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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

1000円ヒーロー 12巻

1000円ヒーロー 12巻

刃が表紙!?
何回目だ。
ものすごく嬉しい、嬉しいけど……!
一番好きなキャラなので祝福したい気持ちと、他のキャラとの不要な比較が発生してしまうのではないかという恐れが半々です。
無用の心配で終わることを願いつつ、改めて表紙の感想を。
刃がカッコいいし、彼女が映っている!
色彩や輝きが綺麗だ……。
この巻には刃がほとんど登場しませんが、それでも描かれてよかった。
刃の涙を流す表情がいい。
余裕綽々なキャラを演じているけど、彼に似合うのはやはり泥臭くあがく顔ですよね。
相変わらず襟が長い。進化してない?


第124話 最悪と厄災

新たなる敵アバドン。
名前も強そうだし「最悪にして災厄の王」という肩書も強そう。
バッタモチーフの怪人が弱いはずない。
同じ陣営であるはずの怪人すら餌扱いするのが恐ろしい。
いきなり椿の腕がちぎられた!
単純な力は自分より遥かに下の椿のことも侮らず、認めるべき点は素直に認める。
強者感溢れる物腰です。

で、出た!
「人間が牛や豚を食べるのと同じように自分も食事してるだけなのに、非難したり邪魔したりするのはおかしい」論だ!
理屈自体は他の作品でもよく見かけますが、怪物が人を食べる時に言うのではなく、怪物が怪物を食べて言うのは珍しいですね。
怪物が人を喰うなら「そう言われたところで『どうぞ召し上がれ』とはならんだろ、抵抗ぐらいするわ」とツッコみたくなりますが、怪物が怪物を食べると反論しづらい。
自己申告とはいえ人間を傷つけたことがない、自発的にヒーローを襲ったこともないと言われるとなあ。
「人間を脅かす怪人を始末してくれるなら好都合では?」という考えがよぎってしまう。
人を襲いたくない者、穏やかな生活を望む者もいることを忘れて。

アバドンの体質は、本人が語る通り極めて特殊ですね。
食べても食べても空腹で、あのまま投獄されていたら餓死していた。
満腹感や充足感が得られないのは辛いだろうな……。
今度は「ヒーローが怪人を殺すのと何が違う?」論が出てきました。
これも普通の、人間を襲う怪人から言われたら、
「まず怪人が襲ってくるからヒーローが戦わざるを得ないんだろ……」
「怪人の方が圧倒的にえげつない」
と即答できますが、アバドン相手だとどう答えればいいんだろう。
弄ぶなど無駄に残虐な真似はせず、生きるために殺している。
ヒーローは守るものに仲間や一般人の命も含んでいますが。

アバドンの「ヒーローは怪人を殺すんだから、怪人が怪人を殺すのも止めるな」という主張に引きずられながらも、ちょっと待ったと言いたくなります。
この作品のヒーローの大半は殺さずに済むならそうしますよ。改心や更生を望んでいる。
そして、椿がアバドンを止めるのはそれだけじゃない。
そうなんですよね。
現在人間やヒーローの体内にもデザイアメダリオンがあります。彼らを食わせるわけにはいかない。
勝ち目がない戦いに椿が挑む。
アバドンの驚異的な特性が明らかになる。
食事を行うと分裂し、同じ能力を持ち意識を共有する自分自身を生み出す。
何だそりゃ……反則じゃないか。
ルードとどっちがヤバいんだろう。
絶望的な状況であっても椿は退かない。
刃の台詞が、彼の背を押すから。
……熱いなあ。
刃の影響の大きさよ。
普段前髪野郎呼ばわりして軽く扱っていても、肝心な時は重さを発揮する。
無粋かもしれませんが、もう少し刃に伝えてやれよという気がしなくもない。
心から認めていることに相手が気づかないまま退場なんてことになったら悲惨だぞ! 読んでいる私の心が!

絶体絶命のピンチに救援が来てくれた。
嬉しいけど安心できません。これであっさり倒されるわけがない。

第125話 急行と時間

馬場だけでなく麗華や貴崎も加わった。
椿と貴崎の再会! 感動するどころじゃない!
ダイコクさんの中に入ってたから当然ですね。
むしろ着ぐるみ着てる状態で再会する方が気まずいかもしれない。
贖罪のために生足晒し続けてるわけですから。

千が来るまでの五分を麗華達が稼ぐ。
アバドンは単純な身体能力だけでも厄介なのに、慢心しないところが最高にやりづらいですね。
チャージ能力の強さを身をもって知っているから封じる。使わせない。
いくらベルトが強化されても、性能を発揮する暇を与えてもらえないんじゃどうしようもない。
再度アバドンが「怪人を殺す怪人をヒーロー達が止める理由」を問う。
怪人を殺すヒーロー達が、怪人が怪人を喰うのを命懸けで止める理由。
麗華の答えは……殺さないと止まらない奴は殺すが、殺さずに済むならやらない。
ここまでは彼女の今までの行動から分かっていたことです。麻衣の時も殺して終わりではなく、穏便なやり方で事を収めようとしていました。
もっと端的に言ってくれました。
命を守るためなら命を張る。たとえそれが怪人だとしても。
同児に聞かせたかった、この答え。
千と刃だけが持つ考えではなく、ヒーロー達が抱いている。

麗華の答えを聞いたアバドンが、他のアバドンを殴る。
お、お前!?
ここで登場するとは思わなかった。
彼を生かした時、「いくらなんでも甘すぎるのでは?」という疑問を抱かなかったといえば嘘になる。
それでも生かすのがこの作品であり、ヒーローだと考えて納得しました。
今、その方針がいい方向に働いてくれた。
改心や善意による行動ではなく、自身の安全のために協力するらしい。
それでいいよ! ありがてえ!
いきなり絆に目覚めたと言われるより説得力があります。

第126話 蝙蝠と美学

洗脳系の能力の使い手はコソコソ隠れて使うもの。
確かに、そんなイメージがある。
パラサイトヴァンパイアも以前はそうでした。今回はそうしていられない状況だから姿を晒してるけど。
元は怪人に寄生するタイプではないこともアバドンは見抜く。
本当に厄介だな……。
単純な強さ以上に、相手を侮らず分析を怠らない姿勢が恐ろしい。多くの怪人を喰らってきた経験が、まさに糧となっている。

数えきれないほど分裂するものの、ボスが各自に指示を出しているわけではない。
全員が意識と感覚を共有し、完璧に統率されている。
ボスさえ倒せば終了、というわけにはいかない。
その特性を逆手に取り、パラサイトヴァンパイアとヒーロー達が連携して撃破していく。
パラサイトヴァンパイアもすごいな。
寄生している個体にも思考が伝わってくるからそれに合わせて動き、他の分身を攻撃するわけですが、よくそこまで使いこなせるな。
器にしたばかりで、元は怪人に寄生する体質じゃないのに。
本体が貧弱な分、能力が飛び抜けて強いのかもしれない。

分身の数が減っていくが、アバドンもこのままでは終わらない。
冷静にパラサイトヴァンパイアに交渉する。
その体をやるから邪魔するな。空腹でも狙わない。
「やられた……!」と思いました。
乗らない理由がない。これまで外道なことしてきた印象が強すぎる。馬場の「血も涙もねぇ極悪怪人」に全く反論できない。
彼の答えは……。
「嫌だね」
絵がギャグっぽくなってる!
これにはヒーロー達も唖然。この瞬間だけギャグ空間。
私もヒーロー達と同じ反応でした。

彼は寄生する者としてのプライド・美学を熱弁。
「自分より強い者の身体を乗っ取るのは最高だ」
「最凶の怪人などと呼ばれる怪人の身体を乗っ取ってやったなど絶頂ものだな」
「自分がハメた相手の得になるようなことをしてやるものかよ」
「貴様が負け、滅び悔しがる姿を見て、最高にオツな気分になるというものさ」
さ、最低の発想だっ……!
ここまで行くといっそ清々しいわ。

危険を承知でずっと力を溜めた麗華も覚悟決まってる。
刃や貴崎があれほど危ない目に遭ったのに、耐えた彼女の精神力は簡単に値する。
これならいけるかもと思わせて、また形勢が逆転する。
アバドンは己の性質を利用してパラサイトヴァンパイアを引き剥がし、盾にした。
攻撃できないもう駄目だ……と落ち込みそうになりました。
「ヒーローは自分の味方になったものをそう簡単には見捨てられん。たとえ怪人といえどもな」
アバドンの言う通り、この世界のヒーローは人質に弱いんですよ。
一般人は言うまでもなく、怪人まで救おうとするようなお人よしばかりです。
麗華もそうです。
たとえ外道な怪人でも共闘した以上、割り切って処理できるような性格じゃない。

パラサイトヴァンパイアもヒーロー達の甘さはよく知っている。かつて人質を利用して散々ヒーローを弄んだのだから。
彼はヒーローを大馬鹿と評し……自らアバドンの口に身を投じた。
食欲を抑えられない性質を利用して、人質でなくなるために。
お前……! ずるいだろ、お前!
自分から喰い殺されることを選ぶなんて。
以前彼を始末しなかった時、「改心する可能性皆無の外道なのに」という気持ちがありましたが、彼にも想いが届いた。
麻衣、マッハマン、そして麗華の言葉が彼の心を動かしていた。
その事実こそが、先ほどのアバドンの問いに対する麗華の答えとつながります。
麗華の答えは「怪人を殺さずに済むならそうするし、命を守るために命を張る」だった。
そして、そうする理由は『怪人も変われるから』になりますね。
 
血まみれになったパラサイトヴァンパイアは忠告を遺して食い殺された。
協力したのはあくまで自分のためだと主張するだろうけど、それだけなら自分がもう助からない状況でわざわざ忠告する必要はない。
こんな最期を迎えるとは思っていませんでした。
ごめん。
無惨な光景を見た麗華が怒りを抱く。
変わりかけていた心を想いを馳せ、さらに変化する機会を奪ったアバドンに必殺技を叩き込む。
かつてパラサイトヴァンパイアに苦しめられた彼女が、彼のために憤った。
麗華もカッコいいよ。
ニルといい、パラサイトヴァンパイアといい、自分に酷いことした相手を想える彼女が好きです。

おまけはカブトムシ怪人のカブタロスについて。
カブトムシモチーフの怪人は強者の印象が強い。クウガの影響ですね。

第127話 絶対零度と共食い

絶大な反動覚悟で大技を繰り出す麗華はカッコいいけど、アバドンも退かない。
自分を盾に自分を守る。
堅実に対処する姿勢が厄介です。
うわああ、麗華の腕がちぎれた!
好きなシチュエーションだけど見たくない。
再生する種族や能力があるならともかく、そういうのがない人間の腕がちぎれるのはちょっと……。

まだアバドンは滅びない。
凍りついた自分を喰って分裂した。
自分自身も駒とみなして行動する敵は厄介だ。
五分が遠い……と思ったら千が到着!
来てくれた。
ヒーロースーツが半分焼けただれた姿がカッコいいなあ。
ほのかの怪人態と似ていますね。
千の嘘を見抜く麗華、さすが。ベルトの副作用を経験した直後という理由もあるけど、千の人となりを知っているためではないでしょうか。
千の強さを体感しながらもアバドンはやはり冷静に状況を分析し、手を打つ。堅実。
データを集める一方で食料を一個体の強化に使う。
もっと狼狽してくれてもいいだろ……。

おまけはアバドンについて。
やっぱり「怪人しか襲わないなら放置すべき」という意見も出たか。
仮に自由にさせたとして、心配なのは彼が怪人を喰いつくした時のことです。
勝手に都合のいい存在だと決めつけたら代償を払うことになるでしょう。
うげえ、レート100ヒーローが……!
食べなくても体がもつはずなのに、耐えがたい空腹感に苛まれるのか。
飢餓感は肉体ではなく精神から生まれるのでしょうか。

第128話 諜報員と食料

読者のヘイトを高めてきたスパイ怪人の正体判明。
政府ヒーローにもぐりこんだユニオンプライスの構成員という顔の下にもう一つあった。
アバドンに忠誠を誓っていた彼の末路は言うまでもない。
暗躍してきた者に相応しい最期です。
強き王の糧になったことを光栄に思えばいいんじゃないかな。

アバドンは特別な白い個体を生み出した。
分裂ができない代わりに、食えば食うほど強くなる個体、ホワイトアバドン。
ただでさえ強いアバドンがますます強化される?考えたくない事態だ。
実際の強さはどうかというと……千のフレイムサイクロンをくらっても、無傷。
倒せる気がしない。

緊迫する展開の最中、おまけのユグ様に笑った。お久しぶりです。
自称か。

第129話 業火と白蝗

これほど強いホワイトアバドンも、通常個体と同じく慢心はしない。自分の強さを正確に把握している。油断してくれよ!
ベルトのチャージ能力の正体について千も悟った。
怪人の部分の力を引き出すから刃や貴崎が暴走しかけた。
千の姿が怪人のそれになっている。
でも今の千なら大丈夫なはず。
アバドンが千に噛みつく。やめてください。
殴られたりビームくらったりするより噛みつかれる方が痛そうに見える。生々しいというか。

千が手に持っていた、同児の形見のメダリオンに食いついてしまうアバドン。
そうせずにはいられない姿がどう見えるか、自覚してるのは辛いなあ。
理知的なだけに、そんな彼でも逆らえない衝動がどれほど激しいのか伝わってくる。
「生まれつきの、嫌だと思っても変えようのない性質を抱えて苦しんでいるキャラクター」は色々考えたくなりますね。ダイ大のミストバーンもそうです。
千の炎から逃れようとしたアバドンを止めた者がいる。
メダリオンに宿った存在がアバドンを掴んでいる。
お前が来たか。
「どうやってそんなことを」と疑問に思う状況ですが、何かこう、スッと納得できた。

今回のおまけはホワイトアバドン。
思わず何度も言いたくなりますが、アバドンの恐ろしさは単純な強さや分裂という特殊能力だけでなく、勝利のために淡々と策を練り、実行するところだと思います。

第130話 過ぎし日と白炎

アバドンは食欲の赴くまま生きてきたことを間違っていたとは思わないと語る。
しかし、本当にそうなのか同児から改めて尋ねられると、思うところがある様子。
彼の過去を知ると、間違ってないと考えないとどうしようもないから、そう思おうとしている感がある。

怪人を食べ続けるのが間違いだと言うなら、最初に飢えて死んでおくべきだったことになってしまう。
だったら彼女の死はどうなる。
恩人を食べて生き延びたのだから、今更否定するわけにはいかない。
そういった想いが根底にあるのではないでしょうか。

アバドンと恩人のやり取りは悲しい。
空腹がほんの少し和らいだのなら、彼女が怪我せずに帰ってきていつもの日々が続けば満たされたのでしょうか。
それとも、最終的に何を食べればいいか知ってしまうのか。
アバドンを責めるどころか気遣う彼女の優しさが胸を抉る。
それにしても、怪人の心に寄り添うのが同児なのが沁みますね。
怪人になった不安や恐怖、自分を正当化する過程、それらを知る同児の言葉だからこそ届いたのかもしれない。
ヒーローではアバドンの心を救えなかったでしょうけど、だったら悩める彼を救った同児は何と呼べばいい?
ベルトの有無で判断した場合ヒーローと呼べなくても、広い意味ではヒーローなのでは。

千はアバドンに苦痛の無い炎を贈る。
同児が、千が怪人の心を思いやるヒーローだと感じてくれてよかった。
今度こそお別れです。
悲しい展開ですが、救われた気持ちもあります。
同児の想いが千に、千の想いが同児に届いてよかった。
千は「同児は俺のことを傲慢なヒーローだと疎んでいる」と勘違いしたまま終わらずに済んだし、同児も「自分が千の立場だったら同じことをしただろうに、責めてしまった」と悔恨を抱えて退場することにはならなかった。

アバドンが最期に手を合わせたのは「ごちそうさま」か。
自分が生きるためだけに多くの命を貪ったけれど、そこに悪意は一切なかったからな。
むしろ己の命をつなぐものとして感謝していたはず。

しんみりした空気から一転、主に麗華が大変なことに!
怪我を心配する千がギャグ顔になってる。
麗華の手当てをする貴崎に心が温まりました。
でも麗華の腕が……顔も憔悴してる。治療と回復に専念してほしいけどそんな状況じゃない。

第131話 類似と発覚

つなぎマン……。
明らかに実力差がある相手にも向かって行くのか。
この作品のヒーローは大体そうですから、とやかく言う気にはならない。無茶でもここで踏ん張らなかったら被害が拡大するからなあ。
正義感以外にも、仲間のために情報を得るという理由があるので納得しやすい。

つなぎマンの特殊能力は強力でも、スペックが飛び抜けているわけではありません。
ですから、「心を読むことが出来ても単純な地力の差で圧倒されてピンチ」な展開がくると予想しました。
違った。
え、そっち?
相手の情報を得るつもりが、自分の能力がバレた。
これは焦る。
ただ強大な力をぶつけられるより恐ろしいかもしれない。

彼の窮地を救ったのは仲間達。
よかった、間に合った。
つなぎマンの心配をする馬場、「つなぎマンのそういうとこ好きだぜ」と呟く千など、彼らの台詞が地味に好き。
麗華も参戦。
片腕失ってるのに戦う彼女は気丈だ。
レディブレイズのメダリオンを取り戻すために闘志が膨れ上がっているのかも。
彼女が隙を作り出し、つなぎマンが情報を読み取ることに成功する。
怪人とヒーローの発生原因が明確になった……!
敵は恐ろしい力を持っていて、まだ能力の底が知れていないのに、不思議と晴れ晴れとした気分になりました。
例えて言うなら、RPGでこちらの攻撃を無効化していたボスが、攻撃力や必殺技がパワーアップした代わりにこっちの攻撃が効くようになったかのような爽快感。
元凶がいるなら殴り倒して解決できる!

第132話 不老と不死

ラスボスが動機を語りだす。
いいですね。同情する気になれないところが。
根底にあったのが「死ぬのが怖い」という単純で共感できる想いなのもポイント高い。
誰にでもある思いを極限まで膨れ上がらせた結果がゲス煮込みですよ。
母親の説得の台詞がダイ大のポップの母親に似ています。
「人間はいつか必ず死ぬから一生懸命生きる」系の話は、それだけなら特に何も思いません。
ただ、異種族の登場する作品で「寿命が長くだらだら生きる種族より輝いてる」という方向に行くとあまり納得できません。
だらだら生きてるように見えても本人は必死だったり充実しているかもしれないし、眩しく生き抜くかどうかは種族や寿命で決まるものでもないと思う。

有理の異常なまでの死に対する恐怖。死を克服しようという執念。そして医療や薬学に関する才覚。
それらが「自分さえ良ければ」という身勝手さのもとで噛み合った結果、最悪な事態に発展。
方向が違えば人類に莫大な恩恵をもたらした英雄となれただろうに。
最初の怪人の拷問じみた扱いもコイツのせいかよ!
倒したヒーローが謝罪しているのにコイツは全く悪いと思っていないのが胸糞悪いですね。
「死なないでくれ!」と願うなんて、シチュエーションによっては熱く切なく胸を打つだろうに。

有理の顔でユウロを思い出して混乱してしまう。
怪人とヒーローの違い、不老不死を目指すうえでのメリット・デメリットを検討し、有理は実験を進める。
怪人とヒーロー……有理いわく「超人」の体内には金属質の臓器がある。デザイアメダリオンですね。
強い負荷がかけられると怪物になり、強い意志を持つ者はベルトを使って変身できる。
ヒーローと怪人の力の源が同じ展開は予想したけど、本当に紙一重だった。
有理がなおも怪人やヒーローを生み出し続けた理由は「不老不死に近い能力を持つ怪人のメダリオンを自分に移植する」ため。
デザイアメダリオンを回収したい有理にとって、メダリオンを破壊するレディブレイズは邪魔だから、追い詰めて姿を消すよう仕向けた。
再生能力を持つ怪人も発見。
この男の狙い通りに物事が進むな。
胸くそ悪い所業、胸くそ悪い笑顔、そこに現れるルード。
期待していいのか?
このバカが目論見をぶち壊すと期待していいのか?

おまけは有理の生贄にされたラナリオ。
可哀想としか言えねえ……。非力で可愛い外見だからますます気の毒だという気持ちが加速する。

第133話 挫折と渇望

命のストックを大量に作り出した有理の笑みがゲスい。守りたくない笑顔。
順調に見えた有理の生活を……。
ぶち壊した!
かき回した!
期待に応えてくれた!
よくやったルード!
正義感の欠片も無いのに元凶を追い詰めるルードパねえ!

ルードが有理と組んだせいで主人公達への被害が大きくなるわけですが、それはそうと爽快。
いやー、ルードいいわ。
ニルを殺したのは許せないけど、顔も見たくないほど嫌いとかおぞましいとかは思わないんですよね。
軽いノリで過激なことするのに、妙に親しみやすさがある。

レディブレイズを死に追いやったせいでルードに対抗できない。
貴方のせいですね。
ルードショックで半分しか擬態できなくなった。
貴方のせいですね。
恵理視点だと不気味だった有理の姿ですが、実はバカに追い詰められたものだった。
ルード対策でメダリオン分解剤を開発することにした。ルードは紛れもなく悪役なのに、ここまで黒幕追い詰めて物語動かしてる……。
ルードとの嬉しくない再会、そして零との出会い。
有理も有理で波乱万丈だ。

物語は現在に戻り、つなぎマンの得た情報を守るため仲間達が死力を尽くす。
危険を冒す彼らを有理は命を捨てる異常者呼ばわり。
それは違うだろ……。
命を捨てるためではなく、仲間や一般人の命を守るためにしているんです。
自分の命しか守るべき対象にカウントしていない有理には理解できないのでしょう。
大体、ヒーロー達が有理の言う「異常な」行動に駆り立てられているのは非常事態……異常な状況だからで、有理が招いた事態です。

つなぎマンが、仲間達が「繋いだ」希望を千が受け取る。
千が順番に仲間の名を呼ぶ中で真っ先に麗華を挙げるのは親密度的に当然なんですが、そんな些細なことが嬉しい。千と麗華の組み合わせも好きなので。
つなぎマンの身体を支えるのが熱い。

第134話 激昂と開発

千がつなぎマンの身体をそっと横たえてくれた。変身解けたからありがたい。
今の有理は不老不死だけでなく、最強の力も求めている。千やルードに殺されないように。
あのー、彼らのとんでもない力が生まれたのは、貴方が怪人やヒーローを作ったせいだと思うんですが。
死にたくない一心で犠牲を顧みずに突き進んだ結果、敵や障害が増えていく。
欲望をコントロールして周囲と協調してやっていけば、それらは発生しなかっただろうに。
今の有理にも勝てるかもしれないルードって……。
それに勝った刃もとんでもないんですが、その刃をザコ呼ばわり。
お前な……。脅威だったルードを倒した男を雑魚扱いするのはおかしいだろ!
死を恐れるわりに危険を認識できていないんじゃないか?

ヒーローは超人のなりそこないの失敗作。
そう偉そうに語る有理を千がぶっ飛ばす!
犠牲になった者達の中に同児やヴァイタミンを挙げてくれたのが嬉しい。
障害が次々現れる現実に狼狽える有理。
努力は何故報われないって……敵を増やすようなやり方で突っ走ったら当然の結果として障害が発生しただけの話では? 努力するのはいいけど方向性がまずい。
努力しているのも死にたくないという願いを抱えているのも有理だけじゃないし、命や生活ごと踏みにじられれば抵抗するよ。

金欠の隙をほのかが補った。
おお、ほのか!
怪人とヒーローの力が同質なら、不可能ではない。
彼女の切り札は恵理が作った薬。怪人を人間に戻すもの。
死を恐れ、逃れようともがき、超人になるために歩んできた男が、ただのすぐに死ぬ人間に引き戻される。
因果応報。
最高に相応しいと思います。

おまけの有理の軌跡に思わず「うおっ!」となりました。
ここまで執念と行動力、能力を備え、数々の成果を生み出しながら、辿り着いたゴールが世界を敵に回し皆から袋叩きにされる展開というのが酷い。
また、つなぎマンの能力の詳細が説明されました。
知りたいことを何でも細かく読み取れるわけではない。
しかし有理には的確に刺さった。下手に知識があったのが仇となったか。

もしもバトルはアバドンとルード。どちらも脅威である夢のカードですね。
ルード強いな!
あれほど猛威を振るったアバドンにそこまでやれるのか。
色々雑なルードより効率的に戦うアバドンの方が有利だろうと思ったのですが、そうじゃなかった。
気分で動くのを精神面の隙と捉え、それがなくなった時のことを全然考えていませんでした。
ルードが遊びを捨てれば脅威度が跳ね上がる。
即怪人態からの攻撃連発されたら無理ゲー・クソゲーです。
戦闘の楽しさを優先する姿勢は、隙というより、ただの無理ゲーをかろうじて戦闘の域に落とし込む調整なのかもしれない。
刃がルード視点でおもしれー男だったから逆転できたのかも。ただの障害物認定されて淡々と潰されたらどうしようもなかった。

怪人刑務所やブレイズドライバーレプリカの詳細も記載されています。
アバドンの恩人、シルキーヌの話も載っています。
あの、重いんですけど……。
子とアバドンを重ねたらしいことは本編でも語られましたが、〇〇〇〇だったところまで重ねていたのか。
落ち込んだところで巻末漫画に癒されました。
ケンジ……。
目立たないヒーローでも一人一人に「英雄譚」がある。
心が温まるエピソードでした。
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