漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。
サイトの話を再掲。
タイトルはそのままですが、『冷たい手』『知らぬ者、知る者』の内容も加えています。
『キン肉マン』311話
マリキータマン生きてたのか。
あれだけ「仲間のために綺麗に燃え尽きました」みたいな空気を醸しておきながらお目覚めするあたり、ヒュンケルみたいだ。
ナパームコンビネゾンを見た時殺意の高さに凍り付きましたが、あれくらいしないとマリキータを倒せないとアタル兄さんは見抜いたのかもしれない。何という冷静で的確な判断力なんだ。
またアリステラを肯定してる……。
現在はアリステラが方向転換したからいいものの、思考停止して破滅へ突っ走ってる時も全力で肯定していたので、そういう姿勢は直してくれないと困ります。
パイレートマンはスグルと戦って和解の道を選んだそうですね。
アリステラもオメガの悪しき伝統を正すことを決意したけど、マリキータは良くも悪くもアリステラ至上主義のままなんですよね。
病院で傷を癒しつつ、アリステラとの付き合い方やオメガの今後について改めて考えてほしい。
ブロッケンの「生きたまま?」という疑問に笑ってしまった。
いくらジャスティスがマイペースでも「全員殺して墓場に送るのが手っ取り早いな」などとは考えないでしょう。
……サタンに散々無慈悲な態度を見せたせいだな、うん。
ブロッケンは重傷負ったのに普通についていこうとしてるのも面白い。
尊敬する隊長から最も信頼し合うパートナーとして召喚されたと思ったらサタンが乱入したり始祖が下りてきたりした挙句超人墓場まで行くことになるなんて、事態が動きまくって振り回されてます。
波乱万丈だな、大丈夫か?
ジャスティスのことを心配するスグルに対して、彼は笑みを浮かべる。
「私を心配してくれるのか、キン肉マン?」
ジャスティスの微笑……優しい顔してる。
身を案じてくれたのが嬉しいのか。そういう温かな感情があるんだな。
それなのにサタンにはあの対応だったと思うと嫌悪の度合いが窺える。
ジャスティスはめちゃくちゃ強いから心配された経験は少ないだろうなあ。
ダイ大のミストバーンがハドラーから助ける宣言された時もこんな気持ちだったんだろうか。
ダイ大のミストバーンで見たいシチュエーションです。
彼の案内に従ってアタルやアリステラ、ブロッケンはザ・マンのもとまで赴くつもり。
アリステラがブロッケンの名前をちゃんと呼んだのが嬉しい。基本的に小僧扱いしていたからな。
戦いを通して分かり合って絆が芽生える展開はよいものだ。
パイレートマンも立った!
出番があるのか。嬉しい。
ジャスティスのポーズにツッコみたいけど謎の呪文唱え始めるし何より海浅くない?
この、疑問点が続けざまに顔面に直撃する感覚……こんな時にキン肉マンを読んでると感じる。
今回はジャスティスの笑顔にグッときました。
敵に対する冷酷さを披露してきたキャラが温かみを垣間見せると衝撃が大きい。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
前回更新した『怒りの日』と今回の『final messenger』はサイトの話の再掲です。
『怒りの日』はそのままで、今回の話はタイトルを『最強の主従』から変更しました。
ケンガンアシュラのアニメで黒木の姿が映ると何故か笑ってしまう。
性格も闘い方もおかしくないのに。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
忍者メールフォームのサービスが終了しますので、撤去しました。
『キン肉マン』310話
サタンの奥の手がまだ何かあるんじゃないかと疑ったものの、普通に撃退されました。
ジャスティスマンはマジで強かった。
「私に任せて逃げろ」と「この戦いが終わったら」をやっておきながらサラッと相手を粉砕した。
この展開で勝っちゃっていいのかという気持ちはあるけど、カッコいいからいいか!
ジャスティスがサタンとは別の脅威について言及した。
よかった、ブロッケンも意識がある……というか普通に喋ってる。忘れられてなかった。
ジャスティスまでブロッケンの理解力の高さに言及した。アタルにいきなりビンタされたりちょっと視線を合わせたりしただけで真意を汲み取るからな。
詳しい話はジャスティスの師匠のザ・マンが語るとのこと。
サタンに対しては会話する気ゼロで淡々と蹴りを入れまくったジャスティスが、アタルやアリステラには丁寧に対応している。
アリステラも思考停止して復讐に突き進んでいた頃と違い、真摯に耳を傾けようとしている。
こうやって手を取り合っていい関係を築いてほしい。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
サイトの話を再掲。
タイトルを『インフィニティ』から変更しました。
前回『新約帽子世界』のケリーについて触れたので、フリーゲームの女キャラの話を。
強烈だったのは『月夜に響くノクターンRebirth』のルナや『Seraphic Blue』のヴェーネです。
甘っちょろいこと言うヒロインは珍しくありませんが、ルナはかなりぶっ飛んでると感じます。いい人認定する基準が緩すぎる。
ヴェーネは逆に切れ味の鋭さが印象に残っています。
一番ヴェーネに「うぉわぁ……」と思ったのはザーラ戦直後のニクソンに吐いた台詞ですね。
子供達が化物へと変貌してしまい、自らの手で殺して彼らの苦しみを終わらせたニクソン。
怒りと悲しみ、憎しみに駆られて彼は仲間に銃を向けてしまう。
ヴェーネもまずは銃を下ろすよう訴えます。ここまでは穏便。
しかしそれを聞き入れず、この場から消えてくれという彼に対するヴェーネの台詞の数々が……。
「勝手な言い草ね。そんなのただの八つ当たりよ」
「何で私達が銃を向けられる訳?」
「子供を捨てた奴を探して、端から殺して行ったら?」
ヴェーネの言う通り、ユアン達に怒りをぶつけるのは八つ当たりです。彼女の言ってることは間違っちゃいない。
でもタイミングと言い方がキツい。
愛する者達を残酷な形で喪ったばかりなんだぞ……。
感情的になってる相手を刺激するような言い方するなよ。
冷静に正論を吐くヴェーネを、銃を突きつけられてるユアンが宥めて、こうしないとニクソンは怒りと悲しみで狂ってしまうと擁護すると、
「それで私達が泥水を被るの? 馬鹿馬鹿しい。やってられないわ」
ヴェ、ヴェーネさん……。
確かにニクソンの行動は間違ってるけど、心がズタズタになったばかりの彼に正しさを要求するのはあまりにも酷では……?
ニクソンは一緒に旅をした仲間です。
彼の優しさや忍耐強さを知っており、簡単に八つ当たりするような奴じゃないことは理解できているはず。
よほどのことがない限り筋違いな怒りをぶつけたりしないし、その「よほど」の事態発生直後で感情が爆発してる最中に正論を述べたところで届かないでしょう。
このシーンで地味に好きなのはケインが黙り込む描写です。彼の過去を考えるとニクソンの叫びに何も言えないよな。
ヴェーネをフォローしておくと、その後言い過ぎたかもと気にするシーンがあります。
それに、再びパーティーを組む時はヴェーネも歓迎する様子を見せ、和やかな空気です。
仲間に対してこの調子ですから、敵にはもっと辛辣。
惨めな姿を晒した宿敵に「死ね! この負け犬が!」と吐き捨てて戦闘に突入し、戦闘後そいつが質問に答えなければ「あ、そう」と呟いてとどめを刺す頃には「さすがヴェーネさん」「それでこそヴェーネさん」と思うようになってました。
世界を滅ぼそうとする理由を丁寧に説明して子供達への愛を切々と語り悲しい想いを吐露した黒幕に「喋り過ぎなのよ。この糞ババア」と告げるヴェーネは天使としか言いようがない。
ヴェーネがこんなキャラになったのもジークベルトの教育の成果です。
フリーゲームに登場するろくでもない父親を挙げろと言われたら、真っ先にこの作品のジークベルトとゲオルクが浮かびます。
『キン肉マン』306話
アリステラを庇い重傷を負いながらも、アタルはサタンを止めようとする。
彼の姿にアリステラも「お前ってヤツは……」と動揺を隠せない。
オメガのリーダーとして気を張ってきたアリステラが、戸惑いの表情を見せている。
マリキータをしつこく虫けら呼ばわりするサタンはお手本のようなヒールムーブ。台詞に品がない。
ここで割って入ったのが、完璧超人始祖のジャスティスマン。
アタル兄さんが目を丸くして驚くってとんでもない事態なんだな……。
『完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)』
『完璧・陸式(パーフェクト・シックス)』
ってカッコいいな!
「始祖」とか「〇〇・×式」とか大好きです。
デザインカッコいい! 強そう! 厳格な裁定者のオーラが出てる!
始祖編は悪魔将軍が超人墓場への侵攻を開始したところまで読んだのですが、その後ジャスティスらが出てくるのか。ますます気になる。シルバーマンのことを同胞と言ってますし。
自分のことを遺物と評するキャラを見るとしんみりしてしまう。ノクターンのカオスを思い出すので。
長々と喋るサタンに「黙れゴミ屑」と返し、会話のキャッチボールをする気が微塵もないジャスティス。
「黙れゴミ屑」て……。
ゴミ屑呼ばわりはサタン相手だから許されるけど、他のキャラに言おうものなら空気が凍りますよ。「いくらなんでも言いすぎだろ……」「正義を振りかざして相手を踏みにじる傲慢な男だ」と悪い印象を抱くかもしれない。
・こんなもの
・我らと同じ旧世代の遺物
・最低の部類に属するような代物
・負の遺産
・ゴミ屑
容赦が、容赦がなさすぎる。
ヒールのように高らかに罵倒するのではなく、淡々と述べるのが怖い。
アリステラはオメガの先祖を殲滅しようとしたジャスティスが助けに来たのが解せない。
ジャスティスが言うには、「罪人の子孫は罪人ではない」。
二世は「悪の血を引く者はどうあがいても悪」という思想が根底にあると聞いたのですが、それを否定しているのでは?
二世の問題点を修正して始祖編や現在のシリーズを描いているのなら、ブロッケンの思想や境遇も変わるかもしれない。
以前の扱いを反省して始祖編からブロッケンの成長が描かれた気がしてならないんですよね。
「二世で駄目だった奴はどうあがいても駄目」ではなく「二世のやらかしは現シリーズの罪ではない」という路線で行ってほしいです。同じ道をたどるのではなく違う道を進もうとしているのですから。
つながるかどうかも怪しい未来の話で延々悪く言われるブロッケンやネプチューンマンを見るとさすがに気の毒です。
ジャスティスが「罪人の子孫は罪人ではない」「その罪を引き継がんとしているなら話は別」と言うのはバランス取れています。
名前が名前なのでガチガチに頭固くて正義の名のもとに片っ端から断罪する粛清者かと心配しましたが、違ったのでほっとした。
アリステラが仇の一人であるジャスティスとの対話を望んだことが嬉しい。アタルやブロッケンの言葉が届いたんだな。
アタルが退く理由が「戦闘のダメージ+アリステラを庇って負傷」だけでも十分なのに、「ジャスティスの台詞に納得+アリステラを逃がす」も含んでいるのが、丁重に扱われていると感じます。
始祖編からはキャラクターの扱いに気を遣っていると感じられます。
下手な描き方したら「『ゆではウォーズマンを何もわかってない』とファンから怒られる」事態がまた発生してしまうでしょう。
ずっと老害マン呼ばわりされるネプチューンマンや成長を描かれても貶されるブロッケンを見ると、笑い話にならないんですよね……。
ジャスティスマンはどんな戦いぶりを見せてくれるのか。
普通なら「あんなに強いジャスティスがやられるなんて!」とサタンの引き立て役にされる流れです。
自称・旧世代の遺物が若者達の未来を守るために敵を食い止めるなんて、結果は見えています。
それでも頑張ってほしいなあ。
『キン肉マン』307話
なんか思ってたのと違う……。
ジャスティスマンが強くてカッコいいのは嬉しいんです。
第一印象と期待を裏切らない強さで、「希望にあふれる未来」の守護者と名乗るのが熱いです。
ただ、予想を裏切られて感情がついていかないだけです。
物語のお約束を踏まえるなら、ジャスティスが高い実力を見せながらも本気を出したサタンにやられる流れです。
あの、そうなりそうにないんですが……。
実体化したサタンはヒールらしいマイクを交えて猛攻を浴びせてきます。
でもくらってるジャスティスが無傷無反応無表情なので、読んでいて感情が迷子になる。
膝蹴りを腹にドボッされても、顔面を鉄柱に叩きつけられても、顔を何度も何度も蹴りつけられても、ろくに傷つかず声も上げず表情も変えないからな。
普通なら「うわ、エグい」とか「ああっ、ジャスティスが危ない!」とかハラハラするはずなのに。
サタンの必殺技が直撃してようやく見せたリアクションが「こんなものか」。
「こんなものか」って。
こんなもの。
薄く笑ってません?
何でそんなに余裕あるの?
攻撃くらいまくっても平然として「この程度か……」と呟くのは敵ボスのやることだろ。サタンの役割取らないでくれ。
普通なら「ジャスティスマン頑張れー!」「サタンなんかに負けるなー!」「アリステラと語り合うために生き延びてくれ!」と応援するのに、「いいのかこれで?」という困惑に近い感情に揺さぶられてしまう。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
サイトに載せていた話を再掲。
タイトルは変更なし。ミストの一人称部分を削除しました。
『からくりサーカス』のアルレッキーノと涼子の台詞・会話をもっと見たかったなと思っていたらいきなり衝撃を受けた。
シンプル。
ストレート。
だから効く。
アルレッキーノ……。
『キン肉マン』のサタンを見て、作品は違えど大魔王の肩書を持つバーン様にコメントを求めたくなりました。
大魔王というだけで一緒にされたら「誠に遺憾である」と言うかもしれない。
あと、憑依能力を持つキャラが実体化して自分で闘い始めた件について、ミストバーンだったらどう思うか知りたい。
『キン肉マン』305話
マリキータの献身に涙を流すシーンかもしれませんが、これだけタフだと普通に生きてるんじゃないかと思います。
気概と実力の両方を見せたブロッケンをザコ野郎扱いしたまま退場するのはもったいないので、生き延びて認識や関係を変えてほしいなあ。
その前に親友を思考停止させる友情を改めてほしい。
剣や杭に貫かれて壁に縫いとめられるシチュエーションが好きなんですが、マリキータは表情が分かりにくいのが惜しい。
ブロッケンだったらいいリアクションを披露してくれただろうから見たかった。心臓は超人でも危険なので両手足か腹部貫通で。
清々しいまでの悪役っぷりをサタンが見せつけてくる。
令和にもなってゲギョゲギョ笑うなよ。平成どころか昭和の香りがする。
サタンの実体化したデザインは、悪魔将軍に似ていてパワーがありそうだと感じさせるんですが、懐かしさがあふれてる。小学生に戻った気分を味わえる。
アーマーの胸元に埋め込まれた宝石、下部についてる牙、全身の突起……「ぼくのかんがえたさいきょうのごくあくちょうじん」感が最高に漂ってる。
気になるのは描くのが大変そうな印象を受けることです。派手にぶっ壊れるかデザイン変わったりしない?
実体がなかった頃は口から串を飛ばすという大雑把な攻撃方法だったのに、実体を得た途端アリステラを掴んで持ち上げて回転を加えて投げつつ蹴ったりブロッケンの頭に肘を叩き込んでから投げ落としたり、細かくテクニカルな動きを見せるのが面白い。
腕の絡め方が面白いと思ったので調べてみたら、かんぬきスープレックスという技でしょうか。
サタンが意外とレスラーらしい攻防を見せるので驚いた。
プロレスの技を知っていれば「これ〇〇じゃん!」といっそう楽しめそうです。
アリステラが攻撃をくらい、しがみついて止めようとしたブロッケンも地面へ落とされる。
ついさっきまで戦っていた相手が攻撃されて「なんてことしやがる!」と怒り、阻止しようとするブロッケンはいい奴だな。
高所から落とされて地面に激突したけど、間違いなく生きてるでしょう。
一瞬ブロッケンの扱いが……と思いかけたものの、激戦の直後という要素があるから配慮されている方ですね。
これで噛ませ犬とか未熟認定するのはあまりにも酷です。戦える状態じゃないのに粘れと要求するのは無茶だよ……。
冷静なアタルが「許さん!」と叫ぶとは……。「また」ブロッケンが落ちていく光景を見せられたからな。伸ばした手はまたしても届かない。
サタンへ挑もうとした彼を制したのはアリステラだった。
こんな事態になった責任を取るためであり、友の敵討ちでもある。
真面目だ。アリステラの責任感の強さは散々描写されてきたからな。
リングに叩きつけられるアリステラの下に滑り込み、アタルも吐血。
アリステラを庇うことで格を下げることなく戦線離脱するのかな?
はー、サタンを見て湧き上がるこの気持ちは何だろう。
この時代に、ここまで「ぶっ飛ばされてスッキリ!」タイプのボスが登場するとは。
敵にも正義が……とか、相手への敬意とか、そんなもの知ったことか我こそ悪の権化なりという言動にワクワクしてきた。
『完璧超人始祖編』はちょうど悪魔将軍が動き出したタイミングで公開範囲終了でしょうか。
感想を書くのは、
『キン肉マン』の現シリーズ:フルメタルジャケッツの戦いは終わったけどしばらく続けたい
『キン肉マン』の始祖編:一旦終了
『1000円ヒーロー』:単行本ごとにまとめて
の予定ですが、『ケンガンアシュラ』のアニメも気になってるんですよね。
どこまでやるんだろう。
黒木は?
生まれながらの特殊体質も主人公の宿敵などの深い因縁も派手な必殺技も華やかな容姿もないけどなんか強いおっさんは?
拍手してくださった方、ありがとうございます!
サイトに載せていた話を再掲。
タイトルは変更なし。内容も同じです。
『完璧超人始祖編』71話・72話
全身を破壊され自害もできないポーラマンは、ウォーズマンに己の命を差し出そうとする。
潔すぎ。
無量大数軍の命を奪い、ロビンの仇を討つ機会を、ウォーズマンは放棄した。
よくある「復讐なんて虚しい」論も、父親が体を真っ二つに引きちぎられて復讐に燃えたブロッケンや、鳥取砂丘に回転しながら埋まっていった師匠の仇を討とうとしたウォーズマンが言うと「あ、アンタがそう言うなら……」と思います。
ロビンはウォーズマンの中で永久に生き続ける。
寿命がないウォーズマンの「永久」は重いな。
仲間が死んでいって自分だけ生き続けるのは辛そうなんですが、魂を受け継いでいくと考えれば違うのかな。
ここでポーラマンから気になる情報が出ました。
無量大数軍の戦士達には寿命がない。
「おまえのような考え方ができたなら、我らも皆幸せな生き方ができるのだろうな」
生に倦んでいたかのような台詞だ。
ひょっとして簡単に命を差し出したのもそのせいか?
敗北するまで生き続ける彼が、全力で闘って負けた。
「ようやく負けることができた」という言い方が……。
敗北したら即自害なんて過激な掟だと思っていたけど、彼にとっては喜びや救いでもあったのか?
ポーラマンはネメシスに介錯を頼み、ネメシスはそれを受け入れる。
それは予想通りですが、反応に「おっ」と思いました。
「さすがにおまえと別れるとなると、少々残念だがな」
ネメシスにも情はあるんだな。
それでもしっかり殺そうとするのはさすがです。
ポーラマンは安らかな表情で死を迎えようとしたものの、ウォーズマンが阻む。
ウォーズマンにロビンの姿を重ねつつもネメシスは止まらず、ポーラマンの胸を貫く。
礼を述べるポーラマンにも、潔い態度を褒めるネメシスにも、「いや、えぇ……」という気持ちが湧き上がる。
敵が誇り高いのは嬉しいのに、皆命を散らしていくから素直に喜べねえ……。
無印の、負けたくないから小細工に走ったり反則したり醜態晒す敵はどうかと思ったけど、素直に負けを認めてあっさり命を捨てていくのもそれはそれで待ってほしい。
介錯を受け入れつつも、ポーラマンは自分を死なせまいとしたウォーズマンに温もりを感じた。
「どうやら……おまえは機械野郎なんかじゃなかったようだな」
相手を見下すようなことを言ったキャラが認識を改めて訂正する展開が大好きです。
それでこそ高潔な戦士だと思える。
ウォーズマンの優しさを知ったのに、死ぬのか……。
当然ウォーズマンは掟に納得できない。
「こんなおかしな習わし」という表現に同意。
ウェットな感情抜きにしても、せっかく強くなった戦士がすぐいなくなったら戦力不足になるじゃないか。
ツッコみたくなったところでネメシスが説明してくれる。ありがたい。
まず、試合中の攻防で死んでいった者は仕方ない。
そこは正義超人も認めているんですよね。
仲間が殺されても、リングの上で正々堂々勝負した結果なら、受け入れなくてはいけない。
だからウォーズマンも、ロビンを殺したネメシス相手に冷静に接するよう努めている。
完全に割り切ったり簡単に切り替えたりすることは難しく、仇を討ちたいと願うことまでは止められないでしょうが。
マーリンマンがサラッと貶されてる。
マーリンはマーリンで好きですよ。
彼が憎らしい悪役に徹してくれたから、心置きなく「アトランティス頑張れー!」と思えたので。
試合後に自害していく自分達の姿を「おまえたちからはさぞ滑稽な集団に見えたことだろう」と語るネメシス。
そこは自覚しているのか。
じゃあ何で、というところで本題へ。
ポーラマンの言葉だと死を望んでいるようだったが、理想は逆。
完璧超人が求めるのは永遠の若さと強さ。
そして、永遠の若さ……不老の能力を分け与えることができるのが、超人を救うために地上へ降りた元・神。
やっぱり元・神は神の座を捨てても不老だったんですね。じゃあ武道の中の人はそのまま元・神か?
若さと力を得るために努力し、実際に選ばれた者達が、完璧超人の最上位にいる無量大数軍。
永遠の時間を手に入れてやることはひたすら力を高めること。
ストイックだ……。
敗北する者は不老という特権に相応しくない=自害か。
ネメシスが、研鑽するだけでない、もう一つの使命を語る。
下等超人が道を誤った時、制裁すること。
別に世を乱してはいないだろ。キン肉マン達は争い起こそうとする連中を止める側では?
それも一通りおさまって、これから穏やかに暮らすはずだったんだから来ないでくれよ……と思ったら、地上に広まっている奇妙な力を調査し、殲滅するために来たらしい。
どんな力か分かっていないうちから諸悪の根源とは随分な言いようだな。最初から忌まわしいものと決めてかかってない?
スグルを病原体扱いすんなよ。友情パワーのことなら悪いものじゃないだろ。
おかしな方向に発揮してしまう可能性は否定しないけど、それを言い出したらどんな力にも当てはまるし、実際に迷走した時に止めに来てください。
大体そんな時は完璧超人に任せなくても、他の超人が止めようとするでしょう。
ここで真弓から異変が知らされる。
金銀マスクが分離して金だけが行方不明に。
場面が変わり、悪魔六騎士のシルエットが映る。
そして……。
「超人墓場への侵攻を開始する!」
悪魔将軍!
見開きの将軍にワクワクが止まらない。
無印の時点でデザインめっちゃカッコよかったのに、進化した画力で戦う将軍が見られるのか。
将軍を見るとパイプ椅子のシーンを思い出してしまうんですが、ブロッケンの落ちぶれるネタみたいなものだと思うと茶化すわけにはいきませんね。
カッコよさを見せてる時にまで黒歴史的なネタを持ち出すのはなぁ……。
今回は狼狽や逆上はほどほどにしてほしいです。
始祖編や現在のシリーズでは無印で不遇だったキャラが活躍したり、負けるキャラにも見せ場が用意されたりと、扱いに気を遣っていると感じられます。
ですからきっと、将軍も威厳を保ったまま描いてくれるはず。
それにしても、金は悪魔将軍として復活したのに銀はそのままか。
始祖編で戦うと聞いたのですが、まだ先か。
「ゴールドマンの弟だから、兄に負けないくらい強くてカッコいい姿や技を見せてほしい!」と思ったものの、変にハードル上げるのはよくないですよね。
シルバーマンはシルバーマン。性格が違うからなあ。
無印ではたまに物騒なことを言うけど基本的に穏やかで理性的なキャラでした。
争いごとを好まない性格の持ち主に、苛烈な戦闘や強烈な必殺技を要求するのは酷ですね。
勝手に期待して勝手に失望しただけなのにガッカリさせやがってと詰るわけにもいかないので、期待しすぎないようにしよう。
戦う機会が無くて鈍っているでしょうし、そこまで強くないかもしれない。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
前回竜魔人ダイにぶちのめされる封印解除ミストバーンを書いたので、サイトに載せていた秘法無しバージョンも修正して更新しました。
旧題は『暴君』でしたが、新しい方に合わせてタイトルを変更しました。
ミストバーンがぶん殴られる話が続きますね。
もっとほのぼのする話を読みたいです。ハドラーを応援するミストバーンとか、ミストバーンに助けられたからお返ししようとするハドラーとか。
ミストバーンとハドラーの話を読みてえ!
アニメではミストとハドラーの会話はカットされることも覚悟すべきでしょうね。
他のキャラとの関わりを描いてほしい気持ちは強いんですが、キャラクターの根幹にあるのも、作品全体のバランスを考えた時に優先すべき要素も、バーン様への忠誠心です。
一番力を入れるべき部分を描くために他の要素をカットするならば、歯を食いしばり涙を流しながら賛同します。
……その前にバーン様がどうなるかだ。
ミストバーンの描写不足とバーン様の描写不足、どちらが作品にとって致命的か明らかです。
まず主人公とラスボスがしっかりしないと全体の完成度や評価がガクッと下がってしまう。
ぶちのめされるといえば、キン肉マンの「私の好きなぶちのめされるシーンランキング」が更新されました。
今までは「アタルを守るために超人の体を捨てて大幅に弱体化した状態で三人がかりで技を掛けられ瀕死になるブロッケンJr.」が一位でした。
今回の試合で、一位は「オメガ・グロリアスのツープラトンを連続でくらい、グロリアスエヴァンタイユで血を吐くブロッケンJr.」になりました。
その後相手の未来を想って力を発揮し、天道羽根抜刀をベルリンの赤い雨でカウンターして切り裂くところまでセットで。
己のため、仲間のため、そして敵のために力を振り絞る姿が熱い。
ブロッケンは今回の試合で、戦闘力では相手のツープラトンを破る握力を披露したり、クソ力に開眼したり、目覚ましい向上を見せました。
精神面でもトラウマを克服しただけでなく、相手の未来を想えるようになった。
これなら二世の境遇につながらないのでは?
ここまで丁寧に成長を描かれて「やっぱり駄目でした」では、今までの描写をぶち壊すようなものだろ。
とにかく、順調に経験積んでレベルアップして心身両面での成長を見せ、未熟な若手ポジションから脱したといってもいいでしょう。
だからそろそろジェロニモや他のキャラを……。
ブロッケンは未熟さを強調されがちで、課題も多いんですが、乗り越えるポテンシャルも機会もあるので恵まれていると言えるかもしれません。
ぶちのめされるという印象ではないためこのランキングには入りませんが、マーリンマンに胸貫かれてぐったりするアトランティスも好きです。
その後息を吹き返したものの再び貫かれ、余力などない状態で語りかけるんですよ。
ただ一人自分を応援してくれた少年に。
減点ポイントがあるとすれば、少年を悲しませて終わることです。
涙ぐみながらアトランティスの名を叫ぶポールが悲痛で……。
ファンになった少年を喜ばせてやれよ!
ヒールのマイクパフォーマンスが噛み合わないアトランティスを見たい。
「オレのファンになったら温泉旅行に招待するぜー!」と観客からブーイングされるつもりで叫んだらポールに「旅行なんかなくても応援するよ」とはにかみながら言われたり、「今度は『人質のせいで負けました』なんて言い訳できないようにボコボコにしてやるぜー!」とロビンを煽ったら「フフッ、正々堂々勝負したいということか。喜んで受けて立とう!」と返されたりしてほしい。
『キン肉マン』304話
道を見失い、迷いをにじませるアリステラにパイレートマンが声をかける。
盲従するのではなく、別の方向を示す者もいる。
恨みを背負って思考停止していたアリステラには言っても無駄だっただろうけど、立ち止まり、己を見つめ直した今なら言葉は届くはず。
彼は語る。
アリステラの努力と優しさをオメガの皆が知っていることを。アリステラの価値は強さと才能だけにあるのではないことを。
「お前の価値をお前が勝手に決め込むなーっ!」
パイレートマン……!
アリステラの「超人強度が上がるからヒーロー、オメガの希望であり救世主」という考えにそうじゃないだろ……と思っていたので、切り込んでくれて嬉しい。
「もしも道を見失ったというのなら、背負わず仲間に聞けばいい!」
怒っているような表情から真剣さが伝わってくる。
こうやって苦言を呈するのも、アリステラを認め、信じているからだと思える。
やみくもに肯定するだけが友情ではないんだな。
「そんな時は……ちょうど吾輩は船乗りだ。海図を読むのは慣れている」
照れくさそうに鼻の頭こするような仕草してるのが何か、こう……デカくてごつくて強そうなのに可愛く見える。
作中での好漢度と読者からの好感度を稼いでいく。
上手いこと言いやがって、このための海賊モチーフか?
ちょっと言い換えて「お前が道に迷ったならば、吾輩が進むべき方角を見出そう」と書くとゲームのエンディングみたいな爽やかさ。
超人達と一緒に特訓したり試合したりして仲良くなるゲームが欲しくなるな。
オメガ編はアリステラに近づこうとするとマリキータマンが現れて試練を与えそうだし、マリキータの好感度を上げるにはアリステラから評価される必要がある。
いやしかし本当にパイレートマンに好感が持てる。言ってほしいことを言ってくれた。
アリステラは一人で背負いすぎて思考停止に至ったわけで、仲間と分かち合うのは大事です。
パイレートマンがいてくれてよかった……これからもアリステラを支えていってほしい。でもスグル達と協力するのも見たい。
現在のシリーズを読み始めたのはフルメタルジャケッツ結成からですが、オメガの中でパイレートマンが一番好きかもしれない。
スグルとの試合もよかったみたいだし、始祖編を追いかけるのが終わったら読みたいな。
試合中にパイレートマンの泣き顔が見られるらしい。とても気になるけど心を抉られそう。
絶望して涙を流すパイレートマンが見たいなあ。その後希望を取り戻すところまで含めて。
パイレートマンの言葉に、アリステラはオメガの悪しき伝統を正すことを決意する。
よし、説得成功!
何もかもアタルにやらせるのではなく、最後の部分はパイレートマンに担当させるのがいいですね。
途中ブロッケンの働きもありました。
アタル一人に詰め込みすぎないのはバランスが取れていますし、読者への説得力も増します。
分かり合えたことに喜びの涙を流すブロッケン。
鼻水出てるけど茶化すのはやめておこう。いいシーンだから。
目がキラキラしていてマジで嬉しそう。
アタルが歩み寄ると、ブロッケンは泣いてしまったことが恥ずかしい様子。
そんな彼にアタルがかけた言葉は……。
「ブロッケン、お前は本当に泣き虫だな」
「だが弱虫ではない。その涙は……お前の誇りにしていい涙だ」
アタルがまた優しい言葉をかけ、温かいまなざしを向けている……!
泣き虫であっても弱虫ではない。
いい言葉だ。
以前、ブロッケンに優しく見えるのは厳しくする必要がないからだと考えました。がむしゃらに突き進む気質の彼を叱咤したら、無理をして命を落としかねないためだと。
そう思っていたのですが、やっぱり単純に甘くない?
アリステラが涙を流した時は見ないようにしていたのに、ブロッケンが泣いたら声をかける対比がにくいですね。
絶望の悔し泣きには触れず、喜びの涙には言及するところに優しさを感じる。
ここで「泣き虫」という表現を使うところがお兄ちゃん感ある。スグルが羨ましがりそうだ。
「この役立たずめ」と言いながら現れ、狙いをベラベラ喋り出す黒幕。
すごい……すごくお約束。
でもそれでいい。
このまま共闘する展開にいってくれそうなので。パイレートも一緒に戦ってほしいな。
サタンの笑い声や言い回しが、あの、ものすごく小物くさい。
簡単に小物認定してはいけないと分かっていますが、自分で悪の権化とか言うのはちょっと……。品格を漂わせてほしい。
ダイ大のバーン様と同じ大魔王を名乗るのはやめてくれませんか?
オメガ側は方向が間違っていたとはいえ彼らなりの正義や信念があることを描写してきたのに、サタンにはそういう要素が微塵も感じられないな。
彼の言い分にもところどころ頷ける部分はあります。
慈善事業で支援してるわけない。そりゃそうだ。
成長したアリステラを乗っ取って敵を倒すつもりだった。そう上手くいくものか?
利用価値がなくなったアリステラをサタンが制裁しようとする。
雷でも落とすのかと思ったら串かよ!
そこは不思議パワーで制裁加えようよ。直接的すぎるだろ。
サタンの攻撃からアリステラを庇ったのは、マリキータマンだった。
やはり彼は生きていた。
アタルに慈悲がないとか残虐とか言っていた読者は謝るべきですね。
……ごめんなさい、慈悲の心はどこ行ったんだと目を疑いました。
「話の流れを考えると殺すわけないけど死ぬだろアレ」と思って誠に申し訳ありませんでした。
ナパームコンビネゾンくらって胸に穴空いてるのに、生きてるどころか普通に動けるのは何なんだ。
耐久力が高いというレベルを超えてない?
アタルはこのタフさを計算に入れて容赦ない技をぶち込んだのか。
アリステラに対するマリキータの姿勢は指摘や批判されるのでしょうか。
アリステラの思想はアタルやブロッケン、パイレートが意見をぶつけたけど、マリキータの友情は献身的で美しいものとして終わるのかな。
想いの大きさは本物でも、方向が危ないのはアリステラと同じじゃないか?
二人が一介の戦士ならまだしも、星の代表が思考停止して、親友がそれを後押しするのはまずいのでは。
そのあたりに言及されずに美しい友情で済まされても違和感があるので、触れられるといいのですが。
破滅すると薄々分かっていながら従うことを決めた苦悩があったのかもしれないけど、勢いよすぎて何も考えていないか煽っているように見えたのがなあ。
この状況でマリキータマンを笑ったり、しつこく茶化したりしようとは思いません。
そんなことをしては、ブロッケンの落ちぶれるネタを延々引っ張って貶したり、ダウンしている姿を笑ったりすることをとやかく言えなくなります。
あるキャラは笑いものにするのに自分の好きなキャラがされるのは許せないなんて筋が通りませんから。
真面目に考えた結果、アリステラの呪いを強化するような行動や対戦相手を見下す台詞はどうかと思います。
チンピラみたいな台詞で相手を馬鹿にしたままならば、高潔な戦士みたいな顔はしないでください。
己の所業を見つめ直し、排他的な思想を改めつつ、アリステラが誤った道を進もうとするならば正してほしい。
そのためにも生き延びることを願います。
『完璧超人始祖編』69話・70話
友情パワーも通じず絶体絶命と思われたウォーズマンだが、仲間や観客の呼びかけによって立ち上がる。
さらなる友情パワーに目覚めた!
『オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ+シンジルココロ=ユウジョウ』
ウォーズマンの中では友情の定義はそうなっているのか。
他の超人だと構成する要素が少しずつ変わりそうですね。
体を輝かせながら師の必殺技、タワーブリッジネイキッド!
私それ好きなんですよ。
衝撃で腹や両脚が裂けてる……。
そこからパロ・スペシャル。
必殺技のオンパレードだ。
完璧に極まったと思われたが、ウォーズマンの仮面が剥ぎ取られてしまう。
己の素顔を醜いと思っているウォーズマンは動揺するはずだったが……。
「それがどうしたーっ!!」
そうなんだよウォーズマン。正義超人一軍に必要なのはそれ……勢いだよ!
真面目な話、トラウマやコンプレックスを克服して強くなるのは大事です。
現シリーズでブロッケンもトラウマ克服して握力でツープラトン止めて新技披露しました。
「超人はツラで勝負しているわけじゃない!」
私の脳内で観客が「そうだーっ、その通りだぜーっ!」と叫んでる。
素顔を見られることを恐れていたキャラが怯まず戦うのは熱いですね!
さらに発展させて『パロ・スペシャル ジ・エンド』炸裂。
ウォーズマンよく頑張った。カッコよかったよ。
真面目で優しいいい奴なのに戦績で色々言われるのが気の毒だったから、勝ってくれると嬉しい。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
『キン肉マン』300話
前回「出てきてすぐ流れ作業みたいに必殺技くらってダウンして復帰するって、ブロッケンの扱いが……。せっかく気合入れたんだから、もう少しカッコよさを持続させても」と思いました。
今回の見せ場を見てジェットコースターみたいなキャラだと思いました。やられたり輝いたり忙しいな!
恨みを捨てることはできないと答えるアリステラ。
台詞にわずかな間があったり、下を向いていたり、葛藤が窺える。
復讐を否定する台詞は「部外者が恨みを捨てろだの復讐やめろだの気軽に言うなよ……」と思うケースもありますが、アリステラはやらされている感が漂ってるからなぁ。
「先祖に申し訳が立たない」という理由で重い荷物を捨てるに捨てられず、よろめきながら歩いているようでいたたまれない。
呪いだと認めながらも破滅へ歩むアリステラをマリキータは肯定する。
「お前が行くと決めたのなら、それがどれほど呪われた道でもオレはお前についていく……。どこまでもな」
いや止めろよ。
クソ力を負の感情で発動させようとするアリステラ。
それじゃ駄目だと言われたばかりでしょう。
相性悪い要素を無理矢理組み合わせるより、別の力を探した方がいいのでは?
発動できたら強敵になりそうですが、そうなると完全に闇に堕ちて葬られるしかなくなる。
宿命を教えてやると言って披露したツープラトンがマリキータマンをぶん投げるだけって、それでいいの?
アタル兄さん腕組みしたままだしブロッケン一人に止められてるぞ。
流血しつつも受け止め切ったブロッケンに、マリキータが動揺を見せる。ブロッケンのこと舐めてたからな。
マリキータを止めたままブロッケンは語りかける。
先ほどアタルが道を示したものの、アリステラは拒絶しました。
アリステラが決意を述べたなら、アタルはそれ以上言葉を費やさない。
それでも手を差し伸べるのがブロッケンの性格であり、役目か。
「わかんねえって言うのもわかるけど……でもほんとはわかってんのもわかんだよ、オレにはお前の気持ちが。なんとなくだがよ!」
この台詞、上手いなあ。
意味が分かりづらいけどちゃんと伝わる言い回しです。拙いながらも必死に感情をぶつけている感がよく出ている。
言い換えるなら、「アリステラの、今更恨みは捨てられないという主張は理解できる。だが本当は、恨みを捨てないといけないと感じているのも、オレには伝わっている」というところでしょうか。
こういう言い方はブロッケンに合っている。
思考を整理できていないまま、それでも訴えかけるのがいい。
「このままじゃお前、不幸になっちまう。だから素直に……わかってくれよ!」
読者の気持ちを代弁してくれた。
それにしてもブロッケンは……自分を攻撃している相手に不幸になってほしくないと言えるのか。
このお人よしめ。
大好きだ。
ブロッケンは、警戒心足りないんじゃないかと心配したくなる甘ちゃんですが、そこがいい。
登場時も自分の復讐心より人助け優先した男ですからね。
ブロッケンの説得にマリキータは激高し、再度穴だらけにする。
「お前なんかにアリステラのことが、わかってたまるかーっ」
私にはお前の方が分からないんだよ!
試合がここまで進んでも、彼の考えていることは「オレはアリステラについていくぜ!」しか分からない。
「あんたなんかに〇〇のことは理解できない!」と書くと厄介なファンみたいだな。
簡単に理解できないのは事実だけど、分かろうとする姿勢すら否定しているじゃないですか。
全自動アリステラの背中押し機と化すのはいい加減やめろよ。その先崖だぞ。
これアタルが「間違った道を歩むのを後押しするのは友情とは呼べん!」と真・友情パワーを提唱する展開にならないか?
もしアリステラが和解を選ぼうとしたら、ブロッケンを攻撃して決裂させようとしないか心配です。
アリステラを英雄にするため、アリステラが今まで歩んできた道を肯定するため、アリステラを想っての善意で。
ブロッケンの体がどんどん穴だらけになってる。
もっとボロボロになってほしいとか流血してほしいとか思ってたけど、これ以上いくとグロくなりそう。
ブロッケンが回避しないのは、実力の差もありますが、真っ向から想いをぶつけようとしているようにも見える。
愚直だ。
まだやれるかというアタルの問いに当然だと答える。
重傷のブロッケン一人に任せるアタルと、すぐ加勢するオメガ側で対比になっているかもしれない。
フルメタルジャケッツの信頼を言葉で語らない態度と、口に出して確かめ合うオメガ側も対比になってるか。
オメガ側ばかり二人で攻撃しているけどルールはどうなっているんだろう。
不安にさせてスマンと相方に謝るアリステラに好感が持てます。
だからこそ止まってほしい。
「オレたち二人に後退という選択肢はもはやない」
あの、パイレートマンは?
オメガの中では穏健派と聞いたのですが。
スグルに破れ、和解の道を進もうとしているとのことなので、パイレートマンと話し合ってください。
きっとまだ戻れるはず。
まずは相手を潰す、考えるのはその後って……周りが見えてないというより、あえて無視しようとしているな。
グロリアスグレイブヤードスプラッシュ→グロリアスエヴァンタイユのツープラトン二連発がブロッケンに炸裂。
軍服脱ぐ前のダメージは除外するとしても、トゲで刺されて流血してまたトゲで刺されて流血して今度は大きな爪で深々と切り裂かれて流血して、そこから関節技で両肩を締められる。
もうボロッボロ。
ダメージがえぐいことになってるはずですが、ブロッケンは耐える。
吐血し、苦しげな表情の彼を見て「そうそう、見たかったのはそれだよ」と思いました。
ろくに傷つかずスマートに戦う姿を求めてはいない。
血まみれになりながら必死にあがいて勝利をつかみ取ってほしいんだ。
頑張れ。
自分のため、仲間のため、そして敵のためにも倒れるな。
ここでマリキータが、アタルがカットに入らないことをネタにブロッケンを煽る。典型的なヒールムーブ。
「お前はもう見捨てられたんじゃないのか」
それ、挑発失敗するパターンだ。
間違いなく「あの人はオレを信頼している」と答えるのが予想できる……と思ったらちょっと違った。
「ソルジャー隊長は誰も見捨てない! オレのことも……お前らのこともな!」
おお……。
散々痛めつけられても相手を想うブロッケンはマジでお人よしだ。
アタルへの評価も兼ねたいい返答です。
正直、試合始まるまではアタルのことを「ソルジャーチームへの仕打ちを考えると敵には容赦ないタイプだよな」と思っていたんですよね。
途中まで倒すべきボス属性がつく勢いでした。
でもブロッケンがアタルの強者属性を指導者属性にガンガン変換して『慈悲深く相手を導いてる』アピールして勝ちへ持っていこうとしている。
げっ、またロールシャッハ・ドットか。
アタルにやってほしい気持ちはあったけど今更使われても困る……と思ったらまさかの!
やられた。
燃えると同時に笑ってしまった。読んでて「ぶえっへ!」となりました。
対戦相手と読者を混乱させてきたマリキータマンが困惑している。
アルファベット一文字が浮かんでくるのは絶対想定していないだろ……。
「心を読んでやるぜ!」→「読めたぜ!」→「何だこれは!?」となった彼の心境を想像すると面白い。
相手の精神を揺さぶろうとしたら盛大に逆効果になってしまったことに気づいたかどうか。
「バッファローやニンジャがいるから椅子使って陣形してほしいな。でもブロッケン達には見えないか」と思ったので、ここで使うのは予想外。
「マリキータがアタルにロールシャッハ・ドットを使う」「ピンチの時に血盟軍が陣形を作る」までは予想していたものの、まさか組み合わせるとは……。
敵にやらせる発想はなかった。完全に。
これが『キン肉マン』か。
私は気づかなかったのですが、陣形はオメガ側にも向けられているという感想を見て目から鱗が落ちました。
たしかに、「隊長はオメガのことも見捨てない!」という流れで出たんですよね。
「お前達も星を救うことを諦めるな!」と思っているなら熱いな!
ブロッケンが選ばれた理由を実感できて嬉しいです。
パートナーの役割と言えば「瞬時に意図を理解しサポートを行う」が浮かびますが、「相方にできないことをやる」を出してきた。
寡黙なアタルとは違い、ブロッケンだからこそ心のままにがむしゃらに言葉をぶつけることができる。
今までブロッケンに対しては「がんばれー」「勝ってほしい」「アタルをサポートするんだ!」と思っていたのですが、「アリステラを止めて救ってやってくれ」「アタルにできないことをやってほしい」と思うようになりました。
これまでずっと「オレはやるぜオレはやるぜ」だったブロッケンが、相手に共感した途端一気にクソ力の真髄に辿り着いたのはすごい。
フルメタルジャケッツ側は、もはや勝てるかどうかではなく、相手を救えるかどうかという段階にきています。
……陣形見た悪魔超人達の反応が知りたい。
手の甲にナイフ突き刺しながら観戦してないかなあ。
『完璧超人始祖編』61話・62話
傲慢なネメシスに過去の己を重ねるロビンマスク。
現シリーズのブロッケンとアリステラもそうですね。
相手を理解し、共感し、止めたいと思うことが正義超人に必要な姿勢なのかもしれません。
超人オリンピック……懐かしいな。
ロビンは絶対王者だったゆえに己が正しいと信じ、他人の意見など不要と考えていた。
しかし、スグルに敗れたことでプライドが打ち砕かれ、大怪我を負ったこともあって復讐の道を進んでしまった。
バラクーダ時代にも言及した……!
ロビンマスクは奇行とカッコよさ、熱さと笑いを併せ持ついい男だと思っていますが、イベントも挟まず仲間面したことだけはずっと引っかかっていました。
気軽に死んだり生き返ったりするのはそういう作品だからと割り切れても、何故かここは強烈に印象に残ってます。
「和解や謝罪は?」「友情に目覚めたなら真っ先にやることがあるんじゃないの」「スグル達に直接言うことはできなくても、陰で己の所業を悔やむとかあるだろ!」とツッコまずにはいられなかった。
戦闘技術を叩き込んだ弟子、ウォーズマンまでもが敗れたことでロビンのプライドは完全に砕け散ったが、清々しさすら覚えた。
ウォーズマンが負けた時ウスノロとか言ってませんでした?
試合直後はカッとなって悪態ついたけど、徐々に頭が冷えたんだろうか。
ロビンは敗北を認めて呪縛から解き放たれ、己に欠けていたものに気づくことができた。
それが“リスペクト”という概念。
自分以外の他者に敬意を払い認め合うことのすがすがしさ。
アトランティスもそうじゃないですか!
ダイ大のミストバーンを連想します。
敬意を抱く戦士、いいですよね。
傲慢だったロビンマスクが他者を認めるようになった。
その結果、友情パワーに目覚め、新たなプライドを得ることができた。
ああ……ようやくバラクーダから仲間化までの経緯が掘り下げられた。
かなりスッキリしました。
こういう描写が挟まれていれば、助けに来てくれた時めちゃくちゃ燃えただろうに!
友情など弱者の言い訳だと切り捨てるネメシス。
いいぞ、自信に満ちた強敵ならそれくらい言ってくれないと。
膝蹴りをくらってもロビンは倒れない。
技巧に優れているはずの両者が泥臭く殴り合う。
それを見るスグルの眼には涙が。
「カッコイイのう、ロビンってやつは!」
そう思う。
カッコイイ奴が真面目におかしなことするから脳が揺さぶられるんだ。
何でガラスの破片集めてロビン・パワー全開にしたらベルが作れたんだよ! ワケわかんねえ。
ロビンマスクの拳がネメシスのガードに弾かれる。
肉のカーテンではなくパーフェクトディフェンダーか。
ロビンも新たな必殺技を繰り出す。
タワーブリッジネイキッド!
カッコいい……!
ああもう何でアトランティスが見ていないんだ!
アトランティスに観戦してほしかったです。ポールと一緒に。
「大嫌えな野郎」がボロボロになっているのを見て不機嫌そうなアトランティスを見たい。
そしてロビンの反撃を食い入るように見つめてほしい。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
『完璧超人始祖編』59話・60話
ネメシスの口から超人の歴史が語られる。
完璧超人は、神に選別された超人の末裔・系譜。
正義超人や悪魔超人を下等と見下すのも、選ばれなかった棄民の末裔だから。
ただの思い上がりではなかったのか。
……さらっと流されていますが、ロビンマスクは現存する古文書にはほぼ目を通しているらしい。
そういうキャラだったっけ。
ロビンに関しては自信が持てない。
いつどこからどんな設定が生えてもおかしくないイメージがある。
神々が超人を作り、しばらくは平穏が続いていた。
しかし彼らは醜い争いを繰り広げるようになり、地上の惨状を嘆いた神々は干渉することを決めた。
「自ら生み出した生命体の愚行の責任は自らが取る」か。
全滅させようとするのは極端すぎますが、生み出した責任を自覚し、世界を憂いて対処しようとするだけでもマシな気がする。
荒れてるのに放置したり、関わり方が中途半端なパターンも多いので。
カピラリア七光線ってブロッケンが人間に戻って無効化したやつか。
ここでそんな活かし方してくるとは思わなかった。
さすがに全超人抹殺はやりすぎということで、ある神が異を唱えた。
「勝手に生み出しておいて、失敗作だと気づけばすぐ処分する。それが神である我らのすることか!?」
ま、まともだ……!
キン肉マンの神々は何もしないか、ろくでもないことするかの二択だと思っていました。申し訳ありません。
醜い争いを繰り広げる者もいれば、状況を改善しようする優秀な超人もいる。
前者は殺してしまえばいいが、後者は救出してやるべき。
過激さは残っているものの、おかしくはない判断です。散々醜い争いを見た後ならば、それくらいしないと変えられないと思っても仕方ない。
しかし他の神々は承諾しない。
一部に優れた者はいるが、後に同じことをやるだろう。そうなった場合、生かした責任は。生き残らせた者達への説明は。
超人と直接関わることをよしとしない彼らに、その神が下した決断は……神の座を降り、一超人として指導者になることだった。
自分が模範となって厳しい戒律を定め、鍛え直す。
おお、自らの手で面倒見ようとしてる。
「おまえほどの神が」と言われるような立派な男が、天に戻れなくなる覚悟のうえで。
そこまでして改善しようとする気概はありがたい。
彼に助けられた者を除いて超人は死に絶え、救い出された超人達が完璧超人となった。
あれ、じゃあ正義超人と悪魔超人はどうなんだろう。
作中でもツッコまれたから後で描かれるかな。
話が終わり、ネメシスが猛攻を開始する。
兜がゆがみ流血するロビンマスクの姿が悲壮だ。
「ロビン……」となったところでアノアロの杖→ユニコーンファイヤーヘッド発動!
落ち着いてしんみりさせてくれない。
気迫のこもった攻撃でもネメシスを倒すことはできず、脳天を叩きつけられるが、ロビンはボロボロになっても立ち上がる。
くっそカッコいいな!
たった今「今度は火属性か!」と叫んだのにもう「ロビン……!」ってなってる。
驚きと興奮の間で高速反復横跳びしてます。
この勇姿をアトランティスに見てほしかった。
ロビンの自尊心について言及したネメシスに、彼は答えを返す。
スグルに敗北した日にプライドを砕かれたが、それと引き換えに新たなプライドを手に入れた。
今回の話は興味深かったです。
ここまでガッツリ関わろうとする神様に感動に近いものを覚えた。
ただ、気になるのは「グロロロー」ですね。
この口癖? は無量大数軍のストロング・ザ・武道と同じです。
武道の中の人は元・神なんでしょうか。
超人と直接関わった結果、失望し、滅ぼしにきたのか?
元・神なら不老でも不思議じゃないし。
「たしか武道もグロロって言ってたような……元・神=武道じゃないか?」と思い、確認するために序盤を読み返すと、引っかかるやりとりがありました。
武道がタイルマンを人間にしたあたりです。
平和を守ろうとするタイルマンに、人より優れた超人の力を誇示しない理由を問い、「平和な世になってしまってはそんな力など必要なくなってしまうではないか!」と、まるで暴虐を煽るかのような言葉を投げかける。
それに対し、タイルマンが「超人がひとりもいなくてもいい平和な世の中を作り上げることがオレたちの使命だ」と答える。
立派な答えです。
超人達が平和な世界を作ることを望んでいた元・神が喜びそうな内容です。
武道の反応は、「キレイ事ばかりほざく」。
正反対じゃないか……。
理想に燃えていた元・神ならそんなことは言わず、感心するでしょう。
ただの別人なのか、変質してしまったのか。
現実を突き付けられて心が擦り切れたならば辛いな。
武道に気を取られてタイルマンの台詞を深く考えませんでしたが、改めて読むと高潔な志を持っています。
こういう、「自分が必要とされなくなるかもしれない、平和な世界を作るために戦う」展開に弱いんですよ。ダイ大とか。
注目したいのは、言ったのがメインキャラではないことです。
理想を抱いているのは一部の実力者だけじゃないと思える。
始祖編は勢いやテンポの良さはそのままに、無印の設定やエピソードを丁寧に拾って話を組み立てる隙の無い作りになっています。
たまに「完璧な犬」など予測できない要素もぶち込んでくるので刺激に満ちています。
『キン肉マン』298話
今回色々スッキリしました。
「仲間のためにパワーアップと書くと主人公みたいだけどおかしくない?」「アタルは力を奪われて倒されるために出てきたのかよ……」「実績や実力が上の超人もいる中でブロッケンを選んだ理由を見せてくれ!」とやきもきしていたのが一気に解消された。
アリステラが「もう一人のスグル・主人公」であるかのような語られ方に違和感を覚えていたので、違いが示されて「そうだよなぁ」と思いました。
・ブロッケンJr.がアリステラに共感、この戦いに選ばれた理由を描く
・ブロッケンJr.がカットに入りつつ過度に進行を妨げない
・自分はスグルと似ていると主張するアリステラに対し、アタルが違いに触れる
・業火の! 再点火が! カッコいい!
満足。
アタルが何をしようとしているのか、ブロッケンが何故選ばれたのかが分かって熱かった。
技をくらっても立ち上がり猛攻を耐えるアタルと、余裕を失っていくアリステラ。
念願のパワーアップが叶って相手に大技を叩き込んだ直後とは思えない。
アタルが逃げ出したことを責めるのは、「自分は苦しんでいるのに!」と訴えているように見えます。
アタルに無責任だと言ったところで今更です。自覚しているから「その通りだ」で終わる。
それなのにわざわざ責任だの余裕だの言い出すのは、自分が重圧に潰されそうになっていることの裏返しじゃないですか。
使命や責任から逃げないのは立派だけどそれで侵略を正当化されても困るし、周囲を巻き込んで破滅に突き進むなら主人公やヒーローと持て囃す気にはなれない。
……あの、クソ力込みの技が直撃したのに普通に戦闘続行するアタル兄さんって一体……。
アリステラの姿を見て涙するブロッケン。
「そうだ、アリステラは……かつてのオレ自身だ!」
そうか。このためにブロッケンが選ばれたのか。
復讐に囚われていた頃も、仇と共闘して困っている人々を助けることができたので、そこはアリステラと違いますが。
ラーメンマンの「オヤジのことは忘れろ。そうすればお前は強くなる」という台詞はよく考えるとかなりきわどいな。
「過去に囚われるな、復讐なんて忘れろ」を仇本人が復讐者に言うのは、一歩間違えるとただの身勝手な台詞に聞こえてしまう。
ラーメンマンの場合は、
・ブロッケンJr.の父を惨殺したことを心から悔いている
・ブロッケンの攻撃を抵抗せずにくらってボロボロに
・あえて攻撃を受けたものの、未熟であることを知ったため返り討ちにしての発言
・その後もブロッケンを助けたり導こうとしたりする
と、ブロッケンの将来を考えての行動だから受け入れられます。
「過去に縛られているオメガ側と解放されたブロッケンJr.」で対比になるという指摘を試合前に見ました。
この要素を使うとしたらいつだろうと思っていました。
よりによって仲間への想いでパワーアップした直後に持ってくるか!
アリステラの主人公補正を引っぺがした感じだ。
「オメガ側のキン肉マン」を「迷走する哀れな青年」に修正。
同時にアタルを導く側へと持っていく。
アタルの強者ゆえのボス属性を指導者属性へと変換し、不利な流れを一話で塗り替えた。
アリステラの内面を見抜いてブロッケンを起用したアタルもすごいけど、一瞬で意図を理解するブロッケンもすごい。
アタルだけだと淡々と戦っているように見えるけど、ブロッケンを添えることであら不思議、超速でなんかいい方向に解釈して読者に分かりやすく説明してくれる!
攻撃に耐えつつチラッと視線向けただけで「そうか隊長はアリステラが過去に囚われていた頃のオレと同じだと見抜いてオレを選んだのか、隊長は道標になろうとしているからオレの役目は邪魔が入らないようにすることだ!」まで辿り着ける奴なんてブロッケンしかいない。
一番の理解者扱いされるのも納得。
アリステラの目的に反しても加勢するマリキータと、アタルのやりたいようにやらせるブロッケンで対比になっているかもしれません。
アタルが無責任と糾弾されてからアリステラはスグルとは違うと語るまでの流れが巧みという指摘を見て、なるほどと思いました。
逃げ出したのは事実であり、すでに認めている以上、否定しても評価が落ちる。
ブロッケンが反射的に「隊長は無責任じゃない!」と反論しなかったのもよし。闇雲に擁護しても逆効果です。
ブロッケンのモノローグがかなり効果的に働いている。
すぐにスグルとは違うという話題に移っては、アタルが話を逸らしているように捉えられかねない。
一度ブロッケンに視点が移ると流れが変わるし、内容もそれを後押ししている。
囚われているという負の面を取り上げることでアタルへのパスを出した。
しかしアリステラは哀しいな。
使命のために邁進していると思い込み、強大な力を得て、もはや敵はなくなったと思ったら、敵の「小僧」からも哀れみの眼で見られるんだぞ。
迷走していた頃の自分と同じという理由で。
オメガ側がブロッケンを格下の未熟者扱いすればするほど、カウンターも重くなるんですよね。
散々未熟者扱いした相手から涙流しながら「昔のオレだ……」と認定されるのはむごい。
アリステラは一度止まって頭冷やした方がいいと思う。
このまま進もうとしても方向間違ってるのでどうにもならないよ……。
アリステラを過去の己と重ねて涙を流すブロッケンを見て様々な感情がこみ上げました。
「そこで泣くの!?」という驚き、「思考や行動が予測不能で面白え!」という笑い、「相手の心境を考えるようになったのか……」という感慨、「頑張れ、キツいかもしれないけどマリキータを食い止めるんだ!」と応援する気持ち。
今までブロッケンは自分が生き延びるのに精一杯で、敵への理解や共感までは到達できていない印象があったんですよね。
そんな彼が相手を想うことができるようになったのが嬉しいです。
ドライに考えれば命がけの闘いの最中に敵の今後まで気にしてられないんですが、スグルだけでなくテリー達もやってるので、正義超人の主力として戦っていくなら必要な姿勢です。
今回の内容を踏まえて試合前を振り返ると、ラーメンマンの頷きが重くなります。
ラーメンマンが穏やかな笑みとともに頷いたことで、ブロッケンは勇気づけられたんですよね。
憎い敵だった男と師弟のような関係を築き、ブロッケンは強くなることが出来た。
ここまでの話がつながったと感じます。
『完璧超人始祖編』55話・56話
凄まじい握力でバッファローマンの皮膚を毟っていくグリムリパー。
ひぃ、さりげなくグロい。
彼はバッファローの力を引き出すため、怒りや恐怖を抱かせようとする。
死んだ仲間をネタにして怒りを煽るとは、ヒールのマイクパフォーマンスが上手いなあ。
うーん憎らしい。
回想でアトランティスが描かれるたびに胸がドキドキしてしまう。この気持ちは何なんだ。
命を落とした仲間を想い、バッファローが吼える!
パワーアップしたバッファローに張り手をくらい、グリムが顔をゆがめる。
うお、痛そう。
グリムのサンダーサーベルカッコいい。
マグネットパワーの時に出てきた技だっけ。
四肢を貫き磔に……好きな構図です。
力を測定・吸収しようとしたグリムだが、吸い取り切れずにアースユニットが壊れ、バッファローの反撃をくらう。
グリムが焦りを見せた。
意外と崩れるの早かったな。
「死んだ仲間を嘲り挑発→力を吸収しようとする→失敗して反撃くらう」と、お手本のようなやられ方だ。
追い詰められた時に踏みとどまるか否かで評価が分かれるので、悪役として意地を見せてほしいところです。