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ひよこの足跡ブログ

漫画やゲームなどの感想を書いています。 ネタバレが含まれることもありますので、ご注意ください。

1000円ヒーロー

1000円ヒーロー

こんな方におススメ
・ヒーローショーでノリノリで叫びたくなる方
助けてー! 炊飯マーン!
・心に小学生が住んでいる方
ネーミングがストレート。
煌びやかな名前を出されても作品の空気にそぐわないから、これはこれでよし。
・清々しいまでにベタな漫画を読みたい方
弱いヒーローが自分では敵を倒せないと悟って時間稼ぎをしたり、軽薄な言動のヒーローがヒーローらしい心を取り戻したり、「そういうのが大好物!」な方に。

変身すればトップクラスに強いヒーローになれる主人公。
しかし、よほどのことがないと全力で戦うことはできない。
理由?
金がかかるからだよ!
しっかり戦ったらバイト代が吹っ飛ぶんだよ!
という、活躍の場が無い方が人々の生活と主人公の財布に優しいヒーロー漫画。

「金を消費して変身する」という設定で世知辛さを漂わせる対象年齢高めの作品かと思いきや、少年漫画のど真ん中を突き進む。
ヒーローの中では強くない者も己にできることをやろうと奮闘し、それぞれがヒーローらしい姿を見せてくれます。
予想した通りの展開になることも多いですが、だからこそ熱くなる。

うーんと思ったところもあります。
・主人公がヒーローであることを隠し、組織に所属しない理由
私が一番引っかかったのは、「そこツッコんだら話が成り立たない」と自分でも分かっている部分です。
「強いヒーローであることを秘密にしているのは何故? ヒーロー組織に所属すれば気兼ねなく変身できるし生活も楽になるだろ」という疑問には、
『バレたら戦いに引っ張り出されて、妹のそばにいてやれない』
という答えが用意されています。
このように、妹を優先する姿勢が「主人公がヒーローであることを隠す理由」、「組織の後ろ盾を得て思うように変身できない理由」になっています。
ですが、もっといいやり方があるんじゃないかと思ってしまう。
妹との団欒を邪魔しないなどの条件をつけたりできないのか?
バイトを掛け持ちして生活費を稼いでも、変身して消費するので暮らしは楽にならない。そうやって身を削る様を見ていると、疑問を感じずにはいられません。
倒れでもしたら妹が悲しんで本末転倒じゃないか。
もっとも、この点は作中でたびたび指摘があり、その都度今のやり方を続けると答えています。
「どんなに強いヒーローでも全てを救うことはできない」という台詞の直後に、各地で戦って大切な相手を守れなかったヒーローについて触れられます。
その人物のように、ヒーローとして活動することで大切な人を守れない事態を恐れているのかもしれない。
そのヒーローについて詳しく描かれれば、所属しない理由も納得できるかもしれない。

・絵について
拙いというご意見を見かけることも。
スタイリッシュなキャラがオシャレな台詞を吐きつつクールに戦う世界観だと合いませんが、この漫画の雰囲気だと私はそこまで気になりません。
ただ、「ここはもう少し迫力がほしかった」と感じるシーンもあったのは確かです。
刃のグランドエッジとか。
「さすが必殺技だ! これなら避けられない!」と感じられれば、「見切っていたのか」と相手の株も上がっただろうな。
・2巻以降は販売が電子書籍のみ
1巻は紙で買ったので揃えられないのは残念です。
それでも続きが読めることを喜びたい。

キャラクターについて
・日朝 千
最大の敵:金欠
主人公。
変身すればとても強いヒーローになれるが、本人は活躍の場など望んでいない。
貧乏ですが、心まで貧しくはないのがいいところ。
金を出し惜しみせず使うべきタイミングを知っています。
妹優先という条件付きで組織に所属すればいいのでは……と思うのですが、彼が危惧したように妹との時間が取れなくなるでしょうね。
条件を付けても形骸化しそうです。
妹優先と唱えていても、人々が襲われ助けを求めたら、無視できないでしょうから。

・天崎 恵理
戦う力を持たないが冷静さを失わず、頭脳面で働きを見せるので足手まとい感はない。
頼もしいので日常の象徴・帰るべき場所というより戦友にカウントしたくなる。
・日朝 ほのか
千の妹。兄想いの可愛い子。
主人公の頑張る原動力であり、日常の象徴という印象はこちらから感じる。
怪人から弁当をよこせと言われて拒否するシーンは、おまけを読む前と後で印象が変わる。
「兄が張り切って作ってくれたから」という理由に変わりはないのですが、他に……。

・威借 刃
現時点で一番好きなキャラ。
千と恵理の仲に嫉妬して邪魔してくる姿を見て、「主人公の強さやヒロインとの絆を見せるための引き立て役か」と、最初はあまりいい印象ではなかったんですよね。
それどころか「半裸にベルトって恥ずかしくないの?」「つーか前髪邪魔」と私の中では散々な評価でした。
……すみませんでした!
毒で動かない体を叱咤して意地を見せたところで、元々ヒーローらしい心を持っていたんだと感じた。
話の盛り上がり的にも財布の中身的にもなかなか全力で戦えない主人公に代わって、メインで戦うことになりそうです。
頑張って強くなってほしい。

好きな台詞
2巻中盤までで三つ挙げるなら以下のようになりました。
終盤までじゃないのは、入れると絞り切れなくなるからです。
・噂ほど強くないと言い出せなかったことを詫びるヒーローに対する、親友の返答
「噂通りになるように一緒に強くなろうぜ」
友情。
下っ端のヒーローも心意気は十分。

・怪人になりきれなかった父親の叫び
怪人になってしまった者は人間に戻ることはできず、何もしていなくても排除される。
男は怪人になって日が浅いが、大切な人間の顔を思い出せない。
そんな彼に怪人が、全部忘れて仲間になれと勧誘する。娘を攻撃した怪人に、男は渾身の叫びを叩きつけた。
「娘をぶった奴の顔を、忘れてたまるか!!」
直前の千の台詞・炎と合わせるといっそう熱くなる。

一番は好きなのは次の台詞です。
・ヒーローを辞めようとした刃が立ち直り、千に告げた台詞
俺は君を…君をも守れる男になる
戦う力を持たないヒロイン・恵理ではなく、自分よりはるかに強いヒーローである主人公・千に言うのが熱い。
登場時はせこい手で千と恵理を引き離したり、怪人の出現で女の子にかっこいいところを見せられると考えたり、「そんなんでヒーローと名乗れるのか?」と危ぶむ状態でしたが、今の彼は立派なヒーローです。

この後のエピソードでも好きなシーン・やりとりが出てきます。
私が特に熱いと感じたのは2巻のエピソード二つなので、1巻を読まれた方には2巻を強くお勧めしたいです。
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