漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。
TRUE REMEMBRANCE
里見しば様制作『TRUE REMEMBRANCE』の感想です。
同じ作者様の作品同士、『送電塔のミメイ』と比べて語りたくなります。
『True~』は冬でミメイは夏、など。
Ib
kouri様制作『Ib』の感想です。
※私がプレイしたバージョンはEND数が5個のものです。
世界観にどっぷり浸ることのできるホラーアドベンチャー。
オブジェクトやギミックなど美術館という舞台設定が活かされ、一つの世界を構成しています。
・とりあえずクリアを目指そう、何か一つエンディング見て一旦やめよう
・クリアした……
・よし他のエンディング回収しよう!
と綺麗に方針を変えました。
ホラーは得意ではないのですが、キツイ描写は少ないので楽しめました。
人体が直接どうこうではなく、人形や絵の具といった方向で怖がらせてきます。
本気で驚いたのは赤い服の女がいきなり……のところです。大勢の敵に襲われるところも焦った。
操作が下手くそなのでうっかり逃げ損ねて削られたり。ごめんイヴ。
敵意をもって襲ってくる相手ばかりじゃないのが、いい意味でペースを乱して和ませてくれます。
好きなのは目を閉じてくれる板、目玉、花嫁。
特に最後は○○○を投げる演出がにくい。
音楽ではギャリーのテーマが印象に残っています。
Knight Night
太郎2様制作『Knight Night』の感想です。
こんな方におススメ。
・場の空気を壊したい
・神経をすり減らさずに済むバトルがしたい
・ハッピーエンドが一番
中編RPG。
一番印象深いのは、主人公の会話の選択肢です。
大抵二択なのですが、上が真面目なのに対し、下は空気を読まないものばかり。
いい話が展開されている中でも躊躇なくぶち壊します。
あえてふざけた答えばかり選び、台無しにするのもまた一興。
難易度はそこまで高くはありません。
回復アイテムがたっぷり手に入り、それ以上に金が溜まるので、武器や防具を揃えても余裕があります。
レベルもスムーズに上がるので、ボス戦で全滅する心配はほとんどありません。
戦法はただ一つ。
バフを重ねて殴ればいい!
補助魔法の重ねがけができるのは便利。
ナナリーが効く魔法を探る間、アドニス、ケイトは自己強化。リュカはナナリーの魔力強化。
ある程度高まったらひたすら技をぶちこむ!
以下、思ったことをつらつらと。
Ruina 廃都の物語
枯草章吉様制作『Ruina 廃都の物語』の感想です。
こんな方におススメ
・丁寧な文章で綴られる物語を楽しみたい
・遺跡に潜ってお宝発掘したり竜と戦ったりってロマンだよね!
・世界観や歴史がしっかり練られている作品に惹かれる
最初はゲームブック方式に戸惑いました。
戦闘で得られる経験値は微々たるもので、探索によって成長していくので、雑魚戦繰り返してレベル上げて突破というやり方はできないようになっています。
状況に応じてどのキャラを仲間にするか、どんな装備で行くか考えねばならず、難しい。
MPがすぐに切れますし、回復する量もたかが知れています。
そんなこんなで苦戦しながらも進んでいけたのは、ストーリーに引き込まれたからです。
幻想的な空気や不気味さを伝えてくる文章で綴られる物語に惹かれ、諦めかけても先に進もうと思えました。
最初は探索継続ボーナスやらチェックポイントやら気にしてましたが、途中からやめました。
時間がかかってもクリアできればいい!
武器防具を一切買わず、作成もせず、拾った物頼りのプレイでも、何とかクリアできました。
クリア時間を見て「嘘だっ!」と叫びたくなりました。
十時間いっていない……!?
あの魔将を殺しきっていないままですし、歴代の面々の大半も放置してのクリアですが、予想より遥かに短かった。
難易度EASYなのをいいことにセーブしまくり、まずいと思ったら即リセットを繰り返したので実際のプレイ時間はもっと長くなりますが、それでも短い。
十数時間はやってると思い込んでいたので、目を疑いました。
物語の密度が濃く、手ごたえたっぷりだったので、長い冒険を終えたかのような感慨に浸っていました。
特に最終決戦での迫力には参りました。
○○○○に乗り込んでいくだけでも燃えるのに、敵を追い足場を飛び移り、時には激しい戦いを繰り広げるというシチュエーション!
ただでさえ熱いのに、臨場感溢れる描写がいっそう精神を高揚させます。
以下、ネタバレを含みます。
魔王物語物語
てつ様制作『魔王物語物語』の感想です。
こんな方におススメ
・雑魚相手でもスリリングな戦闘を楽しみたい
・強いボス相手に死闘を繰り広げたい
・魔王を相手に英雄を演じたい
難易度が高いと聞いたのでなかなか手が出ませんでしたが、意を決して挑戦。
フリーゲームの名作と聞けばプレイしたくなります。
危険な敵や強い装備、ラスボス戦の演出などを知ってのプレイになりましたが、緊張感がありますし、ラスボス戦で燃えました。
見るのと自分でやるのでは違うと実感。
ヤバいと知っていても殺される事態も発生。
ゲーム開始直後に知らされる目的のストレートさに、『勇者の憂鬱』のやりとりを思い出しました。
最初の目的=最終目的は、わかりやすい。
・難易度
このゲームをプレイするまで、敵は「ボス」と「雑魚」に分けられると思っていました。
「ボス」と、「ボスじゃないやつ」に分けられるかもしれないと思うようになりました。
「難易度が高い? ならばレベルと熟練度を上げつつ慎重に進もう!」と決意したにも関わらず、何度も全滅しました。
新しいエリアに行くたびにビクビクしながら進むことに。
ここまで雑魚の動きに注意を払ったのは久しぶりです。
・一体と戦おうと接触した瞬間、見えなかった敵が現れ袋叩きに
・一体と戦おうとした途端、周囲の敵の動きが速くなって囲まれボコボコに
・仲間を呼ばれてリンチ
・強い奴にバフが重なり撲殺
・ネズミこわい
などなど、嫌と言うほど恐ろしさを味わいましたよ!
ゾンビ映画で襲われる人の気持ちがわかった気がします。
「やめろ、近寄るな、うわあああー!」と叫びたくなる。
雑魚に散々恐怖したので、ボスの攻撃くらっても動揺しなくなった気がします。
途中までは「防御を上げて物理で殴れば何とか……」という感じですが、終盤は敵が固くて痛くてウザいので、正面から戦っていては体力や回復薬が持ちません。
敏捷を上げて首を斬るしかない。
片っ端から敵の首を狩っていくことでラスダンも地底も突破できました。
クビキリ戦法を開発なさった方は偉大です。
総合すると、ヘタレプレイヤーな私は事前に情報を得ても苦戦しましたが、何とかクリアできました。
全く情報無しだと厳しかったかもしれません。
情報集めた状態でラスボス撃破時のレベルは40くらい、隠しボス撃破は50くらいでした。
ここからはネタバレを含みます。
Seraphic Blue
天ぷら様制作『Seraphic Blue』の感想です。
プレイしたのはDC版です。
こんな方におススメ
・緊張感のある戦闘を楽しみたい
・伏線のちりばめられたボリュームたっぷりのストーリーをじっくり味わいたい
・残酷な描写にそこまで抵抗は無い
・暗い展開やドロドロした要素も大丈夫
こんな方には合わない可能性があります。
・ダンジョン雑魚戦ボス戦諸々をサクサク進めたい
・万人向けの物語を楽しみたい
・グロ要素は苦手
・陰鬱な展開は耐えられない
フリーゲームの名作だと聞いて気になっていたのですが、プレイするのを躊躇っていました。
・クリアまで五十時間はかかる
・ボス戦どころか雑魚戦で死ぬのが当たり前
・独特かつ難解な言い回しが多く、「教えて呉れ」「如何いう心算?」など普通ならひらがなの単語も漢字表記
などなど、なかなか手が出ない要素があります。
序盤の雑魚にいきなり殺されましたから。
毒のダメージって、主人公のHPが300ちょいなら30とかそういうかわいいもんだと思ってました。
一気に60以上減って目を疑った。
さらに、瀕死になっても止まってはくれない。そのまま死にます。
序盤も序盤の段階で猛烈に不安を感じました。
よって、攻略サイトも解禁。
情報無しで何度も挑戦して対策を練るべきなのでしょうが、全部自力だと心が折れる可能性が高い。
単純に戦闘の難易度が高いだけでなく、ダンジョンやボス戦前のイベントシーンに不安と恐怖を覚えるので。
回り道を繰り返すダンジョンに勘弁してくださいと思ったこともしばしば。
ボス戦前の長話も厄介です。
ボスが強いだけならまだいい。イベントが飛ばせないのも仕方ない。
両方が合わさると、全滅した時やり直すのは厳しい。ボス戦前の会話を何度も見たくないので、攻略サイトを頼りました。
こう言うと不満ばかりに聞こえますが、それでも進める原動力となったのはストーリーです。
最初の内は「こいつ誰? 何言ってんの?」でチンプンカンプンだったストーリー、キャラの謎が明かされていく様は爽快。
ちらりと出てきた言葉やキャラが意外なところでつながって「あぁ!」と叫ぶのがたまらない。
一章を過ぎた頃から面白さを感じるようになりました。
・戦闘
独特な要素が幾つもあります。
普通、HPはどれくらいか、物理と魔法のどちらが有効か、弱点属性は何かなど、敵の情報は戦っているうちに少しずつ掴んでいくものです。
セラブルでは、戦闘中消費無しに何度でも確認することができます。
敵の情報が最初からわかるからこそ、それを利用して策を練って戦うのが前提となります。
弱点属性や有効な状態異常を知ることができても、十分とは言えません。
一番重要なのは相手がどんな攻撃を繰り出してくるかで、それは表示されませんから。
敵の弱点を突いたら、それを利用されて強烈な反撃が来ることもあります。
弱い敵から倒したら、残った敵が鬼のように強化されるケースも。
また、戦闘終了時、倒れている仲間にも経験値が入ります。
経験値のためだけに攻撃の手を緩めて復活させる必要はありません。
ただ、「一人でも生き残ればいいんだから回復は後回しでとどめだ!」と強引に攻めると、手痛い反撃をくらって壊滅しかねない。
一部の雑魚やボスは、体力が無くなると最期に強烈な一撃を放って倒れます。
ひらたく言えば自爆で、道連れに全滅ということも。
場の属性の変動、種類豊富かつ強力な状態異常の数々など、他にも様々な要素があります。
戦闘以外のシステムも凝っていて、次の目的地が表示されるのが便利。
キャラ辞典や用語集もあり、一度掲載されたものも物語が進むごとに更新されます。
グラフィックも大量に用意されています。大量の人物に顔グラがあるのがすごい。
音楽も素晴らしく、BGMの効果によって気分が盛り上がりました。
特に好きなのは黒幕との戦いで流れる二曲と天羅の翼です。DYCONもカッコいいですが、歌詞を見た後だとシリアスなバトル中もちらつくようになってしまい……。
※ここからは激しいネタバレ注意。
「プレイしてみようかなぁ」と思っている方は、クリアしてから見た方がいいと思われます。
なるべくボカしたいので「化物」「地上」などの表現を使っていますが、正確さに欠けてしまいます。
END ROLL
せがわ様制作『END ROLL』の感想です。
人を傷つけても何も感じなかった少年が、夢の世界で優しい人々との交流を通して更生していくRPG。
こんな方におススメ
・寄り道大好き!
・会話が変わっていないかこまめに話しかけたくなる
・暗い展開や重い要素も耐えられる
こんな方にはおススメしません。
・ハッピーエンド至上主義
・主人公が責められるのは嫌だ
・期間限定のイベント・アイテムはちょっとなぁ……後でまとめて回収したい
主人公のラッセルは重い罪を犯し、更生プログラムの実験台にされました。
薬を注射して見る夢の世界で過ごすうちに心が変化していきます。
同時に、穏やかだった世界に不穏な影が……。
このゲームはまず寄り道・サブイベントが豊富。
仲間が技を覚えるなど強化されますし、キャラクターの過去・内面が掘り下げられるので積極的に関わるべきです。
注意すべきは期間限定のものが多いことですね。
クリアする前にまとめて回収したかった。
進行に伴い、会話も細かく変わります。
町の人の頼みを聞いて同行という形が多いのですが、頼みを聞く前、仲間加入後、達成後と挨拶回りが楽しい。
仲間と二人で映画館に入るイベントもあり、鑑賞後の感想を聞けます。
サブイベントや会話の根底にあるストーリーはどうかと言いますと、一日目の、町を訪れた直後のほのぼのとした雰囲気からは考えられない重さを見せます。
冒頭の紹介文に嘘は書いていません。
更生したからといってハッピーエンドにはならないだけです。
何しろタイトルが『END ROLL』。終わった後の話です。
ラッセルは取り返しがつかないことをしてしまい、もはや変えられません。
普通主人公が責められたら「主人公は悪くないだろ」とか「悪い部分はあるけど、そこまで言われるほどじゃない」と思いますが、この作品では言われても仕方ない。
人を殺しても心の痛みをろくに感じなかった主人公が罪悪感を得るための実験ですから、現実で批判されるのは当然ですし、己を責める気持ちが芽生えて夢に反映されるのは望ましい展開と言えるでしょう。
主人公に非があっても責められるのは真っ平だという方はプレイしない方がいいと思います。
冒頭で「イカレ野郎様」呼ばわりされますから。
いきなりイカレ野郎と言われて驚きました。
「とんでもないボール投げてくるな」「何やらかしたんだ主人公」と思いつつ進めるうちに「イカレ野郎呼ばわりされても仕方ないわ」と納得します。
火刑になるべきは貴様だと言われた時も反論する気は全く起きませんでした。その通りとしか言えねえ……。
だからこそ、辿る結末も明るく楽しく夢いっぱいになるわけがない。
「〇〇が救われてほしい」と思うことがあっても、救われるようならそもそも登場しません。
それでもかまわんという方におススメしたい作品です。
物語を彩る音楽やキャラクターの動きも見逃せません。
曲はイベント、戦闘、どのシーンも合っていて、世界観を描き出す役割を果たしています。特に演出に痺れたのは哀悼者戦。ボス戦の曲は全部好きです。
ドットの動きも細かく、戦闘中は動いて攻撃する姿が可愛いしカッコいい。
イベントシーンでも目を閉じたりしゃがんだり。
会話の量だけでなくこういったところでも作りこまれています。