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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

B.B.ライダー

B.B.ライダー

ゴリッチュ様制作『B.B.ライダー』の感想です。

遥か昔、英雄として戦った男――ニトス・ジークフリードが少女ロウリィに召喚され、新たなる闘いに身を投じることに。

・注意点
まずは人を選ぶ要素から。
戦闘は単調です。
ストーリーを進めるためのものと割り切るべきかもしれません。
そこまで過激でないとはいえエロやグロもありますし、ギャグの傾向も万人向けとは言いがたいでしょう。

・最も惹かれたところ
それでも私はお薦めします。
何と言ってもストーリーに引き込まれました。
最初はギャグ全開です。
まさか主人公がいきなり全裸でヒロインの前に現れ派手に闘うとは思わなかった。
敵からも変態変態連呼されます。
物語が進んでもギャグは健在。
守った町の住人から敵だと誤解され石を投げられるシーンで「おお、これぞヒーローの悲しみ……」などと感慨に耽ったら直後に台無しにされました。「英雄の悲哀を期待したのが間違ってた!」と思いきや……。

最初は身近な者を守るために戦っていた主人公のニトス。
強くなるにつれて守る範囲は広がったが、人々からこう呼ばれるようになりました。
化物と。
「どっちが化物だかわかりゃしない」
無条件に崇め称えろとは思いませんが、あんまりな言い草。
戦えば戦うほど嫌われていった、とさらりと言い放つのが切ない。
魔族にも恐れられる力を持つ彼は人々から受け入れられず、苦悩する。
本来戦うのは近しい者達のためで、疎まれてまで赤の他人のために戦う筋合いはない。
家族のいない時代に来ても闘う理由は無いはず。
そんな彼が戦う理由を見出し決意するシーンはカッコいい。

前半のギャグがあるからこそ後半のシリアスさがいっそう光ります。
特に十一章からの展開に引き込まれます。
ニトスの辿る道はつらすぎる。
己が人間であることを捨て、安息を捨ててでも大切な者のために戦い続けることを選んだ。
ご都合主義でない結末だからこそ心に残るとわかっているのですが、彼には幸せになってほしかった。
隠されたエンディングがあれば、そこで彼のささやかでありながら重い「夢」が叶ってくれれば……と心から思いました。

・他のキャラクターについて
・ロウリィ
最初ニトスを召喚して戦わせようとする彼女を理不尽だと思っていましたが、段々可愛さが見えてきます。
引っかかる部分をガレリアンが指摘するからスッキリする。
我儘だった彼女が最後に「最もやりたくないこと」をやらねばならないのが重い。
・ガレリアン
戦友の言葉が心に響く。
人々のために剣を振るう中でニトスは精神をすり減らし、感情を捨て、心が空っぽになっていった。
今の時代に召喚されてなお戦う友の姿をこれ以上見ていられない。
説得は苦手だからと剣をもって語り合う熱い心の持ち主。

・ロンド
おいしいキャラ。
生真面目で口数少ない敵幹部。しかも美形。強キャラであることが約束されていますね。
初めてプレイした時は「クールな敵か。強そう」と思っていました。
豪邸への潜入を命じられた彼は命令に忠実に従い、意気込んで実行する。
メイドに女装して。
筋肉ガチガチなのに。
もちろん男だとすぐバレる。
お前は何がしたいんだ。
おまけにボケる。
ツッコミがツッコミになっておらず、逆にツッコまれる始末。
無理するな。
壊滅的な画力も備えています。

ギャグばかりで主人公達と戦う様子もなく実力が発揮される機会は無いかと考えていたら終盤で見せ場があった。
しかもめちゃくちゃ強かった。
シルバを認めていたとわかる台詞にグッときた。

・もう少し頑張りましょう
逆に小物臭がプンプンするのはケインツェル、ツヴァイ、ケルガー。
そしてルシファー。
偉そうに振る舞い冥王なんて呼ばれていながら散々な扱い。
冥王の名が泣きます。吹き飛びます。

・シルバ
己の信念に従って生きた男。
他者を踏みにじる悪役でも貫き通せばカッコいい。
彼がおっさんの正体を知ったらどう思ったか気になります。
朝ごはんは食べない派らしい。

・ヴァジュラ
登場した時、大物らしく渋くてよしと思っていたらあの最期は反則だ。

・英雄
各々の持つ英雄像、「英雄になれなかった」と語る主人公の生き方、彼が大切な者のために選んだ答えなど、「英雄」の意味について考えたくなります。
輝かしいおとぎ話のような英雄譚ではなく、地を這い、泥にまみれ、転んでも立ち上がる男の物語です。



 
※以下は、ED曲『悲刃』がカラオケ入りしたと聞いて、嬉しくなって追記した時の文章です。

『悲刃』は歌詞がニトスの生涯にピッタリで心を打たれます。
黒き風のヴァジュラは好きなラスボスの一人です。
主人公と同種の力を持ち、同じ技を使うが、実力は主人公を凌駕している。乗り越えた戦いの数、絶望の深さなどなど数々の要素で主人公を上回る。
これは盛り上がる。最後の闘いに相応しい。
今の自分対未来の自分。主人公がラスボスでもある構図は燃えます。
昔はノリノリでギャグ道突っ走ったのに、威厳と悲壮さ溢れるラスボスになるとは思わなかった。
ビフォア「I love おっぱい!」
アフター「お前の光では誰も照らせはせん」
変わりすぎだ。
千年戦い続ければ性格変わって当然ですけど。

ニトスの生涯について大ざっぱにまとめてみます。
1200年前
村が全滅したりこの時点でいろいろと悲惨
魔王の子らであるマギスンやサラドと出会う、サラドと仲良くなりマギスンを好きになる
サラドが真なる魔王に
真なる魔王と化したマギスンを殺す
現代に召喚される

現代
BBの魔力が流れ込んだことにより人間でなくなっていく
ロウリィを消滅させないためBBを隔絶させる=真なる魔王に
自分の手でサラドを倒す(とどめはロウリィ)
ヴァジュラと戦う
1200年前に帰還

1200年前
千年間戦い続ける
人としての心がなくなりつつある

200年前
マルコ(後のシルバ)と出会い人間達に処刑される
人としてのニトスは死に、黒き風のヴァジュラとなった
ロウリィが誕生しなくなるため滅ぶことも選べない

こぼれた魔力で亡霊を生み続ける

現代
ハイブリッドを生むが、助けを求める彼女を無視
ロウリィが生まれる、不完全な彼女が他の亡霊に喰われないよう守り続ける

召喚された過去の自分との邂逅、マハートで真なる魔王として覚醒
過去の自分に敗れた後、ロウリィの手によって滅ぼされる

悲惨すぎる……!
あと、混乱防止のためにメモってます。間違っていましたらご一報を。
ヴァジュラ:ニトスの未来の姿。世界に仇なす存在。
BB:真なる魔王が封じられている。マギスンの魔族としての魂。
ロウリィ:マギスンの人の魂とヴァジュラの魔力が合わさって生まれた不完全な亡霊。
亡霊のままだとヴァジュラが倒されれば消滅し、魔族の魂=BBと融合すれば完全な存在となり、真なる魔王と化してしまう。(それを防ぐためニトスは直接BBを取り込む)
オラクル:ニトスの人の魂と以下同文。不完全な亡霊で、ヴァジュラが倒されれば消えるため完全にはなれない。
ハイブリッド:サラドの人の魂と以下同文。他の亡霊に体を喰われ融合を繰り返した結果混雑種に。ニトスを憎悪する魔物の魂の集合体。

戦い続けて忌み嫌われ、愛する女性と出会っても喪い、召喚された先で安らぎを得たと思ったら少女の未来を守るために代償を払い、元の時代に戻って千年間戦い続けて、人間に処刑され魔の存在となり、最後は守った少女の手で殺される。
この終わり方だからこそ強く心に響くのだとわかっていても、ニトスには幸せになってほしかった……!
ニトスだけでなくサラドやマギスンやハイブリッドやガレリアンやオラクルや他の人々も。

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