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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ネウロ感想 7

ネウロ感想 7
新しい血族 前編




向かいあう母と弥子の構図は最終巻の表紙と似ています。
小話では由香と池谷、望月、早坂兄弟、筑紫のエピソードが好きです。
普段はまったりしている望月が自分の妻には厳しい。
「可愛くて健気な奥さんに何たる仕打ちを!」と憤ったら大切に思ってました。
髪を下ろした筑紫は春川教授に似ている気がする。
『うらぎり君』が読んでみたいです。屈指の名シーンは気になる。
刺した時の刃物、構図は後のシーンと重なる気がします。
夢の店長編では石垣の駄目っぷりといいところがクローズアップされていました。
等々力とは能力も性格も正反対、だからこそ学び合える。

DR編

DRは私こそが一番と言いたげに葛西に対して偉そうに振舞っていますが、「我々の中でも一番の小物」と言われるフラグだ。軽く流す葛西が大人に見える。
「見かけで人を判断するなーっ!」は正論のはずですけど、テロる相手から言われても困る。
攻撃・破壊に相応しい属性とくれば真っ先に火が浮かびますが、水が予想より遥かに強かった。
平凡な一家も、事件を起こそうとしていた犯人も、人間の営みがまとめて呑みこまれていくのがやりきれない。
水を操る龍だと自称し、ネウロを痛めつけていい気分のDR。
謎を生みだす食糧源を潰されたネウロが激怒します。
「千を越える罪状がある。今からそれを体中に刻んでやろう。泣こうが死のうが苦痛が去ることはない」
「貴様は我が輩を怒らせたのだ。ダニめ」
激痛の翼が格好いい。ネウロの台詞、表情と合わさって魔人の凄味が出ています。
そして始まる拷問タイム。
……ここまでするか?
これが主人公のやることか。
しかもコミックではもう一週やりたかったと言ってます。子供みたいな顔して恐ろしい台詞をさらっと吐いた。
引かれそうなのでやめたとありますが、正解だと思います。

敗北したDRを葛西が処分。
運転手をしていた時は理知的で謎めいていて格好よかったのに、いつからどうしてこうなってしまったんだ。
お約束の「○○は我々の中でも一番の小物」が出てきて興奮した。
ここで刹那の父親、本城博士が登場したのが燃えました。
娘を死に追いやった元凶を激しく憎んでいるとのことですので、「おそらくシックス達が元凶、ならばおじさんとも共闘するかもしれない!」とワクワクしました。
おじさんならユニークな方法でシックスを追い詰めてくれると。

DRの起こした洪水によって大きな被害が出、士気の低下している警察の面々を笛吹が激励する。
「諸君は……何を守るため警察に入った? 正義を守るため? 街や人を守るため? それとも単に手に職を得て自分の人生を守るためか」
「ああ大切だ。そのどれもが命をかけて守るべきものだ」
「だが今諸君が最優先で守らなければならないのは! 警官としてのプライドだ」
「悔しくないか!? プライドをズタズタにされて悔しくないか!?」
「一人の警官として! 傷つけられたプライドを取り戻せ!」
「バラバラにされた警官のプライドを! 諸君らが拾い集めてここに持ってこい!」
血族編の笛吹は特に格好いい。
初期の眼鏡がずり落ちたキャラと同一人物とは思えん。
混乱を鎮め、士気を上げる。
敵の尾行にも気づき、対応を整え、毅然として迎え撃つ。
有能です。
「人間をナメるなよ。馬鹿者が」
痺れた……!
部下達に容赦なく撃てと命じるのも素晴らしい。
麻酔弾が効かずに逃げられても、闘志は消えない。
肉体的な強さは一般人な彼が立ち向かうから「人間の強さ」に重みがあるんですよね。

テラ編

バレンタインイベントで涎が出そうでした。
チョコレートをチョコフォンデュで食べる。贅沢な感じがします。
ツンツンしているけれど最後に勝つのは我々だと言いきる笛吹が頼もしい。
撃墜された天使のような顔の筑紫を見たかった。
痩せた浅田がイケメンだった事に驚き、エキサイト少年のモテ具合にも驚き、弥子の洒落たアイデアに感嘆。
バレンタインがどんなイベントか理解するネウロも粋。

いざ次の敵テラと対面すると、相手は予想外のおバカでした。
が、ゲスでした。
人間を守ろうとするネウロと、力を削ぎ落としていくテラ。
傷つき疲弊しきったネウロにはオーラがあります。
老いたネウロのラフが載っており、やけに格好良かったです。

忠誠のために顔以外の全てを捨て、恥を捨て道化をも演じると書くと悲壮なんですが、おバカなんですよね。
この戦いでのポイントはネウロが自ら正体を明かしたこと、人間の力を借りようとすることです。
テラにとって最も大事な顔は断末魔の状態で残し、素性暴きに使う。
ひでえ……。
ネウロだけは敵に回したくない。

ヴァイジャヤ編

ネウロの正体が笹塚にばれ、隠し続けてきたことを詫びる弥子。
ここまで滑らかに土下座に移行できるヒロインはなかなかいない。
ジェニュインと互角の足を持つ女性が気になります。
休養中のネウロに弥子がケーキをぶつけようとする時、「ん?」な台詞を吐きます。
「後で食べるし」
人の顔面についたケーキをも食べるとは、なんたる食欲。
食欲魔人と呼びたい。

動けないネウロは珍しく気遣うような言葉をかける。
普段下僕扱いしている相手に……飴と鞭ですか?
鞭が大半ですが。
危惧が的中し、吾代が木の枝で刺されてしまう。
おまけの実写版に必要な小道具は、弥子の時にも使えますね。
力を求めたチー坊に対し、無力な奴が力を求める気持ちはわからないと語る吾代。
地球を割るほどの力をもらっても、使っても、楽しくない。
「たった半年でもデキの悪いツレとつるんでた方が……俺はよっぽど楽しかったぜ」
チー坊が自らの命を絶ったのは、吾代の言葉が届いたためだと思いたい。
「強いって……疲れるね」
「……今さら理解しやがって」
バトルもかなり含まれている少年漫画の台詞とは思えない。
ただ強ければいいというもんじゃない。
今回のエピソードで注目したいのは吾代の台詞でしょうか。
並外れた悪意で人間を超えた犯罪を行う「新しい血族」。その存在への疑惑がここで出た。
人の内側を見る弥子が気づかなかったのが皮肉と言うべきか……。
いつも上手くいくとは限らない。弥子に背負わせすぎていなくてバランスがとれています。
しかも、後の見落としでは取り返しのつかない結果を招きます。
自分が気づくべき事柄だったからこそ、弥子はどん底までたたき落とされたのでしょう。

XIを折り返すとVIになる。
サイとシックスのつながりを示し、サイにイレブンという名を与える。
同じXIなのにサイ→イレブンという呼称の変化が上手い。
・未知のXと不可視のIでX・I=X
・サイとアイで怪盗Xi
・分割するとVI=シックス
・シックスのための兵器、イレブン
と、様々な意味が込められています。
今までに出てきた要素をつなぎ合わせ、活かしていくのが上手いです。

ジェニュイン編

血族の脅威を示したDR、人間と共闘するきっかけになったテラ、血族の存在に疑問が呈されたヴァイジャヤと来て、次は曲者の葛西が相手かと思っていたら予想を外されました。葛西は後回しで指揮官のジェニュインと戦うことに。
葛西は自信ありそうなのに他の五本指が働いている時見ているばかりというパターンが多くないか?
ヴァイジャヤ編では働いていましたが、シックスにも「いよいよあなた様の出番ですぜ」などと言って怠けそうです。
ジェニュイン戦では戦い方も結末も予想を外されました。
「DR戦やテラ戦を考えると相当苦戦して、ボロボロになって勝つだろう」と思っていたらさっくり決着がつきました。
守勢に回ると弱いが攻めると圧倒的な強さを発揮するネウロのドSっぷりが遺憾なく発揮されました。
いかにも女王様な悪役の女幹部から「調教してあげる」と言われたネウロの反応。
「ほう」
この顔は主人公のものではない。悪役、それもラスボスクラスだ。
やることがまあえげつない。
・接触を拒む権利を没収
・群衆を操る権利を没収
・武器を使う権利を没収
・自爆する権利を没収
・回想する権利を没収
これは心も折れます。
特に回想を無造作にカットするのは非道。
回想によって立ち上がる力を得たり新たな力に目覚めたり、スタイリッシュポイントが上昇して戦いやすくなるのに!

ここまで一方的にやられるとは思わなかった。
したがってジェニュインへの印象も変わっていきました。
指揮官なら最後に戦うだろう→葛西は後
きっとバトルは長く続くだろう→トントン拍子に調教
苦戦するだろう→消費した力や受けたダメージは最も軽い
そして、彼女への評価が低くなるのもおそらく松井先生の掌の上だった。
「指揮官の割にたいしたことないな」と思っていたら、彼女は折れた心をつないで立ち上がった。
屈服したはずの彼女は下僕の忠誠心を奪い返し、シックスのために死んだ。
五本指の中で最も楽に勝てたはずの相手は、最も鮮やかに逆転した。
いったん評価が下がることを見越しての勝利と最期だったと思います。
「苦戦するだろうな」→「楽勝だった、なーんだ」→「見事なり!」
という移り変わりで、見事に踊らされた。
最期の笑みが一番可愛らしく見えます。
「最初に貴方に出会ってたら……あなたの虜になってたかも」
これはネウロに対する本城博士や春川にも当てはまるかもしれない。彼らの計算を覆す存在ですから。
結末を知っていると本城博士の言葉が刹那い、もとい切ない。
「それでも娘の死は幸福な死だったと……私は信じて疑わないんじゃい」
肯定する弥子が思い浮かべる春川と刹那の姿は穏やかで幸せそうです。読み返すとやりきれねえ。
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