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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

ミストとハドラー 後編

ミストとハドラー 後編

15巻
特になし。

16巻

この巻で言いたいことは以前語ったことと完全に同じ。
何故最後の戦いを見なかった。
といっても、バーン様もキルもあの態度ですから、ハドラーに対する仕打ちに悶々としそうだ。
何もせず見守りたいでしょうけど、バーン様のためになるとわかっているからキルを止めることはできない。
そもそも、ハドラーを敵ごと葬ろうとして戦いを穢した彼に文句を言う資格はない。
そこで「それはそれ、これはこれ。ハドラーが死んだ直後に皆殺しにするから邪魔するな」と開き直れれば楽でしょうけど、それができたら苦労しない。できるならもっと器用に生きているでしょう。
それでも詩的な比喩をふんだんに用いつつ称賛するミストバーンの姿を見たかった。
……決戦が近い状況で動揺したり感嘆したりする姿を見せるわけにはいかないか。倒すべき強敵らしさが薄れては困りますから。

122
・ザボエラの目論見
(いかにあのミストバーンめがワシを毛嫌いしていようとも、それを飛びこえてバーン様にとり入るきっかけを作れる……! そうすればいずれはっ……)
無理。
絶対無理。
出世欲があるのは悪いことじゃないはずですが、求めるものが大きすぎる。
仮に重用されたとしても、さらに上の地位や権力を求めて自分の首を絞めた気がしてならない。

17巻

43
・一番好き
「今では……オレの一番好きな顔だが……!」
ハドラーにとって最上の位置を占めるのはアバンと使徒。
ミストが一番好きな顔はどの顔なんでしょう。
バーン様の覇気溢れる笑顔か、天命を告げた時の顔か。
……全部と言ったらどうしよう。

80
・ハドラーの述懐
(オレも今すぐおまえたちのもとへ行くぞ……!)
やっぱりあの世があるのか。
超魔生物化したハドラーと親衛騎団がいけるならミストもいけないかなぁ……無理か。
敵のままで、最後は悪の化身みたいな扱いで死んだからなぁ。
(思えば魔王軍六大団長は最強のメンバーだった。だが、ダイたちに勝つ事はできなかった……。指揮官であるオレの心に野望と保身以外の感情がなかったからだ……!)
確かに、あの頃のハドラーに今の熱さがあれば地上は壊滅していただろうな。
団結して強力な軍団になるので、バーン様の目的はひとまず達成。
離反者が出ず、フレイザードなど将来有望な人材も育つため、スカウトの必要性が薄くなる。
ということは、ミストバーンが自重する必要もなくなる。
ミストバーンが尊敬する男とともに勝利を掴むため襲ってくるなんて、どうあがいても無理。
安易に周囲のせいにせず自分に責任があったと認めたことで、器の大きさと成長を感じさせます。

18巻

9
・危ない
バーン様の警護に関して「キルは……!?」などと返答したミストバーンに危うさを感じずにはいられない。
一度好意を抱いた相手には立場を超えた領域まで心を許してませんか?
ヒュンケルにやたらと厳しかったのは、「認めてしまうと引きずる性格だと薄々自覚していたから」とかないかな。

15
・隠れんぼ
ミストバーンの服を掴んで後ろに隠れようとしているザボエラがちょっと可愛い気が……。
鼻水出さずに顔芸も控えれば愛嬌を感じられなくもない。
よく考えると「大魔王の腹心の部下であり魔王軍最強の男の服にしがみつく」ってすごいシチュエーションだな。
幼いヒュンケルとかなら絵になるのですが、ザボエラだ。
ミストバーンの表情が心の底からどうでもよさそうで笑える。

42
・ツケ
「人生のツケというやつは最も自分にとって苦しい時に、必ず回ってくるものらしい」
自分の最期に当てはまっていませんか?
弟子を否定しまくった結果があれなので。
「大魔宮に戻ってバーン様をお守りするのは、この私だ。その前におまえのために一肌脱いでやる義理もないっ!」
一肌脱ぐというか、一枚服を脱ぐというか。
「たまには自分の手足を動かせ……!」
眼が怖い。
言葉通りに受け取ると「そこまで怠けてはいないだろう」「後衛に一人で戦えってのか、無茶言うな」と言いたくなりますが、正体を知った後だと他人の力を利用し強者に縋る姿勢を指しているんだろうなと思えてくる。
別に、研究活動は働いたうちに入らんとか、真っ向勝負でないと認めんとか言うつもりはないでしょう、多分。
研究するならするでそれに集中していれば、あれほど嫌うこともなかったと思う。
さらなる地位を求めつつ人任せにするから戦えよとツッコまれるわけで、裏で魔王軍を支えるという姿勢で一貫していたら引きずり出して闘わせることはしないんじゃないか?

「クズにしては上出来と、バーン様の御気が変わるかもしれん……」
本当にザボエラには辛辣だな。
仲間呼ばわりされて助けを求められても態度は冷淡。
バーン様からの帰還命令が無い状態でも、ザボエラに仲間と呼ばれたら冷めた反応になりそうな気がする。
ハドラーから仲間と呼ばれて助力を求められたら快く引き受けそうですが。
「ミストバーンよ、仲間であるお前に頼みたい……! ほんの一時でいい。オレの闘いに邪魔が入らんようにしてくれんか?」
「……必ず勝利しろ。バーン様のために」
という感じで。
黒の核晶が埋まっていないため体に負担がかからず、決戦を急がずに力を高める展開を見たかった。
その間ミストバーンとハドラーが友情を築くシーンを……!

「だが、ザボエラよ。それほどつきあいの長い“仲間”ならば……こういう時に私が何と答えるのかも、充分承知しているはずだが……」
皮肉がきいてます。
「だっ……“大魔王様のお言葉は”……」
「そう! “すべてに優先する”のだ……!」
ハドラーの時は「ここでその台詞が来るか……! きっと言っている本人も辛いだろうな」と悲痛さを感じましたが、ザボエラ相手だと「そりゃそうだ」としか思わない。
「私は強靭な肉体と精神を持った者は、敵味方を問わず尊敬する。諸君らの活躍を永遠に心に留めておく事を約束しよう!」
名も知らぬ兵士達に対してこれなら、ハドラーに対しては言うまでもないな。
「思ったより骨のあった」という表現からすると、当初は使徒以外の大勢の人間を甘く見ていたんでしょうか。
「ちょっと戦ったら諦めてやられる軟弱者ばかりかと思っていたら立派な戦士が多かった」的な?

68
・罵倒のバリエーション
「あの古狸め、叩かれてやっと手の内を見せおったわ」
カス、クズ、ドブネズミ、古狸……何故ザボエラに対してはここまで豊富なんですか。
それでも前三つに比べれば古狸はまだマシな方です。
嫌ってはいても、能力は一応認めているんですよね。言い方がキツイので冷遇している印象がありますが、扱い自体は他の幹部とさほど変わらない。
見捨てた時も、あれくらい厳しく言わないと戦おうとしないでしょうから。
思ってみればザボエラも、ミストの普段見せない一面を引き出すキャラですね。
ということは、彼の中で存在が大きいと言えるかもしれない。負の方向に。
バーンパレスを背に浮いている姿がカッコいいです。


145
・ダニ
「他人の力ばかりを利用しているうちに、いつの間にかこんなダニのような奴になりはててしまった。自らの力で強くなろうとする気持ちが一片でもあったらなぁ……」
どこかの誰かは耳が痛いと思いそうな台詞だ。
強くなりたくてもなれない体質なので、どうしようもないのですが。

158
・負け犬発言と生まれ変わり発言
「てめえらみたいなクズ野郎が、偉そうにハドラー様を侮辱しやがった事がっ! 最ッ高に許せねえッ!!」
その台詞、ミストも思いっきり同意すると思う。
(ま……まさにハドラーの生まれ変わりだっ!)
その台詞は思いっきり否定すると思う。

・焦らす
マキシマムに言いたい。
お前がミストバーン焦らせるとか思い上がりも甚だしいわ!
そんなことできるのはバーン様とキルとハドラーとヒュンケルだけだ!
……意外と多いな!
バーン様:観戦時ハドラーの身を案じるミストに、お前にはつけていない発言で焦らしている感が漂う。「良かったなミストバーン」と希望をちらつかせつつ殺す気満々。絶対反応を楽しんでる。
キルバーン:謁見前ハドラーの身を案じるミストに「心配ないって」などフォローして気遣った……と思いきや、天秤云々のところで楽しんでいるように見える。
ハドラー:本人にそんなつもりは一切ないが、上記のように材料にされている。
ヒュンケル:「闇を受け入れようかなー、どうしようかなー」的なノリで焦らせます。
バーン様とキルは間違いなく反応を楽しんでいるな、と思いました。

19巻

11
・格
「おまえの事は魔王ハドラーを倒した頃から知っている」
そんな前からハドラーとアバンをチェックしていたのか。
ミストバーンこそ打倒大魔王の最大最強の難関。少し後にポップも「他の連中とは格が違う感じがする」と評します。
嬉しい高評価ですが……それなら「らしい」最期を遂げてほしかった。
大物や強敵と言うのはあくまで「ミストバーン」の話であって、ミスト本体には当てはまらないのか?
もしくは戦闘力限定で、忠誠心などの魂は格には含まれないと?
魂には肉体以上の強さを与える力があるはずだと言いたいところです。

・相応しい最期
作中で散々な言われようだったザボエラも、最期はしっかり余韻があるんですよね。
初期から因縁のあったクロコダインが引導を渡し、当初は一目置かれていたなどのフォローもあって、小物な悪役も大事にしていると感じられました。
改めてザボエラの最期を評価すると、宿命づけられた決着だと感じられる流れです。
ダイ達の冒険開始後という条件でザボエラが初めて利用した相手がクロコダインです。
居場所がなくなってもいいのかとザボエラが唆したことで、クロコダインは人質作戦を決行しました。
普通に戦うだけなら仲間にならず、物語も全く違った展開になっていたかもしれない。
ザボエラがクロコダインの進む道に大きな、それこそ決定的な影響を与えたと言えるのではないでしょうか。
中盤においては、クロコダインの方がザボエラに居場所がなくなってきたのだろうと指摘するシーンがあります。因縁が続いていることと同時に精神面の優位性……立場が逆転していることも示すかのように。
終盤の超魔ゾンビ使用時、ザボエラはクロコダイン相手に、非力な自分に劣等感を抱いてきたと思わせる台詞を吐きます。
命乞いの時の台詞も、同情を引くためとはいえ本心も混ざっていたかもしれません。
そして最後は、以前利用した相手をまた利用しようとして魂胆を見抜かれ、とどめを刺される。
最初と最後がつながるだけでも綺麗なのに、中盤でわずかながらも言葉を交わしたり、戦っている最中にコンプレックスのにじんだ台詞を聞いたり、積み重ねが効いてより因縁が深くなりました。
とどめを刺した後も、一目置かれていたが欲にかられてこうなった、自分もどうなっていたかわからないとフォロー。
相手に理解を示しつつ己を顧みたことで、倒した側の器の大きさを感じられ、直後のバダックとのやりとりもいぶし銀に輝きます。

こうやって見ると、スッキリしつつしんみりした空気もありで、ザボエラの退場の仕方はかなりいいですね。
作中で散々「他人を利用してばかりのダニ」と言われ、その扱いに相応しく、最期は侮っていた相手に倒される。
歩んできた道や周囲からの評価にぴったりの最期だと感じさせ、倒した相手を引き立てる役割もしっかり果たしている。

ミストはザボエラをあれほど嫌っていたのに、死に方が似たようなものなのは皮肉なんてもんじゃない。
「信念はどうあれ、やっていることは同じだから似たような最期を」ということなのか?
いや、敵味方両方で内側……魂や精神の重要性が散々語られている作品ですから、それは考えづらいか。
体質は近くても姿勢は全然違うのだから、異なる結末になればなぁ。
バーン様以外全て利用すべき駒、虫けらと見下し高笑いする外道ならあの終わり方でピッタリですが。
相手と状況によって言動は変わるだろうと言われればその通りなんですが、闇の衣状態で熱さを、封印解除して恐ろしさを、本体を晒して悲哀と根底にある熱さを見せて、最期はどうなるかと思ったらあのオチですから。

・うたかたの夢
六大団長はバーン様の心のゆとりが生んだお遊び、魔王軍などしょせんはこのわずか十数年のうたかたの夢。
随分な言いようだな。
ハドラーの変貌を目にすることができたのも魔王軍があったからだろ。あまり悪く言うなよ。
彼に対して抱いた気持ちは一時のものではないだろ。

22
・あの男
キルバーンのことはあいつと呼ぶ印象が強いですが、ここではあの男と呼んでいます。
「ひどく執念深い奴」「何をされるかわからん……!」とのことですが、何をされるんだ、何を。
見てみたい。すごく面白そうです。
キルがアバンを引き込む時の台詞が地味に好きです。
「悪いが後はよろしく頼むよ」
一応悪いとは思ってるのか。
ミストに対しては気遣いらしきものを見せなくもないんですよね。
自分が楽しむためなら躊躇いなく放り投げるでしょうけど。

321
・修行
「その気になって修行すれば、まともな勝負でも無敵にはなれたさ」
一途な努力を踏みにじって喜ぶキルと、努力して強くなる相手が好きなミストが友情を築けたのが不思議でたまらない。

20巻

31
・再びさんづけ
「悪ィがくたばってもらうぜ! ミストバーンさんよっ!」
明確に敵対している状況でもさんづけするヒムが好きです。
ハドラーの影響か?
この二人の会話をもっと見たかったが、険悪になるだけか。
「ハドラー様マジすげー!」
「……」
で意見が一致しそうなのに。
金属生命体が闘気を宿したことにミストバーンはどう思ったのか。
同じ偽りの生命の持ち主だったはずなのに、本物の命や生身に近い体を得たヒムに羨望の炎を燃やすかもしれない。
生まれ変わったヒムは鍛えれば強くなれるでしょうから。

・反撃
ミストバーンがヒムにぶちのめされるシーンは興奮します。
何故ボコボコにされるのは盛り上がるのに寄生虫発言は駄目なんだろう。
どちらもハドラーの後継者であるヒムがやってるのに、侮辱はテンションがガタ落ちする。
前者は意地を見せて反撃できますが、後者は反撃しようがないからか。
戦闘力で劣るのはいいとしても、中身を丸ごと否定されるのが嫌なのか。
ヒムではなくハドラーでも同じ……むしろ落差がより大きくなるでしょうね。

47
・相容れない二人
「ミストバーンさんよ、あんたをこうやっていたぶるのは少々気がひけるぜ」
普通に攻撃してなかなか倒せないなら仕方ない。
それはそうとして、ミストバーンがいたぶられる姿はなかなか見られないんですよね。
闘気系の攻撃でないとダメージを与えられませんが、圧倒できるほどの使い手は滅多にいないでしょうから。
光の闘気の刃で刺されたり斬られたりする姿も見たかった。
「腹の立つ野郎が多い魔王軍の中にあって、あんただけはハドラー様を評価してくれているように思えたからなァ……」
それをいつどうやって知ったのか詳しく教えてください、お願いします!
この口ぶりだとヒム自身の考えに見える。
ヒム視点で竜の騎士親子との戦闘までの日々を見たい。

ヒムの言葉を聞き、長い銀髪を見て、心に刻まれた男の面影を感じるミストバーン。
「……ハドラー!!」
おー、驚いてる。
リアクション激しい。
「そんな……バカなっ! おまえのその闘気はっ……生命はっ……! あの男の遺産だとでも言うのかっ!?」
うおお、動揺してる。
遺産というからには、ハドラーの死も知っている。
どこまで知っているのでしょう。
ハドラーの死を告げられた時の反応を見たかった。
尊敬する戦士が素晴らしい戦いを繰り広げて最期を迎えたことを称賛しつつ、己の魂を認めた相手の死に衝撃を受けてるといいなぁ。

肯定するヒムと仲間達に対し、ミストバーンが激怒する!
「笑わせるなっ!!」
この時の表情、台詞、動作に勢いが感じられる。
「人形風情がハドラーの生まれ変わりのような顔をするのはっ……! 身の程を知らぬにも限度があるっ……!」
最高に熱い!
ミストバーンとハドラー関連でトップクラスに好きな台詞です。
ここで「そんなにハドラーのことを……! 本気で尊敬してたんだな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
謁見前の反応や観戦時の言動、ザボエラに対する台詞から積み重ねられてきたところにとどめを刺された。
ぜひともハドラーに聞かせたかった。
「このミストバーンの渾身の力をこめて……粉々に打ち砕いてやるぞっ!!」
ハドラーに関して激情迸らせるのが燃える。
他の人物から受け継いだと告げたなら、ここまで感情を剥き出しにはしなかったでしょうね。
バーン様を除けば最も尊敬している相手ではないかと思えてくる。
絶対に忘れられない存在となっているのは確かです。
ここでハドラーに対する熱さを見せたからこそ、退場に求めるハードルが高くなったのかもしれない。

66
・剥ぎ取り
「衣一枚ひっぺがすくらいわけねぇさ!」
この台詞だけだと白い服を脱がせるように聞こえる。
黒い服の袖の辺りがどんなデザインか気になるので、剥ぎ取ってくれないかな。

75
・最期?
「……あばよ! ミストバーンさん! 成仏してくんな!」
この時点でもまださんづけ。
ここでミストが倒されていたらどんな印象になったか。
羨望や天命について語る台詞を聞いたからこそ、ここまで好きになったわけで……。

143
・最強の男
「私が魔王軍最強なのだ!」
ハドラーにこの強さを見てほしかった。
捨てることで変化を遂げて強くなったハドラーと、捨てることも変化もできないゆえに同じ強さのままのミストバーンで対比が光るでしょうから。
「おまえたちの頭の出来では、私とバーン様の間柄を話した所で理解できまい」
別にそこまで複雑な話じゃないとツッコみたくなりますが、表面上の要素について言いたいのではなく、内側の、精神的な要素を指しているのでしょう。
仮にセーフティ等つけているとしてもミストが逆らえば危険なのに、自分の体を預けるバーン様。
自分が最強の体を奪って上に立つことも可能かもしれないが、考えもしないミスト。
特に後者は心から忠誠を誓って何千年も仕えてきたわけで、理解できないと思う者も多いでしょう。
封印解除すればバーン様より強いミストが従うのは、力こそ全てという理から外れかけているわけですから。

156
・喧嘩
押さえようとするヒムと掴まれるミストバーンの姿でヤンキー漫画を連想した。
チンピラに見えてそうでもない若者と、一見優等生に見えるがとてつもない暴れん坊が取っ組み合いの喧嘩をしてるような。
こう書くと青春真っ只中の学生みたいですね。ミストの方は数千年生きてますが、精神年齢若々しい通り越して子供っぽいというか大人げないからなぁ。盗んだ体で走り出す勢いです。
ヒムが闇の衣ミストバーンに頭突きかましてましたし、ますますヤンキー漫画っぽい。
封印解除だとミストバーンが、闇の衣だとヒムが一方的に殴るだけでバランス悪いですね。
互角に殴り合うところが見たいですが、それより二人が超絶ギスギスしつつも一歩だけ歩み寄る光景を見たい。
……駄目だ、殴るための助走にしか見えない。

247
・ミストとキル
ミストバーンは数百年の間に数回、封印を解除して戦った模様。
そこまでする相手が魔界にいたのか。
……どんだけ修羅の世界なんだ?
以前顔を晒そうとした時にキルは鎌を突き付けましたが、あれでミストが死ぬようには見えない。
「偽者ッ! 正体をあらわせッ!!」といい、「キ……キルはっ……! あいつはどうしたっ!?」といい、やっぱり割り切れていないと感じる。
ハドラーが奇跡を起こしたと聞いてどう思ったのやら。

329
・足し算ではなく掛け算
「けっ! ふざけんなって! てめえの強さじゃねえくせに、いばりくさりやがって! 一人じゃなにもできない寄生虫ヤローがよ!」
痛恨の一撃連発するのやめてくれませんか……?
ハドラーはその寄生虫ヤローのおかげで強くなるチャンスを得て親衛騎団を生み出したんだと言いたい。
謁見前の映像を再生したい。
「侮辱は許さんぞ……! 私は……その手の侮辱が一番嫌いだ……!」
力こそ全ての魔界において、自分の強さを持たない存在に対して向けられる視線はいっそう厳しいでしょう。
侮蔑されたことは想像に難くない。

正体を知り、境遇を想像したうえで、ハドラーから魂を認められた場面を振り返ると色々こみ上げてきてたまらない。
・体を捨ててでも強くなる→鍛えて強くなるというだけでもミストには不可能なことなのに、ミストだけでなく普通の魔族も羨望しそうな体を捨てる。
ここまで覚悟を決めた者は何千年も生きてきたミストも滅多に目にしなかったんじゃないか?
・魂を認め感謝する→侮辱に対する反応から、体質のせいで蔑まれた様子。能力だけ見て中身まで決めつけられたのかもしれない。それなのに人格を認められ、感謝されたら……。
真の姿を現した時、忌まわしい体と表現した彼は、己の使命を誇りつつも能力への嫌悪はそのままです。嫌悪とそこから生じる忠誠心は深く結びついていて、どれほど年月が経とうと切り離せるものではないのかもしれません。
大魔王の影として生きることは喜びでしょうけど、己の心を殺しきってるわけでもないので、ミスト個人として認められれば嬉しいでしょうね。
片方でも十分記憶に残るのに、両方となれば破壊力が大きくなるに決まってる。
今までハドラーにこだわる理由は「尊敬する戦士+熱い魂発言と感謝」と足し算で考えていましたが、掛け算で考えるべきかもしれません。
絶対に辿りつけない領域にいる戦士が、対等だと告げたようなものだとすれば……ハドラー絡みなら熱くなるのも当たり前です。

そしてハドラーから色々受け継いだヒムの発言に血涙流したくなる。
生まれ変わりと言っても、考え等はヒム本人のものです。
ハドラーが最もこだわったのはダイとの戦いで、ヒムはヒュンケルですから。
だから、対応が同じになるわけがないとわかってはいます。
ヒムが寄生虫と言ってもハドラーまでそう言うとは限らないし、ハドラーが認めたからといってヒムまで倣わねばならない理由はない。
ですが、さんづけして認めてる様子からの寄生虫発言で温度差に砕けそうです……。
ボロボロのヒュンケルの身体を使おうとして悪魔と呼ばれた時は、何も思わなかったんですよね。
酷い行いが責められるのは当たり前で、そうでないとおかしい。
侮蔑ではなく批判ですから気にならない。
一方、寄生虫云々は生まれつきの体質で、本人には変えようがない。

異議を唱えたくなるものの、ミストの方が先に体質を理由に決めつけて蔑んでいるんですよね。
どうしようもない部分で侮辱されることの辛さは誰よりも知っているはずなのに。
ヒムの発言を責めるのならば、ミストの言動も非難しなければダブルスタンダードになります。
思ってみればミストは「そういうお前はどうなんだ」とツッコみたくなる台詞が多いな。
見事に跳ね返ってくる。
・他人の力を利用するザボエラに偉そうなことを言う→他人の力ありきの体
この一点は自覚しているからこその台詞でしょうけど、以下はどこまで自分を顧みているかあやしい。
・相手の生まれつきの体を否定する→自分への寄生虫発言に怒る
・人形風情と馬鹿にする→気の合う友人が人形
・他人を利用しようとするザボエラに冷たい台詞を吐きつつ見捨てる→自分も道具として利用しようとした相手にあっさり返り討ち
ブーメラン通り越して鏡にビュートデストリンガーぶっぱなしてませんか。

326
・敬意の理由
「おまえがハドラーやバランといった強者たちに、つねに敬意を失わなかったのも……自らが肉体を持たなかったゆえの反動……」
真っ先に魔王軍を脱してハドラーに対する感情の変化をあまり知らないクロコダインがこう言うということは、魔軍司令の頃からある程度敬意をもって接していたのか?
ハドラーとバランがセットで語られますが、バランの方はバーン様が認めたからという理由が大きいように見えます。ミスト自身は尊敬する戦士の一人として見ているような……。
一方、ハドラーに対しての感情は、バーン様が認めている以上に個人の関心が大きく見える。
羨望から生じる敬意だけでなく、他の感情も含まれてませんか?
あれほど心配したり怒りを見せたりする相手は他にいないでしょうし、大きな存在であるのは確かです。

「……そうだ。他人の体を奪えば簡単に強くなれる私には出来ない事……自らを鍛え強くなる事……! それができる者は皆尊敬に値した! うらやましかった……」
そこで尊敬や羨望の方向に向く精神に、驚嘆せずにはいられない。
ハドラーに魂を認められたのは、そういった姿勢だったからかもしれない。
勘違いして「努力せずに強くなれるなんて羨ましかろう、フハハハハ!」とか、嫉妬して「体を失い、私と同じところまで堕ちてこい……!」とか思わないあたりが尊敬に値する。
変えようがないんですから、「楽することを望んで自ら強くなろうとしない連中もいるのだから、苦労せずに強くなって何が悪い!」と開き直ってもおかしくないんですよね。その方が楽ですから。
ザボエラみたいな相手を見ても「やはり私の力は素晴らしい、やり方は間違ってはいない」と安心する材料にしたり、「体を持っているのにやらない奴らは私より下だ、そのままでいろ」と見下したり。
我ながら酷い発想です。ミストがそんな湿った魂の持ち主でなくてよかった。
「私にはできないことができるのに、何故しない!?」と怒るのは理不尽ですが、見下し安心するよりは……。

「この忌しい身体のおかげでバーン様に出会えた! バーン様は言われた! 『おまえは余に仕える天命をもって生まれてきた』と!!」
ダイ大はコンプレックスを抱いていても前向きな悪役が多いのが好ましい。
羨望と天命、二つの台詞で本体にぐっと引き込まれたんですよね。
二人の出会いをぜひ見たい。
「バーン様には私の能力が! 私にはバーン様のような偉大な主が必要だったのだ! 私はまだまだバーン様のために働かねばならん……!!」
眼が血走っている……。
これらの台詞があるから本体になってからも変わらずに、いえもっと好きになりました。
生まれた経緯を考えればもっと邪悪で嫌悪感を催す存在になっても不思議ではないのに、冷酷さと情、傲慢さと熱さを両立させているバランスが素晴らしく、考察したくなる深みを持ったキャラです。
だからこそ最期の、よくいる憑依キャラみたいな言動に違和感を覚えてしまう。

32
・最期
『参謀要素と小物化』で書いた部分は省略します。
ヒムが理想の器の中で死ねたから本望だろうと呟きますが、彼の見解を正しいと受け止めるのも抵抗が。
正体を知った途端寄生虫ヤローと決めつけたばかりなんですが、いつの間に内面理解する気になったんだ?
まだまだバーン様のために働くつもりで、再び体を預かるまでの……それまでもつかどうかもわからない器なのに、本望と言えるのか?

・誇り
ヒュンケルに対し武器道具と即答し高笑いする様が……早押しクイズじゃないんだから落ち着いてください。
誇り発言と対比させるなら、アバンと同じく静かに、重く答えさせればよかった気がします。道具と言うだけなら評価の証と受け取れなくもないので。
いっそミストも誇りと言っていれば、込められた意味の違いが際立って、それぞれ異なる方向に魅力を感じたかもしれない。
バーン様の役に立つことが何よりの喜びであるミストにとって、それを成し遂げるための存在は誇りと言えるでしょうから。
相手には受け入れがたい残酷で孤独な誇りと、相手を尊重し絆の力を発揮する誇りという対比で。

光の闘気を魂にため込むという理屈も冷静に考えると理解しづらいですし、それであっさり撃退されるのはもっと解せない。
よくそれで魔界の強者達を乗っ取れたな……。
心の準備ができてなくても、光の闘気じゃなくて効き目は薄くても、反撃する相手くらいいそうですが。
完全に魂を消す場合に限り、精神世界で闘志が強さへと変換される状態での正面対決になるとかでは駄目だったんでしょうか。ねじ伏せてきたミストの恐ろしさも、立ち向かうヒュンケルの強さもわかりやすいですし。
「お前ならばそうくると思っていたぞ……ヒュンケル!」
「お前からも教えられたからな……尽きぬ闘志を!」
的な、相手を認めてるやりとりから全力の激突、せめぎ合いを見たかった。
闘志はほぼ互角で明暗を分けたのは信頼できる仲間の有無という結末ならば、弱くはないが一人ゆえの限界があったミストの力や意地と、それを上回った光の師弟の強さの両方を感じられたかもしれない。

乱暴にまとめると、「ミストがもっと意地を披露していれば……!」という一点に尽きます。
退場の仕方について、ハードルの高さが全然違うとはいえザボエラは跳び越えたんですから、もう少し頑張ってほしかった。
最後の最後で盛大に転んで顔面ぶつけた印象です。
ちなみにキルバーンは最終話でコースアウトして戻ってこない。

・相性
考えても迷走する一方なので、ハドラーのことを……。
仮にハドラーを乗っ取る必要に迫られた場合、どんな態度を取るか知りたい。
そもそも肉体面での相性はいいのか?
コンビニ版に載っていた企画によるとハドラーの数値が一番高かったんですが、「バーン様の首を狙ってみるか」などと言い出したりポップに引きずられてスケベなことを考えたりしてるので、ギャグやパラレルと割り切った方がよさそうです。背景を考えるとヒュンケルより高いのも違和感ありますし。
復活させるために自分の暗黒闘気を注いだりしたのでそこまで悪くはないでしょうけど、どれくらいなんだろう。
相性がどうあれ、ハドラーの魂をテンション高く潰す光景は想像しづらい。
苦渋をにじませつつ砕こうとする姿が浮かぶ。
自分の魂を認めてくれた相手の魂を消去するなんて嫌でしょうけど、バーン様のために必要ならやるからなぁ。

……うおお、ハドラーにやられるパターンが見たくなってきた!
初登場時に会話した相手に倒されるとなると、最初と最後がつながる。
「大魔王さまのお言葉はすべてに優先する」という台詞も何らかの形で出てくれば、初期や決別時との違いを感じられる。
ハドラー相手だと器に対する執着が薄いため、別人感漂う態度は取らないと思いたい。
あれほど敬意を抱いた戦士、それも自分の魂を認めた相手にどんな台詞を吐き、ハドラーがどう返すのか気になる。
光に呑まれるのではなく炎で焼かれることになり、焼き尽くす者の影として生きてきたミストには因果な死に方になりそうです。

まとめ
改造してからのやりとりが印象に残りますが、元々二人が関わる機会は多かったんですよね。
ミストはハドラーのことは前から見ていたんだろうな。
情けない姿を知っているからこそ、尊敬の念がより深くなったのではないでしょうか。
今まで彼にこだわる理由は「尊敬する戦士+熱い魂認定と感謝」という足し算のイメージが強かったんですが、掛け算で表現する方が適切かもしれないと浮かびました。
肉体の強化だけでなく精神面……内側の変化を感じとって尊敬した相手から直々に、自分の内面を認められたわけですから。
辿りつけない領域にいる相手から対等だと言われたようなものだと考えると、この組み合わせゆえに破壊力が高かったんだと思えます。
破壊力云々語りましたが、強引に一文にまとめるなら、「よりによってものすごく尊敬する中身が熱い戦士から熱い魂言われたら衝撃跳ね上がるだろうな!」ということです。

一方、ハドラーにとってミストは何だったんだろうと考えると、一番しっくりくる言葉は『理解者』ではないかと思いました。
魔王軍においては、そういう表現ができる相手はミストくらいじゃないか?
時間稼ぎを引き受けた印象が強くて、それで誠意や熱さを感じたんだろうとシンプルに考えていましたが、率直な台詞を吐いて強くなれると告げたのも大きいかもしれないと読み返して気づきました。
嘲り見捨ててもおかしくない状況で、言葉と行動で決意を肯定したからこそ、同じく率直な言葉を贈ったのかもしれません。
ミストバーンが一方的に熱い言葉をぶつけられてると思ってましたが、そうでもなかった……?

二人の関係は輝いてると感じます。
両者の生き様も。
種族や寿命に関わらず、たとえ最後まで相容れない敵だろうと、充実した生を送ることは可能だと思えます。
バーン様を盲信し依存しているだけの空っぽな人生なら、ハドラーの生き様を尊敬することもないでしょうから。
読み返すとミストバーンとハドラーだけでなく、ザボエラやキルバーンにも魅力を感じました。
特にザボエラは今までの姿や周囲からの評価に相応しい倒され方などの要素で、評価が上がりました。
悪役が個性豊かで魅力的です。
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