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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

1000円ヒーロー 13巻

1000円ヒーロー 13巻

いよいよ最終巻です。
表紙を飾るヒーロー達におめでとうと言いたくなりました。
よかったなぁマッハマン、つなぎマン。
すでに登場した刃や麗華も、改めて載ってくれて嬉しい!
小さいけれど椿もいる。
千の表情が穏やかというより物憂げに見える。何故いなくなってしまいそうな表情を浮かべるんだ……。
前向きに捉えるならば、戦いの終わりが近いことを感じているのかもしれません。


第135話 薬と合成

メダリオンを分解する薬を作ろうとした理由がルード用ってのがすごいな。
黒幕から最大の脅威認定される戦闘狂の鑑。
バカは制御できないからな。災害みたいなもんだ。
主人公側どころか同じ陣営のキャラまで敵に回りかねないのがラスボスの辛いところ。
やってきたことが返ってきただけとも言えます。
他人を踏みにじりまくるやり方でなければ、最後まで味方してくれる者もいたかもしれません。

薬を作成した裏側には恵理達の奮闘があった。
彼女の前に立ちはだかったのはパスワードとカードキー……っておじいちゃん便利! 素敵!
リモコンでクスッときて忘れそうになるけど、その気になればいくらでも悪用できるぞ……。
彼の人柄が温厚で助かった。怪人を追い詰めるためなら手段は選ばない人物だと危なかった。
ここで雷童と風雅の過去話。
体が弱く頭がいい兄と、体が丈夫で喧嘩が強い弟。
昔は風雅が雷童を守ろうとしていた。
ま、まともだ。怪人殺してヒャッハーするようになるとは思えない。
この頃は役割分担できて上手く回っていたんですよね。
しかし雷童がヒーロー、しかも風雅よりレートが上になったことで変わってしまった。
自分が守ってやろうと思っていた相手が、自分より遥かに強い存在になった。
これは拗れるパターン……。
風雅が強さに執着するようになったのはそれからだった。

ブルールにも言えますが、もっと強い奴が現れたからといって、彼らの長所がなくなったわけではありません。
実力者であることは事実で、力を発揮する機会も、必要とされる場面も、いくらでもあるでしょう。
それでも彼らは自分の存在が否定されたように感じてしまった。
彼らにとっては力こそが最も誇れる武器ですから。
風雅には色々言いたくなるけど、心の動きは共感できる部分もあります。
最大の長所だと思っている要素を遥かに上回る存在が何人いても己を見失わず、焦らずに歩んでいくのは難しい。
特に風雅の場合は相手が兄弟ですから、周囲から比較されて意識せざるを得ない。
また、雷童が病弱だったことも大きいかもしれません。
守ってやるという気持ちが強かったからこそ、それがなくなった反動も大きかったのではないでしょうか。
頭が良くてレートが高い雷童は素晴らしいけど、それで風雅が要らなくなるわけじゃないのになあ。
どんなヒーローでも一人で全てを解決することはできず、傷つくこともある。
二人が心を一つにして戦えば、単純な戦闘力を合わせた以上に強かっただろうに。

恵理に話を戻します。
ユウロが残したメダリオンのデータが薬剤制作の決定打となった。
……もっと早く出会っていれば。
彼が千に歩み寄り、恵理と協力できていれば、事態は大きく変わったかもしれない。

絶体絶命の窮地だが、有理は諦めない。
まだあがくのか。
ラスボスとして素晴らしいと感じる気持ちと、いい加減にしろと叫びたくなる衝動の両方がこみ上げてくる。
努力を重ね苦難を乗り越えた己の道を誇る有理。
悪役の「いいこと言ってるように聞こえるけど多くの人間を犠牲にしてますよね」な台詞が大好きです。
『からくりサーカス』のフェイスレスの「夢は必ず叶う」とか。
主人公みたいな台詞を吐く黒幕は、叩き潰されるところまでセットで好きになる。
努力を重ね続けたと言うけど、生きたいと願っているのも努力してきたのも貴方だけじゃないんですよ。
生きたい気持ちやそのための努力が報われるべきと考えるなら、無数の人々の同じ想いを踏みにじるのはやめなよ。

第136話 究極と猛攻

有理はメダリオンの力を一つにして、究極の存在として「再生」する。
怪人化によって生まれた悲劇が再び起こることのないよう、有理を倒そうとする千だが……。
有理の新形態お披露目。
デザインが神々しいのが腹立つなぁ。頭に茨の輪とか腰布とか。
不老不死を目指しただけあって若々しくなってる。
「おやおやぁ?」の顔がイラっとくる。そうやって余裕こいてると痛い目に遭うぞ。多分。

有理はメダリオンのエネルギーによる盾を纏っている。
メダリオンは内部にあるため破壊することはできない……と思いきや、突破できる者もいた。
ユウロや刃がそうだった。
刃はもう死んだと言うけどふざけんな!
刃は戻ってくるに決まってんだろ!
読者の想いに応えるかのように刃を復活させようとする男がいる。
椿ィ!
だよな、あのまま退場なんて認めない。
カタカタ震えながら椿を止めようとする白駒さんがいいんですよ。
本当なら、絶対に刃を助けてと叫びたいはず。それなのに、自分の身を傷つけて刃を救おうとする椿を止める。
答える椿が心なしか優しく感じられる。
普段刃に辛辣というか遠慮なく言葉をぶつけるけど、彼女に対しては違います。大人しい性格の少女であり、守るべき人々の一人だからでしょうか。刃みたいにアホなことはしないためか。
刃に命を救われた椿が命懸けで刃を助けようとする……熱い!
乱暴な口調で必死に呼びかけている。いつもの彼自身が見たら冷静になれと諭しそうな姿だ。
冷徹であろうとしているけど、そうなれないのが椿なんだよな。
刃、立ってくれ!
死ぬほど傷つき疲れてるけど、もう少し、もう少しだけ。

変身したほのかの説明でさらっととんでもないことが書いてあります。
変身したてでありながらレートが高いのに、さらに上がる可能性がある。

第137話 死後と魂

椿が血を、命を振り絞って刃を救おうとしている。
登場時のドライさ……一般人を処理しようとした時の酷薄さからは考えられない。
刃もだけど、椿も熱い奴になったなぁ。刃の与えた影響が大きい。
椿を止めようとする白駒さんがいい子だ。
先ほども述べた通り、彼女の立場だったら刃を助けてと縋りたくなる状況です。彼女がそう要求しても責める気にはなれません。しかし彼女は椿を止める。
単純に、椿の命を心配する気持ちも大きいでしょうけど、他に重要な理由がある。
それで椿が死んだら、刃は自分が死ぬより悲しむから。
刃をよく理解していらっしゃる。

白駒さんに止められても、自分の限界を察しても、椿は止めない。
能力を手に入れた時から決めてたって……覚悟が固いし想いが深い。
どちらも刃に生きてほしいという想いは同じなんですよね。そうでありながら椿を止めようとする彼女と、止まらない椿の対比が美しい。

刃は三途の川手前まで来ていた。
魂だけでなくあの世も存在し、明確に描かれる世界のようです。
刃は己の死を静かに受け止めた。いや何あっさり受け入れようとしてんの?
感動の再会は後にしてください。数十年後くらいに。
会いたい人に、じいちゃんばあちゃんだけでなくニルや千の母を挙げたところで「うぐっ!」と刺さりましたが、まだ駄目だ。

死者の列に加わろうとする刃を引き留めた人物がいる。
弔ってもらえなかったり未練があったりすると、川を渡ることはできない。
そう語る穏やかそうな眼鏡の男性は、怪人のおっちゃんだった。
千が助けた怪人達が刃と邂逅する。
おっちゃん、同児、ヴァイタミン、零!
ヴァイタミンは怪人態の印象が強すぎて人間の姿に違和感を抱くレベルなので、怪人態になってくれて助かった。

零が沈痛な面持ちになっている。
当たり前だよな。
彼の過ちによって家族も世界も大変な目に遭ってるからな! 現在進行形で。
ちゃんと自覚、反省しているようなので良かった。
彼らは刃に自分達が千とどんな関係だったか説明し、刃の口から千の話を聞こうとしている。
千と深く関わっている者達が刃と喋る構図、いいなあ。緊迫した状況なのにもっと見ていたい。
千と刃は強い絆で結ばれており、二人とも怪人を問答無用で滅ぼすヒーローじゃないので、片方と仲良くなれたらもう片方ともいい関係を築けるのも頷ける。
特に、同児と刃の会話が盛り上がってるのが心温まる。同年代で、千と親友同士ですから。
以前は刃を始末しようとした零が「いい友達」と認めてくれたのが嬉しい。

零は刃に千を救うよう頼み、千が窮地に陥っている現状を見せる。
退場する時の「バケて出てタダ見」を実行していますね。こんな使い方をするとは。
存在の消滅を覚悟して魂ごと力を与えようとする彼らに、刃は熱く答える。
必ず彼らの想いを千に伝えると。
千が助けた怪人が刃を救おうとしている。千→怪人→刃のリレーに胸が熱くなります。
魂を削っていく怪人達の表情が好きです。澄ました表情が多かったユウロの姿で汗かいて苦しげな顔するのはグッとくる。
おっと、ここで刃を引き留める声が。
最後に登場したのは貴女か。
……来ると思っていました。

第138話 黄泉と約束

ニルは刃に生きてほしいと思いながらも引き留めてしまう。
せっかく再会できたのに離れたくないよな。
刃が生き返ったら何十年も会えないという言葉には同意しますが、「その間に私のことなんか忘れちゃう」には全力で「異議あり!」したい。
このお人よしが忘れるわけないって!
何年経とうとあの世で再会したら歯を輝かせながら「遅くなってゴメンよ。寂しかったかい、かわい子ちゃん」とカッコつけて微笑みかけてニルがボロボロ泣き出して澄ました表情が吹き飛ぶところまで克明に想像できる。

ニルに引き留められている刃を、他ならぬニルの約束が後押しする。
ルードに勝てたらもっと多くの人を幸せにすると刃は約束したんですよね。
刃は幾つもの約束を背負っていくなぁ。その重さに潰されず、力に換える男だから安心できる。
現世に戻ろうとする刃に、ニルは自分のことを全て忘れるよう告げる。
なっ……何してんだ!
ここで忘れさせれば刃から忘れられることはなくなりますが、本当にそれでいいの?
彼女がこうした理由には、相手に忘れられてしまう恐怖だけでなく、重荷を背負わせたくない優しさも含まれていますよね。「余計なことはみんな忘れて」という言い方なので。
ただ、刃にとっては余計なことなんかじゃない。

もちろん刃は忘れることを拒む。
忘れられる奴じゃないから苦しむし、カッコいいし、強くなるんですよ。だから応援したくなるんだ。
「死んでも忘れないよ。約束だ」
イケメンだ……。
刃が死んでも忘れないと言うなら絶対に忘れないし、約束を守るでしょう。
よかったな、ニル。
ニル達の魂と想いを受け取って、刃が守るべき世界へと戻る。

椿の炎が燃え上がる。
刃が目を開けたら椿は早速前髪呼ばわり。
お前……心配したとか目を覚ましてよかったとか言えよ!
相変わらずだなぁと思った瞬間白駒さんが刃に抱き着く。別の意味で熱い。刃が照れてる。
うぐぐ、一瞬前まで刃とニルの組み合わせが至高と思っていたのに、今この瞬間は刃と白駒さんが究極だと思っている。
どちらも最高なんでどちらが一番か決められないんですよ。
引き留めようとしたニルも、心配なのを堪えて送り出す白駒さんも素敵じゃないですか。
戦いに赴く刃に椿がありがたい贈り物。
すでに血を流しまくっているのに、さらに血を分け与える。身を削り続けてる。
ありがてえ……でも無茶しないでくれよ。
刃に全てを託したんだな。椿から刃への信頼に滾る。

場面は換わり、絶体絶命の千に有理の攻撃が迫る。
レート1000ヒーローとして頼もしい姿を見せてきた千が血に濡れ、地に伏せ、虚ろな顔をしている。いい表情ですねえ。
ヒーローが力及ばず「守れなくてごめん」と弱々しく呟く展開に弱いかもしれない。
いい表情だの何だのはしゃげるのも、この後どうなるか確信しているためです。
ほら来た!
敵の攻撃を断ち切りつつヒーローが登場!
死を何よりも恐れる男の前に、死の淵から蘇った男が立ちはだかる。
威借刃!
彼が来ると信じているから絶望する主人公に興奮できるんです。
そのままやられてしまうならはしゃげるわけありません。

死んだんじゃなかったのかと問いかける千に、刃が答える。
「いつだったか……約束したじゃないか。俺はキミをも、守れる男になるって……!」
ああ……ああ……!
ここであのシーンが来るか。
ずっと前から思ってたけど、改めて言おう。大声で。
お前は千を守れる男になってるよー!
「約束を果たすため、あの世から蘇ったのさ!」
零達との約束。ニルとの約束。千との約束。
果たすのは大変ですが、このイイ男ならやってくれるさ。
皆の想いを背負い、死の淵から蘇り、親友を守り、ともに戦うために帰還。
登場時にこの男がここまで強く、熱く、カッコよくなると予想できた人間がいただろうか。

刃を見ると「立派になったなぁ……」という保護者みたいな気持ちになってしまう。
初期から応援していたので感慨深い。
刃が最高にカッコいいですが、彼がここまでこれたのは千との出会いがあればこそ。
千を蔑ろにするのは受け入れられません。
この作品に限らず「〇〇こそ真の主人公」「〇〇の方が主人公してる」という言い方を見かけますが、主人公の奮闘や功績が軽んじられている印象があります。
最初は情けなかったキャラがカッコよくなるのは素晴らしいことですが、迷走している間に致命的な事態にならずに済んだのは主人公の働きが大きいんですよね。
主人公がいなければヘタレのままだったり、途中で死ぬ可能性が高かったのを無視してはいけません。
主人公の親友として輝いているキャラが、その作品の主人公に相応しいかどうかは全く別の問題です。
何が言いたいかというと、刃の成長は多くの人々の存在あってのものであり、特に『1000円ヒーロー』の主人公である千との絆が最高に熱いんだよ!
ということです。

「バッカヤロ」と呟く千の顔がハッキリ見えないのがいいですね。想像が膨らみます。
涙流してないか?
それもそうか。
大切な相手が次々死に、彼の心に重くのしかかっていた。
絶対に負けられない戦いなのに全く敵わず、自分だけでなく皆も殺されそうになっている。
そんな辛くて苦しい状況が切り裂かれたわけですから。

第139話 光の剣と炎の渦

タイトルだけで美しい。勝ったな。
期待通り刃がやってくれた。バリアを斬りやがった!
ルードがこれ見たら「うおお戦いてぇ!」と興奮して騒ぎそう。
有理にも降伏勧告すんのか。しなくていいよと言いたくなるけど、そうするのが刃。
いくら強くても刃一人では対処できる範囲に限界があるが、千が補う。
刃のレートが上がったことに千が気づく。
元はレート10だった刃が千と同じ領域へたどり着いたんだなあ……。
「俺とおそろはイヤかい?」
「まさか……最高だ」
気が合いますね。
「負ける気がしねぇ」
読者もそう思ってるよ。

有理はまだあがく。
彼が「死にたくなったら死ねること」を重視していたのは意外でした。
不老不死を望んでいるキャラは、なった後のデメリットをあまり考えないという思い込みがありました。
生に退屈した時のことまで考えていたのは好印象。不老はともかく、不死はもてあましそうですし。
有理の望みをシンプルに言うなら「死にたくない」ですが、正確に言うなら「死の恐怖に苦しまずに生きて死にたい」の方が近いか。
敗北を受け入れない彼が選んだのは、人間をやめること。

第140話 変貌と混沌

ラスボスにつきものの形態変化。
キモイ!
怪人なんてもんじゃない。
怪獣とか化物とかその辺です。
単純な攻撃も恐ろしいほどの高威力。お約束ですね。そうこなくちゃ。

刃は有理も救うつもりです。
私は「散々他人を犠牲にした挙句自分で怪物になることを選んだんだから討伐すればいい」と思ってしまうけど、刃の在り方はそれでいいと言いますか、そうであってほしい。
有理は刃の斬撃や千の炎に適応し、反撃する。
同じ能力は二度と通用しない。反則的だ。

第141話 正義と鏡

千を庇って刃がダウン。これは痛い。
人間に戻す薬もまだ足りない。
そう簡単には勝たせてくれない。
恵理が「私たちのヒーロー」と言う前に「私の」と言ってる。本音が出てませんか?
同じ攻撃が通じない状況で突破口を見出したのは……刃!
冴えてる。
真っ直ぐな性格から戦い方まで猪突猛進な印象を抱きがちですが、新しい能力を使いこなしたりかなり柔軟かもしれない。
ブレイズドライバーのチャージ能力の正体に刃が気づいたのは、以前使って暴走しかけたから。経験が活きたわけですね。

千は「炎のヒーロー」だと信じて全く疑っていなかったので「あ……ああ~っ!」と叫ぶことしかできない。
千の炎は怪人の能力由来。
ではヒーローとしての力は?
考えたこともなかった……。
ヒーローの能力は過去や信条が反映されたものだと思っていました。麗華の件が特にわかりやすい。
ですので、私の中では「千の力は炎で、それは母親の姿に憧れたから」だと結論付けていました。
違ったのか。

彼の正義がどのようにして形成されたのか語られる。
そっちかー!
『彼』が春香を真似て、そのやり方が千に影響を与えた。
この時点で、
「良いことをするママはかっこいいだろ? だからオレはママの真似をしてるんだ」
と考えることができていたのに、復讐心で吹っ飛んでしまったんだな。
次のページでも語られています。
「母さんがお手本でいてくれる限り、オレもカッコいい良い人でいられるからな!」
お手本がなくなって良い人でいられなくなったのか。
春香の性格だったら「今度は貴方が千のお手本になって」と言いそうですが。
千に途中で投げ出すなよと言ってるけど、自身に思いっきり突き刺さりますね……。

千は親だけに影響を受けたのではない。
人々との出会いが力になり、最終決戦で真の能力に目覚める。
大好物です。
ここから様々な攻撃を叩きつけていくのかな。『金色のガッシュ』みたいだ。

熱い展開で燃え、おまけで笑いました。
頬を膨らませる白駒さん可愛い!
大人しい彼女ですが、言うべきことはちゃんと言う。女傑になるやもしれん。
厳しいイメージのある椿が気圧される姿は新鮮ですね。
この二人の組み合わせも好きです。恋愛感情は全く無く、刃の理解者として絆を育んでほしい。
刃が無茶しようとするのを白駒さんは心配しながら見守り、椿はぼやきながらサポートするのを見たい。

第142話 千と1000

ヒロインの助けを求める声に応えるヒーロー! 華麗に救出! お姫様抱っこ!
百点満点です。
外見は刃と同じなのに中身が違うことに即気づいた恵理も高得点を叩き出す……何の?

千が真っ先に使うのが刃の能力なのが嬉しい。
次が麗華なのも嬉しい。
男キャラで一番好きなのが刃で女キャラだと麗華ですので。
恵理がモノローグで素直な気持ちを語ってる。
『来るって信じていたよ』も『私のヒーロー』もいいんですが、あえて不満を挙げるならば……口に出してほしい。
いや、言わないからこその破壊力か?

事態を呑み込めない刃に春香が語りかける。
『いつも息子がお世話になってます』って呑気だな。
零とも話したし、千の家族から認められてますね、刃は。
千はマッハマンの力を使った後、あれほど強かったルードの能力をヴァイタミンの力で破る!
己の快楽のために力を振るった者と、誰かを守るために戦った者の力で対照的です。
力をかき集めて使うだけのラスボスと、心も含めて背負っている主人公でも対比になります。
「舐めるなよ」
「オレが出会った人たちの心が……テメェを倒せとオレの中で、燃え滾ってやがるんだ」
生きている者も命を落とした者も千を支えている。
熱い展開なのにおまけで笑わせるのはやめてください。

第143話 覚悟と万華鏡

千の能力披露はまだまだ続く。
貴崎は単純に強くなり、マジックテープ仮面の能力がえげつないことになってる!
レートが上がったら反則的な能力が使えるようになるのはつなぎマンと同じ。さすが親友、こういうところでも気が合うな。
レートが低くてもこつこつやってきた彼らの心を反映したからこそ、ここまで強くなったのでは……?
破壊力が増すだけではないのが恐ろしい。

千の攻撃と能力発動の反動で有理がメダリオンを大量に吐き出した。
今度は同児の力を使い、千が恵理を守る。抱きしめているように見える。こんな状況でなければ茶化したいところで……駄目です。
つなぎマン改めレート1000絆マンだと心を読むだけでなく、相手の心に直接語りかけることができる。
マジックテープ仮面と合わせてとんでもない二人だ。敵に回したくない。
異変の詳細を有理が明かす。
デザイアメダリオンの集合体、デザイアクリスタルが爆発したら地球上の生命が滅ぶ。
こんな事態になっているのも有理ががむしゃらに突き進んできたため。
ヒーロー達が命を懸けて皆を救おうとするように、有理は何が何でも死から逃れようとした。
このおっさんは……。
もう少し方向が違えば周囲が敵だらけになることもなく、心穏やかに過ごせただろうに。
敵である千にアドバイスしたのは、避けられない死に向き合う時間が必要で、情報を与えてさっさと心から出ていかせるため。
……というのは表向きで、奥底にあるのは単純な想いでしょう。
恐怖に震える人間がヒーローに願う内容は予想がつく。

有理から解決法を提示されても千は素直に受け入れない。
彼は有理も救いたい。
パラサイトヴァンパイアをも救った彼らならそうするよな。
真っ先に肯定したのが刃なのがいいですね。やはり親友。
刃ならそう言うし、同じことする。
「身銭を切って助けられる奴は怪人でも助ける。それが俺の憧れたヒーロー、日朝千だ」
いい笑顔だ。
そう、刃がここまで来ることが出来たは千の、千の場合は刃の存在があったためです。
怪人化に苦しめられた零や春香も肯定している。
刃やほのかをはじめ、様々な人々の想いが千に集まり、力となる。

レート10000「カレイドスコープ」
ソルブレイズマン!

第144話 10000と命

万華鏡はロマン。
このシーンをカラーで見たい。アニメ化してくれ!
きっと様々な色の光がキラキラ輝いて綺麗なんだろうな……。
最後の一撃はスケールがデカい。
虹色の炎を見守る人々の表情が穏やか。
椿は立てるのか。よかった。白駒さんも安心してくれ、刃は怪我しているけど元気だぞ。
ほのか、刃、恵理の組み合わせも好きですね。ここに千が入って賑やかに会話してほしい。

自分を救おうとする千に対し、何を企んでいるんだと叫ぶ有理。
お前なあ……と言いたくなるけど、有理視点では無理もないか。
他人を助ける姿勢を理解できないままここまでやってきたもんな。
ヒーローに限らず、思いやりや助け合いに触れる機会はあったのに、感化されなかった。
今回の出来事をきっかけにして考え方に変化が起こることを祈りたい。
いきなり献身やら博愛やらに目覚めるのは厳しいので、「恨みを買うより恩を売ったり力を借りたり輪の中で生きた方がお得。敵が減って長生きしやすい」という感じで。

千の炎でデザイアクリスタルは消え、有理も救われた。
諸悪の根源である有理を助けるなんて、家族である恵理すら要求はできないでしょう。
それでも助けようとするのが千ですし、刃もそうです。
「助けを求める奴を見捨てるなんて、そんなのヒーローじゃねぇんだよ!」
この世界のヒーロー達はそれでいい。
一方恵理は身内だからこそ憂いている。
同じ過ちを繰り返すのではないかという心配は尤もです。心配な部分を作中でも言及してくれるとスッキリします。
刃は千の気持ちが有理の心を変えると信じている。

おまけはカレイドスコープソルブレイズマンについて。
口元の布がおしゃれだと思います。

最終話 貧乏とヒーロー

恵理が社長になってる。
事件から二年か。結構時間が飛んだな。
『あの日以来、一度も怪人になった者はいない』
良かった……。もう始まりの怪人みたいな惨い目に遭う者も、おっちゃんや同児みたいに苦しむ者もいないんだな。
千は相変わらず貧乏なのかよ! 「らしい」けど!
名声を得て大金持ちになって暮らしてますなんて言われたら目を疑うところだった。
相変わらずもやしが友達なのかな。
国から報奨金が出て安心した。そうじゃなきゃ酷すぎるもんな。
報奨金をもらったはずの千が貧乏なのは、ヒーローに変身して復興作業を手伝ったから。
確かに便利ですよね。特にBB。
あ、寄付ももらったのか。協力しようと思う方々が大勢いたことも地味に嬉しい。
千が変身しないで普通に復興作業するようになったので、ある程度落ち着いたみたいです。
昼食一緒に食べに来たのはいいとして「半分残すね」「いらん全部食え」に笑った。なかなかいい雰囲気にならないな。

刃は海外にいるとのこと。
まだ薬剤の行き渡らない国で怪人から人々を守ろうとしたはずが、どこもかしこも平和だったのでそのうち帰る。
意気込みが空回りしたものの、喜ぶべきことです。
他のヒーロー達もそれぞれの道を歩んでいる。
貴崎は着ぐるみのままかよ。体張ってるな。
麗華もテレビの仕事をこなしている。
同児の妹の朱里も病気が治った。同児とは異なる形で苦しむ者の味方になろうとしているんですね。同児にも見てほしかった……。
そしてほのかは明日卒業式。

恵理の父親、有理は独房でずっと考えている。
あれだけの事態を引き起こして呑気な顔して過ごしていられるほど面の皮が厚いわけではなかったか。
これで「ひゃっほー生き延びたぜー!」とはしゃげるほど思考がぶっ飛んでいたら、色々楽だったでしょうね。
なんと有理が恵理に手紙を送ったらしい。
な、何を書いたんだ?
父の心を知ることを恐れる恵理だが、前に進むため読むことにした。

ほのかの卒業式に何も起こらないわけないよなと不吉な予感を抱いたら的中しました。
風雅さあ……。
一応ゆがんだ経緯は描かれたけど、ここまでヒーローと呼びたくない奴だったとは。
過去を見た時『うしおととら』の凶羅を連想したけど全然違いますね。
お役目様にデレたり誰にも知られないまま奮闘したりいいところを見せた凶羅と違い、風雅はどんどん評価が下がってく。
最初から敵なら「しょうもない奴だな」と笑っていられるけど、一応ヒーローとして登場しただけにガッカリしてしまう。
劣等感など負の感情に苦しむキャラに共感したり擁護したりできるのは悩むところまでで、被害を振りまくようになったらそうもいきません。
風雅いわく、二年前は自分より強い奴がいて最強の称号は諦めかけたが、他に怪人がおらずヒーロー達も変身できない今、自分が最強。
……はあ。
自分で言ってて情けなくならないの?
自分より強い奴がいたなら「何としてでも強くなって最強になる!」くらいの意気込みが欲しいし、相手が競えない状態で俺最強と主張したって結局は上回ってないし、そんなんで最強と呼べるか?
強い奴と出会ったらはしゃぐルードを見習ってください。

風雅の横暴はまだまだ続く。
千と戦うために戦闘力皆無の一般人を巻き込む。
変身資金がほしかったけど、千の指示通りすぐ逃げてくれるだけでも十分です。
いきなり襲われて助けられたら腰抜かして足手まといになってもおかしくない。助けを呼ぶことも考えられず、ろくに動けないかもしれない。

千を襲った風雅は、何故有理を殺さないのか問う。
それ、千だけの話じゃありませんよね。
むしろ風雅の方が異端です。お人好しばかりのヒーローの中で浮いてるよ。
「怪人を生かしておいたら被害が出るのではないか」という疑問は、怪人被害に怯える人々や減らそうと奮闘する人物が投げかけたら重く響いたかもしれない。
でも力を誇示することに執着して「怪人は抹殺すべし」で思考停止してた人に言われてもなあ。
大体、現在進行形で人に危害加えてる奴が何言ってんだ。

強い奴がルールとなる、強い奴は世界で俺一人でいい、俺がこの世界を良くしてやると叫ぶ風雅。
あんたに任せたら間違いなく悪い方に行く。
力こそ全てと主張するキャラがより強い者と出会った時、読んでて期待するのは「潔く強者に従う」か「強くなって相手を上回る」のどちらかなんですが、風雅はどっちでもないので溜息吐きたくなる。
この男を戦闘狂と呼ぶべきではありませんね。戦うのが好きなんじゃなくて勝つのが好きなので。
耳を傾ける価値のない戯言に千も相応の態度を取り、恵理からもらった薬剤をぶつける。鬼は~外!
しかし人間に戻るには時間が必要。
千は妹に矛先が向かないよう、生身のままで風雅にしがみつく。
自称最強さんは変身できない相手を攻撃して恥ずかしくないの?
変身資金を与えたヴァイタミンや相手をパワーアップさせようとしたルードは強者に相応しかったんだな……。

倒れた千を見下ろし「変身しねぇで怪人に勝てるワケねぇだろ」と毒づく風雅。
人間時代のヴァイタミンならいけるいける。
倒れている千の虚ろな眼差しが好きです。
ほのかを殺しに行く時間はないため、風雅は千にとどめを刺そうとするが……。
仲間が来てくれた!
一番近いポジションに刃! これはテンション上がる!
千をも守れる男になるという宣言通り壁になっている。有言実行マン。
何回千を守ってるんだよこれからも何度でもやってくれ。守ったり守られたりしてください。
麗華やつなぎマンもいる!
そして椿!
この作品で貴重な貴重な回復役!
腹ぶち抜かれた相手を軽傷扱いかよ。それも納得の治癒速度。
「首がもげるまでは大体軽傷だ」
火力が低いから目立ちにくいけど、よく考えるとバランスブレイカーと化している……。
千に謝りつつもっとカッコよく登場したかったと語る刃。
ホントは千が攻撃をくらう前に割って入りたかったんだろうな。颯爽と。

千を救ったのは恵理の連絡でした。
彼女を動かしたのは有理の手紙だった。
薬剤を吸引しない能力について触れ、千が狙われる可能性を指摘した。
忠告した上に謝罪を……あの外道親父が……。
彼が地位を得るまでに多くの人々から助けられたり力を貸してもらったりしたはずですが、感謝も何もなかったんですよね。
何よりも遠ざけようとした死の恐怖に晒され続ける状況で、敵であるはずの相手から救われたから衝撃が大きかったんでしょうか。
刃が信じた通り、千が有理の心を変えたんだな。

怪人でなくなった風雅は大人しく捕まった。
最強になることだけが存在意義だった、死んだ方がマシだと語る。
ヴァイタミンみたいなことを言う。
ヴァイタミンは相手を変身させて戦おうとしたし、敗北を潔く認めたので覚悟も度量も違いますが。
ヴァイタミンは戦う理由を見出して魂を燃やしたけれど、彼にそれが見つかるのでしょうか。
「将棋でも強くなれば?」と答える雷童がいい味出してる。
盛大にやらかした弟にこの対応。相手が打ちひしがれているから、あえて軽く言ってるんだろうな。
お、ケンジが連れて行く。椿がいるならケンジもいますよね。
母を殺したようなもので、自分を殺しかけ、妹までも襲おうとした相手に優しい言葉をかける千。お人好しだな!
「死んでねーからノーカンだ」
腹ぶち抜いた相手にこの対応。
心の差を見せつけられ、ようやく風雅が敗北を受け入れた。
相手の強さを認められるのも一種の強さだと思うので、一歩前進しました。

卒業式では気になる名前がちらほらあります。ブラック・アレックスって何か元ネタがあるのだろうか。
千は服がボロボロになったため刃の着替えを借りて参列。
襟が長い!
恵理が赤い!
恵理が噴き出すのを堪えてる。長い襟は刃で慣れているのでは?
つなぎマンもサラッといる。母校だったか。

和やかな空気ですが、薬剤を吸引しなかった怪人が暴れているという連絡が入る。
皆がいてくれることに感謝し、千は変身する。
ヒーロー達が出発する中、千に声が届く。
ヴァイタミン、おっちゃん、同児、春香……零まで。彼らも見に来ていたのか。爽やかな終わり方だ。
綺麗に終わりました。

茨の冠を被った姿の有理は超人態なのか。
彼の願いについて書いてありますね。
最終的に目指すのは「死にたくない」ではなく、「死の恐怖を感じずに一生を終えたい」と表現するのが近いのでしょうね。
気持ち悪い形態の説明もありました。何がモチーフなんだろう。
零の元々の怪人態も描かれました。
春香に抱きしめられている時の姿はイメージ映像かと思ったら、そのままだった。
風雅の怪人態も載ってる。
説明を見れば見るほど情けない気持ちが募るので、哀れさすら感じる。
千が披露したヒーロー達のレート1000版の能力も記載されています。
ヴァイタミン強ぇ……。人間の頃から鍛錬し続けたんだから強いに決まってる。
マジックテープ仮面も恐ろしいし、絆マンことつなぎマンの能力も進化してる。
すごい、心の奥底まで知ることが可能になってる。

怪人やヒーロー達の説明を真面目に読んでいたら雷童と椿に笑いました。
せっかく風雅に軽く決めたのに。
椿は今回オチ担当みたいになってません? 白駒さんとの絡みもそうですし、巻末でも着ぐるみ被るはめに……。
おっ、刃と白駒さんだ!
刃の服装がどんどん奇抜になっていく。二人が仲よさそうで何よりです。
麗華とマッハマン、麻衣という組み合わせもほのぼのしますね。
麗華のツッコミが鋭い。俯いてるマッハマンも面白い。
最後に描かれたのは運動会で走るほのかと、それを見守る千達。
春香の「あなた?」にプレッシャーを感じた。

最終巻ということであとがきがついています。
あの、ずっと作者名が気になってました。
面白い作品を描いてくださったことに感謝いたします。
「こうなるだろうな、なったらいいな」を直球でぶつけてくるのが心地よい、熱く、面白く、優しい作品でした。
ありがとうございました!
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