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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ネウロ感想 2

ネウロ感想 2
鮮明なるX~犬に爆弾




鮮明なるX(アンノウン)

松井先生はキャラを描く時、キャラと同じ表情になっているそうです。
至郎田シェフや竹田刑事の時も……!?
想像すると恐ろしい。
この後も爆弾魔とかDRとか考えたくない表情ばっかりだ。

いきなり死体の髪の毛が登場するだけでなく、動き出すあたりがとてもフリーダムな漫画だと思いました。
壁から生えている姿と「あかねちゃん」という名前がミスマッチでシュールです。
松井先生いわく、あかねちゃんの謎は最初から解く気がなかったそうです。
殺されて大分時間が経っているようですし、話のバランスが崩れそうなので解かなくてよかったと思います。
あくまでギャグの範囲内に留まっているからいいものの、本筋に深く関わってくると、重要キャラが次々に退場する後半の展開と温度差が生じそうです。
解かれていない謎がある=ネウロが滞在する理由・道しるべ・居場所になりますから。

吾代を脅迫して雑用をさせようとするネウロ。
「『週刊少年ジャンプ』……か。貴様にこの雑誌が使いこなせるか? せいぜい読んで楽しむ程度のものだろう。だが我が輩には……ジャンプで人を殺す事まで可能なのだ」
こんな脅迫の台詞聞いたことない。
ネウロがジャンプを開くと、ページに挟んだ五百円玉がペラペラに!
こんな脅迫の仕方見たことない。

篠原の台詞は怖い。
「カメラが捕える情報は……所詮真実の欠片だ。もっと言うなら……真実である必要すらない!」
ハジけまくりの犯人と違って実際にいそうなところが怖いのでしょうか。この人もかなりハジけていますが。
密着取材と書いて「おいかけっこ」と読む。
一度狙われたらずっと追いかけられる。
敵に回したら厄介だ。
ネウロは彼より遥かに敵に回したくないキャラクターだったので見事に撃退してしまいましたが、篠原の「眼」の犠牲になった人物は多そうです。

とうとう人間の突然変異、人間離れした存在のサイがその姿を現す。
「monster robber X・I」「海外のメディアが~」から「怪物強盗X・I」、「略して怪盗“X”!!」までの流れに引き込まれました。
怖ろしいけれど目が離せない。
DCS編ともアヤ編とも違った雰囲気で、一つの作品の中で様々な色が出ていて楽しめます。
恐怖を煽る流れの直後におまけページでししゃもとキャぺリンが出てきて恐怖が削がれました。
確かに種類は違いますが……。

サイはある意味ライバル的なポジションにいます。
探偵のライバルと言うと怪盗が浮かびますから。
魔人であるネウロとあくまで人間のサイ。
次第に魔人としての力を失っていく前者と、人間離れが進んでいく後者で対になっています。
アイデンティティに悩まない魔人と自分を探し続ける誰か、というのも対照的か。
観察力が武器になるのは弥子と共通していますね。
もっとも、身につけた経緯や強さは異なっており、差異が最終決戦で活かされることになります。

誰でもあって誰でもない、どこにでもいるけどどこにもいない。
誰の姿にでもなれるからこそ、自分は何かという疑問がつきまとってそうだ。
弥子の姿をしたサイが包丁を取り出しネウロを殺そうとした時、さほど違和感を抱かなかった自分に「ちょっと待て」と突っ込みました。
主人公の女の子がいきなり鞄から巨大な刃物を取り出したら、もっと驚いていいはずだろう。
さりげなく描かれていたとはいえ完全にスルーして、首に突き付けたところでようやく「あれっ?」と思いました。
心の奥で、彼女の食欲ならどこからともなく包丁を取り出して調理を始めてもおかしくないと思っていたようです。
私は弥子を何だと思っているんだ。

サイ編は後日談が一番好きです。
無力感に襲われている弥子に言葉をかけるネウロは淡々としていますが、相手を認めているようでもあります。
出会ったばかりなら以下の台詞を言っている時のような笑みは浮かべずに、「つべこべぬかすなこの豆腐」で片づけそうです。
「資質と欲望が……人間をどこまでも進化させる」
「我が輩は人間の本質を理解する目を持たないが……貴様がそれを望むのならいずれ貴様はより多くの人間を理解するよう進化するだろう」
彼の言葉は後々活きてきます。
彼女の進化が、弱くなっていくネウロの力となる。
人間への興味が芽生えたネウロと前向きな気持ちになった弥子。
二人の関係がまた深まりました。
「私の可能性への興味」のコマの弥子の表情が爽やかです。

犬に爆弾

爆弾魔と言えば推理物などでもお馴染みのイメージがあります。
「どこに仕掛けられたかわかるかな? フフッ」という感じの言動、それに相応しい格好を想像していたら裏切られました。
裸で大きな爆弾にすがりつき舐めまわす爆弾魔にドン引きした。
本能に忠実すぎる。
爆弾魔が女性だと判明した時、さらに衝撃を受けました。
あ、危ねえ……!
ヒステリアと思われる人物の、「伏せ目がちな顔→次のページでカッと目を見開く表情」など、インパクトのある構図が多いです。
めくったら驚くような、ページの使い方が抜群に上手いと思います。

笛吹は登場したての頃は、典型的な「探偵を怪しみ敵視する居丈高な警察」そのものでした。
探偵である主人公に情報を与えるだけで、見せ場らしい見せ場もなく、おいしいところを持っていかれる役どころだと思いこんでいました。
実際、周囲の負担も考えず巻き込んで、偉そうに振る舞い、主人公達に対して上から目線。
間違っている推理を披露し、「奴はもう爆弾を仕掛けない!」と勇ましく宣言した直後に大爆発。ついでに眼鏡もずり落ちる。
いかにも引き立て役な描写です。
しかし、次第に力を発揮する場面が出てきます。
主人公に反発する人物を噛ませ犬・引き立て役で終わらせず、それぞれの信念が描かれ格が保たれると嬉しい。
異なる方向から捜査を進め、時には協力して重要な働きを見せるのが熱いです。
笛吹の長所については筑紫がフォローし、現場で動くより人を管理する側に向いており、総合的な捜査戦略を練るのが得意だと告げる。
彼の言葉通り、笛吹が有能であることが徐々にわかります。

犯人が変態なのはこの漫画のお約束なのでいいとして、涎を盛大に垂らしながらエレベーターの扉をこじ開けるネウロの顔が負けないくらい危ないです。
この時のネウロの顔は人外オーラ全開で圧倒されます。
まさに魔人。
主人公側のキャラとは思えない、怖い顔。悪役の幹部クラスの威厳があります。

爆弾魔を突き止めて指差すのはいいのですが、犯人を追いつめる時の問答は思いっきり笑いました。
「何を根拠に!」
「見てました」
「じゃあその時に止めろって!」
確かに。
「実は探偵が見てました」はミステリの禁じ手じゃないでしょうか、これ。
今回の謎は犯人のアリバイ等を暴くのではなく爆弾を解くことですが、これでいいのかという気がしなくもない。
反則スレスレなような。

笹塚が射撃で時計を破壊し、危機一髪で爆弾を止める!
ここでただの実力者ではなく、過去と身につけた力について一部が語られます。
彼の過去は本編ではあまり触れられていないので、詳しく見たかった。
十一時の部分が撃たれたのは、一家惨殺犯とみなされている「XI」、(ついでに彼の名前には「士」が含まれている)にかかっているのでしょうか。
「家族が皆殺しにされたぐらいで」という笛吹の言葉は、最初読んだ時ひどいと思いました。
後になって読み返すと、抜け殻のようになっていた笹塚の感情を無理矢理にでも刺激しようとしたのかもしれません。
爆弾を止められなければ弥子が目からビームを出して何とかする羽目になるところでしたが、そうならなくてよかった。おまけページの弥子が筋骨隆々です。何段階変身してるんですか。

笹塚から手柄を譲る代わりに弥子達が関わることを見逃してほしいと頼まれ、笛吹は不快げに受け入れる。
彼の言う「汚い手・汚い連中」に対する姿勢は少しずつ変わっていきます。
この時点では反発が大きい。

ヒステリアが顔芸を披露してまで自分の思想を張り切って主張したのに、一番印象に残っているのは「おすわり」と言われた後の顔です。つぶらな瞳が可愛い。
事件が解決したところで他のキャラがさらりと本音を見せるのもより哀れというか、あれほど熱くなってたヒステリアの立場が……。
弥子は本音を剥き出しにする人間と隠している笹塚を見て違いに思いを馳せる。
(何だか私は……もっともっと『人』を知りたいなと……思った)
ここで彼女がはっきりと「人間を知りたい、理解したい」と欲したことが進化のきっかけになったのでしょうか。
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