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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

1000円ヒーロー 11巻

1000円ヒーロー 11巻


第112話 星と命

「全ての人を守る」という己の理想を実現できていないことに打ちのめされる刃。
自分が守れなかった人は、他の誰かが代わりに守ってくれていた。
確かにそういう部分は否定できないにせよ、何もできてなかったわけじゃない。
いくら強くなっても全ての人を守り救うなんて無理だよ……。
刃一人が全員守らなきゃいけないなんてことあるかよ!
そんなことしようとしたら間違いなく潰れます。
『誰か』に守ってもらったっていい。その『誰か』のことも刃が守ったり助けてきたわけで、これからもそうしていけばいいじゃないですか。

刃が言うには、誰かを守るために誰かを傷つける覚悟がなかったとのこと。
それに対する答えは以前出したはず。
守るために敵を殺す意思や力が必要だと突きつけられても、守る生き方を貫いたじゃないですか。
そんな刃だから『誰か』の心を動かして、一人では切り抜けられないような局面も突破してきたんじゃないか……。
皆を守ろうとする心は尊く、ヒーローとして立派であるはずなのに、それが刃を苦しめているのが辛いなぁ。
守りたい、救いたいという気持ちが強ければ強いほど、できなかったと考えてしまいがちで、深く打ちのめされるんですよね。

お前の強さは守ろうとする時に発揮されるんだろ!?
……と思っていたらニルが言ってくれた。ありがとう。
ニルの眼が人間のものに戻っている。
エッジマン・ネガがさりげなく席を外すのがいいですね。邪魔しないように動く、お気遣いの人。
確かに刃の言うように、刃だけでは助けられなかった人もいる。
「でも、刃にしか助けられなかった人も居るネ」
そうです。
もっと言ってやってください。
刃が相手の分まで傷ついて守ろうとしたから救われた人もいっぱいいるんです。
椿。貴崎。ニルも。
「だから好き」
直球ッ!
ストレートな告白が臓腑を抉ってきやがる。
刃はニルの命を守れなかった。それは事実。
でも心は救えた。
ルードは戻ってきた刃の行動を挑発込みで貶したけど、ニルはそれで救われたんだ。
「怪人がまるでヒロインみたいに」
彼女はずっと少女漫画に憧れていたんですよね。
洗脳能力を持ち、怪人である彼女には叶うはずのない夢を見続けていた。
その夢を叶えてくれた刃は、ニルにとってどんな存在なのか明らかです。
「ありがとう刃。私のヒーローになってくれて」
ニルの笑顔が可愛い。いや美しい。
可憐な笑顔を咲かせるのはやめてくれ、読んでて胸が裂かれる。
かつて非道だった怪人の少女から、自分のヒーローになってくれたと感謝されたことは誇っていいと思います。

「ここで立たなきゃヒーローじゃない!」と脳内で叫んだら刃が立った。
エッジマンの姿が変化した!
もしかしてレートが上がった?
ルードに勝ったらもっと多くの人を幸せにしてと願うニル。
他者を人形のように扱った彼女が、多くの人の幸せを望む。
彼女も正義を見出した。刃の影響ですね。

刃がニルに、ニルが刃に影響を与える関係が心地いいと感じながら、考えたことがあります。
以前は恋愛要素やカップリングについて、特に意識していませんでした。
考えていたのは「誰と誰が結ばれようと、雑だったり不自然じゃなければ別にいいや」「恋愛メインの作品でもないのに世界が危ない状況で多角関係とかでグダグダになるのは勘弁してほしい」くらいのものです。
今、どんな関係が見たいか分かりました。
「〇〇の相手役」に留まらず、お互いに影響を与え、魅力を引き出すような組み合わせが好きです。
そういう意味では刃と白駒さん、刃とニル、両方当てはまるんですよね。
白駒さんは「刃に憧れを抱く女の子」で終わらず、刃から勇気をもらいました。怪人にトラウマがあるのに、震えながらも怪人に手を貸した。刃も彼女から勇気を与えられた。
ニルも「刃に少女漫画みたいな台詞を吐かれて惚れた」だけでなく、他人のために傷ついても戦う姿を見て多くの人の幸せを望むようになった。刃が彼女を正義に目覚めさせ、彼女の正義が刃のヒーロースーツを再形成した。
互いに力を与え合うから、どちらの組み合わせも好きです。

刃の新たな剣……光の剣がルードの重力球を容易く弾き飛ばす。
「ニルが僕にくれた光だ! 消えるものかよ!」
一人称が僕のままだ。心の底から叫んでる!
洗脳のため偽りの光を浴びせてきたニルが、刃に本物の光を与えたと思うと熱い。
己と対等以上に戦える相手にルードは大興奮。嬉しそうだなおい。
彼は全てのエネルギーを左腕に集中させ、真っ向から攻撃する。
勝者だと思わせた方が倒れて敗者だと決定するのはお約束。
初めて知った敗北の味にルードは……。
「うわーくやっしー」
見苦しい様は見せない戦闘狂の鑑。
戦わないまま終わらなくてよかったな。
いい退場しやがって。
ルードも望んでいた「強者との全力の戦闘」を得られましたし、刃はルードの心をも救ったと言えるかもしれない。

貴崎が刃の勝利に嬉しそうなのがいいですね。刃に救われた一人だからな。
しかし、変身が溶けた刃の腹部には穴が開き、血だまりが広がっていく。
刃はニルのデザイアメダリオンに勝利を告げるも、エッジマン・ネガも消えようとしている。
待てよ! ニルとの約束を果たせよ。
彼女は多くの人を幸せにしてほしいと望んだんだぞ……。

おまけはエッジマンの新たな姿について。
さらっととんでもないこと書かれてる。星の力ってスケールデカいな。
ニルの想いがそれだけ深かったということですね。愛の力は無限大。ブラックホールも乗り越える。
レートは明言されていないものの、語るまでもない。すげえ……。

第113話 陰謀と課金

おっさん同士の悪だくみ。
盗み聞きできたと思ったら即気づかれた。
……飛行船は囮だったのか。全然気づいてなかった。
ダイ大みたいな展開ですね。やっとラスダンに乗り込んだと思ったらすでに滅亡の準備が終わっていたあたりが。
敵の企みが着々と進んでいく。
その余裕を吹っ飛ばしたい。

暴走する千を止めるため、ユウロと同児が力を合わせる。
同児は千に謝るつもりでいる。
よかった……千の行動を理解してくれた。同児もほのかを守るために同じことをするでしょうから。
彼の気持ちは嬉しいけど、無茶するのは嬉しくない。

千を救うため、ユウロは力を求めて命を削る。ヒーローみたいなことしやがって……。
同児もユウロに倣う。
そんなことをしたら死んでしまうと動揺するユウロに
「ユウロさん嘘つきですから」
と返すのは上手い。ちょっとだけ皮肉込めてませんか?
情報を隠され翻弄されましたからね。
単に戦力として利用するわけではなく、優しさを感じたから助けるというのが同児の……何だろうな。
甘さと言えるけど、それだけで片づけたくはない。
同児のヒーローらしさ……正義と言うべきか?

第114話 偽装と勇気

同児と千のほのぼのエピソードに心が温まったり痛くなったり。
そうか。千のことを大事な友達だと思っているから、殴られた時の絶望も大きかったんだな。
変わってしまったのは自分の方だと気づき、認める彼を見て、彼もキツい状況だったんだよな……と思いました。
ヒーローを糾弾する彼のことを「怪人達の悪行を棚に上げて正義側を傲慢だの偽善だの批判するタイプか」と決めつけましたが、違った。
言いすぎました。ごめんなさい。
辛い境遇の彼に読者目線で要求しすぎました。

敵を追い詰めたように思われたが、彼は本気を出していなかった。
相手の全力を引き出したうえで叩き潰すのが楽しい。
うーん、外道。
ほのかのピンチに倉之助が出てきたが、敵うわけない。逃げろ……!
そんなことは本人も承知の上。同児を置いて逃げたから、今度は逃げない。
戦闘力がろくにない以上、逃げ出したって誰も責めないのに。
同児も恨むどころか推奨するでしょう。

ベルトを巻いて変身と叫ぶも、何も起こらない。
嘲笑う敵、変身と叫び続ける少年。
誰か何とかしてくれー!
と思ったら、ほのかが……!

おまけはスパイ野郎のボンド。
本来の自分を忘れてしまうという部分で『魔人探偵脳噛ネウロ』のサイを連想した。恐ろしく、悲しい境遇であるはずなのに、あまり同情する気になれない。

第115話 母と炎渦

この作品においてヒーローとは「誰かのために戦う者」で一貫しています。
ほのかはヒーローになることを望み、母が娘の想いに応える。
妻に気づくユウロに「おぉ……」と思いました。愛だ。
血涙ではなく澄んだ涙を流してる。違う道を選べば、別の形で、もっと早く再会できたかもしれない。
春香の力は……母ちゃんつええ!
強敵を一蹴とは。
倉之助がほどよくギャグ要素を供給してくれる。
「ロン毛はあの炎にくべていこう!」
辛辣。そう言われても仕方ないことを散々してますからね。ユウロは。
だが、敵はまだ倒れない。
「僕らの最後」って、そんなこと言うなよ同児……。

おまけの春香が可愛い。適切な表現ではないと分かってるけど、そう言いたくなったんです。
書かれている内容は重い。
民衆や他のヒーロー達の姿勢に引っかかってしまう。
ものすごく強いヒーローがいるからと言って、怪人の相手を全部押し付けるのか。
いくら強くても一人しかいないんじゃ限界があります。
逆に言えば、個の力が優れていた春香でも挫折した事実こそが、千達が危機を乗り越える道を示していますね。

第116話 最初と最期

悪意満々の怪人の過去が明かされる。
人間やヒーローに対する敵意に重い背景があるのは珍しいな。
大抵は衝動・ストレス解消で片づけられます。
最初の怪人の過去ですからいくらでも長くできそうなのに、回想が簡潔にまとまっている。
……掘り下げても胸糞悪くなるだけか。
人を襲う気はなかった彼を本物の化物にしたのは人間と言えるかもしれない。
序盤で抱いた「警察や自衛隊の武器は通じないのか」という疑問に答えが出ました。
怯ませることはできても駆除はできない。
しかし、金に溜まる人間の欲望が有効なんてよく思いついたな。
実験台にされて拷問じみた仕打ち受けて延々と嬲られたんだからそりゃ恨みますよね。

悲惨な境遇の怪人を前に、同児は己が正しいかヴァイタミンに問いかける。
ヴァイタミンの返答は武骨ですが、飾り気がない分気持ちが伝わってきます。
同児が涙を……二人の絆に胸が熱くなります。
人間とヒーローに対する恨みに染まった怪人と、友情を築いた怪人で対比になります。
勝利した同児は千に謝罪と感謝を述べる。
そうだよ、あの時千が動いたのは「怪人をぶっ飛ばす!」じゃなくて「親友の妹を守る!」ためだったんだよ。
気づいて、感謝してくれて、よかったと思ったら……。
いくな、同児。
千は目覚めた直後に親友が消滅していく光景を見ることに。
過酷すぎんだろ……。
刃も危ないのに。

ほのかも、倉之助も、ユウロまでも悲しみに浸る中であの男がやってきた。
総帥登場。
帰ってください。
しんみりした空気をぶち壊すなよ。澄ました笑顔に腹が立つ。
このままユウロと共闘か?

第117話 父と母

一方その頃、別の場所でスパイ野郎のボンドを瞬殺。
仲間の仇をノリノリで討とうとしたらあっという間に沈んだって盛り上がらねぇな。
『ヒトクイ』もそうですが、変身能力を持つキャラはゲスいタイプが多い気がする。
そうじゃないと能力を発揮しづらいもんな。
恵理からニルへの信頼が嬉しいけど悲しい。
彼女の言葉通りニルは刃を守ろうとしたけど、それで命を落としたわけで。

怪人化の仕組みについて重要なことが語られました。
体内にデザイアメダリオンを持つ者が、負の感情で怪人化する。ヒーロー適性を持つ者は防げると。
通常メダリオンを形成する人間はごくわずかだが、強制的に形成させる薬剤をユニオンプライスが散布した。
総帥がわざわざやってきたのは千とユウロの死を確認するため。
ただ「調子に乗って出てきてやられました」だとがっかりするので、ちゃんと理由があるのは嬉しい。

ユウロが最期にしたことは、時空の狭間に爆弾と総帥を引きずり込むことだった。
曲者らしい笑顔を浮かべてるなあ。
総帥の言葉は痛いとこついてる。
ユウロの計画は失敗ばかり。……否定できない。
彼の計画を挫いてきた主な原因が千と刃だと思うと感慨深い。
救済したかったのでは怪人ではなく家族だけという指摘も当たっている。
よく分かってるじゃないですか。さすがお腹の底まで真っ黒な親父同士、理解し合ってる。
「ほのかと千が幸せならそれでいい。そのためにはなんでもするのがユウロという人間です」
これまで怪人組織の幹部として行動してきたユウロが「人間」を自称するのか。
人間やヒーローを敵視し恨む気持ちがようやく消えたのでしょうか。
思わず親バカ呼ばわりした総帥にちょっと笑ってしまった。いちいち言うことが的確。
子を想う気持ちが強いのは紛れもない事実でしょう。
でもほのかに比べて千の扱いが酷な気がして、心から感動しきれない。
ユウロの台詞だとほのかと千が同列に見えるけど、総帥の「怪人になった娘を兄と不自由なく暮らさせる」という表現だとほのかメインという印象を受けてしまうんですよね。
年齢や戦闘力の違いから、ほのかを優先して守らねばならないのは当然とはいえ。

千とほのかはユウロを時空の狭間から引きずり出そうとする。
ほのかの進学やら成人式で金がかかるから金出して見届けろと叫ぶ千。
素直じゃないなあ。本音もかなり混ざってるとは思います。
それに対する返答が、
「オレはクソ親父だから、バケて出てタダ見するわ」
ど……どっちも素直じゃない!
ユウロの顔が消えて零に戻ったのは、重傷を負って消耗したせいだけでなく、仮面を捨てて本心を露にしたことの表れに思える。
もっとシンプルに言うなら、温かい心を取り戻したということで。

最期に春香の幻が語りかける。
彼女が今まで話しかけなかったのは当然です。
ユウロ……零は守るべきものに目を向けず、復讐のために邁進してきたからな。
仮に春香が語りかけても「仇を討ってやる、待ってろよ」で終わってしまいそうです。
零本人も、復讐にかまけてないがしろにしてきたものに気づいてくれてよかった。
家族だけでなく同児にも謝った……。
妻の仇を討つと言いつつ妻が愛した子供達を危険に晒し、妻が救ってきた・守ろうとする人々を脅かす非道を繰り返してきたんですよね。
ヒーロー怪人一般人巻き込んで犠牲者出しまくって現在進行形で国中混乱に陥ってます。
娘のために色々してきたけどそれで子供達が危ない目に遭って、この後も彼らは解決に奔走しなければならない。
安易に「死んだ〇〇はそんなこと望んじゃいない!」と言うわけにはいきませんが、ユウロのやってきたことは思いっきり当てはまる。
それを思うと、最後の善行だけ評価していい奴だったと言う気にはならない。
しかし、何もかも否定したくはないとも思います。

最期の最期、もはや何もできない状態で己の過ちを痛感して悔いるのは辛いよな。
春香が語りかけてこない外道のまま退場すればある意味楽だったはず。
妻と再会できたことは彼にとって救いであり、罰でもある。

おまけは始まりの怪人について。
彼の過去について詳しく描かれたら陰鬱な話になるでしょうから、短くてよかった。

第118話 置き土産と後押し

チャックじゃなくてジッパーだよ!
仲間の名前は覚えてくれよ、失礼だな。
父を喪った直後なのに千は刃の死を知らされる。
嫌だ、刃が死ぬわけない!
半裸故に不審者扱いした麗華、かつて敵対した貴崎も苦しげな表情だ。彼の存在の大きさが伝わってくる。
同児や父が死に、刃の死を告げられ、怪人の意思に呑まれた自分が妹達を攻撃した光景まで見せられる。
辛いですが、必要な展開だとも思います。
悪いのは暗躍した連中だという前提がありますが、自分には何も落ち度はないという顔をされては引っかかったかもしれません。
本人の悔恨があってこそ、心から「〇〇のせいじゃない」と言える。

さらに千はレディブレイズの過去も見せられる。
怪人達がレディブレイズのせいだと笑いながら人々を襲う。
こういう、ヒーローのせいと声高に叫ぶ展開を見ると「いやお前ら怪人が襲ってきたせいだろ」とツッコみたくなる体になってしまった。
ちなみに一般人が言い出したら「まず怪人を責めろよ」とツッコみたくなる。
守られている人々も、実力が劣っているヒーローに対して「テメーらじゃ話にならねぇよ」と非難する者もいれば、それを咎める者もいて、声援を送る者もいる。
最初のやつ、雑魚呼ばわりはないだろ。
守られているだけの立場でよくそんな暴言吐けるな……。
レディブレイズに比べれば見劣りするだろうけど、彼女が来るまで一人でも多く守ろうとしている立派なヒーローなのに。
しかしレディブレイズは間に合わず、人々の死体にごめんなさいと謝り続ける。
命を奪ったのは怪人達ですから、彼女のせいとは言えないはず。
それでも彼女は責任を感じてしまう。
今の千と似ている。

悔いは大きいけれど、立ち止まれる状況じゃない。
千の背中を押す声がする。
いや勝手に殺すなよ。
刃もなに笑顔で励ましてんだ。お前までそこにいたら駄目だろ。
認めない。
千の涙は悲しく覚悟は熱いけど、刃の顔が引っかかる。

第119話 無心と惨状

傷を焼いて塞いで……麗華も貴崎も頑張るなぁ。
この状況だと休んでいられないだろうけど、それでも戦おうとしてくれるのはありがたい。
罪の意識に苛まれる恵理の叫びを受け止める千。
温かい言葉をかけられ、涙を流す恵理。
この二人の関係はいいなあ。
クールな恵理が脆い所をさらけ出せるんだもんな。
そんな信頼関係において繰り出される、千の「金貸して」発言。
金の貸し借りで関係が壊れる危険性をどちらも承知しています。
その上で言っているので、どれほど切羽詰まっているか分かる。

怪人を殺す気満々のBBと人間に戻せるかもしれないからなるべく殺さないようにしたい貴崎達。
政府ヒーローと民間の違いが出ていますね。
戻せる方法があるといいな。

総帥は……やっぱり生きてたか。
脳内で煽るルードに笑った。
すごく言いそう。
鬱陶しいほどの陽気さも、敵に向けられると清々しい。
君が清涼剤になるとは思わなかったよ。

第120話 行軍と報道

怪人を殺さず動きを止めようとする麗華達。
優しい。この世界のヒーロー達はお人よしな奴らが目立つ。
貴崎が「エッジマンならそうする」と告げたのが感慨深い。以前は怪人の命など何とも思わず、駒扱いしていた彼が。
そんな中で危険さがブレないどころかますます悪化してる兄貴は何なんだ。
ヒーローに聖人君子であれと求める気はないけど、あまりにもアレだとヒーロー名乗るなと言いたくなる。もはやヒーローを名乗る不審者でしょ。

マッハマンやつなぎマンも連携してる。
つなぎマンの能力が便利だ。
怪人があふれ恐怖に陥ったことで怪人化が発生する悪循環。
ヒーロー達も奮闘しているけど手が足りない。
そこで千が一緒に闘ってくれと呼びかける。
おお、皆の力を合わせて立ち向かう展開!
好き。
報道陣が日本全国に希望を伝えるのは、うしおととらの白面戦を思い出す。

第121話 勇気と檻

千の呼びかけを否定する者もいれば、受け入れる者もいる。
怪人のおっちゃんの娘さん!
怪人のおっちゃんの娘さんじゃないですか!
変身した姿が父を連想させるデザインになってる。
怪人になっても優しさを喪わなかった心は伝わっていたんだな。
怪人のおっちゃんに見てほしい。
ここまできたらクラスメートが奮戦する光景も見られるだろと思ったらそんなことは無かった。
えー……。
こんな時でもギャグは健在。
おまけで無事変身できたことが分かりましたが、描かれなかった理由が、その……仕方ないね。

場面は変わって椿とケンジが描かれる。
怪人刑務所の緊急ロックを作動させねばならない。
椿がやられている。ケンジが男を見せるか?

第122話 先輩と後輩

怪人は、椿を助けたければ要求を呑むようケンジに告げる。
必死に逃げるよう訴える椿が、らしくない。いつもの彼ならばもっと冷静に振る舞うだろうに。
椿とケンジの過去が明かされる。
甘さを残している椿が政府ヒーローを選んだ理由を深く考えていませんでした。
……凄惨だった。
椿が人質に取られたことで大好きな人も仲間の子供達もなすすべなく殺された。
ケンジと椿の付き合いも長かったんだな。
椿の「多数を救うために少数を切り捨てる」姿勢は、少数を見捨てられなかった結果どうなるかを知って培われたものだった。
助かった少数の側である椿が多数を優先するようになったのが哀しいなあ。
少数を切り捨てるのは正しい=自分が助かったのは間違っていると思い続けてきたことになるじゃないですか。自分を責めたまま。

それにしても、この世界のヒーローには人質が有効すぎる。
登場時は非情さについていけないと感じたはずの政府ヒーローが必要だと思ってしまう。
命を数で計算するヒーローもいないと怪人の悪辣さに太刀打ちできない。
怪人の卑劣さに対抗するため、十のために一を捨てるつもりでいた椿。
彼には、自分が一の側になっても切り捨てられる覚悟があった。
いいですねえ。
多数を救うために少数を切り捨てるキャラは、少数の側に己も含めることができるかどうかで私の中での評価が激変します。

しかし、後輩であるケンジは一の側を……椿を見捨てられない。
彼は自分が切り捨てられる側に回ることで椿や多くの人々を助けようとする。
そんな想いは人質を利用するような怪人には通じなかった。
胸を貫かれ、ケンジは崩れ落ちる。椿が目を見開いている……。
椿のモノローグにグッと来た。
ケンジが椿を見捨てないように、椿もケンジを見捨てられるわけがない。
椿さん、あんたやっぱり政府ヒーローに向いてないよ……。
十を救うために一を捨てることを貫こうとしているのに、敵の卑劣さや現実の無情さを散々思い知らされたはずなのに、できないんですから。
今まで素直じゃないと言われてきた椿が流す涙は重いな。

敵に切り裂かれた椿の体が白い炎に包まれる。
その姿……フェニックス!?
鷹から不死鳥って進化しすぎでは?
その力でケンジを復活させられませんか?
刃もお願いします!

第123話 甲虫と不死鳥

不死鳥モチーフの相手を焼き鳥呼ばわりすんなよ!
確かに焼けてる鳥だけど!
上手いこと言ったつもりか。

椿の新たな能力発動。
『血の霊薬』と書いてクリムゾンエリクサーと読む。
基本的に必殺技の名前がシンプルな世界では凝ってる方です。
流れ出た血が炎に変わり、その炎が傷を癒す。
攻撃ではなく回復が伸びるのは嬉しい。
単純な攻撃力なら他のキャラに任せればいいんです。

部下に恵まれていると語る彼のもとへ援軍のLAWが到着!
椿だけは見分けられるようになったって、さりげなくすごいな。
特別な存在なんですね。
椿はいい上司やってたもんな。
LAW以外のロボットは見分けがつかないままだが、椿は自分も巻き添えになる覚悟で攻撃するよう指示。
多数を救うために少数を切り捨てる姿勢で、少数の側に自分も含めるタイプなので、好感度がぐんぐん上がる。
容赦を願う怪人に淡々と却下。
「そういうのは受け付けてないんで。俺ァ政府ヒーローですから」
熱いなぁ。
怪人を撃破し、ケンジの傷も治療。
これ以上血を流せとは言えないけど刃も助けてほしい……。

少しは事態が好転したかと思いきや、怪人達がボスと呼ぶ存在の拘束が解けた。
最強クラスに相応しい外見してやがる。

おまけはユウロ……零についてです。
モチーフはあれだったのか。色んな能力使って便利すぎやしないかと思ってました。
彼が望んでいたのははほのかが千と不自由なく暮らしていく光景で、そこに自分の姿はなかった。
方向がズレていると感じずにはいられない。
自分もその光景の中にいることを目指して進めば、詫びながら死んでいく結末は避けられたかもしれません。
巻末のおまけ漫画と合わせると、そう思います。
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