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『完璧超人始祖編』59話・60話
ネメシスの口から超人の歴史が語られる。
完璧超人は、神に選別された超人の末裔・系譜。
正義超人や悪魔超人を下等と見下すのも、選ばれなかった棄民の末裔だから。
ただの思い上がりではなかったのか。
……さらっと流されていますが、ロビンマスクは現存する古文書にはほぼ目を通しているらしい。
そういうキャラだったっけ。
ロビンに関しては自信が持てない。
いつどこからどんな設定が生えてもおかしくないイメージがある。
神々が超人を作り、しばらくは平穏が続いていた。
しかし彼らは醜い争いを繰り広げるようになり、地上の惨状を嘆いた神々は干渉することを決めた。
「自ら生み出した生命体の愚行の責任は自らが取る」か。
全滅させようとするのは極端すぎますが、生み出した責任を自覚し、世界を憂いて対処しようとするだけでもマシな気がする。
荒れてるのに放置したり、関わり方が中途半端なパターンも多いので。
カピラリア七光線ってブロッケンが人間に戻って無効化したやつか。
ここでそんな活かし方してくるとは思わなかった。
さすがに全超人抹殺はやりすぎということで、ある神が異を唱えた。
「勝手に生み出しておいて、失敗作だと気づけばすぐ処分する。それが神である我らのすることか!?」
ま、まともだ……!
キン肉マンの神々は何もしないか、ろくでもないことするかの二択だと思っていました。申し訳ありません。
醜い争いを繰り広げる者もいれば、状況を改善しようする優秀な超人もいる。
前者は殺してしまえばいいが、後者は救出してやるべき。
過激さは残っているものの、おかしくはない判断です。散々醜い争いを見た後ならば、それくらいしないと変えられないと思っても仕方ない。
しかし他の神々は承諾しない。
一部に優れた者はいるが、後に同じことをやるだろう。そうなった場合、生かした責任は。生き残らせた者達への説明は。
超人と直接関わることをよしとしない彼らに、その神が下した決断は……神の座を降り、一超人として指導者になることだった。
自分が模範となって厳しい戒律を定め、鍛え直す。
おお、自らの手で面倒見ようとしてる。
「おまえほどの神が」と言われるような立派な男が、天に戻れなくなる覚悟のうえで。
そこまでして改善しようとする気概はありがたい。
彼に助けられた者を除いて超人は死に絶え、救い出された超人達が完璧超人となった。
あれ、じゃあ正義超人と悪魔超人はどうなんだろう。
作中でもツッコまれたから後で描かれるかな。
話が終わり、ネメシスが猛攻を開始する。
兜がゆがみ流血するロビンマスクの姿が悲壮だ。
「ロビン……」となったところでアノアロの杖→ユニコーンファイヤーヘッド発動!
落ち着いてしんみりさせてくれない。
気迫のこもった攻撃でもネメシスを倒すことはできず、脳天を叩きつけられるが、ロビンはボロボロになっても立ち上がる。
くっそカッコいいな!
たった今「今度は火属性か!」と叫んだのにもう「ロビン……!」ってなってる。
驚きと興奮の間で高速反復横跳びしてます。
この勇姿をアトランティスに見てほしかった。
ロビンの自尊心について言及したネメシスに、彼は答えを返す。
スグルに敗北した日にプライドを砕かれたが、それと引き換えに新たなプライドを手に入れた。
今回の話は興味深かったです。
ここまでガッツリ関わろうとする神様に感動に近いものを覚えた。
ただ、気になるのは「グロロロー」ですね。
この口癖? は無量大数軍のストロング・ザ・武道と同じです。
武道の中の人は元・神なんでしょうか。
超人と直接関わった結果、失望し、滅ぼしにきたのか?
元・神なら不老でも不思議じゃないし。
「たしか武道もグロロって言ってたような……元・神=武道じゃないか?」と思い、確認するために序盤を読み返すと、引っかかるやりとりがありました。
武道がタイルマンを人間にしたあたりです。
平和を守ろうとするタイルマンに、人より優れた超人の力を誇示しない理由を問い、「平和な世になってしまってはそんな力など必要なくなってしまうではないか!」と、まるで暴虐を煽るかのような言葉を投げかける。
それに対し、タイルマンが「超人がひとりもいなくてもいい平和な世の中を作り上げることがオレたちの使命だ」と答える。
立派な答えです。
超人達が平和な世界を作ることを望んでいた元・神が喜びそうな内容です。
武道の反応は、「キレイ事ばかりほざく」。
正反対じゃないか……。
理想に燃えていた元・神ならそんなことは言わず、感心するでしょう。
ただの別人なのか、変質してしまったのか。
現実を突き付けられて心が擦り切れたならば辛いな。
武道に気を取られてタイルマンの台詞を深く考えませんでしたが、改めて読むと高潔な志を持っています。
こういう、「自分が必要とされなくなるかもしれない、平和な世界を作るために戦う」展開に弱いんですよ。ダイ大とか。
注目したいのは、言ったのがメインキャラではないことです。
理想を抱いているのは一部の実力者だけじゃないと思える。
始祖編は勢いやテンポの良さはそのままに、無印の設定やエピソードを丁寧に拾って話を組み立てる隙の無い作りになっています。
たまに「完璧な犬」など予測できない要素もぶち込んでくるので刺激に満ちています。
ダイ大感想修正版 6
ダイ大感想修正版 5
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>「人が排除しようとする~」の方
ハッとしました。
ダイ大で異質な存在と言うと異種族を連想しますが、同じ種族でも思想が違うだけで当てはまってしまうことが頭から抜け落ちていました。
後者も別の方向で厄介です。
外見や身体能力といった分かりやすい差異があるならば最初から距離を置くでしょうけど、下手に近いと反発や抵抗感が強まりそうです。
バランとソアラの行動は人間同士でもまずいんですよね。
王族というだけでも厄介なのに、種族の違いが絡むことで難易度が跳ね上がります。
身分を理由に、何もかも我慢しろ、犠牲になれとは言いませんが、もうちょっと慎重に……と思ってしまいます。
上手い立ち回りを求めたところで二人には困難だと分かっていますが、最終的に一国が消し飛ぶ事態になってしまったので。
竜の血で力を得る展開は珍しくなく、バランも行ったばかりなのに、ぎょっとしました。
言い出したのが幼く見えるダイだからかもしれません。
>ハドラーの凄い所って~
あ、確かに。
脅しても言うことを聞かず、そのまま引き渡される可能性もありました。
出世欲がどういう方向に働くか、ある程度思考や行動を把握していたから賭けに成功したのでしょうね。
ザボエラの一番の理解者であったと言えるかもしれません。
>結局バーンは神に復讐を謳いながら~
仰る通りです。
力で押さえつける神々のやり方は間違っていたと思いますし、バーン達が同じようにするのも無理はないと感じますが、結果を見ればより強い力に潰されて終わりました。
いくら強くても力で敵を排除し続けるだけでは限界が訪れるでしょうから、別の方法を発見し、地上と魔界の関係が変わることを望みます。
>ネガティブな~
真面目に考察された結果ですから、お気になさらないでください。
私もそういう方向で考えることが多いので。
マイナスに考えてしまう要素が各所にあるのは確かです。
メッセージありがとうございました!
『キン肉マン』299話
アタルの優しい言葉と眼差し、止まれないアリステラの悲痛な表情などで燃える一方、マリキータとブロッケンにツッコミが追い付かない。
ブロッケンの扱いが……。
せっかくカッコよく決めて見せ場が来るかと思ったら、攻撃が当たらず反撃くらってダウンってひどくないか。
吐血したけど少ししたら普通に立ち上がるし、流れ作業みたいにやられて復活。
もう少しカッコよさを持続させてもいいだろ……。
しかもさりげなく発光してる。
ブロッケンを活躍させたいのかそうでないのか分からん。
すぐ不利になったり有利になったり、望む展開に持ち込みやすいキャラなのかもしれない。
ブロッケンの安定感の無さに若干「つ、ついていけねえ」と思いましたが、マリキータマンはそれを上回る。
・アタルはアリステラを罵ってないのに罵ったと言い出す
・飛行能力だけでなく棘を備え、相手を拘束することも可能という反則的な性能の翅
・ブロッケンを恥ずかしい姿勢に固めて落としやがった!
・アリステラの思考を誘導してないか?
分からない。何も分からない。
気を取り直して、最初から見ていきましょう。
シャイニングウィザードだ! かっけえ!
好きなんですよね、名前も見た目もカッコいいので。
アリステラの台詞をぶった切りながらの一撃、無慈悲。
アリステラの指から血が迸るのが痛々しい。
手に入れた力が通用しないことに動揺を隠せないアリステラ。
彼を穏やかに諭すアタルはカッコいいんですが、真弓の姿を映すのは説得力が大幅に下がるのでやめてほしい。
アタルも昔はソルジャーチーム襲撃して雪山に放置する程度には慈悲が無かったんですよね。
スグルの影響で優しさが芽生えたんでしょう。
マリキータがカットに入り、止めようとしたブロッケンがウィングラッピングシャットからマリキータデッドリーライドの餌食に。
ゲーッ、何だその体勢!
相手の腰・股関節等を効率的に破壊する完成度の高い技ですが、見た目が凶悪。
この技でブロッケンが終わらなくてよかった。
敬意を抱いた相手に出す必殺技らしいのですが、マリキータはブロッケンを舐めてましたよね。それだけ焦っているのかな。
ブロッケンはちゃんとタッチして交代したのにマリキータは怠ったため無効とされましたし、周りが見えなくなっている。
それにしても翅が便利すぎない? 多機能だし手軽に必殺技まで繋げられるし。
「何も知らないお前らごときが、アリステラをこれ以上罵るなーっ」
罵ってません。
ろくに知らないくせに偉そうなこと言うなというのは、この場面だけ見ればその通りなんですが、ロールシャッハ・ドットで知ったようなこと言い出す貴方に言われても……。
リーダーの右腕を気取るならば、ひたすら肯定するのではなく諫言も必要だろうに。
側にいるマリキータが背中を押しまくるから、アリステラも止まれなくなったんじゃないか?
そもそもアリステラが焦ってるから何が必要か答えただけでしょう。
アリステラが精神的に弱っている。
マリキータに縋りつく姿が痛々しい。
あれほど威圧感のあった表情が弱気に……。
感情を描きにくそうなデザインなのに表情の変化でしっかり見せているのがすごいな。
だからこそ、内面が分からないマリキータが異質に感じられる。
「そんなただ都合のいいもんなんてあるかよ」
ブロッケンの至極真っ当なツッコミ。必殺技くらって血を吐いたのに元気そう。
「特殊体質で無敵の力を吸収して邪魔者排除して神越え完了悲願達成」で済むはずありませんよね。作中で指摘されると安心します。
アタルだけでなく、ブロッケンの体も光を帯びる。
さりげなくクソ力に目覚めてる……!
話の流れを考えると、敵への慈悲も含まれていて真髄を発揮できる状態ですよね。
アリステラはアタルに敵わず、ブロッケンまで力に目覚めては、オメガ・グロリアスの勝ち目は薄い。
恨みを捨てねばならないと理解したはずのアリステラだが、無理だと切り捨てる。
薄々察しながらも否定せざるを得ないのは辛いな。
アタル達の「恨みを捨てろ」という主張は、それだけだと一方的に聞こえるけど、オメガ側に星を救うという目的がある以上そう言うのも当然なんですよね。
救うための力が恨みのせいで発揮しきれないんですから。
マリキータがきなくさくなってきた。
アタルの言葉を罵りと認定して遮断しようとする。
アリステラがどういうことだと困惑する様に、マリキータがいい加減な情報を吹き込んだ可能性がちらつく。
そして、マリキータの問いかけが、恨みを捨てるなんてお前にできるわけないと言っているように聞こえる。
復讐に囚われているアリステラの目を覚まさせるどころか、曇らせようとしてないか?
アリステラが止まれないのは自分の意地やコンプレックスだけでなく、先祖の悲願、仲間の心情など、他者の存在もあっての台詞でしょう。
それならば同胞であるマリキータがフォローすれば踏みとどまれそうなのに、オメガのため、アリステラのためと言いつつ破滅へ進ませている。
裏があってほしくないけど、善意でやっているのも問題です。
何か企んでいる方がマシかもしれないんですよね。悪意も自覚も無しに追い詰めている方が恐ろしい。
アリステラが自分で止まれないのなら、アタルとブロッケンが止めるしかない。
ツープラトンで決めてくれ。
『完璧超人始祖編』57話・58話
ハリケーン・ミキサーからの追撃!
グリムリパーが敗れたか。
いいヒールだった……と言いたいところですが、まだ終わらない模様。
動揺を見せたため底知れなさが薄れたと思ったのですが、再び「何かある」と感じさせる言動を見せる。
大ダメージを受けたはずなのに平然と立ち上がり、笑みまで浮かべるとは。
敗北すれば自害するのが完璧超人の掟。
しかし、グリムリパーは「自分を倒したバッファローマンに敬意を表する」という理由で、己にとどめを刺させようとする。
やめたほうがいいって。絶対何か企んでるよ。
キン肉マンも殺害を止めようとする。
「それをやったら、おまえがますます遠くへ行ってしまう気がして」
こういう切ない台詞がキン肉マンの口から出るとは思わなかった。
スグルやテリーの制止を振り切り、バッファローが手を下す。
正義超人達の想いは彼に届いたはず。
友情が失われていないからこそ、バッファローマンが踏み出した気がしてならない。
友に背負わせないよう、汚れ役を引き受けるために。
甘さが命取りになると言う彼自身も、スプリングマンの亡骸を拾い上げてるので、非情になりきれていませんが。
角で貫かれたグリムリパーの表情が不気味。
屍を残さず消え去るのも意味深。
やっぱりキルバーンを連想してしまう。
ダイ大みたいに激戦が終わって皆が勝利に沸いている中現れて、まとめて葬らないか心配になる。
正義超人や悪魔超人を下等超人と蔑むネメシスに、ロビンが毅然と反論する。
ウォーズマンもポーラマンの前に姿を現し、次は超人師弟の闘いです。
実力者のネメシスと互角に渡り合うロビンマスクはさすがだ。
問題発言や行動に気を取られて忘れがちだけど、正攻法でもかなり強いんですよね。
と思った直後にアイス・ロック・ジャイロ繰り出しやがった!
アノアロの杖で火属性、アイス・ロック・ジャイロで氷属性と、属性攻撃が豊富ですね。
ロビンマスクとマリキータマンが戦ったらどうなるんだろう。
……読者の脳と睡眠時間が溶けそう。
傲慢なネメシスもロビンマスクの実力を認める。
そう、真っ当な攻防でも十分強いんですよね。
いつ斜め上にかっ飛んでいくか予測不能なだけで。
次回は完璧超人が他の超人を下等と見下し、下界との関りを断ってきた理由が語られるようです。
ダイ大感想修正版 4
ダイ大感想修正版3
『キン肉マン』298話
今回色々スッキリしました。
「仲間のためにパワーアップと書くと主人公みたいだけどおかしくない?」「アタルは力を奪われて倒されるために出てきたのかよ……」「実績や実力が上の超人もいる中でブロッケンを選んだ理由を見せてくれ!」とやきもきしていたのが一気に解消された。
アリステラが「もう一人のスグル・主人公」であるかのような語られ方に違和感を覚えていたので、違いが示されて「そうだよなぁ」と思いました。
・ブロッケンJr.がアリステラに共感、この戦いに選ばれた理由を描く
・ブロッケンJr.がカットに入りつつ過度に進行を妨げない
・自分はスグルと似ていると主張するアリステラに対し、アタルが違いに触れる
・業火の! 再点火が! カッコいい!
満足。
アタルが何をしようとしているのか、ブロッケンが何故選ばれたのかが分かって熱かった。
技をくらっても立ち上がり猛攻を耐えるアタルと、余裕を失っていくアリステラ。
念願のパワーアップが叶って相手に大技を叩き込んだ直後とは思えない。
アタルが逃げ出したことを責めるのは、「自分は苦しんでいるのに!」と訴えているように見えます。
アタルに無責任だと言ったところで今更です。自覚しているから「その通りだ」で終わる。
それなのにわざわざ責任だの余裕だの言い出すのは、自分が重圧に潰されそうになっていることの裏返しじゃないですか。
使命や責任から逃げないのは立派だけどそれで侵略を正当化されても困るし、周囲を巻き込んで破滅に突き進むなら主人公やヒーローと持て囃す気にはなれない。
……あの、クソ力込みの技が直撃したのに普通に戦闘続行するアタル兄さんって一体……。
アリステラの姿を見て涙するブロッケン。
「そうだ、アリステラは……かつてのオレ自身だ!」
そうか。このためにブロッケンが選ばれたのか。
復讐に囚われていた頃も、仇と共闘して困っている人々を助けることができたので、そこはアリステラと違いますが。
ラーメンマンの「オヤジのことは忘れろ。そうすればお前は強くなる」という台詞はよく考えるとかなりきわどいな。
「過去に囚われるな、復讐なんて忘れろ」を仇本人が復讐者に言うのは、一歩間違えるとただの身勝手な台詞に聞こえてしまう。
ラーメンマンの場合は、
・ブロッケンJr.の父を惨殺したことを心から悔いている
・ブロッケンの攻撃を抵抗せずにくらってボロボロに
・あえて攻撃を受けたものの、未熟であることを知ったため返り討ちにしての発言
・その後もブロッケンを助けたり導こうとしたりする
と、ブロッケンの将来を考えての行動だから受け入れられます。
「過去に縛られているオメガ側と解放されたブロッケンJr.」で対比になるという指摘を試合前に見ました。
この要素を使うとしたらいつだろうと思っていました。
よりによって仲間への想いでパワーアップした直後に持ってくるか!
アリステラの主人公補正を引っぺがした感じだ。
「オメガ側のキン肉マン」を「迷走する哀れな青年」に修正。
同時にアタルを導く側へと持っていく。
アタルの強者ゆえのボス属性を指導者属性へと変換し、不利な流れを一話で塗り替えた。
アリステラの内面を見抜いてブロッケンを起用したアタルもすごいけど、一瞬で意図を理解するブロッケンもすごい。
アタルだけだと淡々と戦っているように見えるけど、ブロッケンを添えることであら不思議、超速でなんかいい方向に解釈して読者に分かりやすく説明してくれる!
攻撃に耐えつつチラッと視線向けただけで「そうか隊長はアリステラが過去に囚われていた頃のオレと同じだと見抜いてオレを選んだのか、隊長は道標になろうとしているからオレの役目は邪魔が入らないようにすることだ!」まで辿り着ける奴なんてブロッケンしかいない。
一番の理解者扱いされるのも納得。
アリステラの目的に反しても加勢するマリキータと、アタルのやりたいようにやらせるブロッケンで対比になっているかもしれません。
アタルが無責任と糾弾されてからアリステラはスグルとは違うと語るまでの流れが巧みという指摘を見て、なるほどと思いました。
逃げ出したのは事実であり、すでに認めている以上、否定しても評価が落ちる。
ブロッケンが反射的に「隊長は無責任じゃない!」と反論しなかったのもよし。闇雲に擁護しても逆効果です。
ブロッケンのモノローグがかなり効果的に働いている。
すぐにスグルとは違うという話題に移っては、アタルが話を逸らしているように捉えられかねない。
一度ブロッケンに視点が移ると流れが変わるし、内容もそれを後押ししている。
囚われているという負の面を取り上げることでアタルへのパスを出した。
しかしアリステラは哀しいな。
使命のために邁進していると思い込み、強大な力を得て、もはや敵はなくなったと思ったら、敵の「小僧」からも哀れみの眼で見られるんだぞ。
迷走していた頃の自分と同じという理由で。
オメガ側がブロッケンを格下の未熟者扱いすればするほど、カウンターも重くなるんですよね。
散々未熟者扱いした相手から涙流しながら「昔のオレだ……」と認定されるのはむごい。
アリステラは一度止まって頭冷やした方がいいと思う。
このまま進もうとしても方向間違ってるのでどうにもならないよ……。
アリステラを過去の己と重ねて涙を流すブロッケンを見て様々な感情がこみ上げました。
「そこで泣くの!?」という驚き、「思考や行動が予測不能で面白え!」という笑い、「相手の心境を考えるようになったのか……」という感慨、「頑張れ、キツいかもしれないけどマリキータを食い止めるんだ!」と応援する気持ち。
今までブロッケンは自分が生き延びるのに精一杯で、敵への理解や共感までは到達できていない印象があったんですよね。
そんな彼が相手を想うことができるようになったのが嬉しいです。
ドライに考えれば命がけの闘いの最中に敵の今後まで気にしてられないんですが、スグルだけでなくテリー達もやってるので、正義超人の主力として戦っていくなら必要な姿勢です。
今回の内容を踏まえて試合前を振り返ると、ラーメンマンの頷きが重くなります。
ラーメンマンが穏やかな笑みとともに頷いたことで、ブロッケンは勇気づけられたんですよね。
憎い敵だった男と師弟のような関係を築き、ブロッケンは強くなることが出来た。
ここまでの話がつながったと感じます。
『完璧超人始祖編』55話・56話
凄まじい握力でバッファローマンの皮膚を毟っていくグリムリパー。
ひぃ、さりげなくグロい。
彼はバッファローの力を引き出すため、怒りや恐怖を抱かせようとする。
死んだ仲間をネタにして怒りを煽るとは、ヒールのマイクパフォーマンスが上手いなあ。
うーん憎らしい。
回想でアトランティスが描かれるたびに胸がドキドキしてしまう。この気持ちは何なんだ。
命を落とした仲間を想い、バッファローが吼える!
パワーアップしたバッファローに張り手をくらい、グリムが顔をゆがめる。
うお、痛そう。
グリムのサンダーサーベルカッコいい。
マグネットパワーの時に出てきた技だっけ。
四肢を貫き磔に……好きな構図です。
力を測定・吸収しようとしたグリムだが、吸い取り切れずにアースユニットが壊れ、バッファローの反撃をくらう。
グリムが焦りを見せた。
意外と崩れるの早かったな。
「死んだ仲間を嘲り挑発→力を吸収しようとする→失敗して反撃くらう」と、お手本のようなやられ方だ。
追い詰められた時に踏みとどまるか否かで評価が分かれるので、悪役として意地を見せてほしいところです。
ダイ大感想修正版 2
ダイ大感想修正版 1
サイトに掲載していた感想を移すついでに原作を最初から読み返して、加筆・修正することにしました。
勢いのままに書いたのが一回目の感想で、それを修正したのが二回目。
ブログを開設して三回目、今回で四回目になります。
そのため、初期の感想と現在の感想が入り乱れていたり、すでにブログにある方の内容と重なる部分があります。
全体を通して安定感があり、読みやすいです。
最初の予定ではバラン戦の直後大魔王との決戦だったらしいですが、人気があったため延びることが決定。打ち切り引き伸ばしの多いジャンプにおいて、延長しながらもストーリーが大幅に破綻することなく完結したという点で評価が上がります。
拍手してくださった方、ありがとうございます!
始祖編のグリムリパーを見てダイ大のキルバーンを連想してしまいます。
死神の名を持ち、黒ずくめの凝った衣装を身にまとい、本心を掴ませない台詞やトリックスター的な振る舞いで相手も読者も翻弄する。
すり抜ける特技まで完備。
敵どころか味方すら駒としか見ていないようですし、最期まで戦って死んでいった仲間に死体蹴り。
怪しさがにおうどころか充満してるので、第三勢力のスパイや刺客でもおかしくない。
仲のいい友人などが出てくるのか、最後まで憎まれ役を貫き通すのか、興味が尽きません。
『完璧超人始祖編』53話・54話
「相棒がオレ以外の違うパートナーと使っていた、胸クソ悪い技」
そ、そこまで言うか。
相当嫉妬してたの?
前回の台詞を見た時、半分冗談で「『オレ以外の男をパートナーに選びやがって』と書くとやきもち焼いてるみたいだな」とちらっと思いましたが、あながち間違いでもなかった。
足が壊れていきながらもスプリングマンは止まらず、ターボメンを追い詰める。
パートナーがピンチなのに一切動揺せず見ているだけのグリムリパーが不気味。何だコイツ。
散ったステカセキングに呼びかけながら、足が木っ端みじんに砕け散った状態で、スプリングマンがバッファローと力を合わせてターボメンを撃破!
やった!
見てるかステカセキング。
かたきは討ったが、スプリングマンにもう力は残されていない。
生まれ変わったらまたお前とタッグを組みたいと語る。
やめろ! そんなこと言うな! そういう台詞に弱いんだ!
何がグッと来るかって、次は最新鋭のおもちゃ超人になることを望んだスプリングマンに対して、バッファローが「バネボディのままのおまえでいいんだ」と答えたことです。
生まれ変わったら立派な体になりたいと言う相手に、そのままでいいと肯定するのか。
そこでそう言える奴だから、スプリングマンがまたタッグを組みたいと熱望したんだろうな。
スプリングマンの体が完全に砕け散ったのは辛いけど、見事な退場に笑顔になりました。
何言ってるんだと思われるかもしれませんが、力を出し尽くして命を燃やしきって想いも相手に伝わったので、生きていてほしいのに「よかったな」と言いたくなります。
アトランティスもそうです。
残されたグリムリパーはわざとらしい台詞でターボメンの敗北を嘆く。何だコイツ。
仲間の死体から部品をはぎ取りやがった。
しかも蹴りを入れてリング外に出す。お前……。
醜態を晒したわけでもない、まともに戦って敗れた味方を文字通り死体蹴りとは、憎まれ役の鑑。
高潔さが前面に出ているキャラとは違う外道枠か。
グリムはバッファローの力に興味を示し、正確に測ろうとする。
死神の名を持ち道化じみた衣装をまとい幻属性で闘牛士の真似までこなす。要素盛りだくさんですね。
グリムはハリケーン・ミキサーを手で止め、皮膚を毟り取った!
小細工が厄介だと思っていたけど、フィジカルも強いのか。
衣装を攻略すればいいんじゃないかと予想したけど、それだけでは終わらないかも。