなど。
ただ、これらはモノローグですので、バリーには聞こえていません。
だからこそ、率直に伝えた時、衝撃も大きくなるのでしょう。

意識が戻った時、エルザドル達の持つ強者の目をバリーも得ることができた。
しかし、力も心も上の相手にどうやって勝ったんだろう。
途中まで一方的にやられて重傷を負っていたのに。
弱所突きで会心の一撃を連発したんだろうか。
「硬い鱗を破って傷を負わせるために弱所突きの原型を覚えた」に一票。強者の目を得て洗練させたということで。
もちろん、グスタフの働きも大きいはず。
適切な術を選ばなければ……選んでもタイミングが悪ければ、エルザドルにダメージを与えられないでしょうし。

エルザドルのパートナーはどんな人間だったんだろう。
倒された時の台詞に「もっと他に言うことが……」と思いました。エルザドルの実力を信じて、全てを任せていたゆえの発言だと思いたい。
消えゆくエルザドルは満足げに笑いながら、己を倒した相手に称賛を贈る。
「よく……やったじゃねえか……」
自分を倒した相手を素直に認める台詞に、バリーが衝撃を受ける。
流れるのは、心を揺さぶられての涙ですね。
今まで、倒した相手を称賛するという発想はなかったのか。
彼に多大な変化をもたらしたエルザドルは偉大だ。
竜族の神童は二人とも安定感が凄まじい。
人格と実力、どちらも王候補に相応しく、バランスが取れている。
己の力に誇りを持ち、敵の力を認め、吸収し、己を高める……現在のバリーの姿そのものですね。
彼はエルザドルの在り方を学び、同じ領域に至ることができました。
エルザドルと戦わなければ、ガッシュへのこだわりを昇華できなかったかもしれない。
彼は戦う相手に恵まれた。もちろん、パートナーにも。

回想が終わり、現在へ戻る。
力で勝っているキースの方が追い詰められている。
バリーの「まぶしい」目に怯えるキース。
かつて強者の目に怯えたバリーが、今度は怯えさせることに因果を感じる。
両腕を構え、指を伸ばす後ろ姿がカッコいい。
バリーは術の弱所を見抜き、ディオガ・ギニスドンをディオガ・ゾニスドンで打ち破る!
公式によると、あのディオガ・ギニスドンはディオガの三倍以上。
それをディオガで打ち破ったのは、バリー自身の技量が凄まじかったからとのこと。
この弱所突きがあるから、強い相手にもくらいつけそうだと期待せずにはいられない。
忘れてはならないのは、パートナーとの息の合いっぷりです。
弱所を見抜くのはバリーですが、呪文を唱えるのはグスタフです。
タイミングが合っていないと、バリーが弱所を見抜いて攻撃しても効果を発揮しきれません。
グスタフに特別な技能はありませんが、パートナーとして高い能力を備えているように見えます。
これで勝敗は決したかに思われた。
すでに燃えている本を渡すよう促すグスタフと、警戒しているバリー。
どちらも油断しないな。強者らしくてよし。

・王にはなれなかった男
キースは最後に非道な装置を作動させる。
バリアーに触れた者は捕らわれ、破壊のエネルギーで滅ぼされてしまう。
ここからの流れがガッシュで一番好きですが、叫ばずにはいられない。

何このバリーを退場させるための装置!?
キース戦のバリーはめちゃくちゃカッコよかったけどやっと再登場したと思ったら即送還ってあんまりだろぉぉ!?

バリーの対処が遅れたのは、自分に対する攻撃でなかったからでしょうか?
直接攻撃したなら防ぐなり反撃するなりできたでしょう。
解除する方法を聞き出そうとするバリーですが、消えゆくキースに触れることはできない。
自分は被害を受けないのに止めようとする行動が変化を感じさせる。
以前の彼ならば、「弱い奴らがどうなろうと知ったことじゃねえ」などと言いそうです。
バリーに別れを告げるキースの台詞は悲哀を漂わせています。
ガッシュ達は自分の力のみで倒したかった、ひどい装置など使いたくはなかったと語る。
ファウードの力に頼ったとはいえ、プライドがあったんだな。
バリーのライバルを自称するからにはそれなりの意地を見せてほしいと思っていたので、ホッとした。
最後にお前と戦えてよかったという台詞にしんみりしました。
心からバリーを目標だと思っていたんだな。
普段のアホっぷりからは想像できない、余韻を感じさせる退場です。
ただ、パートナーのベルンについてスルーなのが惜しい。

このままでは仲間達が滅ぼされてしまう。
ガッシュはバリーに、ゼオンを倒し、ファウードを止めるよう頼む。
皆を逃すために、小さな体でバリアーを遮って。
アリシエが即座に動きました。
ガッシュの想いを無駄にはさせないという覚悟を感じる。
バリーが汗をかいて動揺を見せているのに対し、グスタフは動じない。冷静すぎるんじゃないかと言いたくなるくらい、表情が動いてない。
ともに行動した時間が少ないからかと思いましたが、バリーはしっかり反応しているので、当てはまりません。
グスタフの性格が形成された背景が気になる。
ガッシュの意志を受け、バリーに進むよう促すグスタフ。
ゼオンを倒し、ファウードを止め、その後魔界の王となる。
グスタフからそう言われた時、返答までに一コマ間が空くんですよね。
一瞬迷ったような表情が何とも言えない。
それでもバリーは、王となるために戦ってきた、王という高みを目指すと答えて走り出す。
そう、彼とガッシュは同じ道を歩調を合わせて進んでいく友達ではない。
違う道をゆくライバルで、緊張感のある関係です。

必死で支えるガッシュが膝をつき、もうダメだと思った瞬間――バリーが己の身体で光線を受け止め、ガッシュを庇う!

この見開きが最高に熱い。
どうしたらいいか分からない。
何がすごいって、グスタフが驚愕して青ざめてるんですよ。
あのグスタフが。これまで動じない姿や、驚いてもすぐ次の行動へ移る姿が散々描かれてきた彼が。
ガッシュやティオ、恵も驚いています。
バリー自身、自分の行動を理解できていない。
彼は気づいているのでしょうか。
自分達が傷ついてでも他人を助けた清麿とガッシュに「甘すぎる」と憤っていたのに、自分も同じ行動をしていることに。
王という高みを目指していたのに、死にかける戦いを繰り返してきたのに、王への道を捨てようとしている。
この時、グスタフが愕然としているように見える。
彼がこんな表情を浮かべるとは思わなかった……。

「なぜだろうなあ?」
「大きくなったハズなのに、オレの心は、こんな小せえことを『捨てるな』って叫んでんだよぉ!!」

それは小さくない!
彼の中では「高みを目指すため、己を倒した相手へのこだわりという小さなものは捨てた」はずだった。
確かに、躍起になって決着を望む心……余計な執着は捨てています。それは事実であり、捨てた方がいいでしょう。
でも、こだわりは残っています。
それは捨てるべきものでも、小さなものでもない。
むしろ、より強くなるために必要なものではないでしょうか。
ここで捨てて進んでいたら、たとえ後の戦いを勝ち抜けても、あれほど満足して帰ることはできなかったはず。

王になる決意が固い彼が庇った理由については、私では明確に答えを出すことができません。
ウマゴンやティオ、キャンチョメ達がガッシュを庇ったなら、「大事な友達だから、仲間を守りたいから」ですが、バリーは違う。
ガッシュのことを強い心を持つ者として認めると同時に、王の座を得るために戦うべき相手の一人と思っていたはず。
では何故庇ったのか、友情でなければ何なのかというと……言葉にしづらく、私の想像にすぎませんが、目指す姿に反すると感じたのでは?
あのまま先へ進んでも本物の「強き王」にはなれないと。
乱暴な言い方をすれば「命を削って仲間を助けようとしている子供を見捨てて先に進んで王になったところで『オレは強き王だ』なんて言えるのか?」という話です。
あるいはもっと単純に、「相手の力を認め、吸収して、己を高める」姿勢がここで発揮されたのかもしれない。今回の対象は敵ではなく味方ですが。
強者の目を得た状態で仲間を庇うガッシュの姿を見たことで、優しさを兼ね備えた存在になったのかなあ。
庇った理由については本人も分かっていませんから、私の考えは妄想オブ妄想です。

・王をも殴れる男
ガッシュの中に大きな力を見たバリー。
この時点で覚醒に気づいたのか。
彼の目は本物ですね。

「だから、ここでお前らを助けるのは、体のでかいオレの役目だ」

ガッシュを安心させるかのように、穏やかに語りかけるバリー。
この時浮かべているのは、以前の凶悪な笑みでも、再登場後の凄味のある笑みでもない。
本当に穏やかで、優しい表情なんですよ。
血まみれになって苦しいはずなのに。
ガッシュ一人ではなく「お前ら」と仲間達も含めているのが、周囲に目を向けている、でかくなったと感じさせる。

バリーの身を案じて進めないガッシュを、彼は思いっきり殴り飛ばす。
優しさはガッシュの美点であり、魅力であり、信念ですが、危うさも感じさせます。
だからこそ、時には殴ってでも行かせる者が必要です。
先に進ませるためとはいえ「殴り殺す」発言は……チンピラ時代を思い出して懐かしい気持ちになりました。
「ここまで変わってしまったら完全に別人じゃないか」と思わないのは、怖い笑顔や乱暴な言い回しで以前の面影を感じさせるためかもしれない。
バリーが死ぬ前に本を燃やすよう、グスタフがサンビームに頼む。
どんな想いでグスタフが頼み、どんな気持ちでサンビームが実行したか想像すると……。
苦しそうに目を閉じ、すまんと詫びて火をつけるんですよね。
自分とウマゴンに置き換えて想像すれば、グスタフがどれほど辛いか容易に分かるでしょう。

ガッシュを連れて一行が進み、残ったグスタフがバリーに語りかける。
今までの苦労を無駄にしおって、と突き放す言い方をする。
そんなことが言いたいんじゃないだろ、素直になれよ。
燃える本は床に落ちています。
火傷してでも握りしめるパートナー達に比べるとドライに見えます、この時点では。
すまねえと詫びるバリー。
王にはなれなかったと呟く彼の表情は穏やかです。浮かんでいる笑みは己への呆れか、自ら捨てた夢への感傷か。
この後のグスタフの台詞が、最も印象に残る。

「ウム……お前は王にはなれなかった。だが……」

「お前は、『王をも殴れる男』になったぞ」

目を見開くバリー。目を閉じるグスタフ。
ガッシュに怒鳴り殴りつけたのが「動」ならば、こちらは「静」。
激しいシーンとの対比によって、静かなシーンがいっそう心に沁みる。

「いくら王といえど、完璧ではない。いつか間違いを起こすこともあろう」
「その時にお前は王を殴ってやれる。その鍛えた体で、強き目で、拳で、王を殴ってやれ」
「王がどんな目をしていようと、ひるむことはない」

「王を殴れるんだ。でかく、いい男になったじゃねえか……」

これは最高級の称賛でしょう。
バリーの背に語りかけるグスタフの手が震え、両目から涙が流れている……!
この時のグスタフの眼差しや笑顔は、今まで見せたことがない穏やかなものです。
「オレの役目だ」の時のバリーのように。
ガッシュ達を助けるバリーの姿を見て、グスタフも優しさを向けることができたんでしょうか?
寡黙な男の率直な賛辞に、バリーも涙する。

「へ……へへ……なんだい、グスタフ?」
「オレの心の中のよ……未練が……なくなっちまったじゃねえか……」

ボロボロ涙をこぼすバリーの笑みは、今まで浮かべたことがないものです。
本当に嬉しそうで嬉しそうで……乱暴者でも求道者でもなく、一人の若者だと思わせる。
王になるために散々戦ってきたのに道半ばで脱落するわけですから、悔しかったはず。
それも消えるほど、パートナーの言葉が重かった。グスタフに認められたのが、それほど大きかった。
この時バリーは背を向けていて、互いの表情は見えないんですよね。
見たら衝撃を受けただろうな。

「あんたとの日々、忘れねえぜ。絶対に忘れねえ」
「ウム、ワシも忘れん」
「本当かよ!? 約……束だぜ?」
「ああ、約束だ」

約束を交わし、バリーは魔界へ還る。
グスタフから忘れないと言われて嬉しそうなバリーが……。
約束という言葉を持ち出すなんて、覚えていてほしいんだな。
このやりとりに、「再会しない方が約束の重みが感じられて退場が引き立つ!」という気持ちと、「それでも再会して語り合ってほしい!!」という気持ちが壮絶にせめぎ合う。
再会したらどちらも豪快に男泣きするな、間違いなく。

・影響と変化、そして成長
燃え尽きそうな読後感。
臆病で弱かったキャラが強くなるのは言うまでもなく熱いですが、元々実力のあるキャラが心の強さを得てさらなる高みへ上るのも異なる趣が。
それなりに力を備えている状態では、変わらねばならないと痛感する機会はなかなか巡ってこないでしょうから。
バリーがまともに登場したのは全部合わせても十話くらいなのに、深い衝撃と満足感があるのは何故でしょう。
主人公との邂逅、飛躍的な成長、「王をも殴れる男」になって退場という一連の流れが綺麗だったからでしょうか。

・殴る=???
改めて「王をも殴れる男」が意味するものを考えてみます。
まずは文字通り、ストレートに解釈します。
王となるであろうガッシュを殴り飛ばせる、強者の目に怯まない男になりました。
ボロボロのガッシュに殴りかかって拳が止まった時期を思えば、十分成長したと言えます。
ただ、グスタフが「でかく、いい男になった」とまで言うからには、さらなる意味が込められているはず。
単純に戦う相手や倒すべき敵として殴るのではなく、先へ進ませるために殴ったのが大きいんだろうな。
前者ならエルザドル戦直後の彼でも可能でしょうから。
今回の「殴る」は、「助ける」「進ませる」と言い換えることができます。
それを踏まえて、「王が間違った時、殴ってやれる」という台詞が出てきたのでしょう。
つまり、「殴れる=道を正してやれる、支えてやれる」と言えるのではないでしょうか。
それは、器が大きくなければできないことです。
戦う力だけではなく、優しい心やなすべきことを見極める目が必要ですから。
ガッシュ達の姿を「見」て、己の役目……なすべきことを「考え」て、自分の王の道を捨ててでもガッシュ達を助けたことによって、グスタフがあれほど認めたんだと思います。

バリーは大きな変化を遂げているんですよね。
志を持たないチンピラから、強き王を目指す者へ。
他人への思いやりのない男から、身を呈して誰かを助けるでかい男へ。
目指す王の姿へと進もうとするのも、自分が傷ついても他者を助けようとするのも、ガッシュ達が見せた行動です。
バリーは登場した回数が少なく、期間も短く、ガッシュ達との会話も少なかった。
それでも因縁を感じるのは、ガッシュ達の姿に影響を受け、志や優しさを抱いて「強く」なった姿を見せたからでしょうね。

・強キャラ感の理由
バトルのインフレが激しい漫画で途中退場したにも関わらず、上位陣についていけそうなイメージを抱く理由について考えてみました。
・戦い方
技巧の数々と弱所突きが鮮烈。
もちろん、上位陣はキースほど隙を作ってはくれないし、差が大きければ覆せないと分かっています。
ですが、ガッシュのバトルは力が上の相手を工夫して倒すケースが多いので、当てはまるんじゃないかと思ってしまう。
力で彼を上回るキャラは何人もいますが、技で上回るキャラはそういない。
・実績持ち
普通なら負けるはずの相手に勝った経験があるので、「より強い相手でも、ひょっとしたら」と思わせる。
特に、心が折れかけても乗り越えた姿が描かれたのが大きい。
・主人公達との距離
戦闘力が大幅に上昇。負けていた精神面も課題を克服。
王を目指すうえでより強大な壁になったと感じさせて、距離が近づく前に退場。
・幾重もの変化と成長
ガッシュとの戦闘後、エルザドルとの死闘後、ファウード突入後と、何段階も変化を見せる。
エルザドル戦を経て強者の目を得ただけでも十分成長したと言えますが、そこからさらにガッシュ達を助けるという変化を遂げたのが素晴らしい。
ライオンの目を得ただけでなく、カバさんの強さを身に着けました。
これからも強く、大きくなっていくと予感させる。
・「底」
バリーもパートナーも余力を残したままでした。
多くのパートナーが傷つきながらも戦う中で、グスタフには目立った傷はない。
安全な場所に隠れているわけではなく、バリーに掴まって飛んだり一緒に突っ込んできたり、体を張ってるのにピンピンしています。
心の力が尽きた、または尽きそうな描写もない。
エルザドル戦ではどうだったか分かりませんが、キースを倒した後そのままゼオンと戦おうとしている。
全てを振り絞って戦う姿が描かれないままだったので、「もっと力を出せるんじゃないか」と期待してしまう。
バリーも、ボロボロになって限界まで追いつめられたのは、成長前のエルザドル戦だけです。
要するに「底」を見せていないから強そうなのでは。

思えば、
・ガッシュとの戦い:本を燃やせる状態まで追い詰め、見逃す
・エルザドル戦:死にかけながらも勝利
・パワーアップしたキース:一方的に勝利
と、敗北らしい敗北は描かれていないんですよね。
戦闘に敗北しての送還ではなく、もっと戦えたのにガッシュ達を進ませるために退場。
強そうに見えるわけだ。

・キースについて
バリーについて詳しく語ったので、キースの方も振り返ってみます。
バリーが戦った最後の相手と考えると、物足りなさを感じないと言えば嘘になります。
せっかく成長したんですから、バリーにはアシュロンみたいな武人系やブラゴみたいな修羅系の相手とも戦ってほしかった。
もっと風格のある相手が……と思いつつ、キースも好きです。
キースはキースでいいキャラです。
アホさが突き抜けていて好感が持てる。
非道な装置で主人公達を葬ろうとするなど、けっこうやらかしているにも関わらず、憎らしさを抱かない。「こいつのせいで……!」となってもおかしくないのに。
うーむと思うのは、最後を飾るにはギャグ要素がやや濃いところか。
過去のバリーと重ねるためにも、執着をこじらせ力に溺れるキャラはありですが、もう少しシリアスな方が物語の展開やバリーの性格に合ったかもしれない。
不満を述べましたが、バリーの勇姿をぶち壊すことも、最後にクズさを披露することもなかったので、好きになりました。
バリーを嘲笑する勘違いキャラのままだったりガッシュ達を見下したりする根っからのクズだったら、「そんなんでバリーのライバルを自称するなよ……」「こんな奴のせいで退場することになったのか」とやりきれない気持ちになったかもしれません。
最後はギャグ要素控えめでしんみりさせる台詞を吐いて、しっかり締めてくれたので、好印象。

以前日記でも書きましたが、キースは、シリアスに描かれれば悲哀を強く感じたと思われるキャラです。
ライバルと呼ぶには一方的だったのが残念というか、惜しい。
格の差を見せつけられて終わったので、彼には逆襲してほしい。
こだわりを捨てて強くなったバリーとの対比で、こだわりから生まれた強さを見せてくれると燃えます。
キースを圧倒するバリーがカッコよかったので、キース戦はそのまま見たい。
かつ、強者と激闘を繰り広げるバリーも見たい。
この二つの希望は、バリーが生き延びて活躍すれば叶ったんです。
何故もっと戦わなかったんだ!
でも退場の仕方が見事すぎて、あれ以外考えられない……!

・知りたいこと
結局、グスタフは何故バリーとともに戦おうと思ったのだろう。
初期のバリーはどう見てもチンピラでしたから、清麿やシェリーみたいに相手の夢を叶えたい、王にしてやりたいという動機はなかったでしょう。
職業や家族構成が謎。
戦いに参加する理由も謎。
家族と重ねたのか、知り合いと重ねたのか、過去の自分と重ねたのか、全く関係なく暇つぶしなのか、強者育成が趣味なのか。
強者の目について語るからには、自身が強者であるか、強者を見てきたか……どちらにせよ、一般人とは思えない。
二人の出会いからガッシュ戦までを詳しく知りたい。
煙突に刺さっているバリーをグスタフが発見したんですよね。無表情で。
人間を見下していた頃のバリーも、グスタフのことは認めていたようです。
認めるに足る強さを見たのだろうか。

・グスタフについて
一部日記に書いた内容と重複します。
清麿やデュフォーのアンサー・トーカー、ヴィノーやシェリーの心の力など、誰の目にも明らかな強みがグスタフにあるかというと……パッと浮かばない。
それでも強そうに見えるんですよね。
彼の一番の武器は冷静さ。窮地に陥っても動じない精神でしょうか。
エルザドル戦で、心が折れかけているバリーを叱咤し、勝利へと導きましたから。
華々しい能力はありませんが、ならばそれを持つパートナーならばバリーが高みへゆけたか?
……おそらくできなかった。
グスタフは口出しは最低限で、相手に考えさせ、気づかせるタイプ。上を目指す意志が強く、方向が定まれば力強く進んでいけるバリーと上手くかみ合っていました。

あまり口を挟まない、よく言えばバリーの決断を尊重する方針。悪く言えば放任主義。
それは不良少女への対応に現れています。
バリーがゾニスを撃とうとした時、止めずに唱えました。
バリーが直接殴るより加減できるゾニスを選んだのだと思いたいですが、かなり苦しい解釈です。
「そもそも攻撃止めろ」と言われればぐうの音も出ない。
バリーの行動を尊重しているのかもしれませんが、もう少し口出ししてもいいと思う。
血も涙もないとか冷酷非情とまでは言いませんが、容赦ない一面が確かにあります。
戦いの場に一般人のこない場所を選んだり、戦闘前に追い出したり、ゾニスの前に出て行けと警告もして、最低限の配慮はしています。
しかし、相手が応じなければ即ゾニス。
次の行動に移るのが早い。

グスタフの切り替えの早さは、戦闘面でも、それ以外でも目立ちます。
バオウを使われた時も、ガッシュに掴みかかられた時も、驚きながらも対処しました。
ガッシュが仲間を庇って犠牲になろうとした時も、覚悟を称えて速やかに進もうとした。
ガッシュの意志を尊重しての行動ですが、割り切るのが早いのも事実。
すぐに切り替えて次の行動に移るのは、悪いことじゃない。
孤高にひたすら進み続ける。それも立派な道の一つと言えるでしょう。
グスタフは……バリーもあの瞬間までは、高みを目指すと言えばそういう在り方をイメージしていたのでは。
ファウードを止めようとしたのも、「か弱き人々の苦しみを見過ごせない」という情や優しさ、正義感からは少し離れている印象を受けます。
あくまで、強者の風格や矜持によるものといいますか……自分の道を捨ててでも手を差し伸べるものではなかった。
だからこそ、バリーが身代わりになった時、グスタフがあれほど驚いたのではないでしょうか。
自分が犠牲になって他人を進ませるという、異なる強者の姿を見せたわけですから。
今まで強者の姿を教えて導いてきたグスタフが、最後の最後で、異なる在り方をバリーから教えられたとするならば、最高に熱い。

・涙
送還の際にグスタフが涙を流したことに、最初は違和感を感じなくもなかった。
涙がなくとも心が揺さぶられていることは伝わりますし、内心を想像させてグッと来たはず。
「『感情を見せない男』が手を震わせて笑みを浮かべるだけで十分じゃないか」と思ったこともありました。
しかし、最終話で豪快に泣き笑いする彼を見て、衝撃を受けると同時に考えが変わりました。
元から感情豊かだったが顔に出ないだけだったのか、ドライな性格がバリーによって変化したのかまでは分かりませんが、「感情を見せない男」とは言えません。

・ポーズ
せっかくなのでグスタフの動きやポーズに注目してみた。
普通に立っている時は後ろ手に組むことが多い。
目立つポーズの方は、まずはガッシュと戦った時から。
・ガルゾニス発動時やバリーがゾニスで飛んだ時、左手で本を高々と掲げる
左手をまっすぐ伸ばして本を掲げて、右腕は直角に曲げて指を揃えるのが決めポーズらしい。
・バリーの足首を片手で掴んで回転しつつ飛行
一番ツッコみたい。
その状態で敵がどちらに逃げたか知らせる。
取り上げるような動きではありませんが、本を狙うガッシュを妨害する時の姿勢がカッコよくて好きです。
続いて再登場時の動きを。
・バリーにベルトで体をくくりつけてファウード突入
敵の方を見ながらベルトを外してますが、怪我らしい怪我は見当たらず、平気そう。
ディガル・ドルゾニスはガルゾニスより激しく回転すると思うのですが……。
・ゾニス連発の最後に右手で本持って左手伸ばして叫ぶ
ここでツッコみたいのはポーズではなく叫び声と眼光です。
「うわぁああああああああああおっ!!」と叫び目を光らせて「ゾニス!」ですから。なんなのこの人。
・アム・ラ・ゾルクでバリーが光弾を跳ね返した時、両手を真上に伸ばしてポーズ
両手を振り下ろしたバリーと対になっているのでしょうか。
さぞ気合が入りそうな、奇抜なポーズを期待したくなるアラドム・ゴウゾニスやディオガ・ゾニスドンの時は普通の姿勢です。
分からん、グスタフがポーズを決める基準が分からん。

ここまで来たらバリーのポーズにも注目します。
基本的に指先を揃えるのがポイント。
・ギガノ・ゾニスやディオガ・ゾニスドン:右腕を前方へ伸ばし左腕を直角に曲げる
基本のポーズ。シン・ドルゾニス直前もこれです。
もしかして、左腕を伸ばし右腕を曲げるグスタフのポーズは、対になっているのか?
・ゾニス:角に手をやる
片方折れてからはポーズを取らなくなります。
・「小せえことに気づいたのよ」:右拳を握り、左手は指先を伸ばす
このポーズが好きだ。右袖が破れているのも大きい。
・アラドム・ゴウゾニスとセットの貫手
アラドム・ゴウゾニスが一番好きになりそうなのも、貫手からのコンボが強烈だからです。

バリーの活躍をもっと見たかったですが、綺麗な結末に安堵する気持ちもあり、色んな感情が混ざり合っています。
中途半端な扱いをされたり、ついでみたいにあっさり送還されるよりは、格を保ったまま退場してほしいですし。
強者の目を持つ者同士の激戦を見たかったと思いつつ、あの退場が最高に盛り上がるので何とも言えない……!
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

最新記事

(04/28)
(04/21)
(04/14)
(04/07)
(03/31)
(03/24)
(03/17)
(03/10)
(03/03)
(02/25)